あらすじ
30年前の国民的刑事ドラマ『左右田警部補』。最終回目前に、主演俳優・雪宗衛が妻殺しの容疑で逮捕され、打ち切りとなる。「日本で最も有名な刑事」の逮捕劇に日本中が熱狂する中、雪宗は緊急記者会見を開き、役柄さながらに真犯人の正体を暴く“推理”を披露する。雪宗は無罪を勝ち取るも、世間の目は厳しく疑惑は完全には晴れなかった。時を経て、同様の手口の殺人が確認された今、関係者の時間が再び動き出す──。
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面白かったー。登場人物一人一人の内面や過去をちゃんと書いてくれたおかげで、物語へ上手く入り込めた。
伏線もものすごい量だったけど、全部きちんと回収されてて大満足。
哀しい話だったし、ゾッとする部分もあったけれど、きちんとピースがはまったラストは読んでいて気持ちが良い。
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これは多分普段なら面白いけど、いろいろミステリとしてはみたいに書くけど、この作品はある意味作中の刑事ドラマのイメージと相まってめっちゃ刺さる作品。
2997冊
今年225冊目
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刑事ドラマの主役が妻の殺人で逮捕されたが、裁判で無罪に。
その殺人と関連するかどうか分からない連続女性殺人事件の犯人が判明したり、長い年月を経て、また女性殺人事件が発生したり、幻の刑事ドラマの最終回の内容に迫ろうとすれば事件に巻き込まれたりと様々な出来事が錯綜する。
登場人物が多くて、混乱してしまったが、話がどのようにまとまるのかドキドキとワクワクだった。
阿津川さん、初読みだと思うけど面白かった。
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妻殺しの容疑で逮捕された俳優雪宗衛。逮捕後に証言を翻し突如として犯人の名前とともに推理を披露する。そして30年後、類似した手口の殺人が起きる・・・逮捕が原因でお蔵入りになった主演ドラマの最終回に謎を解く鍵が?
ミステリではあるんだろうけど、真相を推理してという類のそれではあんまりないかな。推理というよりは「捜査」というのがしっくりくる。いろんな人に聞き込みをしてだんだんと真相が明らかになる。手がかりは最初期に全部提示されてたり、無意味なエピソードみたいなものは基本的に省かれていたり・・みたいなロジカルないわゆる本格とかとはまた違ったものだけどこういうのはこういうので嫌いじゃないです。
ただ、メインの謎というか核として30年前の妻殺しと現在の殺人というのがあると思うんですが、その辺の真相はあんまり・・だったかな。いろいろ話が散漫になってしまっていてちょっと印象がぶれてしまったような。
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刑事ドラマの主役が逮捕されて打ち切りに… エンタメ感覚で楽しめる本格ミステリー #最後のあいさつ
■あらすじ
30年前の刑事ドラマ『左右田警部補』の主役である雪宗衛、彼は自宅で妻を殺害した容疑をかけられ逮捕されてしまった。そのためドラマは打ち切りになってしまうが、その後雪宗衛は無罪を勝ち取ることになる。
再び同様の手口の殺人事件が発生。ノンフィクション作家の風見と友人の小田島は、雪宗衛の真実を追って関係者に取材を開始する。雪宗衛は妻の殺害に関与しているのか、現在の事件との関わりは…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろいっ!
やっぱり阿津川辰海先生は現代の本格ミステリーを書かせたら国内トップレベルですね~ 同じ本格ミステリーでも毎回いろんなことに挑戦していてスゴイですよ。
今回はテレビの刑事ドラマを背景に、現実に起こった事件(過去&現在)を組み合わせたミステリー。ストーリー展開は作家の取材という視点で行われ、ドラマ打切りの真相と事件の謎に迫っていきます。
まず興味深いのは刑事ドラマやミステリーのうんちくですね。よくもまぁ色々ご存知だし、調べ上げましたよね。様々な日本の刑事ドラマをオマージュにしていて、聞いたことのあるタイトルや作品内容が語られる。
その他事件史やミステリー小説の情報も散りばめられ、読んでるとミステリーオタク脳になってくるんすよね。もちろんファンとしては楽しいばかりでニヤニヤがとまりません。
そして主人公のノンフィクション作家風見の取材シーンが読み手を惹きつけるんすよね~。かつてのドラマ関係者や役者に対して聞き取りをしていくんですが、これが読ませる読ませる。
何気ない会話を聞いてるうちに、少しずつ視野が広がってくる感覚が私立探偵小説を読んでいるようで好きすぎる。さらに作家目線の拘りや懊悩も挟まれ、ちゃんと人間身も感じられるところがいいですね。
一番の読みどころは、やっぱり謎解きですね。役者の雪宗衛の謎、ドラマラスト改変の真相、過去と現在の事件、これらが複雑に絡み合っている。
最重要課題は「雪宗衛」に違いない! と思ってるんですが、全然わかんねーんだよなー。ところがあるひとつの事実から、するするっと謎が溶解していく様はお見事と言うしかない。
一番唸ったのは首がきられていた理由ですね。このパターン、ミステリーでは良くある理由なんですけど、毎度毎度気づかないんだよな~。クヤシイ。
お腹いっぱい本格ミステリーを楽しませていただきました。もしこの作品がテレビドラマ化されたら、それこそ入れ子構造になって面白さ倍増だと思うんすよね。本作の装画はどう見ても『相棒』ですし、テレビ朝日さんで映像化してくれないかしら。
■ぜっさん推しポイント
本作は事件がいくつも絡み合って複雑だったりもするんですが、展開や細かいプロット自体は分かりやすいんです。まさにテレビドラマをみるように、エンタメ感覚で楽しんでもらえるのがいいですよね。
もちろん謎解きも重厚感がありますし、ミステリーファンとしての読み応えも十分でした!
