あらすじ
横領、強盗、殺人……こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ――人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた――軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
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表題作はじめ、ハード系・辛辣系の色合いが強い10篇を収める。1話ごとの分量が少し多めなのも特徴で、「特殊大量殺人機」は全6章からなっている。星新一作品集のなかでは、けっこう味が濃いぞ。
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筒井康隆、小松左京ときたら、星新一も並べて置こうと思ってエントリーしました。『ボッコちゃん』と迷ったけど、こっちに。
暴力を抑圧することが暴力的なんだ、とまとめてしまうと単純ですが、星新一にかかれば切れ味鋭いショートショートになります。着想とかプロット自体に真新しさはないんですが、人間の本質をついてる感じがするんですよね。書けそうで書けない、というのが星新一流ショートショート。
ちなみに余談ですが、著作権を管理してる娘さんが他人の作品にいちゃもんつけてパクリだなんだと騒いでいたのは星新一の名に泥を塗る行為だと思いました。古い話ですけど。
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『特殊大量殺人機』各人が所有しているだけで相手を牽制できる点が面白い。
新潮文庫版『午後の恐竜』と作品名の載せ方のレイアウトや作品の収録数に似通ったところがあるなと気付いたが、早川書房版『午後の恐竜』の後半10編を収録したから、新潮文庫版『午後の恐竜』と同じレイアウトにしたのかなと思案。
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白い服の男は、正義の味方?
次から次へとあばかれる悪とたたかうはずが、とんでもないことに。
過去からよみがえったり、他人の不幸を公共電波で楽しんだり。
ちょっとブラックでふしぎな物語。
社会の悪とはこんなにスパイスのきいたものであったとは。思いもよらない展開にすすむ。
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後期作品なのか、皮肉やメッセージ性が強い
他のに比べて濃口で、入門編ではないか
特殊大量殺人機
デスノート。でもロジックが知的。核を握り合うメタファー
これが1番おもしろい
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ショートショート10編。未来もの、博士もの、宇宙ものいろいろ。
・業が深かった編
「悪への挑戦」
実際の犯罪者の追跡と断罪がエンタメになった世界。憎むべき悪を追い詰めるスリル、因果応報を実感できるカタルシスは確かに楽しい。
それでもTVの前から呟かれる「正義が楽しくて、どうしていけないのかしら」の台詞に「ああそれ言っちゃダメなやつ!!」ってゾっとした。
そもそも”正義”ってそれぞれの立ち位置によって変わる胡散臭いやつだし、安全な場所から何の犠牲も払わずに楽しむものじゃないし、その牙がこっち向いてこない保証なんてどこにもないし…とか思ってたら案の定な展開にあっちゃーという他なかった。そして一皮めくれば骨の髄まで商業主義。そうよね全ては皆の「見たい」「知りたい」「自分も一枚噛みたい」を叶えるため。
”正義”という錦の御旗の下には相手を集団で一方的にボコる快感が潜んでる。(ちなみに暴力を振るう際の万能感は思考力を著しく下げるらしい)。正義と欲望を混同する怖さと集団心理の熱狂を踏まえて考えるとタイトル「悪への挑戦」の”悪”って”流されやすい自分”とも取れて業が深いなーと思った。
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白い服の男 ★★★★★
月曜日の異変 ★★★☆☆
→ 妻が脳の一部を入れ替えおしとやかになるが、入れ替えた人の過去の恋愛の記憶も受け継いでしまう。
悪への挑戦 ★★★★☆
→ 犯罪増加をとめるために、極刑とその公開をテレビで始めた社会。処刑は視聴者からの電話数が一定数入るとスイッチが自動でオンになり行われる。視聴者参加型。悪意を憎むことが万事優先の世の中。
結果、犯罪は激減した。しかし、処刑自体はテレビ局が本人そっくりな人形を使って行っていたフェイクだった。過激な処刑をすればスポンサーからお金が入る。
老人と孫 ★★★★☆
→ テレビから流れてくることは自分とは関係ないという無関心さの怖さ。
テレビシート加工 ★★★☆☆
→ テレビを紙並みの厚さに加工したシートがありとあらゆる場所に貼られ、絶えず映像が流れる社会。静止は罪となる。
矛盾の凶器 ★★★☆☆
→ 酒乱の狂気を取り締まるロボット。
興信所 ★★☆☆☆
→ 死者の国の霊媒師が現世で青年を墓地に呼び出し、依頼人からの質問をして答えを聞くビジネス。
特殊大量殺人機 ★★★☆☆
→ 抑止力の重要性。
ねぼけロボット ★☆☆☆☆
時の渦 ★★★☆☆
→ 死者が蘇り、濡れ衣を着せられたり、暗殺されたものは真実を追求しようとし、この世から偽りが消える社会。
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気楽に読めた短編集。
白い服の男
セのつく行為を禁止する社会の話。映画のリベリオンとそっくりや。
特殊大量殺人機
完全なる殺人機を作ってしまった話。殺人機から自分を守るのは殺人機を保有する事、核の保有による均衡を想起させられる。国より遥かに小さい組織が恐ろしい兵器を保有する世界、エゴに満ちた世界になりそうで怖い。
時の渦
時間の流れが止まってしまった世界でのお話。その世界で人は未来がみえず、過去を深掘り追求する。時間観念の変化が人の考え方を変えてゆく。
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【本の内容】
横領、強盗、殺人…こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。
わが特殊警察の任務はただひとつ-人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。
男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた-軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。
ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
短めで綺麗にオチが決まる話が多くていいね。
そういや、デスノートが人気あった頃、星新一に似た話があるって聞いたことあったけど…
本書に収録されてる「特殊大量殺人機」がそれだな。
Posted by ブクログ
星新一、かなりの量読んでるんだけれど、どれがどれだかわからなくなるからちゃんと記録しよう。
政治とか戦争とか社会に関わる内容が多かった気がする短編集。
白い服の男
「戦争」という概念、歴史、事実をもみ消そうとする世界の話。
悪への挑戦
悪人が裁かれるというスリリングなテレビショーの裏側は…
時の渦
死者が少しずつ蘇ってくる。その原因は?
