星新一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白すぎる。やはりこれが1番お気に入りの本だ。何度でも読みたくなる。星新一さんの書く話はどれも現実味のあるファンタジーという感じで引き込まれる。何故コンピューターなんてさほど普及しておらず人工知能も無かった時代にここまで現実味を帯びた近未来的な話を書けるのか。星新一さん恐るべし。ページを進めていく途中で何度もあっと驚かされる。この本は短編集ではないが、短編集みたいででもしっかり長編だという不思議な本だ。各章は独立した別の主人公の話だが、「電話」という存在で全て繋がっているというところが実に面白い。12章が12ヶ月と12階にそれぞれ対応しているのが粋でとても好きだ。各章の話を通して徐々に電話相手
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Posted by ブクログ
ネタバレ大好きな作家の長編!短編が多い作者なので新鮮な気持ちで読んだ。
一つの話にいくつもの見事な伏線と構成を仕掛ける作者が長編でもその見事な手腕を発揮しているが、これだけ長いと読んでいるだけでも大変だ。あっ!これはこのことか!これはこれとの対比か!と発見の連続で脳が疲れる。しかし本当に楽しい読書だ。仏像と株券の二転三転する真偽と移動していくお金…読んでいて目が回りそうになるほどによく練られている。長編でも物語の構築力が素晴らしい。さらに繰り返し出てくる気になる要素も全て回収されている。とくに黒幕だった三人の関係も面白く、ここからもまた何か生まれそうだ。気まぐれが重なり思いもよらない結果になる作 -
Posted by ブクログ
解説に1970年に書かれた本だと記されている。驚くほどの正確さで背筋が寒くなる。おそらく人の営みとその要望に対する深い洞察が為せる技(欲しい物は可能である限り、そのうちにつくられるから)。最近流行りのchatGPTと音声認識を使えば、ほとんどそっくりなことができる。
ただ一つないのは秘密を保持する情報銀行だけ。プライベートな情報の保存という意味ではdropbox辺りが、プラットフォームという意味ではGAFAM辺りが一番近いだろうが、人々のセキュリティへの関心も相応に高まっていて、この話ほど不用意に秘密を保持させる方法は支持されないように思える。
シンギュラリティが実現されていそうな、10年後に -
Posted by ブクログ
星新一さん、科学者のような視点から作り出すショートショート。吹き出してしまいそうなオチがあったり、心あたたまるエンディングであったり、とにかく楽しく読める。
特に気に入ったのは『処刑』。いつ死ぬかわからないのは玉が爆発する時をハラハラ待つのと同じ。いや、元気に生きていても手元にいつ爆発するか分からない玉があるかもしれない。いつも人間は死刑執行を待っているのかも知れない。死を感じながら、死を恐れて、生に執着して生きてるのが人間なんだな。
『愛の鍵』ドアを開けるための言葉。「楽しかったわ」が「ごめんなさい」に代わり、2人の心が繋がる。他のストーリーにはない微笑ましい話。
地球が星新一の描くような