宇佐美まことのレビュー一覧

  • ボニン浄土

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    ネタバレ

    読み始めと終わりの気持ちの温度差に驚いた。
    鎖国真っ只中の江戸時代、日本の端の島「ボニン・アイランド」での遭難者の男と異国の女の出会いから始まる、めくるめく人の運命の変遷と血脈の妙にここまで胸が高鳴るとは!
    全く関係ないように見える複数のパートと過去が集約され、気持ちいいほどパタパタとピースが嵌まっていく宇佐美さんお得意の最終章はますます圧巻の境地。
    海を渡り歩くカナカの女たちのたくましさと情の深さ、マリアの情熱、幸乃の悲愴な覚悟…小笠原の島を愛する魂の想いが結実し受け継がれていく命と縁の神秘は計り知れない。

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    2024年07月26日
  • 愚者の毒

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    初読みの作者さん。フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってみた。

    1985年、たまたま上野の職安で出会った葉子と希美。希美の紹介で葉子が深大寺の旧家で住み込みの家政婦として働くことになったのをきっかけに二人が関係を深めていく様が描かれる。
    閑静な武蔵野での出来事の間に挟まれる、2015年、伊豆の高級老人ホームで暮らす女性の述懐の中でさらりと語られる単語に物語の不穏さが増し、何は起きたのかを知りたくて頁を繰る手が進んでいく。
    中盤以降で明かされる真相は、最後の最後まで予断を許さない、小道具の使い方まで含めて手が込んだ作りで、とても良く出来ていると思った。
    ただ、第二章で、昭和の高度成長時

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    2024年07月22日
  • 超怖い物件

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    家系ホラーが好きなので読んでみた。
    あんま怖くないなーって読み進めてたけど、最後2篇が怖くてびっくり。

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    2024年07月19日
  • 角の生えた帽子

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    ホラーというよりは、純文学的な空気感を感じた。ホラー的な展開ではあるが、市井の人々の暮らしと悲しみを描きつつエンタメとして昇華させている。
    著者の文体によるものなのだろうか、静謐な印象を受けた。

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    2024年07月16日
  • 少女たちは夜歩く

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    ネタバレ

    それぞれの話の主人公の心情が細かく描かれているからか、悪が裁かれる形が多く理不尽さが少なかったからか、ホラーと言っても読み進めていくと怖さより面白さが勝った。ページが進むにつれ色んな人の繋がりが見えてきて関係性が整理されていき、すっきりとした読後感だった。

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    2024年06月12日
  • 超怖い物件

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    普段から心霊系の動画をよく鑑賞しているので、興味があり読んでみた。
    うん、物件にまつわる怖い話がギュッと詰まっていました。
    「終の住処」「ろろるいの家」等、海外でのホラー作品にはない日本ならではの、背筋の凍る感じの怖さがありました。
    また、「笛を吹く家」や「トガハラミ」は、”ホラー“を意外なところで感じさせてくれて、オリジナリティがあって新鮮でした。
    面白い話しかなかったように感じます。

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    2024年05月25日
  • 骨を弔う

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    増水で土が抉られた堤防の土中から、謎の骨格標本が発見されたというニュースを見た豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。だが、それは記事の発掘場所とは異なっていた。
    あれは本当に骨格標本だったのか。そんな思いを抱いた豊は、今は都内で勤務する哲平に会いに行くことに。
    あの日、俺たちは本当は何を埋めたんだろう。


    横暴な教師へのいたずらのため、骨格標本を隠して埋めた小学生時代の思い出。それから数十年後、目にしたニュースをきっかけにその日の真実を明かそうとするミステリー小説です。
    小学生って、大人からみると本当に子どもに見えるけど、時々大人もハッとするようなことを

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    2024年04月21日
  • 愚者の毒

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     タイトルの意味、構成内容がとても深く、心をえぐられる日本推理作家協会賞受賞作品でした。
     貧困と犯罪、社会の二極化を扱い、現在パートと過去パートを交互に描く作品は他にもあった気がします。けれども本作は、社会時事を取り込みながら、犯罪ミステリー・社会派寄りのヒューマンドラマとして、絶妙のバランス加減だと感じました。

