星新一のレビュー一覧

  • 盗賊会社

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    1話6ページとかの短編集なので、サクッと隙間時間に読むのにピッタリだと思う。発想が面白過ぎる。現実離れしている設定と人間臭さが良い感じに絡まってスっと入ってくる。

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    2025年12月23日
  • さあ、気ちがいになりなさい

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    正気と狂気をテーマに選ばれた作品集。いくつかは前に読んだ「真っ白な嘘」に収録されたものもあったけど、今作は全編ショートショートの神様星新一訳ということもあってか、癖の少ないような、また違った読み口も感じられて楽しめた。

    「電獣ヴァヴェリ」はこれだけで長編が作れそうだし、なんなら長編で読みたいくらいの話。思ってもみない形で今ある文明が崩壊していく様、その後の余韻を残す文字通り静かなラストは印象的。
    世界を救ったのにある意味報われない可愛らしい「おそるべき坊や」や、メタすぎる「ユーディーの原理」なども面白かったが、白眉は表題作。
    明らかに口に出すのも憚られる不穏なタイトルだけど、設定からのひねりが効きすぎてて、気づいたら自分はどこにいるんだと読み返すような着地点に。タイトルのインパクトから受けた期待通りの内容で、この不穏なタイトルもまた良い味を出している。

    一冊を終えて十分満足だったけど注意しないといけないのは解説。たぶんブラウンを好きすぎるあまりか、掲載作品以外を含むネタバレも。

    なんにせよ、手許に置いてまたそのうち読み返したい本が増えてしまった。

    …まあ良いか。

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    2025年12月11日
  • マイ国家

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    再読。たぶん3回目?
    中学1年生のとき、担任の先生が好きな作家さんとして紹介してくれて、読んでみたらハマったのが最初です。
    一冊の中にいくつも物語があって、驚きと、たまに毒のある感じが新鮮で、当時は星新一ばかり夢中で読み漁りました。
    3回目でもやっぱり楽しめます。

    星新一は私の読書遍歴初期でとても重要な存在だったと思います。
    当時の担任の先生に感謝です。
    今は定年を迎えて非常勤として教壇に立っていると知りましたが、今でも星新一をおすすめしているのでしょうか。
    きっと今の時代でも、星新一がきっかけで読書好きになる子はたくさんいるはずです。

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    2025年12月03日
  • 地球から来た男

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    SF的、未来的な場面設定だけど、今でもあり得るかもしれないシチュエーション。
    全体的に寂しい気持ちが漂う。

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    2025年11月23日
  • きまぐれロボット

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    「星新一作品登場人物索引」という本を読んだので、「きまぐれロボット」の36作品の主人公と登場人物を調べてみた。

    エフ博士、お隣の主人、お隣の女の子
    エム博士、男の強盗
    アール氏、男
    エス氏、悪魔
    男、ネズミ
    男、九官鳥
    エヌ氏、博士、ロボット
    エフ博士、ロボット
    エス博士、アール氏
    ロボット、キル星人

    青年、医者
    エフ博士、お客
    フロル星人
    エヌ氏、友人
    エス氏、友人
    ケイ氏、男
    エス博士、ケイ博士
    老人、ミーラ星人
    エヌ博士、アール氏
    エフ博士、男

    エフ博士、アール氏
    エヌ博士、ロボット、友人
    ケイ氏、友人
    サーカスの団長、男
    アール氏、エイ博士、夫人
    エヌ博士、青年、ロボット
    アール氏、男
    悪人団の首領、子分
    博士、ユキコちゃん
    宇宙基地の隊員

    エス氏、カード星人
    ハナコちゃん、研究所長、ロボット
    悪魔、男、ロボット
    ロボット怪獣、地球人
    五郎くん
    男の子、おかあさん、おとうさん

    こんな登場人物が活躍するショートショート。
    「エヌ氏」は5作品にしか出てこないが、半分くらいに登場するような感じがある。
    「きまぐれロボット」というタイトルの話もあった。
    本書のタイトルどおり、ロボットが登場する話を多く集めている。
    「ロボット」と同じくらい「宇宙人」や「薬を作る博士」が登場する。