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読んでいる間中、ずっと相棒と古畑任三郎がチラチラ思い浮かぶ…のが、嫌な人には耐えられないかも
奇抜なトリックもなく、結局はヒト、みたいな動機が相棒や古畑に通ずるところがあって、何やらドラマ的だった
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30年前の国民的刑事ドラマ『左右田警部補』の最終回目前に主演俳優の雪宗衛が妻殺しの容疑で逮捕され、打ち切りとなる。
雪宗は、役柄さながらに真犯人の正体を暴く推理を披露して、無罪を勝ち取るが、時を経て同様の手口の殺人が確認され、当時の関係者が再び…
謎が多い雪宗衛を知り本を書くために作家の風見が、友人の小田島の協力の元、動き出す。
トリックもありながら最後にはきっちりと伏線回収するまでとても楽しめたが、雪宗衛の人柄に好感を持てなかった。
もう少し惹きつけられるものがあったら…と。
読み始めからあるTVドラマが思い浮かび、勝手に想像していたが、主要参考文献を見てやはりと思うところもあり…だからこそもう少し癖強い登場人物だとよかったと思う。
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装画の2人は左右田、夕桐?風見、小田島?雪宗の場面場面の心理描写が多才で凡人には理解出来ませんでしたが引き込まれ最後まで夢中になりました。古畑シリーズもこんな感じだったのかなと故田村正和さんを偲びました。これも実写化して欲しいけど雪宗さんは誰が演じるのでしょう?なるほど色んな人の感想読むと水谷豊さんか!納得!奥さんもあの人か!ふむふむ、民放は低迷してるのでネトフリでやるのかなぁ?
そして欲を言えば遠野シアタールームの見取り図も欲しかった〜。阿津川先生の館四重奏シリーズの4弾目も早く出るのを期待してます。
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最後のあいさつ
阿津川辰海の長編ミステリー。
彼の作品は余す事なくオリジナリティに溢れていて殆どの作品を読破しているが、今回も巧妙だった。
単純に殺人事件に対して犯人は誰か、動機は何かという事を超越し、一人の仕事人の狂気に飲み込まれた瞬間を描いている。
モデルは某有名刑事ドラマだろうと推察でき(巻末の出典にも情報がある)個性的な名刑事を演じる俳優が筆者にはどこか恐ろしく映っていたのだろう。この様な設定に飛躍する感覚が恐ろしい。
作中、様々な人物が登場するが、残念ながら人物描写はあまり上手ではない。背景的なものが見え難く、風見や小田島の心象もあまり見えなかった。特に風見に対しては物語中盤以降、取材を通じ彼を取り巻く環境は大きく変化しているにも関わらず、心の葛藤や苦悩が読み取ることができなかった。当然、彼自身は、様々な苦悩を抱えていたのだろうが、それを読み取ることが難しく、彼自身に深みを出すことができなかったと言える。
物語の解決に至っては、きちんとすべての事件が解決し、真相が明らかにされるが、この作品の根本はここではない。論点のすり替えということではないだろうか、阿津川辰海の得意な描写の一つで、事件が解決したと思った矢先、全く違った結末が顔を出すと言う作品がいくつかある。この作品は一定のリズムで展開が進んでいき、淡々と事件解決するが、その一方で、平行に何かどんよりとした、薄暗い雰囲気が付きまとっていたのだが、その原因についてもきちんと解決を見ている。作品冒頭から終盤にかけてはどのような結末になるのかととても興味深く読み進めることができ、実際の結末にも納得し、作品の結びについても納得のいくものである。
この作品は、作家や俳優、テレビマンなど様々な人たちの生き様を少し穿った見方で捉えている。
大人は何かしらに取り憑かれているし、一つの道を極めるとはそういう事なのだと思うが、その中で道を踏み外してしまうと、このような結末が待っていると言うとても恐ろしい作品だった。
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作家の風見が次作の題材に選んだのは30年前、人気刑事ドラマのシーズン7最終話目前で起きたスキャンダルだった。
なんと主演俳優が妻の殺害容疑で捕まり、その後の記者会見で"真犯人"を指摘してみせたのだ。その一連の事柄をネタとするため、風見は相棒とともに取材をはじめる─
というミステリ。おもしろかった!
