芦沢央のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
芦沢央さんの作品は何冊か読んでいて新しく文庫化されていたので手に取りました。
主人公は小学生の僕。
「知ってる?川上さん、父親に殺されたらしいよ」
僕の小学校で広まった噂。川上さんは虐待を受けていた。転校してしまった彼女は死んでしまった。
しかも彼女の怨念が図書室の「呪いの本」にこめられたという怪談にまで発展する。
僕やクラスメイトが「神様」と尊敬する水谷くんと一緒に噂の真相と呪いの正体に迫る。
小学生の目線で進む物語は読みやすくて僕と水谷くんのやりとりが面白い。連作短編集で日常で起きる小さな謎から川上さんの噂まで少し重い内容もあります。
僕や水谷くんのような小学生が今現実にもいるのかなと思 -
Posted by ブクログ
初読みの作者さん。こちらもフォローしている方のレビューに惹かれて読んでみた。
様々な年代・立場の女性たちの「友情」をテーマにした5つのお話。
だけども、残念、私にはほとんどピンと来なかった。
■届かない招待状
親友の彩音から、その結婚式の招待状が届かない恵。
恵がああした行動を取ったので佳い話風になったが、そうでなければこの後ふたりの間はどうなったんだろうと思う。
■帰らない理由
亡き同級生の遺した日記を挟んで対峙する、その元カレと元親友。
二人のにらみ合いよりも、亡くなった子の母親の奇矯さのほうが気になる。
■答えない子ども
娘が描いた絵を一つひとつ写真に撮って残そうとする夏香と大雑把 -
Posted by ブクログ
芦沢央さん初読みの『僕の神さま』の概要と感想になります。
概要です。
小学五年の僕は「神さま」と一緒に学校生活を送っている。何でも謎を解いてしまう神さまのような存在、そう水谷くんだ。
水谷くんと僕が遭遇した謎に、水谷くんは鼻の下を擦りながら冷静に情報を分析して明快に解く姿は、僕にとって名探偵より神さまと思える神々しさがあった。そうだ、水谷くんは神さまなんだ。そうでなくてはならないんだ…。
感想です。
芦沢央さん作品はネットや書評動画で見聞きする限り、イヤミス系が多いのかなと思っていましたが、本作は日常の謎を解いていく連作短編集で読みやすかった印象を持ちました。ゾワッとするホラーミステリでは -
Posted by ブクログ
シンプルなミステリー。
芦沢央さんは久しぶりに読んだけど、人間の醜くてしょうもない部分が何の救いもなく淡々と書かれていて好み!
解説の後半がよかった!
最後の話は、主人公に決定的な非がないのに理不尽すぎないかと苦々しい思いをしながら読んでいたけど、解説を読んで胸にストンと落ちるものがあった。
以下、解説から
不正を働くことは「わからないでもなかった」し、喉元を過ぎればそれすら「忘れたのではないか」。さりげない表現だ。さりげなさ過ぎて、とても怖い。生身の人間のいびつさ、不完全さへの鋭い理解と諦念、そして諦念から来る受容がある。
生きている間に、ほんのわずかな不運で、油断で、過ちで、傲慢で、 -
Posted by ブクログ
そうきましたか、という感じでバックステージ。
ばらばらとした風景を繋げていく上手さは、いつも通り。
登場人物達が、今の現状に葛藤を抱えているのもいつも通り。
でも、今作は、なんだかハッピーエンド。
序章で、パワハラ上司の不正の証拠を探し始めた先輩後輩コンビ。中野の劇場に入り込むことになるが、そこでは、若手俳優に脅迫状が届いており、高齢女優の認知症が、公になりそうになる。
パワハラ上司は、劇場でトラブルを起こしている。
バックステージでは、登場人物達の思惑と混乱で満ちている。
そして、みーんな大丈夫。上手くいった。
芦沢さんには、珍しい小説でした。