あらすじ
山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿を抜け出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。葛城は真相を推理しようとするが、住人や他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。
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Posted by ブクログ
そこかしこに散りばめられた、美しいさと悍ましさの対比が印象的でした。テーマだったのかな?
まずもって吊天井で圧死、というグロテスク極まりない死に方をした可憐な少女なんて象徴的です。
一体なぜ逃げなかったのか?なぜそんな危険な部屋に入ったのか?
湧き上がる疑問符は、読んでいく中でしっかりと納得のいく筋道が示されて、大満足の一冊でした。
シリーズらしいので他のものも読みたいなー。
匿名
山火事と殺人事件と過去のシリアルキラーと要素満載です。かつて高校生探偵だった元探偵VS現役高校生探偵の物語でもあります。
今作の探偵役の葛城が高校生ということもあり、若さや未熟さが強調されていて、ラストは読んでいて苦しくなりました。
小さな伏線が盛り沢山で、終盤はドキドキハラハラです。
Posted by ブクログ
階段を上がるように読み進めてきた物語。
終盤に入りかけた瞬間、今まで上がってきた階段が突如として消え去り、下に落ちていくかのような感覚がありました。
解決編では、登場人物たちの思惑が複雑に絡み合い、この物語が形成されていたことを知らされます。その複雑さ、お見事です。
真相が解明され、気持ちは晴れやかになるかと思いきや最後の数ページで、何とも言えない気持ちに。でも、そんな結末も好きです。
山中に建てられた文豪の館。
登場人物は、館の主、その息子と孫二人、高校生二人、登山者一人、近隣住民一人、保険調査員一人。
山火事が発生。逃げ場はなく、強風により、ヘリコプターによる救出も困難。館焼失の危機。
その中で、ある人物が亡くなる。その死は事故か?殺人か?
死の真相を解明するべきか?脱出経路の捜索を優先するべきか?
Posted by ブクログ
これは…現代に蘇った“館ミステリの快作”ではないでしょうか。
火山の上に建つ奇怪な館、限定された空間、密室、そして連続殺人。
古典的でありながら、トリックは極めて現代的。
“あれ”に気づいたとき、ページをめくる手が止まらなかった。
伏線と情報の出し方が上手く、再読したくなる構造でした。
シリーズ第1作にして完成度が高く、キャラクター同士の知的な駆け引きも絶妙。
本格ミステリ好きは絶対に読むべし。
久々に「うまい!」と唸った1冊。
Posted by ブクログ
やや分厚い小説(439ページ)ですが、トリック以外は難しい部分がなくてサクサク読み進められました。
登場人物もそんなに多くなくて覚えやすいです。
最初、確か主人公たちが以前の事件の話をしていて、「あれ…シリーズものの途中の巻から読み始めちゃったかも?(・・;)」と不安に思いネットで調べてみましたが、シリーズものではありますがこれが最初の巻で間違いないようです。
第一部の終わりぐらいで、この館にいるメンバーの中に十年前に自殺したはずの連続殺人鬼が混ざっている、という事実が判明して面白さに拍車がかかりました。
わたしは久我島さんあたりが何か隠していると思っていたのですが、彼だけでなく実はみんなが正体を隠していてとても驚きました。
第二部の終わりに誰が連続殺人鬼だったのかが明かされて、「え、さらに続きがあるの!?」と次の第三部で一瞬どんでん返しの展開を期待しましたが、特にそのような展開ではなく、やや消化不良というか、読後感はあまり良くないまま終わってしまいました。
ただ、シリーズものなのでこれ以上分厚くするよりは、次巻に続いてくれたほうが、寝転がって仰向けで読む分には腕の疲れが減るので助かります。
この作品はいつも机で読書をしている方のほうがおすすめです。
次の巻はもう少しページ数が減っているといいなぁと思うずぼらな一読者の意見でした⊂( ⊂ _ω_)⊃ゴロン
Posted by ブクログ
ミステリの部分は面白くて寝る前に読み始めたら続きが気になって結局読み終えてしまった。トリックとかは面白いと思うし良くできていると思うんだけどちょっと犯人が物足りない。過去の事件との繋がりとか色々盛り上がりがあったのにちょっと残念。ミステリ以外の部分では「探偵」としての2人の探偵の考え方とかはちょっと余計な気がしてしまう。それはそれで面白いとは思うけどなんかちょっと余計かな~。
Posted by ブクログ
文体は「読みやすい」けど「少しわかりにくい」感じでした
テンポも良いのか悪いのか分からないが、個人的には中盤に結構中だるみしたので、もう少しコンパクトでも良かったと思いました。
謎解きは若干強引で力技なところもありましたが、最後の嘘を暴く怒涛のラッシュとナゾ解きはすごかった。新旧の探偵の生き方の違いも面白かったです。
Posted by ブクログ
憧れのミステリー作家、財田雄山に会うため、彼が住む森の中にある落日館にやって来た高校生二人組、一見キラキラした青春モノの雰囲気を漂わせるが、まさかの山火事が発生!迫り来る火の海に刻一刻と表示される時間に緊張が走る。そんな絶体絶命の状況下で、まさかの殺人事件!犯人は全く空気が読めないらしい…笑
大仕掛けの物理トリックや探偵のあり方についての人間ドラマと非常にてんこ盛りなミステリー作品でした!
