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一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!
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Posted by ブクログ
こちらでの評価が高いのも納得の作品。現代と過去の苦しい貧しい時代が交互に出ており、過去の壮絶で凄惨な時代を生き抜く2人の若者に苦しくなる。最後まで読めば2人は幸せになれるのかと読み続けるが、最後は人生の帳尻合わせが待っている。 伏線回収もされ、読み応えある作品だった。
現在と過去のパートが交互にでてきて、徐々に過去に起きた事件の真実がわかってくるパターンの話。 過去パートの話がとても興味深く、自分の父親と主人公の年齢が近かったこともあり,最近までこんなに大変な時代があったのかと。炭鉱の話は本当に驚きの連続でした。 過去の出来事も4転5転もして,驚きの連続で,ほろっ...続きを読むとさせられる部分もあり、最後は綺麗に収まり,いうことなしでした。 このかたは、女性の一代記とミステリーを絡めた作品が本当に素晴らしいです。
面白かったです! 貧しく地獄のような場所から逃げる為に父親を殺した少年と少女が過去を捨て、ひっそりと都会に紛れ 何も望まず人生の共犯者となる。 そんな二人がまるで過去からの亡霊が近づくかのように、じわじわと追い詰められていく。 え?白夜行みたい? 似てますね…途中で気づきましたd( ̄  ̄) 白夜行...続きを読むはとても面白く読みましたが主人公に共感は できなかった。 こちら共感しまくりで逃げのびろ!と息がキレそうでした。 この作品は暗いし辛いしで読むのに二日かかってしまったんですが素晴らしい! ストーリー、構成、主人公達、関わる人々、ラストまでの展開、結末。 全てがわたし好みの作品でした♪ 宇佐美まことさん要チェック中です\(//∇//)
読みたかった本。 とてもよかった! 第1章の最後に、え?!っという展開に! 驚いた。 筑豊廃坑集落での地獄のような暮らしは、悲惨で壮絶で読むだけで辛い。実際に大なり小なりあった話なんだろうなと、思った。 「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従って生きる愚者こそ、...続きを読むその毒を有用なものに転じることができるのです。まさに愚者の毒ですよ」と、達也は難波先生から聞く。 達也がしたことがこの言葉によってだとしたら悲しいな。もっと別の解釈をして、二人には一切関わらないで生きていって欲しかったなぁ。
初めて読む作家さんですが、かなり面白かったです。 日本の現代ミステリーで面白いのは大抵読んでしまったかと思っていた自分が恥ずかしい。 まだまだですね、これからも貪欲に良作を探していきたいと考え直しました。 1980年代、葉子は深大寺の難波家で住み込みの家政婦として、甥の達也と共に暮らしていた。 ...続きを読む妹夫婦が借金苦の末に心中をはかり、生き残った達也を引き取らざるを得なかったためであった。 両親の心中を機に言葉を発しなくなった5才の甥の他、妹夫婦は多重債務による借金も葉子に残していた。 途方に暮れた葉子は、職安で生年月日が全く同じ希美と出会う。 2人次第に心を通わせるようになり、葉子は希美の紹介で難波家の家政婦という職を得る。 難波家には、かつて教職にあった主とその息子のユキオが暮らしていた。 葉子は深大寺で暮らすうち、ユキオに惹かれていく。 時は過ぎ、60代となった葉子は伊豆にある高級老人ホームに入居していた。 大腿骨に難病を発症し、夫のユキオには迷惑をかけずに暮らすためだ。 ここで静かに暮らしながら、葉子はかつて深大寺で起きた様々な出来事や、自分の生い立ちを思い返すー。 3つの章から成る本作は、葉子または希美の一人称で語られます。 第2章まで読み進めると、読者は1章で既に作者にまんまと騙されていたことに気付きます。 ここからもう一気読み。 驚かされる仕掛けは他にもいくつかありますが、これが本当に痛快。ミステリーを読む楽しさを思い出させてくれました。 さすがに最後に用意されていたサプライズには早い段階で気付きましたが、それでも十分に楽しめました。 とは言え、逃げ場のない苦しさに満ちた作品であるのも事実。 高度経済成長期の日本でこんな暮らしをしていた人達がいたなんて。知らなかった分、余計にずしりと響くものがありました。 また本作内で唯一、その胸中が誰の口からも語られることがなかった達也の気持ちを思うと、フィクションであると分かっていてもやりきれなくなりました。 良い作品に出会えました。 大満足です。 2020年60冊目。
圧倒されました。すごい小説です。九州の炭鉱。あんな壮絶な世界があるのでしょうか。のほほんと生きてきた身には想像もできない日常です。しかも子供たちが生活する場なのに。平等な世界、公平な社会などこの世にはなく、夢のまた夢なのですね。幼い達也くんと先生や由紀夫さんがふれあう武蔵野の場面だけは天国のようでし...続きを読むた。最近暗い本しか読んでいないので気分転換したい感じです。
