宇佐美まことのレビュー一覧

  • 恋狂ひ

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    単行本「いきぢごく」改題
    旅行代理店の重役で独身の鞠子は、義兄との昔の情事を思いながら、11歳年下の社員と逢瀬を重ねる
    そんなとき、妻帯者の恋人を殺してしまい、四国遍路の旅に出た戦前の女性の手記を見つけ、のめり込んでいく
    鞠子と女遍路の人生がうまく絡むように展開して女性の情欲の業を描き、その先の復讐劇で見事な伏線回収
    結果的に事件にまで発展した鞠子の欲を理解できるような、理解したくないような…そんな物語でした

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    2026年02月16日
  • 月の光の届く距離

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    ネタバレ

    高校生の美優は妊娠し、彼氏からも両親からも見放される。家を出てもうまくいかず手を差し伸べてくれた大人に頼り出産に望む。明良と華南子が血縁なので夫婦でなく兄弟でゲストハウスをしながら養子を育てる、そんな大きな家族の中で出産まで暮らせた美優は本当に良かったな。だからこそ頑なな感情のままシングルマザーになるわけではなく特別養子縁組をして自分は大学で勉強したい気持ちになったのだろう。夢物語だと思ったりもするけど、困って福祉の手が届かない人が少しでも減ることを願う。

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    2026年02月13日
  • 13月のカレンダー

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    サバイバーズギルトは初めて知った言葉だけれども、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際を奇跡的にくぐり抜けた自分がいて、くぐり抜けられなかった大切な人がいて。しかも他者の無念が自分への温情に起因していたのなら、いくら責任を問われなくても、いいようのない罪悪感に苛まれるでしょうよ。原爆の悲劇、なによりも心に投下された悲哀を限りなく現実的に描く。はてしない絶望感と喪失感。なんとかそれを癒そうという愛情から作られた13月のカレンダー。その架空の時間が生んだ過去への回帰とは儚い幻想だった。それで終わればよかったのになぜ…。

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    2026年02月10日
  • 超怖い物件

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    12人の作家さんによる物件怪談小説集でハズレが少ない。特に最初のオチにゾッとさせられた、宇佐美まこと先生の「氷室」がベストでした!

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    2026年02月02日
  • 13月のカレンダー

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    仕事を退職した時に父から連絡があり、もう十数年訪れてなかった父方の祖父母の家に行く事に。
    すでに祖父母は亡くなっており、残されたものから足跡をたどると、祖母は広島出身で、兄を原爆で亡くしてた事を知る。祖母の知り合いを辿るうちに、被爆者差別や祖母の後悔、父の恐怖を知る事となり、自分自身の生き方とも向き合っていく。
    原爆が落ちた時の描写が生々しく怖かった。また、被爆者達のその後の苦悩もよくわかるように描かれていて、良かった。

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    2026年01月31日
  • 愚者の毒

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    ネタバレ

    ひょんな事から知り合いになる葉子と希美。
    それぞれくらい過去を持つがお互いに心を交わすようになる。それがちょっとした行き違いで運命が狂ってしまう。
    しかし、1965年頃の筑豊の廃坑集落の生活は想像以上の貧しさで驚いてしまう。
    暗い本だった。

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    2026年01月28日
  • 羊は安らかに草を食み

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    ネタバレ

    認知症になった高齢女性の読んだ俳句を元に、彼女の人生が語られていく読み応えのある作品だった。
    おばぁちゃま達の友情が素敵だなぁという気持ちと、戦後の満州での壮絶な体験にぞっとするのとで気持ちが忙しかった。
    たくましく生きる少女ふたりの体験にはらはらした。
    終盤に娘のクソ旦那を殺してやろうみたいな展開がいきなり火曜サスペンスっぽいチープさがでて、あまり好きじゃなかった。
    しかも益恵さんが手を下すならまだしも、なんでお友達の2人が???という気持ち。
    あれだけ大変な日々を共に生き抜いた2人が、人生の終わりにようやく再開して寄りそう。そういうシンプルな終わり方が素敵だったなぁ…

