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Posted by ブクログ 2023年06月04日
現在と過去のパートが交互にでてきて、徐々に過去に起きた事件の真実がわかってくるパターンの話。
過去パートの話がとても興味深く、自分の父親と主人公の年齢が近かったこともあり,最近までこんなに大変な時代があったのかと。炭鉱の話は本当に驚きの連続でした。
過去の出来事も4転5転もして,驚きの連続で,ほろっ...続きを読むとさせられる部分もあり、最後は綺麗に収まり,いうことなしでした。
このかたは、女性の一代記とミステリーを絡めた作品が本当に素晴らしいです。
Posted by ブクログ 2023年04月07日
面白かったです!
貧しく地獄のような場所から逃げる為に父親を殺した少年と少女が過去を捨て、ひっそりと都会に紛れ
何も望まず人生の共犯者となる。
そんな二人がまるで過去からの亡霊が近づくかのように、じわじわと追い詰められていく。
え?白夜行みたい?
似てますね…途中で気づきましたd( ̄  ̄)
白夜行...続きを読むはとても面白く読みましたが主人公に共感は
できなかった。
こちら共感しまくりで逃げのびろ!と息がキレそうでした。
この作品は暗いし辛いしで読むのに二日かかってしまったんですが素晴らしい!
ストーリー、構成、主人公達、関わる人々、ラストまでの展開、結末。
全てがわたし好みの作品でした♪
宇佐美まことさん要チェック中です\(//∇//)
Posted by ブクログ 2023年01月06日
読みたかった本。
とてもよかった!
第1章の最後に、え?!っという展開に!
驚いた。
筑豊廃坑集落での地獄のような暮らしは、悲惨で壮絶で読むだけで辛い。実際に大なり小なりあった話なんだろうなと、思った。
「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従って生きる愚者こそ、...続きを読むその毒を有用なものに転じることができるのです。まさに愚者の毒ですよ」と、達也は難波先生から聞く。
達也がしたことがこの言葉によってだとしたら悲しいな。もっと別の解釈をして、二人には一切関わらないで生きていって欲しかったなぁ。
Posted by ブクログ 2022年09月03日
初めて読む作家さんですが、かなり面白かったです。
日本の現代ミステリーで面白いのは大抵読んでしまったかと思っていた自分が恥ずかしい。
まだまだですね、これからも貪欲に良作を探していきたいと考え直しました。
1980年代、葉子は深大寺の難波家で住み込みの家政婦として、甥の達也と共に暮らしていた。
...続きを読む妹夫婦が借金苦の末に心中をはかり、生き残った達也を引き取らざるを得なかったためであった。
両親の心中を機に言葉を発しなくなった5才の甥の他、妹夫婦は多重債務による借金も葉子に残していた。
途方に暮れた葉子は、職安で生年月日が全く同じ希美と出会う。
2人次第に心を通わせるようになり、葉子は希美の紹介で難波家の家政婦という職を得る。
難波家には、かつて教職にあった主とその息子のユキオが暮らしていた。
葉子は深大寺で暮らすうち、ユキオに惹かれていく。
時は過ぎ、60代となった葉子は伊豆にある高級老人ホームに入居していた。
大腿骨に難病を発症し、夫のユキオには迷惑をかけずに暮らすためだ。
ここで静かに暮らしながら、葉子はかつて深大寺で起きた様々な出来事や、自分の生い立ちを思い返すー。
3つの章から成る本作は、葉子または希美の一人称で語られます。
第2章まで読み進めると、読者は1章で既に作者にまんまと騙されていたことに気付きます。
ここからもう一気読み。
驚かされる仕掛けは他にもいくつかありますが、これが本当に痛快。ミステリーを読む楽しさを思い出させてくれました。
さすがに最後に用意されていたサプライズには早い段階で気付きましたが、それでも十分に楽しめました。
とは言え、逃げ場のない苦しさに満ちた作品であるのも事実。
