阿津川辰海のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「名探偵」を目指す瀧花林の幼馴染・幣原隆一郎には特異体質がある。隆一郎が好きになる女性は何らかの事件に関わっている。特異体質を知るのは隆一郎と花林だけ。隆一郎は今日も誰かに想いを寄せている…。
隆一郎の好きになった相手が犯人、という前提を元にハウダニット・ホワイダニットを推理していくミステリー連作。設定が面白く、軽いノリで読みやすい。
中学時代の科学教師殺害事件、高校の美術教師殺害事件、行きつけの喫茶店のマスター殺害事件、友人の別荘で起きた殺人事件、隆一郎宛の差出人不明のラブレター、クリスマスの別荘で起きた殺人…と殺人率高すぎでは…?コナン君並みの遭遇率。人が死なないもう少し平和な事件があってもよかったんじゃないかなと思わなくもない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコトダマ犯罪捜査課SWORDシリーズ第二弾。
山下公園で目が覚めた小鳥遊姉妹の妹・沙雪は、成り行きで出会った2人のコトダマ遣いと行動することに。恋人である少年・李との結婚を反対され父親に追われている少女。母に会うため日本までやってきたという美鈴は、「蘇らせる」のコトダマ遣いだった。一方、永嶺らは「射る」のコトダマ遣いによる事件を捜査しながら行方不明の沙雪を探していた…。
沙雪は若いカップルと母親探し、他のメンバーは行方不明の沙雪を探しながら「射る」のコトダマ遣いによる狙撃事件を捜査。「蘇らせる」には生贄が必要なことがわかってからは怒涛の展開で、そのまま読み切ってしまった。
二つの事件が同時進行で起きていて、時折入れ替わる視点。美鈴の追っ手にも「射る」のコトダマ遣いらしき者がいて、重複する能力の謎が生じる。狙撃事件の方はともかく結末は予想できなかった。結構話が進展した感じがするが、今後三笠課長はどう動くのか気になる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタケシは、内気な小学5年生。
2年前にママを亡くしてから、いつまでも立ち直れずにいる。
そんな時に河原でそれに出会う。
編集者だったママが担当した児童書『どろぼうルーカス』のぬいぐるみだ。
ルーカスを持ち帰ってから、タケシの周りでおかしな出来事が連続する。
パパに捨てられたのに、なぜか翌朝にはぬいぐるみが机の上にいた。
翌日には迷惑行為を繰り返す隣人が二階から転落し、被害者は現場に「ルーカスがいた」と主張。
さらには、タケシの嫌いな教師が喉を切られて殺される。
一連の事件はルーカスの仕業なのか?
タケシは複雑な思いを抱えながら、同級生の森とその正体を追うが――。
――大事なことは、ぜんぶ『どろぼうルーカス』が教えてくれた。
全ての真相が明らかになった時、少年は一歩大人に近づく。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ隆一郎の惚れた女は必ず犯人。
幼馴染の花林は探偵、兄がキャリア警察官。
先生が密室でazuとダイニングメッセージをペンで書きかけで死んでた。惚れたコンノ先生が犯人で本当のダイイングメッセージはキツネのハンドサインでそれ以外は偽装だった。
先生が美術室で死んでて石膏像が割れてる。停電があった。被害者は加害者になり正当防衛みたいに殺す。ってなると、隆一郎は好きな相手が瞬時に切り替わる。悪女オーラを感じるので。
喫茶店での被告密室での室外殺人と見せかけて、それはフェイクで実は双子の姉の方が悪女。
砂浜に全身埋めた状態で居て抜け出したと思いきや死んでたのは、似たような砂浜に誤誘導されたから。タクシー運転手の事件は別物。
手紙は実は一年前のモノ。今年突然惹かれた。去年転校した子のモノ。その子は名古屋で傍観から小学生を守った反動で傍観を瀕死にしてしまう。
最後は別荘。遺産問題で放蕩叔父が帰ってきて、果林の同級生がナイフで刺してその兄が谷底に遺棄。が、隆一郎が好きなのが果林であれば、前日に毒を叔父が飲んで死んでいたことに気づく。 -
Posted by ブクログ
紅蓮館に引き続いて読んだ。
紅蓮館のときにキャラクターがしっかりしてねえなぁと思ったが、やっぱりあんま深く煮詰めて作ってなかったんだというか、田所が190近くある大男なのは紅蓮館で多少なり言及しとけよと。名前もそうですけど、設定が明かされたというよりは考えてなかったんだろうなぁと。
そして相変わらず田所ウゼえっていうか、ようやくお前の探偵が復活したのに持って回った言い方にイラつき始めたりすんなよとか、軽口叩ける身分じゃねえだろうがとか、こいつの視点で物語が進むので終始鬱陶しい。
