あらすじ
一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!
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Posted by ブクログ
話も登場人物も暗くて暗くて…陰気で…
最後、全てが繋がるのは気持ち良かったけど
結局、悪人たちは長生きして納得できない。
確かに辛く苦しい生い立ちだったけど
やっていいこと悪いことの判断ができずにずっと言い訳や人のせいばかりしていて
私は二人の主人公に感情移入は出来なかった。
だけど、航空機事故はずっとクローズアップされるのに炭鉱事故はみんなが忘れ去っていて
それに対する憤りはわかるような気がした。
Posted by ブクログ
老人ホームに入った裕福なお婆ちゃんの回顧録 と思って読み進めたら、想像以上の人生だった…。
明らかな悪人はいるのだけど、あの二人はどうなの?悪人…か?でも、遺された側からすると…やはり悪人か。。
些細なボタンの掛け違いで起こってしまった気もする。
けど、当事者によって捉え方は違うから、ラストのああいう行動をしたのも仕方ない気もするし。
Posted by ブクログ
っちゅうわけで、みんみん&おびーの腐女子え女子?コンビおすすめの『愚者の毒』です(また余計なこと言う)
毎回言ってますが、相変わらず驚愕の抽斗の多さですね
しかも開け方が的確
今野敏さんなんかもめちゃくちゃ抽斗多いですけど「そこ開けなくていいのに」(また余計なこと言う)
よっけいな〜ものなど〜なっいっよね〜♪
(遂に余計こと歌い出す)
えー、どうしよ
方言について語るかタイトル『愚者の毒』について語るか
うーん、ここは飛鳥に敬意を表して愚者の方で!(はい余計)
いろんな説明すっ飛ばして先生が達也に言ったセリフね
「『命を奪う毒と命を救う薬との違いはほんのわずかである』ってね。人が普段気にとめもしない両性類、バクテリア、昆虫、植物、爬虫類なんかが護身用に身に付けた毒素が、人間を救う夢の薬に生まれ変わるんですよ。素晴らしいでしょう?小さいから役に立たないなんて思ってはいけません。この世に存在するすべてのものは意味を持って生まれてきてるんですからね」
「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従って生きる愚者こそ、その毒を有用なものに転じることができるのです。まさに愚者の毒ですよ」
で、ラストです
達也が持っている知識や技術(毒)を、先生の言いつけを守って有用なもの(薬)に転じたわけですよね
だから彼は最後に「愚者の毒」と言ったわけです
誰にとって有用だったのか?もちろん薬を飲む人にとってです、普通の人にとっては毒だけどその人にとっては薬(救い)だったのではないでしようか
そしてもっと言えばその毒は達也の手から渡されなければ薬になり得なかったのではないか
だから最後に彼は現れたのではないか
そして物語はこんなことを問うているんではないでしょうか
果たして勇次と希美は中途半端な賢者だったのか、それとも身の内に毒を持った愚者だったのか
そしてあなたは?
Posted by ブクログ
過去と現在を行き来する密度の濃い重い物語。人物の正体や成り行きはうっすら予想できたものの、着地点がわからないおもしろさにハマってゆく。
ノンとユウの場合、悲惨な生活から抜け出すために過ちを犯すが、それすらも生きる手段の一つだったように思えて何が正解だったのか読み終わっても答えが出なかった。大人が大人の責任を果たしていない以上子どもに正論を求めるのは無理だろう。二人を責める気になれず、どこまでも罪を引きずっていく生き方がひたすらやるせない。
『愚者の毒』という題名に込められた意味が読後深く深く胸に沈む。