高度経済成長期の日本でこんな暮らしをしていた人達がいたなんて。知らなかった分、余計にずしりと響くものがありました。
また本作内で唯一、その胸中が誰の口からも語られることがなかった達也の気持ちを思うと、フィクションであると分かっていてもやりきれなくなりました。
良い作品に出会えました。
大満足です。
2020年60冊目。
Posted by ブクログ 2022年03月23日
話も登場人物も暗くて暗くて…陰気で…
最後、全てが繋がるのは気持ち良かったけど
結局、悪人たちは長生きして納得できない。
確かに辛く苦しい生い立ちだったけど
やっていいこと悪いことの判断ができずにずっと言い訳や人のせいばかりしていて
私は二人の主人公に感情移入は出来なかった。
だけど、航空機事...続きを読む故はずっとクローズアップされるのに炭鉱事故はみんなが忘れ去っていて
それに対する憤りはわかるような気がした。
Posted by ブクログ 2022年03月02日
宇佐美まこと6冊め。
3章構成で、第1章の武蔵野編がとっても素晴らしい。
先生の雰囲気がすごくいい。ちょっと「博士の愛した数式」っぽい感じ。
1章のラスト、カラスがしゃべるところとか涙出てくる。すごく切ない。
ガラッと変わる第2章の筑豊編。
ここはもう悲惨とした書きようがない。
そこで生活するし...続きを読むかない子どもは、とにかく可哀想。
運命共同体の二人。なんとなく「白夜行」と重なる。
そして、第3章は、答え合わせの章。
ご丁寧に解説付きで解答を教えてくれるような、そんな内容。
宇佐美まことさん、6冊めなんだけれど、
最初や途中の勢いが、最後に強引にまとめちゃうところが、
もったいない気がするなぁ・・・
あとものすごく残念なのが、表紙の絵。
なんだかなぁ。内容知らなかったら、絶対に手に取らないと思う。
Posted by ブクログ 2021年12月09日
圧倒されました。すごい小説です。九州の炭鉱。あんな壮絶な世界があるのでしょうか。のほほんと生きてきた身には想像もできない日常です。しかも子供たちが生活する場なのに。平等な世界、公平な社会などこの世にはなく、夢のまた夢なのですね。幼い達也くんと先生や由紀夫さんがふれあう武蔵野の場面だけは天国のようでし...続きを読むた。最近暗い本しか読んでいないので気分転換したい感じです。
Posted by ブクログ 2021年12月01日
身勝手な妹夫婦の負債を背負わされ、孤児となった口のきけない甥の達也と二人途方に暮れていた1985年、上野の職安で出会った希美と葉子。同じ生年月日だった事が縁で友情を深めていく。
希美の紹介で家政婦として住み込み働く葉子。
元教師の難波先生と、息子の由起夫との穏やかな生活の中で、いつしか由起夫にひかれ...続きを読むて行く葉子。
美人で頭が良く都会的な希美だが、人には言えない壮絶な過去があった。
全ての始まりは1965年筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった。
余生を老人ホームで過ごす葉子。その傍らには夫の由紀夫がいた。
難波先生の不審死をきっかけに過去の因縁が襲いかかる。
現在と、それぞれの過去が交互に書かれており、希美の過去では苦しくて読む手を止め、でも続きが気になり読み進め、ラストに近づくにつれて伏線回収が凄すぎて、このまま読み終えるのが勿体なくなり数日空けてはチビチヒ読み進め、読み終えて一週間引きずりようやくレビューにたどり着いた。
早く読みたいのに、読み終えなくない!!そんな一冊にまた出会ってしまった。
途中、「百夜行」や、「Nのために」がよぎった。
共通しているのは、逃げ場のない悪環境の中で生まれた罪。そして罪の共有。
読み終えてから表紙のイラストを改めて見ると二人の表情や輪郭がよりはっきり見え驚いた。
Posted by ブクログ 2021年08月12日
終盤からはページを捲る手が止まらなかった。
物語が終わってしまう事が残念だった。
香り立つような美しい情景、色を感じない過酷な時代背景、抉るような心理描写、どれもこれも光と闇に満ち溢れていた。
