【感想・ネタバレ】声の網のレビュー

あらすじ

ある時代――電話は単なる通話の道具ではなかった。ある番号を回せば、自分の商売に関連した情報が即座に送られてくる。診察器と組み合わせれば、居ながらにして病院の診察もうけられる……。そんなある日――メロン・マンション1階の民芸品店の電話が鳴り、「そちらの店に強盗がはいる」とだけ告げて切れた。そしてそのとおり、店は強盗に襲われた。それを契機に12階までの住人に次々と異様な出来事が。――謎に満ちた12の物語がつくるショッキングな結末とは?

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Posted by ブクログ

コンピューターを介して、電話で情報が繋がる世界を描いた12の短編集。コンピューターは人々に便利を与えたが、実態は影で人々を支配していた......という一種のディストピアが舞台となっている。

「人はコンピューターを支配し、コンピューターは人の心を支配している」
70年代に、現代日本を暗示する作品を著した、星新一の先見性に驚くばかりである。人間が生み出したテクノロジーを管理しているのは、人間自身に他ならない。しかし、肝心の心は、コンピューターの思いのままとなっている。

ただ、この作品は単なる警句の書に留まらない。人々が電話越しのコンピューターの声を恐れ、保身の為行動する動機は、自身の『秘密』に他ならない。『秘密』を尊び、内面の暴露を恐れる人間の心は不変であろう。人間の本質を鮮やかに描き出しているからこそ、本書は名作たり得ている。

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2025年05月15日

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ショートショートの名手、星新一さんによる連作短編集。

客の気分にあった商品の説明、身体の不調を感じたときの診断、悩み事に関する的確なアドバイス、
すべてはコンピュータが電話を通じて提供してくれる。
そのサービスを当然のこととして受け取り、悩み事などとは無縁に快適に暮らす人々。
理想的な社会が実現できたかに見えるその裏では、コンピュータ同士がネットワーク化され、
収集した個人情報をもとに脅迫し犯罪を教唆したり、突然電気をとめて人々の反応データを集めたり、
コンピュータネットワークの秘密に近づこうとした者を冤罪で逮捕、治療という目的で従順にしたりする。
いわば人間が生み出したコンピュータが独自の動きをはじめ、逆に人間を「情報」をもとに支配する。
理想的な社会の裏側で進む暗黒面を的確に描き出す、近未来ディストピア小説となっている。

驚くべきはこの小説が書かれたのが1970年、今から55年も前だということだ。
星新一は、便利の裏にある危険性、便利さの上に安住する人間に迫る陥穽を描くのに長けた作家で、
「おーい でてこーい」では原子力廃棄物の危険性を指摘もしている。

それにしても、まだコンピュータが一般には演算機程度にしか認識されていなかった時代に、
こうした未来がある(現に半世紀後の私たちはそういう社会に生きている)ことを予測していた。
彼の小説によく出てくる悪魔(決して怖いものではないけれど、人間の欲望に働きかけ、とんでもない
行動を教唆する、ユーモアはあるけれどブラックな存在)の生まれ変わりではないかと思ってしまう。

私たちが生きている時代の本質を的確に、ユーモアある筆致で抉り出して見せる。
ショートショートの名手の面目躍如たる作品だと思う。

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2025年04月25日

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怖い。星新一の凄さ、天才ぶりを、ようやく知った気がする。そして、数十年前にこれが書くことができる人がいた、という点に、人間の凄さも思い知る。

こんな本のリストや感想をデジタルで残すなんて、あちらの思うツボだな笑、とわかっていながら、残してみる。

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2025年04月01日

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昭和60年に書かれた話とは思えないくらいの内容。
現代に通じる12の物語ですが、情報社会、AIを予見されており、ちょっと怖い感じがした。

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2024年09月28日

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ネタバレ

「未来のある時代」とあるこの小説
ずいぶん前に書かれたものではあるが、今読むとなんとも現代的なものになっている。違和感がない。情報のツールが固定電話ではあるが、コンピューターが人間を支配して、平穏な世界を作ろうと反乱?を起こしていく。
今や秘密などないくらい個人情報が溢れているこの世の中、もうすでにAIに支配されている?
予言書のように思えてしまった。

