【感想・ネタバレ】愚者の毒のレビュー

あらすじ

一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

タイトルの意味やら伏線回収やら誠に綺麗に収まった
1章〜3章まで全て面白かった

1章と3章で「希美」の印象がらっと変わる
最後の数ページ、本当予想してない展開だったし、「あなたのしたことは正しかった」がすごく刺さる

そして個人的には3章と飛行機事故と炭鉱事故の対比にはっとしました

完全初見でレビュー買いしたけれどもとても良かった
確かにテーマはものすごく重いけどもおすすめ
面白かった満足

0
2025年04月16日

Posted by ブクログ

こちらでの評価が高いのも納得の作品。現代と過去の苦しい貧しい時代が交互に出ており、過去の壮絶で凄惨な時代を生き抜く2人の若者に苦しくなる。最後まで読めば2人は幸せになれるのかと読み続けるが、最後は人生の帳尻合わせが待っている。
伏線回収もされ、読み応えある作品だった。

0
2024年05月28日

Posted by ブクログ

現在と過去のパートが交互にでてきて、徐々に過去に起きた事件の真実がわかってくるパターンの話。
過去パートの話がとても興味深く、自分の父親と主人公の年齢が近かったこともあり,最近までこんなに大変な時代があったのかと。炭鉱の話は本当に驚きの連続でした。
過去の出来事も4転5転もして,驚きの連続で,ほろっとさせられる部分もあり、最後は綺麗に収まり,いうことなしでした。
このかたは、女性の一代記とミステリーを絡めた作品が本当に素晴らしいです。

0
2023年06月04日

Posted by ブクログ

面白かったです!
貧しく地獄のような場所から逃げる為に父親を殺した少年と少女が過去を捨て、ひっそりと都会に紛れ
何も望まず人生の共犯者となる。
そんな二人がまるで過去からの亡霊が近づくかのように、じわじわと追い詰められていく。

え?白夜行みたい?
似てますね…途中で気づきましたd( ̄  ̄)
白夜行はとても面白く読みましたが主人公に共感は
できなかった。
こちら共感しまくりで逃げのびろ!と息がキレそうでした。

この作品は暗いし辛いしで読むのに二日かかってしまったんですが素晴らしい!

ストーリー、構成、主人公達、関わる人々、ラストまでの展開、結末。
全てがわたし好みの作品でした♪
宇佐美まことさん要チェック中です\(//∇//)

0
2023年04月07日

Posted by ブクログ

読みたかった本。
とてもよかった!

第1章の最後に、え?!っという展開に!
驚いた。

筑豊廃坑集落での地獄のような暮らしは、悲惨で壮絶で読むだけで辛い。実際に大なり小なりあった話なんだろうなと、思った。

「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従って生きる愚者こそ、その毒を有用なものに転じることができるのです。まさに愚者の毒ですよ」と、達也は難波先生から聞く。
達也がしたことがこの言葉によってだとしたら悲しいな。もっと別の解釈をして、二人には一切関わらないで生きていって欲しかったなぁ。

0
2023年01月06日

Posted by ブクログ

初めて読む作家さんですが、かなり面白かったです。
日本の現代ミステリーで面白いのは大抵読んでしまったかと思っていた自分が恥ずかしい。
まだまだですね、これからも貪欲に良作を探していきたいと考え直しました。


1980年代、葉子は深大寺の難波家で住み込みの家政婦として、甥の達也と共に暮らしていた。
妹夫婦が借金苦の末に心中をはかり、生き残った達也を引き取らざるを得なかったためであった。
両親の心中を機に言葉を発しなくなった5才の甥の他、妹夫婦は多重債務による借金も葉子に残していた。
途方に暮れた葉子は、職安で生年月日が全く同じ希美と出会う。
2人次第に心を通わせるようになり、葉子は希美の紹介で難波家の家政婦という職を得る。
難波家には、かつて教職にあった主とその息子のユキオが暮らしていた。
葉子は深大寺で暮らすうち、ユキオに惹かれていく。

時は過ぎ、60代となった葉子は伊豆にある高級老人ホームに入居していた。
大腿骨に難病を発症し、夫のユキオには迷惑をかけずに暮らすためだ。
ここで静かに暮らしながら、葉子はかつて深大寺で起きた様々な出来事や、自分の生い立ちを思い返すー。