面白かった!
読みやすい文章。
魅力的な探偵と助手。
山火事によるクローズドサークル。
一癖も二癖もありそうな登場人物。
好みの要素が盛りだくさんで楽しく読めました!
続編も買いました!
Posted by ブクログ
山奥に隠遁した推理作家。
大ファンである高校生の僕と、友人であり探偵の葛城は、彼に会いに合宿を抜け出す。
そんな中山火事が起こり、館では作家の孫が圧死で発見される。
火が回るまで35時間のタイムリミット、犯人は?トリックは?
*
時間はかかったけれど、気持ち的には一気読みだった。
想定外の方向に進む物語。
館といえばで綾辻行人さんを、僕と葛城の関係が『本と鍵の季節』を、探偵としての生き方のやりとりが『名探偵の有害性』を、想定外の密室状態が『屍人荘の殺人』を彷彿とさせて、いろいろな感情が湧き出てきた。
今まで楽しみながら読んできた本たちとその時間はやっぱり幸せだった。
そして、ああ、やっぱり本を読むのは楽しいと噛み締めた。
*
人は変化して生きていく。
当たり前だが、変わらざるをえないときもある。
変わってないようで必ず変化するのだ。
その変化を怖がらずに前へ進むことこそが、肯定的に人生を進めるコツなのかもしれない。
Posted by ブクログ
迫りくる山火事と逃げ場のない崖に囲まれた館に閉じ込められる人達と、そこで怒る奇妙な殺人事件。「館」ものであるが故にあるあるな流れかと思ったが、「探偵」と「元探偵」がこの閉ざされた空間に揃い、過去と現在が絡まりあって展開されていくストーリーは面白くて一気読みをしてしまった。ただところどころ荒というか、読んでてモヤモヤの残るところがあるのが残念(シリアルキラーと因縁の深い元探偵が、保険会社の職員と顧客として出会うとかアリかな〜…)
お気に入りキャラは、美登里ちゃん。嫌な予感はしてたけど、生きててほしかったなあ
Posted by ブクログ
京大ミス研出身作家に対抗するかのような東大ミス研出身の若手作家。館四重奏シリーズの第1作とのこと。本当に対抗してるね。こういう話に挑戦して、それなりにものにしてるのが凄い。次作も読みます
Posted by ブクログ
ワトソン役の主人公
嘘をついてる人がわかってしまう頭のキレる友達
主人公が幼少期に世話になった超天才名探偵(女性)
落雷で山火事に遭遇、逃げ込んだ山奥の館に避難するがそこで殺人事件が発生
殺人事件を解くか
それとも近くにいるのであろう加害者と共に山火事から脱出するのか
はあああああああああ
設定だけでヨダレですよ
文章力が素晴らしすぎて439ページ一気です
知能レベルの配置も素晴らしくて読者はおそらく主人公と同じ速度で話を追える
そこがまたたまらないです
4部作の1つ目!
金田一の少年かよ!的ギミックも最高!!
Posted by ブクログ
名探偵に館の本格ミステリと来たら、面白くないはずがない。
迫ってくる火の手により、その館が焼失するまでの時間が明記され、手に汗握る展開だった。
阿津川辰海の館四重奏、これから高校生探偵の葛城とその助手田所の成長にも期待したい。
Posted by ブクログ
山火事が迫る館での脱出ミステリー。ひと癖もふた癖もある人物たち。それぞれの秘密が絡み合い、読むうちにサラリ、またサラリと解かれていく。館ミステリーらしい仕掛けもあり、謎解きとしても楽しめました。
それ以上に、最後まで繰り広げられる探偵達の生き方と苦悩。なかなか新鮮でした。
新しい探偵に出会えて、彼らが気になるので次も読みたいと思います!