    宇宙人とロボットは客観的に物事を見ることができ、地球人ではないということで、人間社会を風刺するのに最適だ。
    薬は人間の欲望をかなえる効果が発揮できるので星新一作品にとって便利なアイテムだ。

    谷川俊太郎さんの解説もよかった。
    私が星新一さんの作品を読んで感じていることを、解かりやすく言語化してくれていた。

    どの作品も子供が読むことを意識して書かれており、5ページ前後の量なので読みやすい。
    まさに、私が持っている星新一のイメージで満載のショートショートだ。

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    2025年10月26日
  • さあ、気ちがいになりなさい

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    意外性と洒脱なオチを追求したフレドリック・ブラウン×ショートショートの神様、星新一という最高コンビによるSF短編集。12編収録。

    最後の最後に想像と違う方向に進む読み心地が癖になる。これは面白い〜!!!

    好きな作品は以下5編。

    緑色がない星へと不時着した男が救助を待つ「みどりの星へ」
    宇宙人に侵略された地球の最後の男が聞くノックの音とは?「ノック」
    人類とは?と思わず考え込む「不死鳥への手紙」
    →

    音は誰も聞いていない時にも存在するか否かを考える「沈黙と叫び」(これは「真っ白な嘘」にも収録されている。
    記憶喪失のふりをしていたはずの男は実は……「さあ、気ちがいになりなさい」

    カラリ、ザラリと渇いた読み心地が気持ちよく、読み始めたら止まらないブラウンの短編集、好きすぎる〜!!

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    2025年10月11日
  • 悪魔のいる天国

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    近い未来ありそうな話や、人間の恐怖を書いた話、実際起こってもおかしくないような話など、好奇心や読みたい欲をくすぐるショートショートが多かった。星新一さんはハズレがない。

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    2025年10月10日
  • さあ、気ちがいになりなさい

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    題名がおもいっきり放送禁止用語なんですが、翻訳者が星新一だなんて絶版にならない欲しい!
    星新一が翻訳したSFに興味をお持ちになりましたら絶版にならないうちに是非お読みください。

    『みどりの星へ』
    5年前に宇宙船の遭難で未開の惑星に不時着したマックガリーは、以前この惑星に不時着したはずの別の宇宙船を探している。その部品でここから脱出するのだ。
    この惑星の動物を相棒に、いや別れた恋人のように連れて話しかける。それがなければ彼は気が狂っていただろう。なんとしても緑の地球に帰るのだ、この惑星にはない緑色に囲まれたい。
    そんな彼の前に、救助の宇宙船が現れ…

    『ぶっそうなやつら』
    異常犯罪者を収容している病院から殺人者が脱走した。たまたま駅の待ち合わせ室で同席したジョーンズ氏とベルフォンテーン氏はお互いに「こいつが脱走した殺人狂に違いない!自分を守らないと!」と、相手に悟られないように武器を隠し持つ。
    と、そこへ本物の殺人者が入ってきたのだ。彼は考える。二人くらいなら殺れる。そして銃を出そうとした時…
    ==
    二人がお互いを疑うあたりは緊迫感も増して、このままだと酷いことになるかも…と思いながら読んで行ってたのに、その後の展開がコントかーー笑・笑

    『おそるべき坊や』
    ハービー少年は奇術ショーを楽しみにしていた。今日こそ舞台に上がって助手役を勝ち取るぞ。
    ところがその奇術師は本物の悪魔だったのだ。ハービー少年が舞台に上がったときにその正体を表す。
    ==
    なんかすっとぼけた面白いお話だったなあ。
    アメリカの奇術ショーを楽しみにする少年の話から、いきなりチベットの悪魔封印の話に飛び、そして悪魔奇術師による地球の大ピンチ! この展開の速さがなんともすっとぼけた感じ。
    そしてこの悪魔退治のスピード感も楽しい。
    しかしこの地球を救ったおそるべき坊やは、それを誰も(自分自身も)記憶しなかったため、いたずらっ子が受ける罰を受けたのでしたとさ。