3つの章から成る本作は、葉子または希美の一人称で語られます。
第2章まで読み進めると、読者は1章で既に作者にまんまと騙されていたことに気付きます。
ここからもう一気読み。
驚かされる仕掛けは他にもいくつかありますが、これが本当に痛快。ミステリーを読む楽しさを思い出させてくれました。

さすがに最後に用意されていたサプライズには早い段階で気付きましたが、それでも十分に楽しめました。

とは言え、逃げ場のない苦しさに満ちた作品であるのも事実。
高度経済成長期の日本でこんな暮らしをしていた人達がいたなんて。知らなかった分、余計にずしりと響くものがありました。
また本作内で唯一、その胸中が誰の口からも語られることがなかった達也の気持ちを思うと、フィクションであると分かっていてもやりきれなくなりました。

良い作品に出会えました。
大満足です。

2020年60冊目。

0
2022年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話も登場人物も暗くて暗くて…陰気で…

最後、全てが繋がるのは気持ち良かったけど
結局、悪人たちは長生きして納得できない。

確かに辛く苦しい生い立ちだったけど
やっていいこと悪いことの判断ができずにずっと言い訳や人のせいばかりしていて
私は二人の主人公に感情移入は出来なかった。

だけど、航空機事故はずっとクローズアップされるのに炭鉱事故はみんなが忘れ去っていて
それに対する憤りはわかるような気がした。

0
2022年03月23日

Posted by ブクログ

師匠が先日宇佐美さんを読んでおられ、積んであった中から宇佐美さんを選びました。


職安で葉子と希美が出会うところから物語の幕が開く。
2人とも過去に何があることが匂わされるのだが、真実はジワジワと開示されていく。この辺りを読んでいる時は、遠田潤子先生のような感じの本かな?と感じていた。

第一章は葉子目線で、葉子の過去が明らかに。

第二章から舞台が一気に変わり、希美目線で、壮絶な希美の過去が少しずつ明らかになっていく。


宇佐美さんはこういう古い時代の描写がお得意なのかしら?まだ数冊しか読んでいないのでわかりませんが、昭和の時代の重たい描写が非常に巧みで、巧み過ぎて感情移入型の私は苦しくて苦しくて。゚(゚´ω`゚)゚。


愚者の毒。何故愚者の毒なんだろう?
考えますよね。

おびのりさんのレビューを読み直して、読み方が流石だなぁ、、、
考察が深いなぁと感心しました。

それから師匠のレビューを見たら、素晴らしいことが書かれていて。
たまに良いこと書かれていますが、流石師匠!って思いました。

暗くて辛くて疲れる描写が多いですが、宇佐美さんは注目していきたいなって思いました。


三連休ですね(*´꒳`*)
特に予定はありませんがお休みは嬉しいです♪

先日から何故か鰻が食べたくて仕方ないです。
鰻食べたいなぁ。。。

0
2025年09月13日

Posted by ブクログ

『愚者』『毒』そして表紙のカラス。
薄暗さしか感じない‥‥
しかし、思いがけずなんともほんわかとした第一章。
職安でたまたま出会った二人の女性、葉子と希美。二人はお互いに惹かれ合い親友になっていき、発達障害の疑いのある幼い甥の達也を連れた葉子は住み込みの家政婦の仕事に就く。
この雇い主の理科の教師をしていたという難波先生と達也のやり取りがとても心温まるもので、訳あってここに辿り着いた葉子と達也を取り巻く人たちとのほっこりなお話なのでは?と勘違いしてしまいました。
第二章からのあまりのトーンの違いに、読むスピードがガクンと落ちてしまった私。しかし、ミスリードに気付かされた途端に「は?どういうこと?」と超特急で読み進めました。
賢者と愚者、薬と毒。
どちらに転ぶかはその人次第。
全てが回収されて無駄のない文章。
読み応えたっぷりでした。

0
2024年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老人ホームに入った裕福なお婆ちゃんの回顧録 と思って読み進めたら、想像以上の人生だった…。

明らかな悪人はいるのだけど、あの二人はどうなの?悪人…か?でも、遺された側からすると…やはり悪人か。。
些細なボタンの掛け違いで起こってしまった気もする。
けど、当事者によって捉え方は違うから、ラストのああいう行動をしたのも仕方ない気もするし。

