宇佐美まことのレビュー一覧

  • 月白

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    タイトルの「げっぱく」は、色を指す言葉で、薄い青が混じった白だそうだ。

    戦後5人の男を殺して死刑となった北川フサのルポを書くことになったフリーライターの誠。取材の中で、道上と言う記者によるフサの事件の書籍に出会い、その姿勢に共鳴しながらフサの過去を追う。その中でフサに同行してた少年がいたことを知る。かつての少年靖男は既に90歳の高齢ではあるが、誠は彼を探し出して取材を試みる。
    靖男は誠の取材を拒否。物語は靖男の視点で語られる。戦後家も家族も失った浮浪児の壮絶な日々が綴られるが、靖男の独白であり、誠には届かない。
    フサと靖男の関係が誠に伝えられることはないが、誠は自身の視点からその繋がりを読み解く。フサの殺人に正当な理由があるとか、実は良い人だったとか、安易な想像で書かない誠は誠実なライターだ。

    フサと靖男の繋がりは、憎しみを持つ者同志ということだけではなかった。靖男は誠に、誰の子かは重要ではない、子どもは近くにいる大人が守ってやらねばならないと話す。それはフサが靖男に伝えたことだった。

    読後感としては‥ちょっとしんどい。

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    2026年07月12日
  • 謎は花に埋もれて

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    短編小説。フラワーショップ橘の店長である志奈子が、友人の菜摘から連絡をもらうことから話が始まる。菜摘の叔母の房枝が、心筋梗塞で亡くなった。房枝の遺体は水浸しで、周りには花瓶と、まだ生き生きとした花々が散らばっていた。その中に一歩だけ、しなびたガーベラが。志奈子はそのガーベラを不審に思い、警察官である夫の昇司に相談する。短い話の中で、花が人の死に関係している。ガーベラ、馬酔木の木、バラ、蜜柑の花、松、桜。一つひとつの話の主人公は違うのに、確かに繋がっているのがよかった。とくに「関係ないものたちがつながってひとつの作品になるのは、この布がタペストリーの一部になるのを受け入れているから。そうなると一つひとつの出会いは偶然じゃなく必然になる。」というセリフがとても良かった!短いし、読みやすかった。

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    2026年07月09日
  • 白と黒のソナタ

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    名匠ウィリアムが製作した渾身の名ピアノ「ニーマイヤー(Niemeyer)」を巡る80年に亘る人々の物語。

    時代の雰囲気に抗せず思い通りの人生を送れなかった人々の悲劇を背負ったニーマイヤー、生涯ニーマイヤーに寄り添った名調律師の弟子、右手が不具になったためにニーマイヤーの受取りを固辞したピアニストが記した五重奏教の楽譜、病で右手が使えなくなった現代の新進気鋭のピアニストが一堂に会する結末は早くから期待された。

    随子を娶った及川成富子爵の精神崩壊や長年行方不明だったニーマイヤーが見出される展開は、もう少し丁寧に書き込まれてもよかったように思える。

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    2026年07月03日
  • 黒鳥の湖

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    ※
    親の苦悩、子の苦悩、勤め人の苦悩など、
    立場の異なる人たちの苦悩。

    切なる悩みに寄り添う者、欺く者、信じる者、
    見守る者、口を閉ざす者、逃げる者。

    家族のつながり、満たされなさ、隠し事、
    崩壊の一途から家族の再生に向けた物語。

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    2026年06月28日
  • 13月のカレンダー

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    原爆の生々しい描写は、読んでいて辛いものだったが、その後の差別、偏見、改めて被爆者の方は被害者なのに辛い目に遭ってきたのだなと思った。 過去の戦争のことを含め、孫である主人公が祖母のことを知りたいと踏み出したことが、結果自分を鼓舞する気持ちへとなっていったのが、読んでいて気持ちよかった。

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    2026年06月18日
  • 白と黒のソナタ

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    「本の雑誌」で高く評価されていた。
    昭和初期にロンドンで作られたピアノの名器に纏わる壮大な物語。楽器の中でも調律師が必要とするのはピアノだけと言う事で、楽器、弾き手との三位一体の存在を描きたかったのかもだが、私の読解力不足の為か読みきれなかった。