葛城についても、家族が嘘吐きまみれでその中で育ったから嘘について異常なほど潔癖である、という設定だったのに蓋を開けてみればこの程度の家族関係でそんなことなるかねと。
どんだけ漂白された人間付き合いしてきたんだと。
次作があるなら飛鳥井と対決して再度葛城がボロクソになる話を見たいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【収録作品】
第一話 死者からの伝言
第二話 四月はアリバイ狂騒曲
第三話 キミが犯人じゃなければ
第四話 海岸通りでつかまえて
第五話 ポイズン・レター
第六話 あなたの愛を…
名探偵を目指す女子高生・花林。
幼馴染みの隆一郎は、「好きになった女性が必ず犯罪に関与している」という特異体質の持ち主。
この隆一郎と刑事の兄を利用して事件に首を突っ込んで解き明かす花林。
なにしろ隆一郎が好きになった女性さえわかれば、彼女が「犯人」。答えがわかっているため、それを導くように手がかりを組み合わせていく。
この「犯人」の定義がなかなかやっかいだ。隆一郎がなぜ彼女を好きになるかとの関連性も謎。
一つ一つの事件は比較的単純で、語り口もユーモアタッチながら、最終的にはそうだろうなという苦い結末で、つらい。 -
Posted by ブクログ
嘘つきばかりの家で育って嘘が見抜けるようになった
超お金持ちの探偵少年葛城と助手。
合宿を抜け出してファンの推理作家の館を訪れたら、
山火事に巻き込まれ、しかも殺人まで起きてしまうという話。
つまり紅蓮館という館ではなく、山火事で館が燃えそうな話です。
山火事が館に迫る中、からくり屋敷のような家で起きた吊り天井による圧殺。
奇妙な館の住人。そして少年達と同じように避難してきた怪しい人間など、
面白いトリック。理路整然とした推理。とても面白かったけれど、
唯一探偵の葛城が読んでて辛かった。
一言で言うなら「なんで高校生?」
嘘が見抜けるけど理由はわからないという探偵。
それなら助手と一緒に推理すればいいのに、頭がいいものだから自分で
推理して自分で納得して、解いた結果が望ましいものでないとわかると、
黙ったり消極的だったりして、ひたすら周りをやきもきもきさせる。
しかも探偵は生き方だとか言う。高校生だよね?
作中に元探偵がいるんだけど、そっちの言い分の方が共感出来るし、
話を聞こうって気分になる。要はずーっと独善的に動いて、
周りに気を使ってる風で使ってない。
結局破天荒にも誠実な探偵にもなりきれないまま、
事件が解決しても「探偵ごっこで場を乱した」みたいな空気で終わってしまう。
終始周りが置いてきぼりで、助手君すらそんな状態だったので、
読んでるこっちは高校生が何を言ってるんだ……みたいな気分になってしまった。
これなら大人の独善的な探偵で良かったのに……と思う作品でした。 -
Posted by ブクログ
面白かったといえば面白かったんですが、キャラクターが定まってない感じがしてしまいいまいち集中出来ないところがあった。
メイン二人に対して特にそう思っちゃって、葛城の性格どうなってんだというところとか、田所お前は黙っとれ感とか。お前何回胸ぐら掴むんや。
言葉というか、表現も何度も同じ熟語が使われてたり、無惨って言葉好きすぎるだろってくらい繰り返される箇所があって、わざとなのかもしれないですが。
落日館で起きる事件自体は一つですけど、そこからシリアルキラーに展開して後半はとにかく嘘やら謎を暴いていくって構成は好きでした。
もっと死んで欲しかった気持ちはありますが。 -
Posted by ブクログ
少女は殺人の夢を見る
阿津川辰海の短編集。ファンタジーミステリー。
設定が斬新で面白い。阿津川辰海の作品は世界観に驚かされるものがいくつもあるが、今作も例に漏れず衝撃的な世界観だ。
灯の紅茶を飲んだら彼女の夢の中に連れ込まれる。そして、彼女の夢で起きる事件を解決しない限り、巻き込まれた人達が目覚める事はない。
一体どの様な結末を迎えるのか楽しみだ。
第一話 第三の短剣
主人公の獏田は大学一年生であり、「月夜のお茶の会」と言われる読書会、サークルに初めて参加する。そこで様々なジャンルに詳しい人達と一緒に課題図書になっているカーター・ディクスンの「第三の銃弾」について検討会を始める。読書会は灯の家である本屋夢見堂で開催されるが、彼女の入れてくれた紅茶を飲んだ途端、獏田は睡魔に襲われ、気がついたら自信含めサークルメンバーが配役された謎の世界で殺人事件に巻き込まれる。中身は検討会をしていた「第三の銃弾」にそっくりな内容で。