Posted by ブクログ
よし、これはシリーズ読破だ!と久しぶりに思いました…!
最近のミステリらしく、単なる館モノではない。
葛城と田所が山火事から逃げ込んだ先は有名な文豪の館、落日館。そこで起こる殺人事件と、元探偵。気弱な男と男前な女性。
ワトスン役の主人公田所と彼の名探偵葛城は、山火事・殺人事件・過去の連続殺人事件と元探偵の謎を解決できるのか…という時間制限アリの館モノ。
山火事は最近よくニュースになっていたので本当に怖い……。
舞台がからくり屋敷なので、なんとなく綾辻行人さんを想起しました。トンデモな感じも。
気になったのは、この作品で繰り返し出てくる【探偵とは何なのか】という問い。
また、【ワトスンを失った探偵はどうなるのか】についても問いを投げかけているように思う。
そして探偵が謎を解くことで傷つくこともあるし、閉鎖空間では不利な立場になることもある。
探偵ってのは大変だ。
シリーズ通してのテーマなのかな?
コナン君も【推理で人が死ぬのは殺人と変わんねーよ(でしたか?)】と言ってましたね。
この主人公たちはまだ高校生。
答えを見つけているところなのだなあ〜
トリックについては論理的な説明でよかった。
次も読みます!
Posted by ブクログ
《館四重奏シリーズ》第1作。嘘がつけず惚れっぽい少年・田所くんと、ひとの嘘を見抜く達人である名探偵・葛城くんのコンビが活躍するミステリ小説。
読み終わった印象として、著者紹介で表されている「緻密な論理のアクロバット」という評がしっくりきた。
館ものらしい大仕掛けもあるけれど、基本は小さな気づきの積み重ねで謎を説いていき、気づいた頃には読者が想定していた筋書きや設定とは全く違うところに辿り着いている、という作品だったと思う。
登場人物たちの素性が二転三転する展開も面白かったけれど、一番の見せ場は葛城くんと、元名探偵・飛鳥井による「探偵」という「生き方」についての議論。
探偵の独善を巡る議論としては、たとえば法月綸太郎の『密閉教室』を思い出すけれど、あれほどの容赦なさやどぎつさはなく、むしろ青春ものとして前向きな、成長の物語につながっていきそうな苦みを感じさせた。
続刊もまた読んでみたい。
匿名
登場人物はラノベっぽい
謎解きの手順には若干気になる点がなくもないものの、それを重大な瑕疵とまでは言い切れず——むしろ視点を変えれば、巧みな計算のうちとも取れるほどです。そして、謎解きを経た結末は、まるで作者自身が“名探偵”という存在に挑戦しているかのような印象を受けます。
Posted by ブクログ
○ 総合評価 ★★★★☆
〇 サプライズ ★★★☆☆
〇 熱中度 ★★★★☆
〇 インパクト ★★★★☆
〇 キャラクター ★★★★☆
〇 読後感 ★★☆☆☆
「屍人荘の殺人」と同じように,極限状況のクローズドサークルで殺人事件が起こる。「屍人荘の殺人」では,その極限状況がどのような状況なのか,という部分が伏せられている。この作品は,極限状況がどのような状況か,という点は隠されていない(裏表紙の解説にも書かれている。)。その極限状況とは山火事。落雷により生じた山火事のせいで,あと35時間で館が焼損するというような極限状態で殺人事件が起こる。
探偵役とワトソン役は高校生の葛城輝義と田所。葛城は人の嘘に敏感であり,嘘をついている人間がいるとその嘘をロジックで暴く。探偵役としてもう一人,既に引退した元探偵として飛鳥井光流が登場する。飛鳥井は,十年前に自身が関わった事件に巻き込まれ,ワトソン役だった甘崎美登里が殺され,探偵であることを辞めている。
メインとなる殺人事件は,ミステリ作家,財田雄山の館,落日館で,天利つばさという少女が,落ちている吊り天井に潰された状態の死体として発見されるというもの。飛鳥井は,不幸な事故だったとするが,葛城は殺人事件だと主張する。