身勝手な妹夫婦の負債を背負わされ、孤児となった口のきけない甥の達也と二人途方に暮れていた1985年、上野の職安で出会った希美と葉子。同じ生年月日だった事が縁で友情を深めていく。 希美の紹介で家政婦として住み込み働く葉子。 元教師の難波先生と、息子の由起夫との穏やかな生活の中で、いつしか由起夫にひかれ...続きを読むて行く葉子。 美人で頭が良く都会的な希美だが、人には言えない壮絶な過去があった。 全ての始まりは1965年筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった。 余生を老人ホームで過ごす葉子。その傍らには夫の由紀夫がいた。 難波先生の不審死をきっかけに過去の因縁が襲いかかる。 現在と、それぞれの過去が交互に書かれており、希美の過去では苦しくて読む手を止め、でも続きが気になり読み進め、ラストに近づくにつれて伏線回収が凄すぎて、このまま読み終えるのが勿体なくなり数日空けてはチビチヒ読み進め、読み終えて一週間引きずりようやくレビューにたどり着いた。 早く読みたいのに、読み終えなくない!!そんな一冊にまた出会ってしまった。 途中、「百夜行」や、「Nのために」がよぎった。 共通しているのは、逃げ場のない悪環境の中で生まれた罪。そして罪の共有。 読み終えてから表紙のイラストを改めて見ると二人の表情や輪郭がよりはっきり見え驚いた。
『愚者』『毒』そして表紙のカラス。 薄暗さしか感じない‥‥ しかし、思いがけずなんともほんわかとした第一章。 職安でたまたま出会った二人の女性、葉子と希美。二人はお互いに惹かれ合い親友になっていき、発達障害の疑いのある幼い甥の達也を連れた葉子は住み込みの家政婦の仕事に就く。 この雇い主の理科の教師を...続きを読むしていたという難波先生と達也のやり取りがとても心温まるもので、訳あってここに辿り着いた葉子と達也を取り巻く人たちとのほっこりなお話なのでは?と勘違いしてしまいました。 第二章からのあまりのトーンの違いに、読むスピードがガクンと落ちてしまった私。しかし、ミスリードに気付かされた途端に「は?どういうこと?」と超特急で読み進めました。 賢者と愚者、薬と毒。 どちらに転ぶかはその人次第。 全てが回収されて無駄のない文章。 読み応えたっぷりでした。
初読みの作者さん。フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってみた。 1985年、たまたま上野の職安で出会った葉子と希美。希美の紹介で葉子が深大寺の旧家で住み込みの家政婦として働くことになったのをきっかけに二人が関係を深めていく様が描かれる。 閑静な武蔵野での出来事の間に挟まれる、2015年、伊...続きを読む豆の高級老人ホームで暮らす女性の述懐の中でさらりと語られる単語に物語の不穏さが増し、何は起きたのかを知りたくて頁を繰る手が進んでいく。 中盤以降で明かされる真相は、最後の最後まで予断を許さない、小道具の使い方まで含めて手が込んだ作りで、とても良く出来ていると思った。 ただ、第二章で、昭和の高度成長時代と対比して描かれる、1965年~66年にかけての筑豊の悲惨な生活の描写の濃さが強烈で、ミステリーとしての面白さが霞んでしまった印象も受けたのでした。
タイトルの意味、構成内容がとても深く、心をえぐられる日本推理作家協会賞受賞作品でした。 貧困と犯罪、社会の二極化を扱い、現在パートと過去パートを交互に描く作品は他にもあった気がします。けれども本作は、社会時事を取り込みながら、犯罪ミステリー・社会派寄りのヒューマンドラマとして、絶妙のバランス加減...続きを読むだと感じました。 「私」という一人称展開で、「私」が誰なのかミスリードに混乱するなど、多くの伏線の張り巡らせ方と回収法も見事ですし、重いけれども先の見えない展開にも引き込まれました。 3部構成で時代・場所が変遷し、各章題『武蔵野陰影』『筑豊挽歌』『伊豆溟海』も秀逸です。 宇佐美さんは、貧困と飢餓、そしてそれ以上の絶望を読み手に突き付けます。社会への怒りさえ感じます。人の心に潜む暗い情念、負の側面、心の暗部を巧みに浮き彫りにしながら、読み手を激しく動揺させ、物語へ感情移入させてくれました。 タイトルでもあり、終末の「愚者の毒」の解釈は人それぞれでしょうが、著者は哀しく弱い立場の者、他から愚かに見える(そうならざるを得なかった)人たちへ救済の光を当てたのだと思います。「愚者の毒」をもってして、"裁き"ではなく"安寧"を与えたのでしょう。 愚者も毒も二面性があり、賢者と愚者、薬と毒の境界は曖昧です。でも、個人的に愚直な人や行為は好きです。そうなれない自分をさて置き、応援したくなりますもん‥。
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