読者も一瞬、訳がわからない状態に陥るが、羊と化した灯の父がこの世界について解説、いわゆるルール説明をしてくれる。余りにも突飛な展開だがそれでいてわかりやすく読みやすい。隠された剣の謎、リアクションが出来ない探偵役の獏田等、この設定でしか出来ない展開は見事。
最後、灯の父が獏田に灯の夢を託す場面は、獏田の立場、灯の立場、父親の立場、それぞれ考えおかしくなってしまった。獏田にとっては入学早々、途方もないものをあてがわれた思いだろう(笑)。
僕はカーの作品はほとんど読んだことが無かった為、残念ながら少しだけ談義にはついていけなかった。
第二話 そして誰にも共感出来なかった
クリスティテーマならきっと彼らとディスカッションする事が出来るなぁなどと思いつつ。いつの間にか父親と仲良くなっている獏田に笑ってしまう。
今回も夢の中に誘われ、四人の登場人物が死んでいる中、獏田は警察役として登場、事件を推理することになる。
今回は設定を巧みに利用し、メタ的な動機も入れながら推理が披露される。灯の夢の世界は探偵役が謎を解かなければ冷める事はないが、逆に捉えれば灯は解き明かす事の出来る謎を構築しなければならないという事になる。今回の様に導入でトラブルがあれば臨機応変に実現可能なトリックを構築しなければならないというルールは、後半の作品に不穏なものを残しそうだ。
第三話 モザイク岬の謎
お茶会も三回目となり、美也子にも灯の秘密がバレてしまったが、美也子は受け入れしかも灯の側につくと言い出す。お茶会のテーマはクインの「スペイン岬の謎」。
自身、クインはまだ未読が多く、世界観を掴みきれてないで読み進める。死体が全裸であるかどうかに獏田は執着するが、序盤ではその意味を理解できなかった。後半につれて全裸かどうかが意味を持つ理由がわかる。納得のいく内容では有るが、登場人物がどうしも限られている為、少し物足りなさも感じる。ここに来て灯のキャラクターがイマイチわからなくなって来たなぁ。
第四話 女死刑囚パズル
今回は夢の中の事件に灯自身が被害者として登場する。テーマは法月綸太郎の「死刑囚パズル」。ホワイダニット(なぜやったのか)論争を獏田と力石が行っており、力石の主張は少し難しいが面白い考え方だ。
灯の夢の中、冒頭から獏田は動機の部分を捉えているがあえて棚に上げて推理を進める。死刑執行の数分前に死刑囚が殺害されるのは何故か。何処か不穏な空気感がありつつ、死因などが明らかとなり、それを実行するためにどうすればと獏田の推理が進む。
最後、結末が打ち明けられ、動機、ホワイダニットの部分についても真相が判明する。
獏田の怒りはもっともだが、もっと残酷な真相を推理していた自分としては気の抜けた印象だ。
第五話 三階の窓
現実世界での話。力石の発案によりサークルで伝統だったリレー式小説を実施する事になったメンバー達。小説のスタートは力石、結末は獏田。獏田の一つ手前のパートは灯が担当し、彼女は堂々と「読者への挑戦状」を掲げる。
獏田はメンバー達から受けた小説を見事に着地させられるのか。
作中作のトリックは冒頭で違和感を感じ、ある程度見分けやすいものだった。他の作品と違い、サークルメンバーの人物描写がよく分かる一話。
第六話 九角館の殺人
「十角館の殺人」のオマージュがベースの様に見えるが、僕的には「暗黒館の殺人」の様相に似ていると感じた。今回はトリックとして灯の夢の様相が持ち出されており思考があったが、美也子の部分はもう少し引っ張っても良かった。
(阿津川辰海は毒もある作家なので、平気でありそうな結末だったのだが)
今回も獏田は灯の夢を理解し、彼女が組み立てた真相を炙り出す。(丑一叔父さんの登場によりある程度予測は出来る)
結末は青春を感じる甘酸っぱい締め方(笑)
全体的に面白かったが圧倒的に「毒」が欲しかった。
麻耶雄嵩の「化石少女」の様な毒々しさや米澤穂信の「小市民シリーズ」の様な気味悪さのあるペアの方が作品の世界観に合っていそうだと思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ父に捨てられてしまった「どろぼうルーカス」のぬいぐるみを河原で見つけたタケシは家に持ち帰ってしまう。父に取り上げられるが、翌朝机の上にはルーカスの姿が。ルーカスが現れてから、タケシの周りで不可解な出来事が起き始める…。
これはジャンルとしてはなんなんだろう。ホラーっぽいミステリーと思って読んだのだけど、その分類で合っているんだろうか。
たまたまだけど、『くますけと一緒に』から人形ものが続いている。方向性もちょっと近い。
ルーカスはタケシの味方。タケシがつい口にしてしまった言葉に叶えようとする。なぜタケシの言葉だけを聞き、守ろうとするのか。ルーカスの正体は一体何者なのか。予想がつかず最後まで面白く読めた。