メインの殺人はこの殺人1つだけだが,この殺人に,飛鳥井が探偵を辞めるきっかけになった,10年前の殺人事件が関わってくる。葛城は,天利つばさが殺された現場の謎を解き明かす。つばさは落ちてきた吊り天井につぶされたのではなく,上昇する吊り天井に挟まれ死亡していた。吊り天井の上には空間があり,その空間には稀覯本と10年前の殺人事件の際に失われた水彩画が残されていた。すなわち,飛鳥井が探偵を辞めるきっかけとなった事件の真犯人=爪とこの事件でつばさを殺害した犯人は同一人物であることが示唆されていたのだ。
極限状態である山火事から無事に脱出するために,謎解きをするべきではない。協力するべきだと主張する飛鳥井に対し,葛城は館と館にいる全ての人物の謎を暴くという。
飛鳥井は館にいる人物の嘘を暴く。最初に暴いたのは館の住人である貴之,文男,そして殺害されたつばさが財田雄山の子どもや孫ではなく,詐欺師だという嘘
次に暴いた嘘は久我島が妻を殺害していたという真相
その次には,同じタイミングで落日館に来た小出が本物の貴之に雇われた盗賊であるという事実
そして,つばさの部屋から隠し通路を発見する。小出の獲物である金庫=未発表の財田の原稿を盗んだのは本物の貴之だった。
飛鳥井は,爪の正体である久我島を,隠し通路の出口で,久我島の手を掴まないという方法で落とし殺害する。飛鳥井はつばさの殺害現場を見て,久我島が爪であることに気付き,殺害現場から爪を思わせる装飾を全て隠蔽し,事故に見えるように偽装した。
エピローグは飛鳥井と葛城,田所との対話。葛城は真相を多い隠して,謎を解くことから背を向けたことで,隠し通路を見付けるまでの時間を稼いだという飛鳥井のやり方に納得ができない。飛鳥井は葛城に厳しい言葉を投げかける。「名探偵っていいご身分ですこと。自分の納得のために世間を振り回すことができる。」,そもそもつばさが死ぬきっかけを作ったのは葛城の存在であることを示唆する。「君のことは見ていられなかった。全てを解くために,全てを壊そうとしていた。」。最後に葛城は「それでも僕は-謎を解くことしか出来ないんです。」と悲鳴のように飛鳥井の背中に言葉をかける。
この作品は本格ミステリ好きのミステリオタクに向けられた作品である。屍人荘の殺人が特殊な設定でありながら,一般読者向けのエンターテイメントに満ちた作品ったのに対し,この作品は探偵とは何か,名探偵の存在は何かという,おおよそミステリオタクにしか興味がない部分をラストで掘り下げている。
作品としては,貴之達,落日館にいた人物が詐欺師の集団だったことなど,登場人物全員が嘘をついているという展開にそれなりのサプライズがある。もっとも,爪が久我島であるという真相や,小出が盗賊であったという真相,外部から本物の貴之が侵入しているという展開など,それほどの意外性を感じさせない部分もある。
何より,久我島が爪だったことが偶然であるというご都合主義がやや興ざめ。飛鳥井が久我島に出会っていたのは偶然だったというところは,飛鳥井が久我島が爪だと疑って近づいたというような感じにしておいた方がよかったようにも感じる。
ラストの名探偵論も含めて,全体的に盛り込み過ぎ,練り込み不足という感じがある。緊迫感とサプライズ,ロジックなど本格ミステリ好きを喜ばせる要素は豊富だけに,もう少し余計な部分をはぶき,エンターテイメントとして面白い作品に仕上げれば傑作となっていたかも。惜しい。十分面白い作品だが,不満な点もあるので,★4で。
Posted by ブクログ
小出というイケメン(?)女子がよかった。
蒼海館→紅蓮館の順で読んでしまったけど個人的にはこれでよかったなって。
ストーリーやトリックが刺さった!ではないけど、シリーズものに手を出してしまったので黄土館をよむ。
Posted by ブクログ
館モノの殺人ミステリー。
高校生の探偵&助手が山火事に巻き込まれ、山中の館に一時避難を求めた。館に住む一家の他、別の避難者たちとともに不安の一夜を過ごした翌朝、邸内で変死体が発見された。事故なのか殺人なのか?殺人ならば犯人は一体誰なのか?刻一刻と山火事の炎が迫るなかで彼らを待ち受ける運命とは?