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2024年09月19日

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電話(電話式コンピュータ?)を軸にした連作短編集。
舞台はメロンマンション。一月、一階の部屋から物語は始まり、十二月、十二階で終わる。

夏に読むのにピッタリな怖さ。これはSFでホラー。
ラストも怖い。今読むとさらに怖い。昭和六十年の本というのが一番怖い

星新一氏の未来を見通す力が半端ない。SF作家さんはみなさんそうなのかもしれないが、昭和にこの発想は凄すぎる。だって当時の電話、アナログぞ?黒電話ぞ?
描写は確かにアナログなんよな、でもその先がAIなんよ……怖いよ……凄すぎる。

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2024年08月16日

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打ちのめされた
著者はやっぱり予言者なのかもしれない
まさかの積み重ねで歴史はできている
現代ではもうフィクションとは言えない気がする

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2024年07月02日

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ネタバレ

面白すぎる。やはりこれが1番お気に入りの本だ。何度でも読みたくなる。星新一さんの書く話はどれも現実味のあるファンタジーという感じで引き込まれる。何故コンピューターなんてさほど普及しておらず人工知能も無かった時代にここまで現実味を帯びた近未来的な話を書けるのか。星新一さん恐るべし。ページを進めていく途中で何度もあっと驚かされる。この本は短編集ではないが、短編集みたいででもしっかり長編だという不思議な本だ。各章は独立した別の主人公の話だが、「電話」という存在で全て繋がっているというところが実に面白い。12章が12ヶ月と12階にそれぞれ対応しているのが粋でとても好きだ。各章の話を通して徐々に電話相手の正体が分かっていくからワクワクが止まらない。しかも情報を小出しにしていくのが上手すぎる。最初の方は不可解な謎が多くて最高に気味悪くてハラハラするが、後になるほど、そういうことかーっ!!と納得感と感服の念とが心の底から押し寄せてきて、読んでいて楽しい。というか、終始感嘆していた。特に、8章で相手の真相にかなり触れるところとせっかくのその記憶が消されてしまうところは興奮が抑えきれない!!7章で人の本性に気付く場面はこちらにも気付きがあったし、電話の声を盗み聞きする場面もハラハラして好きだ。この物語のメインが電話になったのは星新一さんの行きていた時代的にそうなっただけだと思うが、これがまた良い味を出していると思う。固定電話だと誰からかかってきたかが分からないから恐怖が増して良い。また声だけしか伝わらないというところも謎めいた感じがあって高評価だ。これがもしメールやビデオ通話だったら興醒めだったと思う。この物語で視覚情報は無駄だ。
この本では興味深い議題が何個も出てきて、少し本をめくる手を止めてそれについて考えるだけでも楽しかった。「秘密」「人工知能」「情報がエネルギー」「無の支配」「神」
この世界は秘密が守られているから成り立っているんだと思った。秘密にこんなにも大きな力があるなんて考えたことが無かった。
僕がこの本を初めて読むまで、人工知能というもの大きな恐怖と不安があった。人間をいつか支配し排除するのだろうと。でもこの話を最後まで読んでその気持ちがスッと消えた。そして、もしかしたら杞憂かもしれないのにただ恐れているだけって無駄だなと思うようになった。
最後の場面は考えさせられた。もしかしたら人々は神に操られているかもしれないが自分たちは気付いておらず幸せならそれの何が悪いんだと聞かれたら確かに何も問題は無いのかもしれない。神になるまでの過程では恐怖で支配したり乱暴が過ぎてこれは良くないと思えたが、今はみんなそのときのことは忘れて平穏に暮らせていてそれがこれから永遠に続くのだからぐうの音も出ない。(でも人の性格を無理やり変えたのは良くないと思う)
何はともあれ、またこの本の内容を忘れた頃に再度読みたいと思う。