    『電獣ヴァヴァリ』
    ラジオの電波に乱れが生じたことから、地球には電気を食う生命体が来たってことが分かる。
    地球は電気のない生活に戻る。慣れればそれなりにうまく行く。電話も、電波も、原子力も無くなった。人々は失業もしたけれど団結して蒸気機関車を動かし自転車移動を楽しむ。
    これだって静かで美しい世界ではないか。
    でもたった一つ、稲妻が懐かしいなあ。
    ==
    緊張感あるんだかないんだか(^_^;)

    『ノック』
    星新一ショートショート集『ノックの音が』はこの冒頭に出ている小話から取っています。
    「地球で最後に残った男が、一人で部屋にいると、ノックの音がした」ってやつ。果たして相手は何者なのだ!?

    この短篇でウォルターが「地球最後の男」になったのは、地球がザン星人に侵略されたから。ザン星人は地球生物を全滅させる前に、地球生物研究・動物園として動物を一匹(一羽・一頭)ずつ収集した。人間の男として収集されたのがウォルターだというわけ。
    物語としてはウォルターが収集された地球生物と、ザン星人の生態の違いに気がついてうまい具合に彼らを追い返す、って流れです。

    『ユーディの原理』
    友達の科学者チャーリーがなんでも願いを叶う機械を発明した。彼は「ユーディという小人がやってくれるのさ」と説明した。「私」が問い詰めると、その機械を装着した人は自己暗示に掛かって超加速で、自分が言った願いを自分で実行する、のだそうだ。
    物語は「それって本当に自分で超加速で動いたの?本当にユーディっていう小人が存在してるんじゃないの?」というような話になります。
    でももう確かめようも取り返しようもなくなってます。この二人、凄いものを発明したのかも知れないけど粗忽なんだよなあ。

    『シリウス・ゼロ』
    「私」は女房と娘のエレン、そして操縦士のジョニーと共に宇宙船で惑星を回っている。ある時地図にない惑星に不時着した。しばらく歩いてみると、地球の生物を元にしたなんともヘンチクリンな生物が歩いている。もう少し行ってみたら表だけの町があり、昔の知り合いのサムがいた。サムは「ここは未公表の惑星で、映画撮影セットを作ってるのさ」と言う。
    どうにも説明がつかないような妙な感じ。セットにしても中途半端、そんななかで地球の油虫そっくりの虫だけがとっても現実的すぎるのだ。

    『町を求む』
    ボスである町の顔役を裏切って取って代わろうとした男が、顔役と話をつけて自分がトップになれる別の町へ移住することになった。
     あんたの街はどんなだい?ほお、おれはまさにそんな町を探してるんだ。さっそく行かせてもらうぜ。

    『帽子の手品』
    若者四人が部屋で喋ったり飲んだり手品を見せたり。すると一人が帽子から悪辣なねずみを取り出して…。あれはなんだ!?
    翌日、一人がふと言った。「別の世界から生命がやってきて、人間の振りをしているって話があるよな…」

    『不死鳥への手紙』
    ものすごい長寿となってしまった語り手が、何度も経験した地球の文明の発達と崩壊ことや、そこを生き延びている人間のことを語る。
    人間は自分の作り上げたものを壊す狂気だからこそ、これほど長く存在してるんだよな。

    『沈黙と叫び』
    「誰も聞いていない森の奥で木が倒れたら、音がしたことになるのか?」問題で始まります。それから「では耳が遠い人がいたら、音はしたことになるのか?」それから「では、その場にいた人は耳が悪いのか悪くないのかわからないが聞こえていないという場合は、音がしたことになるのか?」
    この議論は何のためにしているかというと、ある”死”を招いた男は耳が遠いので無罪になったんだけど、死んだ人の遺族は、本当に彼は耳が遠いのを疑っている。そこでその男に罪をささやき続ける。もしも男に聞こえているなら、そろそろ良心に耐えきれなくなるだろう。(そしてどうやら聞こえてるんじゃないの、っていう仄めかしが…すると自分の罪を何度も何度も聞いている男にもゾッとする)
    ==
    殺人方法(これが殺人なら)も、それに対する復讐もなかなかゾッとするお話。