「探偵の資質・本分とは?」がテーマになっていて、真っ直ぐに真実を解き明かそうとする高校生探偵と、全体俯瞰した中での真実の位置づけを探ろうとする成人探偵の対比が面白いです。
サブキャラもなかなかの曲者ぞろい。
複雑なトリックで楽しませるというよりも、細かな観察事実を積み上げて真実に近づいていく推理展開で、個人的には好みです。
大筋は上手くできていると思いましたが、部分的な論理矛盾が目に付いたのだけは残念でした。贅沢を言っていると自覚しつつも、推敲・編集時にもう少し詰めきって欲しかった。
Posted by ブクログ
謎解きのための舞台設定と芝居がかった探偵役とその引き立て役、何故かこの場面に集まってくる脇役たちと、トリックありきの推理小説の舞台は整った。密室になる館に偶然起こった山火事が迫るという大掛かりな仕掛けで盛り上げていくのは王道の推理小説かもしれないし、数々の名作もそういうところはあったと思うが、出てくる人達の心理的なやり取り、葛藤、策略や仕掛けの裏に潜む人間らしい気持ちみたいなところの描かれ方を楽しみたい自分には中盤ですでに疲れていた。
てんこ盛りすぎる小説はダメと思いたくなる自分的好みではちょっと残念。高校生の2人と共に館からの脱出方法を見つけ出していく人たちは結構好きかもしれないけどなぁ。エンディングもいいんだがエピローグでさらにダメ押しとは濃い味付けすぎるミステリーでした。
Posted by ブクログ
人の嘘が分かる高校生探偵葛城と、その助手役である主人公田所の王道館ミステリ
である事は間違いないんだけどかなり登場人物の葛藤や自意識に重きが置かれている印象。
失われたものを憂う大人と、青春を駆け抜ける高校生達の対比が残酷。
登場人物の中では圧倒的に小出さんが好きです。次回作以降絶対また出てきてくれるよね?
トリックが少し想像しづらかったけど図でちゃんと説明してくれたし見取り図もあるので最終的には問題なかった。
キャラ描写と推理描写、トリックの面白さの塩梅が絶妙。
Posted by ブクログ
ストーリーやミステリー要素は面白いけど、主要登場人物のキャラクターがいまいち掴めなかった。
シリーズものなので今後このコンビが深掘りされたり魅力的になっていくなら読んでいきたい!!
「午後のチャイムが鳴るまでは」が好きだったので期待してます!
Posted by ブクログ
山火事と殺人事件が同時進行するうえ、過去の事件まで絡んできて、さらに集まった人間が全員それぞれの秘密を抱えているというハチャメチャな状況。
探偵役が、論理的に謎を解いていき、その手がかりは読者にも提示されていたとわかる瞬間は爽快感がある。
一方で事件にしろ登場人物の来歴にしろ、謎を解かなければならない箇所が多すぎ、読んてでいて消化不良になりかける。また探偵役が2人も出てきて「探偵の生き方とは…」を議論し始めてしまうのは好みが分かれるだろう。
Posted by ブクログ
以前から気になっていた阿津川さんの館シリーズにようやくチャレンジ。
それなりのページ数でしたが、割とテンポよく読み終わり。
内容としては、某館シリーズの影響を受けたというか、堂々とチャレンジしてる感じなのかな。いわゆる館でのクローズド殺人事件を若い探偵が解いていく系。
ミステリとしては、割と不確定要素が多いかなーという、印象。そもそもの偶然起きた山火事の時に、「昔の仇に出会った」「妻を殺した」「詐欺で侵入」「盗みに入ろうとした」「憧れの作家に会いにきた」が同時に起きてるのはとんでもない確率!!