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    2026年01月18日
  • 謎は花に埋もれて

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    読みやすく、各登場人物の感情が切々と伝わってくる文章で夢中になって読んだ。
    「クレイジーキルト」と「家族写真」が特に良かった。
    全編通して登場する花屋さんと警察官の夫婦がすごく素敵だったので、続編があると嬉しい。

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    2026年01月09日
  • 羊は安らかに草を食み

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    俳句仲間である友人の富士子とアイが
    認知症が進む益江のために
    益江の人生を辿る旅に出かけるロードノベル
    人生を深掘りするだけのよくある物語かと思ったら
    とんでもなかった!
    悲惨な戦争体験が絡んだ重たい重たいお話でした

    11歳の益江が家族と満洲から引き上げる際
    逃げ惑い自分と妹以外は集団自決で亡くなる
    赤ん坊の妹は連れては行けず置き去りに
    その後同じ境遇の佳代と知り合い
    二人の少女だけで満洲から日本への引き上げを果たすがその体験が壮絶だった

    本当に辛い思い出は心の奥深いところに沈んでいて
    認知が進んで剥ぎ取られていくように
    直近の思い出が薄らぎ
    奥底の封じ込めていた思いが
    露わになっていくようでした
    それは耐え難い悲しい思い出の
    追体験のようにも思えました

    最後の旅
    益江と佳代が再会を果たした後の驚愕の展開!

    それでも物語の最後は
    二人の長い長い戦後の旅がやっと終わりを遂げたようでした

    満洲での過酷な日々
    羊のように弱々しげだった少女達
    彼女達は野生の羊のように逞しく大胆に生き延びて
    辛い体験も悲しい気持ちも全部昇華されて
    やっと心の平安が得られた

    のんびりと草を喰んでいる羊達

    そんな牧歌的情景が目に浮かび
    まさにバッハの曲を聴いた後のように
    穏やかな気持ちになりました

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    2026年01月03日
  • その時鐘は鳴り響く

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    東京赤羽で起きた殺人事件を捜査する刑事たちと、松山大学マンドリンクラブOBたちの様子が交互に描かれる。まったく接点が浮かばない展開に困惑するものの、どちらもおもしろいのでかまわず読み進める。
    主人公の女刑事が執拗にこだわる2点がキモなんだろうと思い、実際それが事件解決のきっかけになったことにやや強引さは感じたが、全体として見れば無理のないミステリーだった。本筋だけでなく登場人物それぞれが抱える事情を描いたサイドストーリーもよかった。
    せっかくサイン本を購入したのに、1年以上も寝かせてしまった(^_^;)。

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    2026年01月01日
  • 謎は花に埋もれて

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    何気なく手に取ってみたが、思っていた以上に良かった。
    50歳を過ぎて結婚した生花店経営の志奈子と刑事の昇司夫妻。この2人がいろいろ謎解きをしていくのかと思いきや、それは1話と2話だけで後は完全に脇役。全く関わりない登場の仕方が多い。これは中々斬新。

    面白かったのは『クレイジーキルト』と『家族写真』
    袖擦り合うも多少の縁という言葉を思い出させる。

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    2025年12月29日
  • 夜の声を聴く

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    とても深い作品です。
    それぞれの登場人物があのような過去を
    持ち、現在を生き抜こうとする姿に感嘆する
    と共に精一杯の応援を送りながら一気読みしました。

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    2025年12月21日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    澤村伊智さんが以前から気になりつつがっつりホラーが苦手なので子供向けなら読めるかも?と思い読んでみました。
    短編集でテイストがそれぞれ違って面白かったです。怖いけれど、ドーン!バーン!みたいな怖さというよりは、ぞわっとする感じでした。想像力逞しい子供の頃だと眠るのが怖くなったりもしただろうなあ、と。
    「ログインボーナス」(芦沢央さん)、「えんまさん」(黒史郎さん)、「靴と自転車」(澤村さん)が特に面白かったです。