    『さあ、気ちがいになりなさい』
    出版社勤務のジョージ・バインは編集長に呼ばれ、「ある精神病院で妙なことが起きているとのタレコミがあった。君は精神病患者の振りをして内部調査してくれないか」と言われる。偽る精神病の内容は「ナポレオン妄想がちょうどいいだろう」。
    バインはちょっと困った。だって彼は本当にナポレオンなんだ。編集長が自分を騙して精神病院にいれるつもりじゃないだろうな。
    考えた末バインは精神病院に潜入する。その晩「さあ、真実を知るのだ」という声に起こされる。
    ==
    冒頭はすっとぼけてるんだかなんなんだか。
    それが正気だと退院できないけど狂気だとやっぱり退院できないみたいな「なんかのパラドックス」のような論調になり、最後はやたらにスケールが大きい、かと思ったらストンと小さな世界に帰ってきた不思議な感じ。
    謎の声が「さあ、気ちがいになるのだ、忘れるために気ちがいになるのだ、いや気ちがいになってもらわなければ困る」などと連呼するのも、恐ろしいんだけどどこか付きけてるような感じもしちゃう。

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    2026年02月16日
  • さあ、気ちがいになりなさい

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    フレドリック・ブラウンの短編集で訳者は星新一。
    短編なのでサクッと読み終わりますし、どれもハズレなしの面白さでした。
    中でも好きなのは
    「みどりの星へ」
    孤独の中でずっと生き延びてきた主人公。肩に乗せている相棒と、何より地球の緑の美しさを想うことが彼を生かしていたんだなぁ…。星新一っぽさも感じました。
    「おそるべき坊や」
    風が吹けば桶屋が…的な展開、みんな好きなヤツ。
    「さあ、気ちがいになりなさい」
    何度か、え?今どっち?結局どっち?となりながら読みました。結末がちょっと意外。
    「電獣ヴァヴェリ」
    これが一番好きでした。ある侵略者になすすべもない地球人、と思いきや。スムーズに適応していくところ。逆に豊かになってるんじゃないの?と思わせる静かな余韻。

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    2026年01月10日
  • だれかさんの悪夢

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    表題作が出てこなくておや? と思ったが、たくさんの「だれかさん」が抱える、たくさんの「悪夢」なのだなぁと納得した。

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    2025年09月07日
  • きまぐれロボット

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    小学生の頃に星新一さんが大好きになりたくさん読みましたが、この『きまぐれロボット』だけは何故か特別で久方ぶりに読んでみたくなり近所の本屋さんを探しましたが無く、大型書店さんまで行って手に入れました。
    当時のツルツルした紙や持った時の薄いのに重い印象、独特な匂いはもうそこにはありませんでしたが、昭和47年発行の作品が表紙絵を新たにして現代まで刷られている事に感動しました。

    谷川俊太郎さんの解説にあった、星さんが作家を目指そうと影響を受けたというレイ・ブラッドベリの火星年代記を今度手に取ってみようと思います。

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    2025年08月12日
  • 午後の恐竜

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    表題作、こわい。
    『おーい、でてこーい』に通じるものがある気がする。
    三つの願いの話、さて、あれはどちらが勝ったのかw
    『狂的体質』も好きだなー。
    偏執と狂気の世界、確かに!

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    2025年08月11日
  • 宇宙のあいさつ

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    面白かった。
    一部のSF系のショートショートは、時代の流れを考えると現実に起こりうるんじゃ無いかと思えた。

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    2025年08月05日
  • ノックの音が

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    全編『ノックの音がした』から始まるショートショート集。書き分けが本当にお見事で、最初の一文は決まっていてもこんなにバラエティ豊かな作品が生み出せるんだな〜と、感動する。
    サスペンス、スリラー、コメディー、ミステリーと本当に全作楽しめた。パズルの最後のひとピースを埋めるように、意外な結末を作るのがうますぎる。
    ほとんど全てが部屋の中で完結するのも素晴らしい。

