阿津川辰海のレビュー一覧

  • 新世代ミステリ作家探訪

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    若林さんがガンガン踏み込んで面白い話を引き出してくださるので楽しかった。「こうではないですか?」と斬り込んで「そうじゃないですね」と返される場面も多かったけど、それはまあご愛嬌。

    印象に残っているのはこの辺▼
    ・円居さんの「推理漫画よりも早く展開する頭脳バトルやギャンブル漫画のテンポが求められていると感じている」という話や、FGO他ノベライズの裏話。

    ・SFミステリと特殊設定ミステリの違いと阿津川さん・逸木さん・方丈さんのスタンスの違い。

    ・澤村さんの「ジャンルの書き手でないからこそジャンルあるあるなシチュやキャラに頼りたくない」スタンスはそういう考えもあるんだと新鮮だった。

    ・呉さん

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    2022年10月27日
  • 透明人間は密室に潜む

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    ネタバレ

    ● 感想
     特殊設定ミステリ、ユーモア群像劇、ガチガチの本格、知的ゲームモノという4種類の短編からなる短編集。どれもクオリティが高く、阿津川辰海の本格ミステリ作家としての実力がうかがわれる作品。
     どれも外連味はそれほどないが、しっかりと地に足のついたロジックで描かれている。設定には派手さがあるが、ロジックは堅実。どこか山口雅也を思わせる作風でもある。
     白眉は「六人の熱狂する日本人」。映画『キサラギ』を彷彿とさせる群像劇であり、シチュエーション・コメディ風でもある。コンサートライトホルダーに付いていた血と、御子柴さきに会いたいという動機から事件の真相として真犯人が御子柴さきだと見抜くという展

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    2025年06月07日
  • 阿津川辰海 読書日記~かくしてミステリー作家は語る〈新鋭奮闘編〉~

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    ネットで連載されていた読書日記がまとまった。著者の作品は未読で、他の作家の作品もほとんど読んだことがない。それでも、例えば、ヴァランダーやショーン・ダフィに対する熱量で読ませる。ジャック・リーチャーやハリー・ボッシュのシリーズを「普段づかい」というのは、絶妙な表現。

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    2022年09月05日
  • 星詠師の記憶

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    特殊設定ミステリって、「何でもあり」にならないために、「普通の」のミステリより、緻密に論理的に、世界の境界条件を定めなくてはならないので、非常に難しいんだなって、改めて。
    最近何かと話題なジャンルだけど、一方で、ラノベ的とか、お花畑とかってバカにした評を聞いたことあるけど、まずは本書を読んでみてからにほしい。

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    2022年08月07日
  • 星詠師の記憶

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    最近の作家らしく、本格物と言っても超変化球。
    未来を予測できる人々(星詠師)を中心とした組織内で起きる殺人事件。当然、証拠として未来を予測した動画が犯人を示している…、という凝った設定。

    他の作品と同じく、錯綜した謎が整然と解決されるラストは圧巻だが、あまりにも精緻すぎてややこしいレベル。なんといっても過去と未来が複雑に絡んでいて、読んでいてもこちらがこんがらがってしまう。

    それでも、星詠師という架空の設定をリアルに肉付けしてあり最後まで楽しめた。

    ただし、キャラがどれも作り物めいていてあまり魅力がないのが残念だし、会話が不自然なのも残念。

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    2022年05月20日
  • ベスト本格ミステリ2018

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    小説が10本、評論が1本のテンコ盛りだが、表題の「ベスト本格ミステリ」の名前にはややそぐわない感じだった.特に面白かったのは『透明人間は密室に潜む』だった.内藤謙介・彩子夫妻を軸に透明人間病の話が展開されるが、川路昌正教授が開発しようとしている非透明になれる薬を阻止する彩子の行動が楽しめた.