0
2024年08月25日

Posted by ブクログ

初読みの作者さん。フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってみた。

1985年、たまたま上野の職安で出会った葉子と希美。希美の紹介で葉子が深大寺の旧家で住み込みの家政婦として働くことになったのをきっかけに二人が関係を深めていく様が描かれる。
閑静な武蔵野での出来事の間に挟まれる、2015年、伊豆の高級老人ホームで暮らす女性の述懐の中でさらりと語られる単語に物語の不穏さが増し、何は起きたのかを知りたくて頁を繰る手が進んでいく。
中盤以降で明かされる真相は、最後の最後まで予断を許さない、小道具の使い方まで含めて手が込んだ作りで、とても良く出来ていると思った。
ただ、第二章で、昭和の高度成長時代と対比して描かれる、1965年~66年にかけての筑豊の悲惨な生活の描写の濃さが強烈で、ミステリーとしての面白さが霞んでしまった印象も受けたのでした。

0
2024年07月22日

Posted by ブクログ

 タイトルの意味、構成内容がとても深く、心をえぐられる日本推理作家協会賞受賞作品でした。
 貧困と犯罪、社会の二極化を扱い、現在パートと過去パートを交互に描く作品は他にもあった気がします。けれども本作は、社会時事を取り込みながら、犯罪ミステリー・社会派寄りのヒューマンドラマとして、絶妙のバランス加減だと感じました。

 「私」という一人称展開で、「私」が誰なのかミスリードに混乱するなど、多くの伏線の張り巡らせ方と回収法も見事ですし、重いけれども先の見えない展開にも引き込まれました。
 3部構成で時代・場所が変遷し、各章題『武蔵野陰影』『筑豊挽歌』『伊豆溟海』も秀逸です。

 宇佐美さんは、貧困と飢餓、そしてそれ以上の絶望を読み手に突き付けます。社会への怒りさえ感じます。人の心に潜む暗い情念、負の側面、心の暗部を巧みに浮き彫りにしながら、読み手を激しく動揺させ、物語へ感情移入させてくれました。

 タイトルでもあり、終末の「愚者の毒」の解釈は人それぞれでしょうが、著者は哀しく弱い立場の者、他から愚かに見える(そうならざるを得なかった)人たちへ救済の光を当てたのだと思います。「愚者の毒」をもってして、"裁き"ではなく"安寧"を与えたのでしょう。

 愚者も毒も二面性があり、賢者と愚者、薬と毒の境界は曖昧です。でも、個人的に愚直な人や行為は好きです。そうなれない自分をさて置き、応援したくなりますもん‥。

0
2024年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

っちゅうわけで、みんみん&おびーの腐女子え女子?コンビおすすめの『愚者の毒』です(また余計なこと言う)

毎回言ってますが、相変わらず驚愕の抽斗の多さですね
しかも開け方が的確
今野敏さんなんかもめちゃくちゃ抽斗多いですけど「そこ開けなくていいのに」(また余計なこと言う)

よっけいな〜ものなど〜なっいっよね〜♪
(遂に余計こと歌い出す)

えー、どうしよ
方言について語るかタイトル『愚者の毒』について語るか
うーん、ここは飛鳥に敬意を表して愚者の方で!(はい余計)

いろんな説明すっ飛ばして先生が達也に言ったセリフね
「『命を奪う毒と命を救う薬との違いはほんのわずかである』ってね。人が普段気にとめもしない両性類、バクテリア、昆虫、植物、爬虫類なんかが護身用に身に付けた毒素が、人間を救う夢の薬に生まれ変わるんですよ。素晴らしいでしょう?小さいから役に立たないなんて思ってはいけません。この世に存在するすべてのものは意味を持って生まれてきてるんですからね」
「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従って生きる愚者こそ、その毒を有用なものに転じることができるのです。まさに愚者の毒ですよ」

で、ラストです
達也が持っている知識や技術(毒)を、先生の言いつけを守って有用なもの(薬)に転じたわけですよね
だから彼は最後に「愚者の毒」と言ったわけです
誰にとって有用だったのか?もちろん薬を飲む人にとってです、普通の人にとっては毒だけどその人にとっては薬(救い)だったのではないでしようか
そしてもっと言えばその毒は達也の手から渡されなければ薬になり得なかったのではないか
だから最後に彼は現れたのではないか

そして物語はこんなことを問うているんではないでしょうか
果たして勇次と希美は中途半端な賢者だったのか、それとも身の内に毒を持った愚者だったのか
そしてあなたは?