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    2026年06月17日
  • 白と黒のソナタ

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    ネタバレ

    百年にわたる悲劇や絶望が次々と描かれ、なかなか重い物語だった。でも現代のピアニスト・伸多の場面から始まるので入り込みやすい。呪いのピアノなのではと思うほど不幸が続くが、その一方で人と音楽を結びつける力も感じた。終盤、伸多が再びピアノを弾く喜びに気づいた時は、ようやく光が見えた気がしてほっとした。重さの中にも希望が残る一冊。

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    2026年06月09日
  • 愚者の毒

    匿名

    購入済み

    他の方も仰ってますが、非常に面白く且つ読み応えがある作品です。

    ただ、読み応えありすぎて、こちらの体力が削られます。(途中、挫けそうになりました)

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    2026年06月03日
  • 13月のカレンダー

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    自身の不正によって失意の底にいる青年が、自分のルーツを探って広島の原爆被爆者にたどり着く。という仕立てなのだけど、本の帯にある通り原爆被害者の語り部さんから聴いているかのように、その場の状況が生々しく伝わってきました。
    核兵器の恐ろしさを語り継ぐために描かれた一冊だと思います。戦争が止まない今、たくさんの方に読んでほしいです。

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    2026年05月20日
  • 超怖い物件

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    ネタバレ

    澤村伊智さんの短編目当てで購入。
    読んでいると見たことある話だなーと思ったら、『怪談小説という名の小説怪談』に収録されている作品だった。。
    けど、やはりおもしろかった。

    前半の話はうーんという話が多かったが、後半は全ておもしろかったので星3。
    「トガハラミ」は最初から取り憑かれていたんだなー。
    「終の棲家」は話を聞いてしまったがために、呪いを移されてしまった。警告はお父さんにされていたのに。
    「ろろるい」は1番気味が悪い終わり方でよかった。

    人怖が多くて、意外と怖くなかった。

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    2026年05月10日
  • 黒鳥の湖

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    ネタバレ

    ザイゼンコーポレーションの社長、財前彰太。
    美しい妻に素直な娘。一等地に建つ一戸建ての家。会社。財産。社会的地位。誰もが羨むような幸せを手に入れた彰太。

    しかし彰太は怯えていた。
    この幸せは、ひとつの綻びで簡単に崩れてしまう脆いものだということに。

    不安に襲われたキッカケは 世間を騒がせているニュースだった。 行方不明になっている女子大生の家族の元に、彼女の持ち物が次々に送られてくるようになった。身につけていた物から、剥がされた爪まで…。1ヶ月後 女子大生は遺体となって発見された。そして新たに行方不明となった女性の家族の元にも、女性の持ち物が送られてくるようになったという。

    ワイドショーで「肌身フェチの殺人者」という(怖いんだかダサいんだかよくわからん笑)異名を付けられた犯人。

    -なぜなんだ。なぜ今あれが繰り返される?

    18年前、興信所の調査員をしていた彰太はある事件の調査の依頼をされる。それは誘拐された娘の持ち物が家に送られてくるというもので…。

    18年前の”犯人”が 再び動き出した-?
    だとしたらこれは因果報応か…。

    目に入れても痛くないほど可愛がっている娘の美華の様子が 突然おかしくなった。露出のたかい服を着、親を罵り 夜遊びをする毎日…。とうとう家に帰らなくなる。

    心配する彰太と妻。

    ある日 二人の元に、美華の物と思われるバックチャームか送り付けられる…。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    み、美華ーーーーーー!!!!
    美華ちゃんがいなくなってからは緊張感MAX。美華ちゃんの母親になった気持ちで読むともう苦しくて頭 おかしくなりそうでした。

    が、正直、美華が姿を消すまでが ちょっと長く感じてしまいました。

    18年前の事件と 現在進行形で起きている「肌身フェチの殺人者」事件。18年前に彰太が起こした行動によって”真犯人”が野放しにされてるのでは?という謎。 彰太の過去がいつか暴かれて 全てを無くしてしまうんじゃないかという緊張感!