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    2022年03月28日
  • 名探偵は嘘をつかない

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    SFが入っているが、話の大きな山が3つも4つも盛り込まれた読み応え抜群の1冊。
    オチはなんとなくわかりやすく、これでもかというくらいにきれいに伏線を拾ってくれるので、初心者にも楽しめるかも。
    なかなかエグい内容ではありつつ、ラストはハッピーエンドっぽく終わるのもよい。
    キャラも個性的でよかった。

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    2022年02月24日
  • 非日常の謎 ミステリアンソロジー

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    面白かった!
    人が死なないミステリーを求めて勧められて読んでみたけど、確かに人が死なないミステリーになっててよかったです。大抵死んじゃうんですよね、ミステリーって。
    特に好みだったのは凪良ゆうさんのお話。
    城平京さんは、リアタイで虚構推理見てた自分としてはニヤニヤしちゃったけど、原作知らない人からしたらいまいち腑に落ちないうまく言いくるめられた話になっちゃうのかも知れない。
    でも一番面白かったのは、表紙のイラストです。
    大量の食パンやおにぎりやら鳥までいて、思惑が渋滞しております。紫のはブルーベリージャムかなぁ、ベーコンエッグも美味しいよね!

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    2021年12月16日
  • 新世代ミステリ作家探訪

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    既読作家のインタビューは面白く読めたが、それ以外の方のは上滑りする感じで読んだ。しかし、作家さんたちや、書評家の方々は本当に本を読み込んでいるのだなぁと思う。澤村伊智と阿津川辰海は読もうと思っていた作家で、更に早く読まねば、と思った。あと、大学のミステリ研で、ミステリーよりも「ジョジョ」「カイジ」「ガンダム」が会話に出るというエピソードや、京大ミス研にはジョジョ全巻置いてあるのとか面白かった。デスノートもインタビューのあちこちにでてきたし、マンガ・アニメのストーリーがミステリー界に与えている影響も大きいのですね。
    今、高校生だったら賢い大学行ってミステリ研入る目標も楽しそうだなぁ。読み仲間が増

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    2021年10月24日
  • 非日常の謎 ミステリアンソロジー

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    どの作品も、それぞれ趣向が凝らされていて面白かった。特に芦沢央さんの短編には衝撃を受けました。普段は手に取らない人の小説を読めるのがアンソロジーのいい所ですね。

    辻堂ゆめ「十四時間の空の旅」
    ほろ苦く心温まるストーリー。主人公の不安や苛立ちが丁寧に描かれていて、共感しやすい内容でした。

    凪良ゆう「表面張力」
    すみれ荘ファミリアを先に読みたかった。あと少しでコップの水が溢れてしまうような、ギリギリの関係性。不穏な空気を感じるストーリー。作中で、作家が編集者に話した一言が、この話の全てを表している。

    城平京「これは運命ではない」
    虚構推理を読んでいない為、説明が欲しい部分があって少し残念。読

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    2021年10月20日
  • 名探偵は嘘をつかない

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    阿津川氏の作品は数作読んで、どれも凝った設定で楽しめた。このデビュー作はなんとなく装丁が子供っぽくて読んでなかったのだが、作品が無くなってきて今回読ませてもらった。

    ジャンルで言えば緻密なロジックで殺人事件の真相を追いかけるわけだから本格モノになるが、この凝った『探偵』と言う職業の設定に始まり、二転三転するだけでなく、次々と起こる事象はこちらの想像の斜め45度上をいく展開。

    もはやロジック遊び的な部分もあるが、それすらも本格モノの真髄の一つではあるから、話の展開に身を委ねて楽しんだ。
    それにしてもよくぞこんなストーリーを考えられるものだ。まさに異才。

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    2021年10月05日
  • 新世代ミステリ作家探訪

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    言い回しや考え方にそれぞれの個性や人柄を感じられ、同じ本をあげていても視点が違ったりする所があったりしたのが読んでいて楽しめた。

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    2021年09月30日
  • 非日常の謎 ミステリアンソロジー

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    がっつりミステリーと思い込んでいたら、「日常の謎」の非日常編。いや、そのままなんだけども。タイガお馴染みの作家さんで全部面白かった。すみれ荘は未読なので気になる。九郎先輩出てきたのは嬉しかった。芦沢さんのは何目線で読めばいいの?