犯人のトリックは特になく、言葉や行動・わずかなヒントから論理的に推理していくのは、納得感はあったけども。
まだ、完結はしてないみたいだけど続編をまた読んでみようかな。
Posted by ブクログ
クローズドサークルもの&探偵ものが好きな人におすすめ。時間制限ありの緊迫感があって一気に読めた。話や伏線など本格ミステリーな点はすごくよかった。
ただキャラクター達にリアリティがなくて舞台みてるみたいなのが個人的にひっかかった。殺人犯に詐欺師に盗賊に探偵×2人に…がほんとうに偶然集まってたのがえ?って思ってしまった。(特に飛鳥井さんと殺人犯は意味があると思って読んでた)
葛城くんの情緒が不安定だったり、田所くんもキャラクターとしてあんまり魅力を感じなかった。 せっかく劇画ちっくならキャラクターの魅力がもっとたつといいなぁと思う。
Posted by ブクログ
コテコテの新本格ミステリ。くどいくらいに探偵の矜持が語られるが、若き少年たちの青さと思えば受け入れられるかもしれない。
謎解きは面白かった。小出が好きだった。
Posted by ブクログ
サスペンス系ミステリーとしては面白かった
WhoとWhyのところでもう捻り欲しいところだった。嘘が見抜けるとか、隠し通路から外部犯の侵入とか、あまり本格っぽくない要素も作品に活かされてるとは思わなかった。登場人物もあまり魅力を感じない。
あとクローズドサークルの緊張感も欲しい、一つの殺人が起きた後、次の事件が起こる気がしなくてハラハラしない。
Posted by ブクログ
蒼海館が色々なところでお勧めされていたため、蒼海館、黄土館を読んでから読みました。
蒼海館はとても良かったので、こちらは前日譚としてさらっと読むくらいで良い気がします。
Posted by ブクログ
事件は解決しますがスッキリしない。後味が悪い、とまではいかないけど苦かった。田所も葛城も冒頭のウキウキから一転して失意に沈んでいくのが予想外の展開だった。
「新本格」ブームを思い出した。
2022年4月読了。
ココのレビューを書いている皆さんは、かなりお若い方々なんでしょうね。中盤から終盤にかけての、探偵と元(?)探偵のやり取りを読んでいて、若干気恥ずかしい様な、ムズムズする感覚を憶えたのですが、皆さんのレビューを読んでいて色々と思い出しました。
20年程昔に成りますが、島田荘司先生が音頭を取って、講談社と仕掛けて大成功を納めた「新本格」ブームと云う事象が有りました。
その中でも、内省的な作風で他者とは明瞭に異なっていた「法月綸太郎」先生の著作を思い出したからです。
『名探偵は「推理マシーン」で良いのか?!』と云う、フィクション(虚構)の中なのに、「真実を導き出す事」の本質論に悩む探偵を描き出し、
「エラくめんどくさい事に悩む探偵さんだなぁ~」と思って読んでいました。
「読者を差し置いて、本の中の探偵が先に本質論を語っちゃ野暮でしょうよw」等と一人前のクチを利きつつも、熱心に読んでいたのですから、まだまだ自分も若かったんだなぁと思った次第です。若い方には新鮮に映りますよね。
さて本作、根本的なトリックやロジックはしっかりしていますので、問題無く楽しめましたが、読者がトリックを探そうとする前から、探偵役が(上記について)悩む場面を書いてしまうと、「事件の真相などどうでもいい事だ」と言っている様に見えてしまいます。
「A⇒B⇒C⇒真相」と、レール式に当たり前の様にサラッと真相が分かってしまう「推理小説」ばかりで良いのか?! と云う作者の意気込みは買いますが、法月先生もこのやり方でその後悩んでおられましたし、オッサン読者としても「苦悩や理屈はいいから、早く話を進めなさいよ」と感じたのは、年齢のせいだけでは無いとも思いましたので、ちょっと厳しい判定です。
興味の有る若い方は、法月先生の諸作を読んで見ることをお奨めします。
匿名
ミステリは普段あまり読まないが、非常に読みやすい文章で物語が進められていた。他の館モノを読んだことが無いためわからないのだが、仕掛けはわかりづらかったと思う。
あくまで初心者の感想
推理もの初読みでした。
作者はあえて描写を省くことで謎を作っていたので、タネ明かしされたときは驚きましたが、同時に初めから読書に謎を解かせるつもりはなかったのだなと思い、不満にも感じました。
それより気になったのは女性キャラです。
男性が書く女性キャラが「~だわ」とか「~よ」とかは、こんな女性は現実にいないよと思いつつもそんなものだと割りきれますが、女性が乱暴な言葉を使うのは違和感が強すぎました。
こんな女性、まず現実にいませんよね。それがフィクションの醍醐味では?と言われたらそれまでですが、フィクションが過剰で話に入れないなら本末転倒だと思います。
すでに人気の作家さんのようなのでどうでもいいのかもしれませんが、女性ファンを得たいなら女性キャラを見直したほうがいいと思います。
あと最終的にこの小説でなにが言いたいのかわかりませんでした。
ただの推理ものならそれでも気になりませんけど、ああいう終わりにするなら作者の言いたいことを明確にしないと消化不良だと思います。
そういう部分で個人的に星1なんですけど、推理ものということで星上げました。