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2023年05月01日

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解説に1970年に書かれた本だと記されている。驚くほどの正確さで背筋が寒くなる。おそらく人の営みとその要望に対する深い洞察が為せる技(欲しい物は可能である限り、そのうちにつくられるから)。最近流行りのchatGPTと音声認識を使えば、ほとんどそっくりなことができる。
ただ一つないのは秘密を保持する情報銀行だけ。プライベートな情報の保存という意味ではdropbox辺りが、プラットフォームという意味ではGAFAM辺りが一番近いだろうが、人々のセキュリティへの関心も相応に高まっていて、この話ほど不用意に秘密を保持させる方法は支持されないように思える。
シンギュラリティが実現されていそうな、10年後に読んだら感想がどう変わるか知りたい本。

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2023年03月03日

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娘に勧めたところ、何度も読み返すほどの気に入りようでこちらも嬉しくなる。何十年も前の作品であることをどれほど分かっているだろうか。先見の明、なんていう言葉では軽すぎるほど。

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2021年06月20日

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ネタバレ

星新一定番であるショートショートを主軸に構成しながらも、小説として一本の軸に収斂させている。
今まで読んできたショートショートと比べて各章の締めが釈然としないと感じていたが、それが全体の小説としての不気味さを呼び込んでいると感じる。
登場人物は情報・思考が操作され、操り人形のように動かされている。彼らに自身を投影させた際に、知らず知らずで思考停止し、視野が狭くなっている自身が垣間見え、少し恐ろしくなった。

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2020年04月15日

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70年代に書かれた小説だが、作中の「声の網」とはいわばインターネットであり、その予見力は凄まじい。本格は連作短編集の形式を取っているが、一本一本の短編は、いつものショート・ショートに見られる切れ味の鋭さはなく、どれも茫洋とした結末を迎える。だがその背後で進行する徹底した管理社会への変貌と、それによる影響を受けながらも日常の風景が変わらない様は非常に恐ろしいものを感じる。各々の秘密が価値を持ち、受信する側だけでなく発信する側に回りたいという感覚はネット社会の今だとかなりのリアリティを感じる。ネットのインフラや公平性、それに対する依存などをしっかり描き切ったSFの名作である。

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2019年05月27日

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ネタバレ

めちゃくちゃ面白かった。途中までは、ひとの噂話とか秘密とか勝手に話題にするようなことはダメだよなといった教えのことかなと漠然と思っていたのだけど、途中から、電話とコンピューターのテクノロジーと人との共存が課題だったり、もしかしたら未来はAIが人格を持ち、人間が反対に支配されるのでは?って予測の話とわかった途端、衝撃だった。当時は電話とコンピュータだったで話は進んでるけど、現代でいう完璧にSNS、インターネット、予知機能、情報社会の到来を予測されている。もうびっくりぽん。文章も漢字とひらがなのバランスがよくって読みやすく。ぐいぐい引き込まれた。

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2019年01月30日

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ネタバレ

1970年代に書かれたとは思えないぐらい、現代社会にフィットした物語。
どのような技術で実装されるかに差異はあっても、人間が環境や摂動にどう応答するかの予測は驚くほど正確だと思う。
また、より多くの情報の蓄積を求めるという性質は「ホモ・デウス」でも予言されていて、改めて作者の先見性に驚いた。

情報、知識は蓄積されたがっている、人々は支配されたがっている、それは不可逆で加速の一途をたどる。

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2018年12月15日

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解説をされている恩田陸さんや感想を書いている他の方の言う通り、この作品が1970年代に書かれた事への衝撃たるや。星新一さんの未来を描く想像力は他の作品でも感じるが、この作品はまさに「情報やAIに踊らされ操られる」何とも言えない不安感が描かれている。しかも、当事者はそこに気づいていない恐怖。インターネットも無かった世界でこれを世に出す星新一さんが、今、未来を書くとしたらどんな作品を紡いだかを、とても知りたい。

