宇佐美まことのレビュー一覧
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物件ホラーが好きなのと芦花公園先生の短編が入っているので手に取った。他の参加メンツも豪華すぎる、、、バラエティに富んだ様々な物件の嫌な話が入っていて満足度が高い。
福澤先生の話読んだことある、、、?って思ったけど「怪を訊く日々」のエピソードと若干重複してた。「忌み地」のシリーズも好きなので糸柳さんの日記っぽいやつも好き。晩御飯の献立書いてあるのかわいい。
郷内心瞳は拝み屋怪談しか読んだことなかったのでカニバリズム百合姉妹ホラーみたいなのお出しされて新鮮だった。よかった。
芦花公園先生のやつもかなり邪悪だったけどそれに続く最後の平山夢明先生のやつがあまりにも凶悪すぎて最高だった。何この流れ。助からなさすぎて逆に助かる。 -
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人を殺すことは良くないこと。これはもちろん誰もが知っている当たり前のこと。でも、どうしても殺したくなることってあると思う。例えば理不尽に自分の家族が殺されたとしたら。自分の大切な人が殺されたとしたら。法に則って罰してもらう。そんな悠長なことを言ってられるだろうか。
この小説には2つの物語が存在する。1つは大学でマンドリンクラブに所属する学生たちの物語。合宿中に1人の女子学生が崖から転落死をした。その過去を引きずった仲間たちが30年振りに集まり、部室に行くと、黒板に【その時鐘は鳴り響く】という仲間たちにしかわからない文字が描かれていた。
もう1つは、殺人事件を追う刑事たちの物語。中年男性が腹部と頸部を刃物で刺され、殺される。血溜まりの中に、ハート型で切り抜いたような模様が残されていた。黒光亜樹は、本庁の榎並というやる気のない男とコンビを組まされ、事件を追うことになる。榎並はどうやら警察全体を揺るがす地雷を握っているらしい。
この2つの物語がどう結びつくのか。いつ結びつくのか焦ったい思いで読んでいくうちに気づく。あの時にはもうヒントが隠されていたんだなと。
とにかく榎並がカッコいい。ラストも爽やか。でも、あの頃に戻りたいだろうなぁ。 -
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大学のマンドリンクラブの活動に一生懸命取り組んで培った友情があった。しかし、何かの事件らしき出来事で仲間は散り散り。その一人である冴子目線と、全く異なる所での殺人事件の所管刑事、黒光亜樹目線が交互に語られる。殺人の方は合同捜査になり、本庁から特捜本部に入った訳ありっぽい榎並(えなみ)と亜樹の捜査が少しずつ進む。最初は冴子と亜樹目線でいきなり場面が切り替わるのにやや戸惑うけれど、この2つが一気に収束を見せるところが、読んでいてものすごく気持ちいいです。
ミステリーになれていない人にも、人間ドラマのように読み進められる展開。音楽好きなら、さらにオススメです。
殺人ありなので、中学校以上。エログロ低めなので個人的なら早成小学生には読ませてもいいレベルかと。 -
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東京は北区赤羽の路上で、不動産業者が刺殺された。
女性刑事・黒光亜樹(くろみつ あき)が地元の聞き込みに回る。
「ワインと煙草の好きないい人だと思うけどなあ」被害者行きつけの居酒屋の店主はそんなふうに言った。
やがてその貌は書き換えられて行く。
一方、愛媛の松山で。
松山大学マンドリンクラブの夏合宿で、コンサートミストレスを務める篠塚瞳(しのづか ひとみ)が崖から転落して命を落としてから30年が経った。
当時、指揮者だった高木圭一郎とともに篠塚瞳と親しかったOBの、国見冴子と南田、安原は、心に小さな棘を刺したまま、現実のせち辛い世をなんとか生きて五十代を迎えた。
しかし卒業を前に姿を消した、高木は・・・
彼ももちろん、同じように歳を重ねているが、心はあの時代に置いて来てしまったのかもしれない。
瞳が合宿所を飛び出す前に、高木は演奏方法をめぐって彼女と言い争いをした。そんなことはよくある事だったけれど、高木は自分と言い争わなければ、と良心の呵責を感じたのだろう。
彼の過ごした根無草で世捨て人の30年は想像するに余りある荒野の風景である。
今、彼の心は平安だろうか。
彼の心にはまだ音楽があるのか。
街角で、イージーリスニングのコンサートのポスターを見かけたら聴きに入るのだろうか。
そこに瞳が待っていると信じて・・・
『プロローグ』
『第一章 血だまりの中の花びら』
『第二章 事故人材』
『第三章 音叉(おんさ)の響き』
『第四章 ペルセウス座流星群』
『第五章 黒文字(クロモジ)』
『第六章 高潔と無邪気』