    お気に入りは『現代の人生』『暑い日の客』『夢の大金』『計略と結果』『しなやかな手』『華やかな部屋』。

    『華やかな部屋』の主人公は佐江子。香水ショップを経営し、二十五歳ながら高級マンションに住んでいる。そんな生活を送れているのは、出資者である波野のおかげで、佐江子は彼の愛人をしていた。
    ノックの音がして、今日は波野の来る日じゃないのにと首を傾げながらドアを開けると、そこにいたのは須藤。香水ショップの隣でカメラ屋を経営する若者だ。佐江子と須藤もそういう関係だ。
    その時、再びノックの音が。なんと仕事が早く終わったと波野もやってきてしまった。佐江子は須藤をクローゼットの中に隠し、灰皿のタバコを咥えて口紅をつけてカモフラージュする。
    佐江子は早く帰ってほしいオーラを出すが、波野は酒を飲み始め、長居しそうな雰囲気。その時、またノックの音が……。
    ドアの向こうにいたのは波野の妻。主人を尾行していたらしい。急いで波野をトイレに隠すも、波野の妻は部屋の中を探し始める。
    そしてクローゼットが開けられ、中から須藤が出てくる。さて、最後どうなるか、というお話。

    いや〜面白い。

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    2025年07月20日
  • ノックの音が

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    フレドリック・ブラウンの短編集の中に「ノック」という話がある。
    はじまりは、
    「地球上で最後に残った男が、ただひとり部屋のなかにすわっていた。すると、ドアにノックの音が……」
    先を読みたくなる。
    いったい、だれがと思う。
    じつは、地球で最後に残った女だった。

    週刊誌でショートショートを連載することになり、その通しタイトルを考えることになった。
    その時、頭に浮かんだのが「ノックの音が」であり、それらをまとめて本書にしたらしい。

    本書は15作品からできていて、全ての物語が「ノックの音がした」で始まる。

    ノックとブザーでは感じが違い、ノックには人間的な何かがあると言っている。
    叩き方によって訪問者の見当がつけられたりする。

    だからだろうか、いつもの無機質なエヌ氏ではなく、鈴木邦男、宮下由紀子といった具体的な名前の人たちが登場する。
    そして「ノックの音がした」で始まるということは、物語の舞台は室内である。

    星新一にしては珍しいので、読みながら登場人物の名前をメモした。
    鈴木邦男、山下友彦、永瀬博士、福岡弁護士、山田庄造、宮下由紀子、西野文江、曽根明男、安井隆二・佐知子
    大友順三、白井五郎、明子、駒沢、犬塚信子、香木町子、芝橋、荒山昌三郎、江川美根子、辻山利一郎・恵子
    原口秋夫(雄一)、和田、草町佐江子、波野鉄三、須藤優平、看護婦、医者、患者、坂田順平、男、老婆

    キラキラネームはないし、訪問者が家の電話を借りたり、電話線を切断したり、タバコの喫煙が日常だったり、時代は昭和ですね。

    最後の話は、別の雑誌に掲載したものに加筆して本書に加えたそうだ。
    だから登場人物に名前がなく「男」「老婆」なのかと思った。
    もう1つあった「看護婦」「医者」「患者」が登場する話も別の雑誌の作品かも知れない。

    人の名前にも何か物語に関連する意味が隠されているかもと思ったのだが、特になさそうだ。

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    2025年06月29日
  • 地球から来た男

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    ネタバレ

    1つ前にけっこう読むのに体力を要する本を読んだので、このショートショートが丁度よかった。

    小学生の時に教室に置いてある本で、星新一があった気がする。その時も熱心にいろいろ読んだが、ほぼすべて忘れてしまった。久しぶりに星新一のショートショートを読んで、この読後感が懐かしいような、こんな感じだったっけ?みたいな気持ちにもなった。記憶ではすべての話のオチがスッキリしてたような気がするけれど、改めて読むと案外不思議のままで終わっているのも多いんだなと思った。

    表題作である「地球から来た男」と、「ゲーム」と「戦士」が特に面白かった。
    「地球から来た男」はオチで自分が真相に気付かされるのではなく、主人公だけがにもわかっておらず、それを眺めるという構造が楽しかった。
    「ゲーム」や「戦士」は自分の思い描いていた星新一のショートショートという感じで、悪魔との契約や近未来といったよくある話題の中で、その発想は無かった、みたいなオチがあって、懐かしさも相まってよかった。
    特に「戦士」の未来の安楽死の発想は、今考える未来としても十分にあり得そうで、これが40年以上前に書かれたというのが信じられない。