0
2023年07月27日

Posted by ブクログ

あっぱれです。
現代と過去ともっと過去を行き来する物語だが、伏線の回収、微妙な差異、流される違和感、それらがうまく繋がっている。
切なくもあり、怖くもある。
どこで誰が道を間違ったのか、これも全部運命なのか。
非常に良くできたストーリーでした。
是非とも実写化してほしい。
ただ、炭鉱のところの方言が読みにくかったです。
それ以外は読みやすく、登場人物の微妙な感情など、とてもうまく綺麗に表現されていました。
本当にあっぱれ。

0
2023年05月11日

Posted by ブクログ

2015年夏、一人の女性が介護付老人ホームを終の住処と選び、そこで過去と向かい合う。彼女が向かい合う過去と現在を交錯させながら、犯してきた罪が語られていく。
一章では、語り部を前触れなく変えてくるので、女性が誰であるのか、混乱して作者の思惑にはまる。
貧困から逃げる為、罪を犯す。罪を隠すために嘘を重ねる。嘘を貫く為に、再び罪を犯す。彼女はただ一人の友人であるはずの女性さえ、嘘の道具としてしまった。
1960年代の廃坑集落の社会問題を底に扱い社会派小説として、罪を重ねる犯罪小説として、ヒューマンドラマとして楽しめる作品でした。


養子に出した、幼児期精神的ストレスから失語症となっていた少年・達也が、成長して生物研究者となり名前を変えて、女性の前に現れる。彼が、自分の犯した罪を「愚者の毒」と表現する。作者が、タイトルにもしたこの意味合いをかなり考えたのだけど、決定打を思いつかなかった。
「愚者の毒」はヒ素の異名らしい。ヒ素を使うとすぐにバレてしまうから。達也がカラスを可愛がっていた事があるところから、トリックに使って身元をわからせる様にかなあー?単純に、少年期に蓄積された毒の放出の比喩かなー?毒の中でも筑豊の鉱山がらみで、ヒ素の表現と愚者を兼ねて?面白かったからまあいいか。

0
2023年04月18日

Posted by ブクログ

途中で展開は読めたものの視点と時代がテンポよく交錯して進む話が面白かった。昭和の不便さを上手く利用した人生の切り開き方は決して褒められるものではないけれど。

0
2023年02月12日

Posted by ブクログ

宇佐美まことさん
「羊は安らかに草を喰み」を読み、ファンになりました。3冊目です。
社会の底辺を生きる人達の想像を絶する暮らし
貧しさゆえに罪を犯し、その罪のために幸せになることをみずから禁じる姿に心が痛みます。
ユキオの義父となる先生の優しさに救われました。

0
2023年02月10日

Posted by ブクログ

3つの時代が進行しつつ謎が明らかに。1965年の話は顔が歪むほどの嫌悪感でそれを引き摺りながら進む。この不気味な表紙と毒々しいタイトルにひかれて。読後もう一度表紙を眺めたら不気味さが増していた。お話はテンポよく途中で展開が読めてきたけれどそれでも最後まで夢中で読んだ。

0
2023年01月30日

購入済み

悲しい話

登場人物が少なく、場所、場面も限られている。ただ、時代が昔の話と現在の話がいったりきたりするので、頭をしっかりしないと、わからなくなる。私は2度読んで、成る程と面白いと思った。登場人物の話は一人を除き、とても温かいのだけど、色んな偶然が重なり、思わぬ方向へ、転換していく。どんでん、どんでん返しみたいな。少し過去の話がうざいところもあるが、一読の価値あり。是非。

0
2022年09月19日

Posted by ブクログ

情けなさ、惨めさという自分を嫌う感情が静かに刺さるのが印象に残った。ミステリーとしては謎解きというよりも上手くできすぎという感じも否めない。

0
2022年08月10日

Posted by ブクログ

全てが上手く繋がっているのだが、その事が逆に出来過ぎ感を感じてしまい、ミステリーとしてはちょっと評価が落ちた。

三井三池炭鉱は今は世界遺産との事なので、機会があれば訪れてみよう。

0
2022年06月13日

Posted by ブクログ

酷い親元で育った子の人生は惨い 主人公は誰だ?に着目しすぎたあまり、やられました(^^;)
実際にあった炭坑事故の残酷さを物語の中で語っておるのだけど。公害問題しか知らなかった。近年の歴史を知る上でも、国内にあった問題は知っておくべきだと思う。