正しい事を言えるのは、望まれている身においているからだと思う。
未来には絶望しかない状況で、その日生きる...続きを読む事で精一杯の者を誰が責められるだろう。
傍から、そんな事はいけないと言うのは簡単。
もっとつらい人がいると言うのは簡単。
言うだけなら簡単。
実際に手を差し伸べ、援助し、生きる道をお膳立てしてあげられなければ、全ては偽善に満ちた正論に過ぎないのだと思う。
正論など、時にはなんの足しにもならない。
大好きな一冊にまた出会えて嬉しく思う。
Posted by ブクログ 2024年03月28日
タイトルの意味、構成内容がとても深く、心をえぐられる日本推理作家協会賞受賞作品でした。
貧困と犯罪、社会の二極化を扱い、現在パートと過去パートを交互に描く作品は他にもあった気がします。けれども本作は、社会時事を取り込みながら、犯罪ミステリー・社会派寄りのヒューマンドラマとして、絶妙のバランス加減...続きを読むだと感じました。
「私」という一人称展開で、「私」が誰なのかミスリードに混乱するなど、多くの伏線の張り巡らせ方と回収法も見事ですし、重いけれども先の見えない展開にも引き込まれました。
3部構成で時代・場所が変遷し、各章題『武蔵野陰影』『筑豊挽歌』『伊豆溟海』も秀逸です。
宇佐美さんは、貧困と飢餓、そしてそれ以上の絶望を読み手に突き付けます。社会への怒りさえ感じます。人の心に潜む暗い情念、負の側面、心の暗部を巧みに浮き彫りにしながら、読み手を激しく動揺させ、物語へ感情移入させてくれました。
タイトルでもあり、終末の「愚者の毒」の解釈は人それぞれでしょうが、著者は哀しく弱い立場の者、他から愚かに見える(そうならざるを得なかった)人たちへ救済の光を当てたのだと思います。「愚者の毒」をもってして、"裁き"ではなく"安寧"を与えたのでしょう。
愚者も毒も二面性があり、賢者と愚者、薬と毒の境界は曖昧です。でも、個人的に愚直な人や行為は好きです。そうなれない自分をさて置き、応援したくなりますもん‥。
Posted by ブクログ 2023年07月27日
っちゅうわけで、みんみん&おびーの腐女子え女子?コンビおすすめの『愚者の毒』です(また余計なこと言う)
毎回言ってますが、相変わらず驚愕の抽斗の多さですね
しかも開け方が的確
今野敏さんなんかもめちゃくちゃ抽斗多いですけど「そこ開けなくていいのに」(また余計なこと言う)
よっけいな〜もの...続きを読むなど〜なっいっよね〜♪
(遂に余計こと歌い出す)
えー、どうしよ
方言について語るかタイトル『愚者の毒』について語るか
うーん、ここは飛鳥に敬意を表して愚者の方で!(はい余計)
いろんな説明すっ飛ばして先生が達也に言ったセリフね
「『命を奪う毒と命を救う薬との違いはほんのわずかである』ってね。人が普段気にとめもしない両性類、バクテリア、昆虫、植物、爬虫類なんかが護身用に身に付けた毒素が、人間を救う夢の薬に生まれ変わるんですよ。素晴らしいでしょう?小さいから役に立たないなんて思ってはいけません。この世に存在するすべてのものは意味を持って生まれてきてるんですからね」
「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従って生きる愚者こそ、その毒を有用なものに転じることができるのです。まさに愚者の毒ですよ」
で、ラストです
達也が持っている知識や技術(毒)を、先生の言いつけを守って有用なもの(薬)に転じたわけですよね
だから彼は最後に「愚者の毒」と言ったわけです
誰にとって有用だったのか?もちろん薬を飲む人にとってです、普通の人にとっては毒だけどその人にとっては薬(救い)だったのではないでしようか
そしてもっと言えばその毒は達也の手から渡されなければ薬になり得なかったのではないか
だから最後に彼は現れたのではないか
そして物語はこんなことを問うているんではないでしょうか
果たして勇次と希美は中途半端な賢者だったのか、それとも身の内に毒を持った愚者だったのか
そしてあなたは?