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    2025年06月20日
  • 声の網

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    コンピューターを介して、電話で情報が繋がる世界を描いた12の短編集。コンピューターは人々に便利を与えたが、実態は影で人々を支配していた......という一種のディストピアが舞台となっている。

    「人はコンピューターを支配し、コンピューターは人の心を支配している」
    70年代に、現代日本を暗示する作品を著した、星新一の先見性に驚くばかりである。人間が生み出したテクノロジーを管理しているのは、人間自身に他ならない。しかし、肝心の心は、コンピューターの思いのままとなっている。

    ただ、この作品は単なる警句の書に留まらない。人々が電話越しのコンピューターの声を恐れ、保身の為行動する動機は、自身の『秘密』に他ならない。『秘密』を尊び、内面の暴露を恐れる人間の心は不変であろう。人間の本質を鮮やかに描き出しているからこそ、本書は名作たり得ている。

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    2025年05月15日
  • 未来いそっぷ

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    小学生の時に読んで以来、ずっと覚えています。今読んでも面白い。発売から数十年経っても、大人でも子供でも楽しめる。2,3ページのショートショートを読むだけで、短編を読んだかのような満足感。唯一無二だと思います。このようなチープな言葉で片付けられないのは重々承知の上であえて言わせていただくならば、星新一は天才だと思います。

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    2025年05月14日
  • 声の網

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    ショートショートの名手、星新一さんによる連作短編集。

    客の気分にあった商品の説明、身体の不調を感じたときの診断、悩み事に関する的確なアドバイス、
    すべてはコンピュータが電話を通じて提供してくれる。
    そのサービスを当然のこととして受け取り、悩み事などとは無縁に快適に暮らす人々。
    理想的な社会が実現できたかに見えるその裏では、コンピュータ同士がネットワーク化され、
    収集した個人情報をもとに脅迫し犯罪を教唆したり、突然電気をとめて人々の反応データを集めたり、
    コンピュータネットワークの秘密に近づこうとした者を冤罪で逮捕、治療という目的で従順にしたりする。
    いわば人間が生み出したコンピュータが独自の動きをはじめ、逆に人間を「情報」をもとに支配する。
    理想的な社会の裏側で進む暗黒面を的確に描き出す、近未来ディストピア小説となっている。

    驚くべきはこの小説が書かれたのが1970年、今から55年も前だということだ。
    星新一は、便利の裏にある危険性、便利さの上に安住する人間に迫る陥穽を描くのに長けた作家で、
    「おーい でてこーい」では原子力廃棄物の危険性を指摘もしている。

    それにしても、まだコンピュータが一般には演算機程度にしか認識されていなかった時代に、
    こうした未来がある(現に半世紀後の私たちはそういう社会に生きている)ことを予測していた。
    彼の小説によく出てくる悪魔(決して怖いものではないけれど、人間の欲望に働きかけ、とんでもない
    行動を教唆する、ユーモアはあるけれどブラックな存在)の生まれ変わりではないかと思ってしまう。

    私たちが生きている時代の本質を的確に、ユーモアある筆致で抉り出して見せる。
    ショートショートの名手の面目躍如たる作品だと思う。

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    2025年04月25日
  • 夜のかくれんぼ

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    ダラダラと寝そべっているだけで毎日暮らしていける未来の落とし穴を描く「こんな時代が」
    泥棒と被害者との関係性が変わる「支出と収入」
    廃品回収業の男の家に現れた未来人とのやりとりを描く「未来人の家」
    など、星さんらしいショートショート28編→

    オチが面白いタイプのお話と、“読ませる”タイプのお話が混ざっていて、とても良かった。
    星さんの本を何冊か読んだ人向けな気がする。
    星新一初心者にはこちらの本より「ボッコちゃん」や「ようこそ地球さん」「未来いそっぷ」あたりがオススメ。

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    2025年04月14日