この三作がお気に入り。特に時の渦は、最後の1ページに「ほお!」って言ってしまいました。
Posted by ブクログ
いずれも"過ぎたるは及ばざるがごとし"を地でいく皮肉たっぷりの作品。皮肉めいたストーリーが星新一の文体とあいまって不思議な魅力を携えている。
『白い服の男』
健康の為なら死んでもいいのか
『月曜日の異変』
手術をしてまで無理に得た理想の性格は、果たして夫にとって本当に良いものなのか
『悪への挑戦』
正しいならば何をしても良いといった世界観
『老人と孫』
メディアが客観的で常に正しいものだと信じると恐ろしいという話
『テレビシート加工』
星新一らしい作品だが、技術的には実現化しそうな話。むしろ形は違えども携帯電話などはこのような状態になりつつあるかもしれない。
『矛盾の凶器』
異常者ならば殺してもいいのではと思ったとき、主人公も異常者となったのではないか
『興信所』
死者からすれば霊媒ははた迷惑なものなのかもしれない
『特殊大量殺人機』
均衡を保つために核兵器を持たねばならぬ現状に似ている
『ねぼけロボット』
無駄に精密過ぎる
『時の渦』
奇妙な最後の審判
Posted by ブクログ
9条に対して宗教のような執着をしている人たちを皮肉ったのではないかと思ってしまう表題作。無防備都市宣言とか、かなり星新一の世界になってきてるんじゃないだろうか。
Posted by ブクログ
ショートショート集…というより短編集。
・白い服の男
・月曜日の異変
・悪への挑戦
・老人と孫
・テレビシート加工
・矛盾の凶器
・興信所
・特殊大量殺人機
・ねぼけロボット
・時の渦
全体的に狂気を含んだ感じ。
「白い服の男」の世界観などいい感じ。
Posted by ブクログ
アイロニカルで面白い
星新一さんの作品は結構好き
決して最近の作品ではないのだけど
なんだか今の世の中を皮肉ってる様で
何年経っても、社会ってそんなに変わっていないのかしら
なんて思ってしまう
Posted by ブクログ
横領、強盗、殺人…こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ―人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた―軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
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「白い服の男」セ(戦争)。戦争の概念を一掃する、白い服の男。
「月曜日の異変」「悪への挑戦」「老人と孫」
「テレビシート加工」これ面白い。
「矛盾の凶器」異常者を察知して人を殺す蛇のロボット。面白い。
「興信所」「特殊大量殺人機」「ねぼけロボット」「時の渦」
Posted by ブクログ
白い服の男という本は短編小説なのだが、最初の小説が白い服の男という話であることからこの題名だ。この白い服の男というのは、星新一の話はだいたい最後まで何が起きるか分からないが、この話はいたって普通な戦争についての話だった。戦争にかかわることを取り締まる特殊警察の署長をしている白い服の男が主人公だが、この白い服の男は些細のことでも取締りそこまでしなくてもと思うのだが、その些細なことから発展してしまうのだから、やっていることはあっているのかもしれない。なぜ白い服なのかというと、平和の象徴のハトだからということを告げて終わった。
Posted by ブクログ
特に前半は暴力に対する感覚の鈍麻、異常な過敏さを扱った話が多かった。
やはり現代社会批判が前面に押し出されている。
特に「悪への挑戦」はセンセーショナルな報道、それを鵜呑みにする人間、
感受性の乏しさと言った、今でもよく議論される問題を指摘しているのではないだろうか。
ただ、その合間にも「月曜日の異変」のような軽めの話もあるメリハリのきいた1冊だった。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
横領、強盗、殺人…こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ―人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた―軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
Posted by ブクログ
星新一は、学生の頃に大半の作品を読んでいると思うのですが、この作品集は読んだ記憶がなかったので、読んでみました。
やっぱり面白い・・・ショート・ショートの面白さを再認識しました。
何十年も前に発売された作品集なのに、古さは全く感じません。
とても簡易な文章で読みやすいけれど、そこには、今の時代にも通じるテーマが描かれています。
ちょっと、アイロニカルなところも好きです。
全10作品。
個人的には、「特殊大量殺人機」と「時の渦」が、お薦めです。