"殺人"にまつわるトリック、ロジック自体はわりと普通の範囲なんだけど、物語自体を読ませるパワーがすごくあった。キャラも魅力的で、人物を描写するための小さなエピソードに良いものがいくつもあった。
また詳しくは触れないが「風見」について、最後まで明かされない、物語とは関係ないというのがよかった。あれこれ探らない、"煽るべき秘密"にしない描きかたが現代的でした。誤読でなければ、だけど。
阿津川辰海はだいたい読んでるけどこれは特に良かったです。
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最後までスラスラ読めたけど、読後感はイマイチ。雪宗衛のことを外堀から埋めていく構成は面白かったけれど、結局彼の心境は現実離れしすぎている感じがした。
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30年前の事件と同様の手口の殺人が起こった理由が、なんともひどい。
雪宗衛は真犯人なのか、彼の行動の理由は何なのか。
ラストの情景にはゾッとさせられる。
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名探偵(古畑任三郎のイメージ)を演じた老役者の周囲で起こった過去の殺人事件、そして現代に再び蘇ったように見える殺人事件を取材する同級生とそれをもとに執筆する主人公の作家。暴かれるのは悲しい過去だったりするが、最後の労役者の行動は役者というものに憑りつかれたものだなあと思った。
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途中誰が誰かわからない事もあり苦労しました。相関図を作った方が良かったかも。二転三転する展開もテンポも悪くはないのですが、一貫して平坦だったように感じてしまいました。
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謎解きトリックそのものより、構成が凝っていて、なかなか読み応えはあった。犯人は何となく分かったが、ミスリードでしてやられた感が強い。ドラマの主役の雪宗衛のキャラは無理して作ったかの様で唯一嫌だった。
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SL 2025.10.12-2025.10.16
自分が演じた「左右田警部補」というキャラクターに取り憑かれた役者。雪宗衛自身のイメージが掴みにくかったのは、左右田警部補を演じ続けることが人生になってしまったせいかな。
阿津川さんの他の作品と比べると重厚だった。
モデルとなった刑事ドラマを一度も見たことがないのはよかったのか悪かったのか。
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いいんだけど、キャラがなかなか入ってこない。ストーリーとしては面白い。テレビドラマの俳優を思い描きながら、楽しく読める。
ちょっと回りくどい点が気にかかる面はあるが、新しい作家としてフォローしていきたい。
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はじめて読んだ作家さん。
大人気刑事ドラマの主役が最終回前に妻を殺害?
なんだかなかなかそそるあらすじだったので読んでみた。
「相棒」を思わせるドラマの構成。
あまり話に深みを感じられなくて、ちょっと不完全燃焼。
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30年前の国民的刑事ドラマ『左右田警部補』。最終回目前に、主演俳優・雪宗衛が妻殺しで逮捕され、打ち切りとなる。雪宗は無罪を勝ち取るも世間の目は厳しく疑惑は完全に晴れなかった。時を経て、同様の手口の殺人が起き、関係者の時間が再び動き出す。
阿津川さんのミステリーが好きで手に取りました。
今作は過去の事件と現在起きた事件に大きく関わる雪宗衛という人物が、白なのか黒なのか追っていくストーリーですが、中盤までスローペースで進む印象でした。ある人物が被害に遭ってから物語が動き出し、そこからは面白かった!某有名な刑事ドラマがモデルなんでしょうね。阿津川さんの作品はこれからも追っていきたいです。
Posted by ブクログ
長編ミステリーを読みたくて手に取ったものの、予想外に重く、ボリューミーで疲れた。
推理力がない一読者としては、最後まで疑惑の俳優は白か黒かとの謎を楽しめた。