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    2021年08月11日
  • 非日常の謎 ミステリアンソロジー

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    とにかく作家がとても豪華!!さすがにどれもハズレなしで楽しめました。中でも木元さんの「どっち」は女性の裏の顔というか、それこそどっち??私ならそんな疑惑があったら怖くてその先一緒に居れない。城平さんの「これは運命ではない」はたまたま漫画で虚構推理を読んだので九郎が出てきて嬉しかったし、辻堂さんのはお父さんにほっこりし、凪良さんの「表面張力」もとても良かったので長編を読んでみたい。

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    2021年04月13日
  • 非日常の謎 ミステリアンソロジー

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    ミステリーとは、大きな事件が起きてそれを解決するものだと思ってた。この小説のミステリーは、大きな事件が起きる訳では無い、日常の中の違和感の正体がだんだん明らかになってくる、そんな不穏な描写が多い、色んなミステリーの形がある。ミステリー小説の最後のネタばらしを一気に6回楽しめる要素もある。

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    2025年12月16日
  • 名探偵は嘘をつかない

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    2021年1冊目。
    スピーディーでテンポの良い展開で、600ページ弱を1日で読めた。探偵と密室、本格のセオリーを踏まえつつ、ミラクルも繰り出されて、行き先がわからないジェットコースターのようだった。
    デビュー作でここまで楽しませてもらえるなんてすごい。次も楽しみ。

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    2021年01月03日
  • 名探偵は嘘をつかない

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    ネタバレ

    探偵助手となった女性は、兄を見殺しにしたとその探偵を恨んだ。
    その探偵は、幼少期より探偵としての才能を開花させ、ある事件の容疑者となったのち、潔白を主張。果たして、真犯人xなる人物を創出し、見事無罪となった。
    ところが、その時、取り調べをした刑事は汚名を着せられたため、真実を求めて奔走する。
    果たして、探偵は弾劾されるのか?

    新たなる探偵の誕生かと思いきや•••

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    2020年06月26日
  • 紅蓮館の殺人

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    ネタバレ

    ○ 総合評価   ★★★★☆
    〇 サプライズ  ★★★☆☆
    〇 熱中度    ★★★★☆
    〇 インパクト  ★★★★☆
    〇 キャラクター ★★★★☆
    〇 読後感    ★★☆☆☆
     「屍人荘の殺人」と同じように,極限状況のクローズドサークルで殺人事件が起こる。「屍人荘の殺人」では,その極限状況がどのような状況なのか,という部分が伏せられている。この作品は,極限状況がどのような状況か,という点は隠されていない(裏表紙の解説にも書かれている。)。その極限状況とは山火事。落雷により生じた山火事のせいで,あと35時間で館が焼損するというような極限状態で殺人事件が起こる。
     探偵役とワトソン役は高校生の

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    2025年05月18日
  • ベスト本格ミステリ2018

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    様々なアンソロジーで読んだものもあったが、改めて面白い。虚構推理は次から次へと推論が出てきた上で結局は、というのが楽しい。

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    2019年03月10日
  • ベスト本格ミステリ2018

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    昨年発表された本格ミステリ短編のベスト集。
    同じ趣旨の『ザ・ベストミステリーズ』(こちらは広義のミステリ短編)と比べられがちだが、ここ数年は後者の方がバランスが良くて面白かった。だけど、今作は数年の不振を一掃する位に傑作が揃った。本格好きとして大いに喜ばしい。
    特に大山誠一郎さんの作品は凄い。犯人が被害者の顔を潰す理由で、こんなに斬新なアイデアを考え付くとは! これだけでこの一冊を読んだ価値あり。

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    2018年07月12日