Posted by ブクログ 2023年05月11日
あっぱれです。
現代と過去ともっと過去を行き来する物語だが、伏線の回収、微妙な差異、流される違和感、それらがうまく繋がっている。
切なくもあり、怖くもある。
どこで誰が道を間違ったのか、これも全部運命なのか。
非常に良くできたストーリーでした。
是非とも実写化してほしい。
ただ、炭鉱のところの方言が...続きを読む読みにくかったです。
それ以外は読みやすく、登場人物の微妙な感情など、とてもうまく綺麗に表現されていました。
本当にあっぱれ。
Posted by ブクログ 2023年04月18日
2015年夏、一人の女性が介護付老人ホームを終の住処と選び、そこで過去と向かい合う。彼女が向かい合う過去と現在を交錯させながら、犯してきた罪が語られていく。
一章では、語り部を前触れなく変えてくるので、女性が誰であるのか、混乱して作者の思惑にはまる。
貧困から逃げる為、罪を犯す。罪を隠すために嘘を重...続きを読むねる。嘘を貫く為に、再び罪を犯す。彼女はただ一人の友人であるはずの女性さえ、嘘の道具としてしまった。
1960年代の廃坑集落の社会問題を底に扱い社会派小説として、罪を重ねる犯罪小説として、ヒューマンドラマとして楽しめる作品でした。
養子に出した、幼児期精神的ストレスから失語症となっていた少年・達也が、成長して生物研究者となり名前を変えて、女性の前に現れる。彼が、自分の犯した罪を「愚者の毒」と表現する。作者が、タイトルにもしたこの意味合いをかなり考えたのだけど、決定打を思いつかなかった。
「愚者の毒」はヒ素の異名らしい。ヒ素を使うとすぐにバレてしまうから。達也がカラスを可愛がっていた事があるところから、トリックに使って身元をわからせる様にかなあー?単純に、少年期に蓄積された毒の放出の比喩かなー?毒の中でも筑豊の鉱山がらみで、ヒ素の表現と愚者を兼ねて?面白かったからまあいいか。
Posted by ブクログ 2023年02月12日
途中で展開は読めたものの視点と時代がテンポよく交錯して進む話が面白かった。昭和の不便さを上手く利用した人生の切り開き方は決して褒められるものではないけれど。
Posted by ブクログ 2023年02月10日
宇佐美まことさん
「羊は安らかに草を喰み」を読み、ファンになりました。3冊目です。
社会の底辺を生きる人達の想像を絶する暮らし
貧しさゆえに罪を犯し、その罪のために幸せになることをみずから禁じる姿に心が痛みます。
ユキオの義父となる先生の優しさに救われました。
Posted by ブクログ 2023年01月30日
3つの時代が進行しつつ謎が明らかに。1965年の話は顔が歪むほどの嫌悪感でそれを引き摺りながら進む。この不気味な表紙と毒々しいタイトルにひかれて。読後もう一度表紙を眺めたら不気味さが増していた。お話はテンポよく途中で展開が読めてきたけれどそれでも最後まで夢中で読んだ。
登場人物が少なく、場所、場面も限られている。ただ、時代が昔の話と現在の話がいったりきたりするので、頭をしっかりしないと、わからなくなる。私は2度読んで、成る程と面白いと思った。登場人物の話は一人を除き、とても温かいのだけど、色んな偶然が重なり、思わぬ方向へ、転換していく。どんでん、どんでん返しみたい...続きを読むな。少し過去の話がうざいところもあるが、一読の価値あり。是非。
Posted by ブクログ 2022年06月13日
全てが上手く繋がっているのだが、その事が逆に出来過ぎ感を感じてしまい、ミステリーとしてはちょっと評価が落ちた。
三井三池炭鉱は今は世界遺産との事なので、機会があれば訪れてみよう。
Posted by ブクログ 2022年03月23日
2022.03.21
同じ読書の趣味を持つ同僚(ソウルメイト)から借りた小説。
暗い話ぽいなぁ…と思いつつ読むのを止められず3時間半ほどで一気読みしてしまった。さすがソウルメイトのおすすめ。間違いがなかった。
とにかく暗い。主な登場人物の人生全部暗い。
ハコの達也への複雑な思いが絡み合う第1部は...続きを読む切ない。最後のアコチャン!のところは涙が出そうになるほど。
序盤はハコがこの物語の主人公だと思わされていて、二部からガラッと立場が逆転するのもうまい。二部はもう、本当に救いがない。早く逃げて!殺して!と思いながら読んだ。
そういうことだったのか!と真相が徐々に明らかになっていき、全てが繋がるのが気持ち良い。