    のハズが、彰太があまりにも情けないというか 頼りないというか…。彰太に寄り添って読むことが出来なくて。

    ただ そうしてダラダラと読んでいる中でも
    「コイツあやしくね?」
    「ん?コイツも臭うぞ」
    って人がたくさん出てきて

    クライマックスで あやしい認定してたヤツらが 本当に真っ黒な人間だとわかった時は「先が読める展開〜」なんて気持ちは1ミリも湧いてこなくて、むしろ「HO.RA.NE!」という満足感と、ここまで読んできて良かったーという達成感とでなんか気持ちよかった笑 ありがとう宇佐美先生。

    というか、みんな思てたよりどす黒すぎて慄く笑


    清く正しく真っさらに生きてきた人なんて この世にほんのひと握りかもしれない。でも自分が起こした行動に対してどう向き合っていくか、それが幸せへの分かれ道なのかなぁ〜 なんて思うのでした。

    実は〜もう1冊 宇佐美さん読み終えてるんだよー(誰に対しての呼びかけ?) それが自分的にめっちゃ面白かったのだ
    ( *¯ ꒳¯*)ムフフ

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    2026年05月09日
  • るんびにの子供

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    2006年第一回『幽』怪談文学賞 大賞受賞
    「るんびにの子供」を含む 短編7編。
    なんとデビュー作。

    詳しいレビューは ゆーき本さんの本棚でどうぞよろしく。

    解説が岩井志麻子さん。
    この解説の始まりがすごい。
    “黙り者の屁は臭い” 諺、ということですが、存じませんでした。
    意味は ストレートですね。
    宇佐美作品は、そういう小説だということ。

    宇佐美さんの他の作品もそうなんですけど
    特に今回は短編集ですし、
    しゅっと締まっていて ずんって堕として、しんとしているんですよ。
    もう ほんとに諺のような短編集です。

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    2026年05月01日
  • 愚者の毒

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    現在と過去が交互に語られていく。
    人間とは罪深いものだなあ。
    達先生が温かくて、達也にとって大きな存在だったんだろうな。読後切なくなった。

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    2026年04月18日
  • 逆転のバラッド

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    04月-02。3.5点。
    愛媛の田舎町で銀行員が、川へ落ちて死亡。警察は事故死と判断するが、東京から異動になった新聞記者が怪しみ、調査すると。。。

    面白かった。凝りすぎず、面白いプロットだった。

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    2026年04月07日
  • 謎は花に埋もれて

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    50歳を過ぎて結婚した警察官と花屋のご夫婦の周りで起こる、偶然と必然が重なり合った事件が6篇。
    短編なので、読みやすかった。

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    2026年03月22日
  • 羊は安らかに草を食み

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    ネタバレ

    満州の戦争体験を追想しながら結局は人殺しをする覚悟を決めた老婆×2が死ぬんだから何したっていいじゃないって開き直る話。帯と表紙に惹かれて当時(令和3年くらい)に購入したらしいけど読破するまでにだいぶ時間がかかってしまった。頑張って読んだけど、どうして私はこれを読もうと思ったのか、自分の老後が不安だからか、帯の文言に惹かれたからか、いまの私には想像がつかない。思い出せもしない。”認知症”というワードにひかれたのか。もうそれを患っていた人はいなくなってしまった。

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    2026年02月13日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    児童向けだか澤村伊智が読みたくて。
    どのお話もおもしろかったけど、「えんまさん」と「靴と自転車」が特に好きだった。

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    2026年02月13日
  • 13月のカレンダー

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    評価が高い本でしたので読んでみたのですが、なんだかモヤッとする話でした。終わり方もここで終わるの?という感じで、、、
    読み込みが足りないのかな。

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    2026年01月24日
  • 13月のカレンダー

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    2026/01/11日曜

    13月のカレンダー
    宇佐美まことさん

    広島の原爆のお話

    孫が、13月のカレンダーを見て、
    ルーツを探る

    今度、初めて広島に行く。
    その前に読めて良かったと思う。

    何気ない日常の積み重ねが平和なのだ。

    八月六日、
    コップ一杯の水を窓辺にお供えしたいです。

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    2026年01月11日
  • 月の光の届く距離

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    ネタバレ

    未成年の予期せぬ妊娠、狼狽えて逃げる彼氏、怒る両親。夢であれと願うほど思い詰められた主人公がゲストハウスを営なむ人たちと出会い、手を差しのべられたことによって、自分がどうしたいかだけでなく、赤ちゃんのことまで考えられるほと成長していく姿に感動。
    ただ出てくる登場人物みんな重い過去を持ちすぎて、読むのがつらい場面もあった。

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    2025年12月17日