『第七章 束縛と依存』
『第八章 署名行為』
『第九章 星の精』
『第十章 散りぬべき時知りてこそ』
『エピローグ』
警察の捜査システムの詳しすぎる説明と、内部告発事件の取って付けたような説明は、どういうふうな理由で必要だったのかなとちょっと思った。 -
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プロローグは1997年、松山大学マンドリンクラブの部員の四年生、高木圭一郎と篠塚瞳が二十年後、三十年後の部員たちがどうなっているかという会話から始まります。
瞳は言います。
「日本のどこかの街で、偶然に私たちは同じポスターを見て、こんなふうに引き寄せられて再会するかもしれないね」
そして高木は
「ポスターを見た時、皆の頭の中で鐘が鳴り響くんやな」
と答えます。
そして第一章からは現在になります。
赤羽で殺人事件が起こります。
殺されたのは60過ぎの体格のいい男性で首を切り裂かれています。左手の薬指に古い傷があり指が無くなっているという特徴があります。
赤羽署に捜査本部がおかれ赤羽署の刑事黒光亜樹32歳と本庁の刑事の榎並がペアになります。
亜樹は殺害現場に血だまりがハートの花びらの形を作っているのに気づき何か手がかりがないかと生花店に花の名前を調べに行きますが…。
二つの話が交互に語られます。
三十年前のマンドリンクラブだったメンバーの再会と警察が追っている赤羽台路上男性殺人事件。
一体この二つの話のどこに繋がりがあるのかと思いながら読みました。私は全然わからなかったのですが、勘のいい方なら二つの物語の繋がりに結構早く気付いてしまうかもしれないと思いました。
とてもせつない物語。
せつなき殺人者のお話でした。 -
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東京で事件を追う女性刑事と、松山で学生時代の辛い思い出を振り返る仲間たち… #その時鐘は鳴り響く
■あらすじ
東京の路上で刺殺死体が発見される。赤羽署に勤務する女性刑事の亜樹は、初めての特別捜査本部で気合が入っていた。しかしバディを組まされた本庁刑事は、どうやら特別な事情を抱えた人物のようで捜査に苦労していた。
一方、愛媛松山大学の卒業生でマンドリンクラブに所属していた冴子と仲間たちは、久しぶりに寄り集まっていた。当時メンバーで合宿をしてた際、亡くなってしまった瞳と行方不明になっている圭一を思い出して…
■きっと読みたくなるレビュー
キレイでいいお話… ちょっと泣きました。
本作は二つの視点で物語が進行していく。まず東京北区の赤羽署で女性刑事として奮闘する亜樹。とっても分かりやすい性格、正義感を丸出しの頑張り屋。真面目で優しく、みんなが応援したくなるキャラクター。
一方、何じゃコイツってのは本庁刑事の榎並。まるでやる気がない挙動に亜樹もイライラ。読者もイライラ。それでもこの二人の地道な聞き込み捜査が読み応えあるんですよ。二人の微妙な距離感にソワソワしちゃうし。
そしてもう一人の視点人物である冴子、もう若くない年齢の女性。学生時代の仲間たちとの再び交流を深めるんですが、今の境遇と若かりし頃の思い出の格差が何やら切なくってさー、私も同世代でして、青春時代を懐かしんでしまいましたね。
さてこの二人の視点、序盤から中盤あたりまでは繋がりがさっぱり見えないんですが、ある小道具をきっかけに一気に繋がってくる。進むべき道が明確になった頃には、亜樹と榎並の関係性にも変化が訪れ、物語の魅力が倍増していくんすよね。いやー、後半はエンタメマシマシの怒涛の展開、面白かったなぁ。
本作は実はかなり色々な要素を入れてるんですが、シンプルにすっきり書くのがお上手なんですよ。分かりやすいっていうのは読者にも伝わりやすいし、共感も得られやすい。この作品の強み自体はめっちゃ光ってるので、素晴らしい書きっぷりだと思いました。
そしてクライマックスですよ。物語の終盤、プロローグとエピローグ。きっと人生経験が豊富な人こそ胸に響く結末が待っていますよ。ええ話やった…
■ぜっさん推しポイント
冴子とこれから結婚する娘との会話が良かったなぁ~。使命感、責任感ってのは大事だし、誇らしいものだけど、柔軟性っていうのも生きていく上で重要なんすよね。
母の想いはしっかりと娘に伝わってるし、娘は自分の力で気づきを得られた。母娘ともに辛いことはあったけど、幸せになれる成果が出ていると思います。人生って、素晴らしいね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレテーマに惹かれたのと、澤村作品目当てと、ホラー作家を発掘したくて手に取った。
イマイチなものもあったが、いくつか好きな話が読めたのでトータルでは良かった。
芦花公園先生の「終の棲家」がとても良かった。この人の作品は他にも読んでみようと思った。