     「私」という一人称展開で、「私」が誰なのかミスリードに混乱するなど、多くの伏線の張り巡らせ方と回収法も見事ですし、重いけれども先の見えない展開にも引き込まれました。
     3部構成で時代・場所が変遷し、各章題『武蔵野陰影』『筑豊挽歌』『伊豆溟海』も秀逸です。

     宇佐美さんは、貧困

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    2024年03月28日
  • 逆転のバラッド

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    新聞記者、風呂屋、骨董屋、元ヤクザ、くたびれたオヤジたちが面白い。

    事件を追いながら、段々と変わっていく新聞記者の弘之、家族の中で何も言えない毎日の中、一発逆転に立ち上がる骨董屋の富夫、読みながら応援したくなる。

    後半は、ドキドキして、途中でやめられませんでした。
    絵手紙もとても良かったし、重さと明るさのバランスが微妙で、読み終えた時は、気持ち良かった!
    満足の一冊です。

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    2024年03月16日
  • 超怖い物件

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    来月公開の映画『変な家』の予告編を劇場で観るたび、怖い、観たい、怖いという思いの繰り返し。原作には手を出せなかったけど、これなら読めそうな気がして。

    書き手はとても魅力的な11人。曰く付きの家だったり部屋だったりが登場します。内藤了の“よろず建物”シリーズ中にあった座敷牢の話が凄く怖くて、以来、座敷牢をイメージさせる物語にビビりまくり。ここにもひとつありました。

    全話読んで思うのは、「出られない家」は恐ろしいということ。当たり前か(笑)。怖くて飲酒しつつテレビで『アメトーク』をつけたまま読んだ最終話は読み直さなければ。(^^;

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    2024年02月02日
  • 展望塔のラプンツェル

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    「ここで生まれ育ったら将来はヤクザになるか職人になるか」とされる地域で虐待され続ける幼い子や、ヤクザの世界に踏み込んでいく少年が、救われる道が見えず暗澹たる気持ちになる。性暴力シーンなど辛くて読むのをやめようかと思ったけど、最後まで読んでよかった。
    でも、結局救えなかった存在が引っかかって切ない。それが現実でもあるということか。

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    2024年01月21日
  • 展望塔のラプンツェル

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    ネタバレ

    親ガチャの一言で片付けられない根深い問題、子どもたちを取り巻く地域ガチャや環境ガチャの負の連鎖に絶句。那希沙たちが置かれた過酷な境遇は読めば読むほど辛い。
    でも、ハレと海と那希沙、子どもたちの問題に取り組む児相の職員の悠一、不妊に悩む落合夫婦、別々に進行するそれぞれの物語はいったいどこで交わるのだろう?という期待に宇佐美さんは今回も見事に応えてくださった。
    「自分の人生を他人にまかせるな」の海の言葉と、新しい明日を生きることを教えてくれるこの作品が現実に苦しむ誰かの“ラプンツェルの髪”になればいいなと願う。

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    2024年01月07日
  • るんびにの子供

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    るんびにの子供

    宇佐美まことさんのデビュー作ということで期待して読んでみたけど期待を裏切らない。
    人間の闇と怪異がうまいこと混ざって醸し出る仄暗い雰囲気
    決して煽らず大袈裟でもなく、静かに淡々と暗いものが周りを包んでいくような感覚でした。大満足の読後感。

    「とびだす絵本」は小さい頃自分が夢見ていたものがそのまま物語になっているようでびっくり。この本の中ではこれだけ異質でホラーよりもファンタジー寄りな気もしましたが私は好きでした。

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    2024年01月22日
  • 骨を弔う

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    骨格標本の頭蓋骨を埋めるという、小学校時代の出来事を大人になってから追います。
    あれは本当に骨格標本だったのか、それとも…

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    2023年10月07日
  • 鳥啼き魚の目は泪