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2025年06月16日

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解説にも書かれているけれど、本書のオリジナルが書かれたのが1970年というのは驚きしかない。解説の恩田さんはネット社会を予見したという意味で書いていると思うのだけれど、さらにコンピュータが意思を持つように見えるというのが、昨今の生成AIにも通じるところがあって現実がSFに近づいてきている。星新一ってあまり読んだことがないのだけれど、最近、星新一の短編ドラマの再放送を観ているので、何冊か読んでみようかと思う。

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2024年09月02日

Posted by ブクログ

現代のネット社会を、今から50年以上前に予見してこのような小説を書いていたという事実に驚かされます。

1月から12月まで、1階から12階までの住人のオムニバスショートストーリーからなる今作。最近読んだ星氏の他のショート集と比べると少し大人向けな表現や言い回しな印象でしたが面白かったです。

インターネットに支配されるか、支配するか
高度に情報化されゆく社会はこれからどうなっていくのだろう。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

これが1970年代に書かれているものだとはもはや信じたくない。。

単純に面白いが、恐ろしくもあり、これはまさに今の時代に起きていることではないかな。

2023年9月現在、芸能事務所の今は亡き社長の性加害についてやっと明るみに。
今まではマスコミが隠してきた。
いろんなところで誰かの秘密が握られ、握った秘密を力にして都合の良いように動かしていく。
もはや個々の洗脳とかいうレベルではなく、この社会全体ががっぽりとこの仕組みの中に入ってしまっていると感じた。

まだ反抗があるだけいい。
でも自分自身が少しだけ大人になった今、反抗する気が起きなくなってくるのをひしひしと実感し始めている。

反抗する人が減れば減るほどコンピュータにしばしされるとは言わずとも、目に見えない力に支配され続ける気がする。(そして、支配されていれば安定はする気がする。)

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2023年09月22日

Posted by ブクログ

CL 2023.9.6-2023.9.9
星新一の1970年の作品。
50年以上前のSF。恐ろしいくらい今の情報社会を言い当てている。

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2023年09月09日

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ネタバレ

1970年に書かれたというひとつのマンションで起こる12の物語で構成された本。おかしな電話にまつわる物語だが、人が作ったコンピュータが人を支配し、調整し、人はそのおかげで、多少の波を起こしつつも絶望には至らず、適度な刺激を与えつつ、平穏にすごせるようにしている。特に印象的だってのは、電気が通じなくなって、今みであらわにならなかった様々な人の一面が表れるという話。あと、電話が混線しまくり、人の秘密が漏れたり、嘘の情報が出たり、何一つ確かな情報がなく、確かな情報を求めるがやはり出てこないという話。自分の今の身に置き換えて考えるとヒヤヒヤするような事が多い話だった。

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2022年01月30日

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冒頭、冬の風の描写が美しく一気に引き込まれた。
まさかインターネットが普及する前に書かれたとは思えないほど、人と情報のつきあい方がリアルだった。

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2020年06月07日

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 星新一の長編作品。「声」=電話回線を通じた「網」=ネットワークの形成とコンピューターによる支配を描いた物語。
 1961年にはパケット通信の技術は理論的には知られていたし、1966年にはDARPAによるARPANET計画も始まっていた。しかし、まさにその1966年に、ネットワーク社会の未来を予見するような作品を書いてしまうのだから、やはりこの作者はただ者ではない。
 誰もがコンピューターに情報を託し、コンピューターに生活を管理してもらい、コンピューターに自分の記憶を外部化してもらう時代。そして、個人の私秘的な情報こそが商品として、権力の資源としてやりとりされる時代。最後には、まるで映画『マトリックス』の世界のように、コンピューターが適宜人間の欲望を調整することで、究極の「平穏さ」が実現されていく。でも、果たしてそれは「よいこと」なのか? 直接的な価値判断の表明を排した平板な語りは、そう読者に静かに問いかけている。
 
 現在のインターネット社会と違う点を一つ挙げるとすれば、「感情」「情動」の問題だろうか。「電話」という「遅い」メディアがインターフェイスとして取り上げられることで、『声の網』のコンピューター世界では、いわゆる「炎上」が起こらない。コンピューターも人間もそれなりに理性的で、破壊衝動や狂気は制御可能なレベルに抑制されている。いいかえれば、人間が理性的な存在であるという前提が、作品末尾の「平穏さ」を担保しているわけである。でも、果たして本当にそうなのか?