0
2025年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

過去と現在を行き来する密度の濃い重い物語。人物の正体や成り行きはうっすら予想できたものの、着地点がわからないおもしろさにハマってゆく。
ノンとユウの場合、悲惨な生活から抜け出すために過ちを犯すが、それすらも生きる手段の一つだったように思えて何が正解だったのか読み終わっても答えが出なかった。大人が大人の責任を果たしていない以上子どもに正論を求めるのは無理だろう。二人を責める気になれず、どこまでも罪を引きずっていく生き方がひたすらやるせない。
『愚者の毒』という題名に込められた意味が読後深く深く胸に沈む。

0
2022年08月20日

Posted by ブクログ

古い時代設定と地方の方言など、読みにくさは否めない。1章から3章まで時代や場面が切り替わり、少しずつ繋がっていく感じが読み取れる。暗いテーマであり酷なシーンも多い。丁寧な描写で意外な展開もあるが、少々長いなと思った。

0
2025年11月14日

Posted by ブクログ

個人的・夏のホラー特集。旅行の供として持って行ったんだけど、ちょっと合わなかった。シチュエーションが違えば印象も違ったんだろうけど…。出だしは面白く読み進めていたんだけど、炭鉱の章が自分には合わず、そこでかなりのトーンダウン。終盤に向けてだいぶ持ち返すんだけど、炭鉱が足を引っ張ってしまい、総合評価もいまひとつ。残念。

0
2025年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストは想像だにしてなくてすごく面白かったけど、とにかく読みづらくて重くて読み進めるのがしんどかった…

0
2025年02月27日

Posted by ブクログ

他の方のレビューから興味を持った作品。
カバーイラストの不穏さがすごい!

タイトルの「愚者の毒」は作品の中でひとりの登場人物によって語られるもので、理解するのがちょっと難しい内容だった。

弱い立場にいるもの(愚者)であっても
己の中に何か武器となるもの(毒)を持て、的な感じかなと理解していた。

この人物は作中では善人として描かれていて、
暗く悲惨な宿命をかかえる者たちの中において
唯一の癒しとなる存在。
にもかかわらず、
このことがのちのち与える影響を思うと、
励ましのつもりで言ったことも
受け取る側の捉え方によって変わるものであり、
なんだか皮肉だ。

最後の伏線回収の章は
あらかたそうだろうな、と
わかっていたことの重複となっていて
ドキドキ感はあまりなく、残念。

あれこれ起こった現在の事件よりも
過去の炭鉱爆発や、そこに関わり悲惨な日々を送った人々の描写の方により心をえぐられた。

0
2024年12月10日

Posted by ブクログ

第70回日本推理作家協会賞受賞作とのこと。
この作者の本は初めて読むが、暗い物語だった。
三つの時代にまたがって話が進む。老年となり過去を回顧している2015年、主人公の女性二人が出会った1985年、そして廃坑集落での子供時代の1965年。
後半1/3くらいからは読むスピードが上がったが、それまでは悲惨だった子供時代など暗いトーンで話が進む。それだけ丁寧に書き込んであるということだが、暗く重いので好みは分かれるでしょう。

0
2024年10月28日

Posted by ブクログ

貧困と犯罪、過去と現在
重いテーマであるため、終始暗澹とした気持ちになりました。
物語の大筋は序盤から何となく察することはできるのですが、ラストは衝撃でした。そしてタイトルの意味の回収。

圧倒的な闇の中にも僅かな明かりが灯る
この明かりが、誰かの救いになっていればという希望が僅かながらに残る読後が、不快さだけの読後感にならずに済んでいる所以なんだろう

0
2024年06月13日

Posted by ブクログ

この世は良い行いが報われる因果応報であると信じたいです。

「無償の愛とか、母性とか、曖昧でとらえどころのないものは恐怖でしかない」
「他人の見解に便乗して賢者になるくらいなら、むしろ自力だけに頼る愚者であるほうがましだ」

0
2023年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

入れ代わりに気がつき、それが確信となってからが面白かった。

竹丈や希美の父、加藤のおぞましさ、邪悪さが物語を加速させていた。


品よく笑い返してあげた。
 この人は、本当の貧しさがどんなものか知らないだろう。(略)生き抜くために恐ろしい決断をすること、心の底から絶望することがどんなことか―。

このくだりが、素晴らしいと思った。

0
2023年03月30日

「小説」ランキング