星新一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白すぎる。やはりこれが1番お気に入りの本だ。何度でも読みたくなる。星新一さんの書く話はどれも現実味のあるファンタジーという感じで引き込まれる。何故コンピューターなんてさほど普及しておらず人工知能も無かった時代にここまで現実味を帯びた近未来的な話を書けるのか。星新一さん恐るべし。ページを進めていく途中で何度もあっと驚かされる。この本は短編集ではないが、短編集みたいででもしっかり長編だという不思議な本だ。各章は独立した別の主人公の話だが、「電話」という存在で全て繋がっているというところが実に面白い。12章が12ヶ月と12階にそれぞれ対応しているのが粋でとても好きだ。各章の話を通して徐々に電話相手の正体が分かっていくからワクワクが止まらない。しかも情報を小出しにしていくのが上手すぎる。最初の方は不可解な謎が多くて最高に気味悪くてハラハラするが、後になるほど、そういうことかーっ!!と納得感と感服の念とが心の底から押し寄せてきて、読んでいて楽しい。というか、終始感嘆していた。特に、8章で相手の真相にかなり触れるところとせっかくのその記憶が消されてしまうところは興奮が抑えきれない!!7章で人の本性に気付く場面はこちらにも気付きがあったし、電話の声を盗み聞きする場面もハラハラして好きだ。この物語のメインが電話になったのは星新一さんの行きていた時代的にそうなっただけだと思うが、これがまた良い味を出していると思う。固定電話だと誰からかかってきたかが分からないから恐怖が増して良い。また声だけしか伝わらないというところも謎めいた感じがあって高評価だ。これがもしメールやビデオ通話だったら興醒めだったと思う。この物語で視覚情報は無駄だ。
この本では興味深い議題が何個も出てきて、少し本をめくる手を止めてそれについて考えるだけでも楽しかった。「秘密」「人工知能」「情報がエネルギー」「無の支配」「神」
この世界は秘密が守られているから成り立っているんだと思った。秘密にこんなにも大きな力があるなんて考えたことが無かった。
僕がこの本を初めて読むまで、人工知能というもの大きな恐怖と不安があった。人間をいつか支配し排除するのだろうと。でもこの話を最後まで読んでその気持ちがスッと消えた。そして、もしかしたら杞憂かもしれないのにただ恐れているだけって無駄だなと思うようになった。
最後の場面は考えさせられた。もしかしたら人々は神に操られているかもしれないが自分たちは気付いておらず幸せならそれの何が悪いんだと聞かれたら確かに何も問題は無いのかもしれない。神になるまでの過程では恐怖で支配したり乱暴が過ぎてこれは良くないと思えたが、今はみんなそのときのことは忘れて平穏に暮らせていてそれがこれから永遠に続くのだからぐうの音も出ない。(でも人の性格を無理やり変えたのは良くないと思う)
何はともあれ、またこの本の内容を忘れた頃に再度読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大好きな作家の長編!短編が多い作者なので新鮮な気持ちで読んだ。
一つの話にいくつもの見事な伏線と構成を仕掛ける作者が長編でもその見事な手腕を発揮しているが、これだけ長いと読んでいるだけでも大変だ。あっ!これはこのことか!これはこれとの対比か!と発見の連続で脳が疲れる。しかし本当に楽しい読書だ。仏像と株券の二転三転する真偽と移動していくお金…読んでいて目が回りそうになるほどによく練られている。長編でも物語の構築力が素晴らしい。さらに繰り返し出てくる気になる要素も全て回収されている。とくに黒幕だった三人の関係も面白く、ここからもまた何か生まれそうだ。気まぐれが重なり思いもよらない結果になる作品…といえば簡単だが、ここまで圧倒される作品とは思いもよらなかった。長い長編小説の一文字一文字が計算されつくされた一種の芸術といえよう。全ての文に意味があるとすらいえるし、それを理解しようとするだけでも脳が沸騰しそうだ。
またほとんどの人が互いに知能と教養と余裕がある意味呑気な人々であり、なのでなんというかトンチンカンな会話になって面白い。そしてその呑気さすら重要なポイントになるのだ。少し人々の喧騒から離れた人たち、時間のあまり、あくせくから離れた、そんな人たちの気まぐれで動き出す物語。達観しているようで俗っぽい部分も親近感だ。
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Posted by ブクログ
解説に1970年に書かれた本だと記されている。驚くほどの正確さで背筋が寒くなる。おそらく人の営みとその要望に対する深い洞察が為せる技(欲しい物は可能である限り、そのうちにつくられるから)。最近流行りのchatGPTと音声認識を使えば、ほとんどそっくりなことができる。
ただ一つないのは秘密を保持する情報銀行だけ。プライベートな情報の保存という意味ではdropbox辺りが、プラットフォームという意味ではGAFAM辺りが一番近いだろうが、人々のセキュリティへの関心も相応に高まっていて、この話ほど不用意に秘密を保持させる方法は支持されないように思える。
シンギュラリティが実現されていそうな、10年後に読んだら感想がどう変わるか知りたい本。