最後に難波先生の言っていた言葉、マス婆の言葉とともに伏線が全部うまく回収されたのが本当にうまいなぁと感心した。
難波先生は全てわかっていて、ユキオを哀しい人と言ったのがまた切ない。
ハッキリとは書かれていなかったけど、達也が引き取った商社マンの妻はきっと律子なんだろうと思う。
Posted by ブクログ 2021年11月04日
松本清張や東野圭吾作品を思い出すようなテーマだった。宇佐美まこと作品は、単にミステリーではなく、歴史に埋もれた哀しい事実を知るきっかけともなる。
Posted by ブクログ 2021年04月12日
持ち歩きながら少しずつ読み進めたけど、不思議と場所、気分を選ばすいつでも読めた。現在と過去の展開も程よい切り替えで面白かった。宇佐美さんのは2作目、他の作品も読んでみたい。
余計なお世話だけど、表紙もうちょっとどうにかならなかったのか。
Posted by ブクログ 2021年03月27日
前向きに生きようとする裏に潜む深い闇を、時代の流れを見せながら、展開する罪と転落のミステリー。炭鉱の世界は全く知らなかったが、辛く厳しいところからまさに命懸けで脱出するところは読み進めるのが辛いくらいだった。タイトルとしたキーワードはちょっとわからないまま。
Posted by ブクログ 2021年02月08日
宇佐美さんの本はとっても読みやすくてわかりやすく面白い。
主人公だと思ってた人が実は違ったという面白い展開と炭鉱の町の暗く重苦しい雰囲気にグイグイ引き込まれる。
でも、地元の私でも同じ県内だけど方言がきつすぎて意味が分からない所があり、これ他県の人が呼んだらちんぷんかんぷんじゃないのか?
色々な作...続きを読む家の方が、福岡の炭鉱の街を舞台とした本を描いていて、どの作品もとても興味深く面白かった。
炭鉱の町の栄枯盛衰 日本の戦後復興と高度成長をを支えた貴重な歴史として伝え残して行くべき歴史だと思います。l
Posted by ブクログ 2022年08月20日
過去と現在を行き来する密度の濃い重い中身。人物の正体や成り行きはうっすら予想できたものの、着地点が分からないおもしろさにハマってゆく。
ノンとユウの場合、悲惨な生活から抜け出すために過ちを犯すが、それすらも生きる手段の一つだったように思えて何が正解だったのか読み終わっても答えが出なかった。大人が大人...続きを読むの責任を果たしていない以上子どもに正論を求めるのは無理だろう。二人を責める気になれず、どこまでも罪を引きずっていく生き方がひたすらやるせない。
「愚者の毒」という題名に込められた意味が読後深く深く胸に沈む。
Posted by ブクログ 2023年10月29日
この世は良い行いが報われる因果応報であると信じたいです。
「無償の愛とか、母性とか、曖昧でとらえどころのないものは恐怖でしかない」
「他人の見解に便乗して賢者になるくらいなら、むしろ自力だけに頼る愚者であるほうがましだ」
Posted by ブクログ 2023年03月30日
入れ代わりに気がつき、それが確信となってからが面白かった。
竹丈や希美の父、加藤のおぞましさ、邪悪さが物語を加速させていた。
品よく笑い返してあげた。
この人は、本当の貧しさがどんなものか知らないだろう。(略)生き抜くために恐ろしい決断をすること、心の底から絶望することがどんなことか―。
...続きを読むこのくだりが、素晴らしいと思った。
Posted by ブクログ 2022年02月03日
現在の章、昔の章があって、誰がどれだー?と思いながら読んだ。
昔の章は、難しくて途中あきてきてしまったけど、全部繋がった時はおもろしかった。
表紙がなかなか難しそうな絵とタイトルで、実際に購入するまで何度も見送り。
最後、もうこのまま何もなく終わるかなぁって思ってたら、そういえば達也がいたーって...続きを読むなった。
Posted by ブクログ 2018年06月20日
過去と現在を行き来しながら物語は進む。序盤は思わせぶりでまどろっこしい語り口に辟易したが、第一章の終幕から雲行きが一変し、三池炭鉱事故の史実に基づく第二章は非常に気が重くなった。最終章では全ての謎が綺麗に解けるが、この真相がまた重苦しく、折角見つけた光を己の手で葬ってしまった二人の罪悪感は筆舌に尽く...続きを読むしがたい。途中で筋書きは読めてしまうものの、最後の一行が終わると同時に流れるエンドロールが目に浮かぶ映画的な作品でもあった。哀しい物語だが、葉子と達也の紡がれなかった絆は何とも美しい。当然「白夜行」は連想した。