①氷室
家のつくりはワクワクしたが、主人公の罪は余計だった気がする。地域活性化おばちゃん大暴走のサスペンス仕立てで最後に元住人に殺されるの方が良かった。途中からカラクリが見えてしまったし、おじいちゃんが普通に話し始めた時点でちょっと冷めちゃった(笑)
②倒福
軽い読み物としてはギリギリ許せるけど、詮の文字を小さくしてほしかった。読むのに邪魔過ぎた。倒福の意味を調べたけど、この手紙にこのタイトルをつけた意味はよく分からなかった。
③旧家の記憶
自著の宣伝とおじちゃんの思い出話。これはテーマに沿わないし、バラバラとまとまりがない上に、時々下ネタを挟まずにはいられないらしく不快。我慢して読んだが全然面白くなかった。私がスナックの従業員でお金貰ってるなら聞いてやってもいいというレベルの内容。
④やなぎっ記
自動餃子焼きマンに和んでたのに最後怖かった。この女性の襲撃は本当にあったのか教えてほしいです。怪談系っておかしな人も寄ってくるよな〜と思いつつ、順不同で読んでいたので恐ろしい話の後だと人の日々の営みを感じていくらか癒された。創作だとしてもよく出来てる。こういう顔文字使いまくるヤバ過ぎるおばさんは実在する。
⑤たかむらの家
匂いが漂ってきそうな良さがあった。雰囲気があったし、花の腐った匂いというのが良かった。ただ最後の殺人は絶対バレると思う。そしてこの妹は牢屋に入っても生き霊飛ばしてきそうなので、捕まる前に兄に殺されるのではと思う。でも死んでも会いに来そう。家を処分して引っ越したらワンチャン助かるかも。
⑥妹の部屋
元々の家族が異常過ぎて、殺された妹にも同情が湧かない。彼氏も揃っておかしくなるのはちょっと都合が良過ぎるし、最後の方の描写は中高生が書いているように稚拙なヒトコワに感じた。異常な家族で終わらせた方が味わいがあったかも。
⑦笛を吹く家
シンプルに笛吹家が怖かったので、霊的ホラーなままにしてほしかった感がある。オチで冷めちゃったが、家の描写は流石だった。だからこそちゃんとホラーとして、もっと読みたかった。
⑧牢家
なぞなぞみたいで面白かったが、大量行方不明事件の時はごっそり食べ切って、前2つの事件では食べ残しがあったのは何故なんだろう。
⑨トガハラミ
一番描写がグロかったので二度目はもう読みたくない。話は面白かった。性をこじらせると殺人衝動になりやすい、みたいな話は聞いた事があるけど、主人公はなんだか気の毒だったな。相手の男の子ももっと可哀想。セックスは第三者目線で見るもんではないよなぁ。トガハラミの場合は、性的本能が食欲に結びついちゃう感じだったな。
毎夜仏壇の果物をくすねて外に出てる娘に母親が気付かないはずないと思うので、姉()の元に通ってたのは夢の中だったかもしれないな。
⑩終の棲家
怖かったし面白かった。女医さんが統合失調症のおばあちゃんの話を冷静に分析しながら、少し面白がって聞いていたらそれは死の呪いだった…というのがいいし、もっていき方も鮮やか。ゾッとする描写が多くて頭に残った。なにより読みやすかった。
⑪ろろるいの家
海外の悪魔ものに近い印象を受けた。あまりに絶望的でこれはちょっとしんどい。インパクトはあるが。子供や犬を平気で殺すところが容赦なかった。改行もせずに書き切っているところに自信を感じるが、そこまで魅力は感じなかった。もう少しこう…希望がほしい。最後の儀式のくだりで何故そうなったのか答えが欲しかった。家庭教師は話さえしなければ逃れられたのか。なにもかも幻覚にして、一瞬助かりそうな気配を見せておいて「どう足掻いても逃げられないよ」と落とす展開は一周回ってB級ホラー映画でよくあるので、好きじゃないな。
そもそも主人公がこの女性から電話を受けて、詳しくは他の者に連絡させる…と始まって、昔大学生の頃話を伺った回想が入って、最後また電話で終わるのがよく分からなかった。結局詳細を電話で聞いたという事でいいのか?最後の方は話してたよな。 -
Posted by ブクログ
『愚者』『毒』そして表紙のカラス。
薄暗さしか感じない‥‥
しかし、思いがけずなんともほんわかとした第一章。
職安でたまたま出会った二人の女性、葉子と希美。二人はお互いに惹かれ合い親友になっていき、発達障害の疑いのある幼い甥の達也を連れた葉子は住み込みの家政婦の仕事に就く。
この雇い主の理科の教師をしていたという難波先生と達也のやり取りがとても心温まるもので、訳あってここに辿り着いた葉子と達也を取り巻く人たちとのほっこりなお話なのでは?と勘違いしてしまいました。
第二章からのあまりのトーンの違いに、読むスピードがガクンと落ちてしまった私。しかし、ミスリードに気付かされた途端に「は?どういうこと?」と超特急で読み進めました。
賢者と愚者、薬と毒。
どちらに転ぶかはその人次第。
全てが回収されて無駄のない文章。
読み応えたっぷりでした。