宇佐美まことのレビュー一覧
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女性が拉致され、その女性が身に着けていた物や、最後には身体の一部が切り取られて家族に送り付けられる「肌身フェチの殺人者」という異名をもつ犯人が世間を震撼させていた。しかし不動産売買で名をあげた「ザイゼン」の取締役社長・財前彰太は、違う意味で恐れ慄いていた。自身が興信所に勤めていた18年前、ある老人から聞いた事件の犯行内容と瓜二つだったからだ。そしてその18年前の事件の犯人は、彰太がある工作をしたがために、逮捕されることもなく、世に放たれたままだった。
作中でも出てくるが、「因果応報」という言葉がぴったりな内容。自身の行いは自身に返ってくる。主人公を含め、秘密をかかえた人物が多く、それが少 -
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ネタバレまず、表現に小さな違和感。
例えば、天井裏からそこに実在していない少女を見下ろす描写。
「睫毛が頬に影を落とす様も、まるでそこにいるかのように」
天井裏から見ているのに、下にいる少女の睫毛が頬に影をおとす様を視認することができるだろうか?
次に、粘菌の進化について。
環境に適応できた種だけが生き残る。それが種の保存。進化である。
そして粘菌は、平家の怨念が美味しかったので、その餌を求めて人に取り憑く。
これは、進化としてはちょっと無理がある。そもそも人のいない場所で生息しているのだから、人を餌にすること自体、環境に適応できているとは言えない。
平家物語は1221年頃、大沢正の事件 -
Posted by ブクログ
IQが一般のレベルより高く、優秀な頭脳を持っている隆太。それ故学校の先生や生徒に馴染むことが出来ずに不登校になる。ある日公園で本を読んでいると、突然若く美しい女性が彼の目の前に立ち、いきなり手首を切ってみせた。そんな彼女に興味を持った隆太は、彼女が通う定時制の高校に自分も通ってみることにする。
自分の居場所が見つけられない世の中に嫌気がさし、死んでしまいたいと思っている隆太と、手首を切るという自傷行為を繰り返すことで、生を実感することができるという百合子。生きるということに相反する形で向かい合う二人は、やがて恋愛とはかけ離れた場所でお互いによい影響を与え合うようになっていく。
その定時制高校に