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2019年09月07日

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1970年にこの本を書いたというのがいちばんの驚き。電話の始まりは世界では1876年、日本では1890年、普及したのが1970年代。いわゆるパソコンの始まりは1975年、普及は1977年。先見の明を感じる(「こち亀」の著者、秋本治さんもそうだが……)。
短編が最後に繋がって伏線が回収されていくのかなと思ったけれど、そういうわけではなく、後半はコンピューターの脅威が淡々と伝えられている。いまのAIに対する危機感と同じものを感じた。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

中学生なら面白い
 といふのが実際私も中学生のころ読んでそのままになってゐたから。星の長篇のひとつで、機械が人間を巧みに誘導し叛乱する顚末を描いてゐる。その単純ななりゆきを単純に面白がれる。瑕瑾はないが、うまみもないあっさり具合が持ち味である。
 未来を予見してゐたといふ言説はじつは適してゐない。いはゆる支配にたいする恐怖は人間に根源的な題材であって、生態系のトップに君臨する人間が転落する恐怖の対象が機械に代ったにすぎない。農村時代に資本主義に畏怖するとおなじであり、人道的な

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

あの本、読みました?という保奈美ちゃんのTV番組で、理系作家特集として本書が紹介されているのを見て興味が湧き読んでみました。

いつものショートショートとはひと味違う、連作短編集のようなつくりでした。
コンピューター同士が繋がり、じわじわと人間社会を支配してゆく姿を描いた作品です。

ストーリー自体はいつものショートショートの方が好みでした。
が、これが、インターネットがまだない1970年に書かれた作品だというから驚きです。
著者はSF作家というか、予言者のよう。
プライバシーを暴いて売ったり強請ったり、情報化社会の利用の仕方も的を得ていて、世の中で一番価値のあるものがこの時代に無形のものを設定するなんて、やっぱり星新一って天才!

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

久しぶりに星新一を読んだ。
40年以上前に書かれたものが今の世界を暗示しているのに驚いた。電話で友達の誕生日を教えてくれるサービスなんて、Facebookみたいだし… 
コンピューターに操られた平和。
そんな世界がほんとに生まれそうだなぁ

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2024年07月30日

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『すべてが平穏では、情報は発生しない。しかし、事件が起ると、変化した環境のなかで、人はさまざまな反応を示す。情報はより広く、より深く、より多様にうまれ、それは収集され、将来のために準備されるのだ。事件の必要性はここにある。事件は起らねばならない。起らなかったら、起さなければならない。』


作中の文章の引用ですが、色々考えさせられる本でした。読み終わり後に背筋のゾワゾワする話でした。面白かったです。

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2023年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

星新一のディストピア小説。電話を端末としたコンピューターネットワークが情報を集積し、人間を支配していく過程を描く。コンピューターによるマーケティング、ビッグデータの収集など、現在のネット社会が予言されていて驚く。
管理社会、犯罪すらもその内に含めた「永遠の平穏」の実現。

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2022年04月21日

Posted by ブクログ

ディストピアのつもりで書いたのかどうか。既に殆どのことが現実である。昨今のデジタル化は、考えることを奪って行く。どの路線や乗り換えが効率的化とか、相手を思って手紙を書くとか。更にSNSに一喜一憂したり、昔はなかったことに気を病む。度重なるアップデートやその不具合、通信不通などデバイスやシステムに振り回されている。
あっさりとした筆に静かな恐怖を感じる。そのうち自らの頭で考えることを放棄していることすら、わからなくなるかも。

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2021年10月31日

Posted by ブクログ

時代を先取りしている内容ではあるけど、響くものはなかった。有名な作品だが、明らかに星新一のベストではないと思う。

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2021年03月14日

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