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    滅びゆく者をテーマにした本は何故かそそられる。背景に流れている雰囲気が好きで冒頭から引き込まれた。昭和初期、限られた時代を生きたある華族の哀しみと、異能の作庭師の熱情が静かに呼応する「美しい庭」の物語だった。
    当主である房興は家というものに取り込まれ、個を埋没させている。経済的には恵まれてはいたが、自分らしい豊かな人生を生きてきたわけではなかった。才能ある純朴な新進気鋭の庭師・溝延兵衛に庭園を造ってもらうことになり、彼の生き様や、彼の作品である庭に寄せる思いを聞き、房興と彼の妻・韶子は自分自身を見つめ直す。

    作庭師が雇い主の吉田房興に話す
    「決められた道を行くことは簡単でございます。既にある

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    2023年10月04日
  • 逆転のバラッド

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    最近の宇佐美まことの作品、ニコが読んでいる限りではあるんですが、
    温かいものに変わってきたように思います。
    マジ、いい話。
    本作も数年前に喧伝されてた事件を連想させつつ、地方のドンともいえる
    ワルいヤツをみんなで懲らしめよう的なお話。
    ウン、楽しく読めましたが好みではなかったです。

    でも、以前の作品が好きすぎて、宇佐美まこと、新刊でれば読むだろうなぁ。
    買うことはないけど。

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    2023年09月13日
  • 鳥啼き魚の目は泪

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    『清閒庭(せいけんてい)』は昭和初期に天才庭師・溝延兵衛(みぞのべ ひょうえ)が、時の公爵・吉田房興(よしだ ふさおき)の依頼を受け、池を埋め立てて作り上げた広大な枯山水である。
    浜辺に打ち寄せる波の音が聞こえてくる心地がする。
    この庭に魅せられたのは現代の建築設計士・高桑透(たかくわ とおる)。
    彼も知らない、清閒庭と吉田家にまつわる秘められた物語を、公爵夫人・韶子(あきこ)付きの女中トミが語る。

    滅びの予感が漂う。
    「華族」といえば「斜陽」・・・と条件反射のように連想してしまう。
    これも一つの、沈みゆく陽の物語だと思う。
    庭づくりに熱中し、やがては取り憑かれたかのようにのめり込んでいく・

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    2023年09月09日
  • 熟れた月

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    バラバラの話しが最後に繋がって感動した。金に纏わる再生のストーリーで最初は登場人物が最悪な展開で苦しくなったが、それぞれの運命が絡み合い人生大きく変わっていく。

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    2023年09月02日
  • 逆転のバラッド

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    ネタバレ

    宇佐美まこと作品2冊目
    前回読んだ『羊は安らかに草を食み』は、老婆3人が主人公だったが・・・
    今回 謎を解き明かすのは中年のおやじ3人

    松山の小さな町の古い銭湯仲間 新聞記者の弘之、銭湯店主の邦明、骨董店の店主富夫。
    事件は銭湯の蒔き釜が老朽化をして、融資を銀行に頼むことから始まる。
    担当の銀行員 丸岡はまじめな好青年で手続きを進めてくれていたのだが・・・
    その丸岡が大雨の日 不審な死を遂げる。
    その真相を暴くため立ち上がった3人
    事件は大きな裏組織や代議士・病院が関わっていた。

    登場人物たちのキャラがたっていて、会話のテンポも心地よく 一緒になって謎解きをしてるかのように引き込まれていく

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    2023年09月02日
  • 展望塔のラプンツェル

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     ラプンツェルと云ったらディズニーですよね。でも、元々はグリム童話! 知りませんでした‥。
     本書は、ディズニーとは似ても似つかず、余りにも悲惨で虐げられた人たちの物語で、終盤まで続く救いの無さに、切なく辛い内容でした。

     舞台となる多摩川市は、開発の進む北部地域と荒んだ臨海部の南部地域に分かれ、この南部を地元の成金が建てた展望塔が見下ろしているのでした。
     育児放棄された5歳男児、性的虐待を受ける17歳少女、その少女を救う少年、取り憑かれたように不妊治療をする夫婦の危機、業務に忙殺され疲弊状態の児童相談所職員‥。これらの人々の人生が交差し重なっていきます。

     「ラプンツェルが、塔の上から

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    2023年08月22日