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    2025年12月21日
  • 超怖い物件

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    ネタバレ

    物件を起点にするホラーは、幽霊ものと同じく特定の場所(人物)が要因なため、読んでいる限りは真実「対岸の火事」で楽しめる…からこそ、絡め手も被るよね、などと。
    アンソロジーだけに合う合わないを感じるが、比較的前者が多くてよきかな。

    『旧居の記憶』福澤徹三
    『笛を吹く家』澤村伊智
    『終の棲家』芦花公園

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    2025年11月28日
  • 謎は花に埋もれて

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    ネタバレ

    花をテーマにしたミステリー短編集。すべての物語に共通して登場するのは、小さな花屋。花言葉や剪定、花粉など、花に関する豆知識が織り込まれていて読んでいて楽しい。登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれていて、作者の表現力の高さを感じた。とくに印象に残った物語は「家族写真(ファミリー・ポートレイト)」で、心にずしりと響く内容だった。「弦楽死重奏」のトリックも巧み。花屋の猫・ムサシにも意外な物語があったのが良かった。

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    2025年11月13日
  • 子供は怖い夢を見る

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    家族関係、宗教、感染病、SFと幅広い分野を纏めあげている。
    壮大な物語へ広がっていくのと同時に、街行く第三者は彼らに関心を示さない。他人への無関心を感じさせられた。だからこそ、主人公が葛藤する血の繋がりが一層際立つのかも?

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    2025年11月09日
  • 謎は花に埋もれて

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    フラワーショップ橘の店主、志奈子のまわりで起こる、花や樹木にまつわる事件を描いた短編集
    6編で200ページ弱と薄めの本だけど、どの作品も丁寧で読み応えたっぷりでおもしろかった

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    2025年09月25日
  • 角の生えた帽子

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    不穏さと怖さがある。この短編集に収められた12編はいずれも一筋縄ではいかない。
    見えないはずの現世と幽世の境目が見えて、そこから何かがやって来る様には背筋が凍る。単にグロテスクでおぞましいのとは訳が違う。その異変が起こる要因が、あるいはその背景が明らかになった時、恐怖が起こるのだ。
    短い話ばかりなのに一つ一つが印象深いのはどれもバリエーション豊かだからだ。似たり寄ったりの話を量産するタイプの作家ではない。どの話もそれぞれ違い、単純な「怖い」とは一線を画している。味わい深い怖さがここにはある。

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    2025年09月21日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    著名作家による小学生向けホラーンソロジーシリーズ。
    学級日誌版より、こっちの方が読み応えあって、面白かったです。
    サブタイトルになっている作品の著者が斜線堂有紀だったので、それもちょっとうれしかったかも。このメンバーだと、宮部みゆきか?って思ったのですけどね。
    ルビは中学年程度です。文字も大きめで、一話に一つ挿絵があります。
    「えんまさん」黒史郎
    嘘をつくのが大好きで、それもとても上手に嘘をつくハルト。家族に怒られてもけろっとしています。おばあちゃんはえんまさんのことで諭します。おばあちゃんが話すえんまさんはちょっと具体的で...。
    「おはよう、アンちゃん」太田忠司
    絶対に空き地がなかった場所に空き地ができて、家ができてアンちゃんがいた。みんな普通に受け入れているけどアンちゃんなんていたっけ?そう、穂香にだけは通じないと思っていたよ、だって穂香も...。
    「青いコップ」加門七海
    おばあちゃんのお葬式に行った家で青いコップが変なところに置かれていた。飲んではだめよ。そういう食器は高いところに届かないものたちのための器なの。
    「きれいずかん」井上雅彦
    開かない引き出しをずいぶんほったらかしにしていた。なんとか開けてみると中からノートが。自分が書いたものみたいだけど、覚えていない。ずいぶん変わった絵が多いような?
    「部分地獄」斜線堂有紀
    藤本は自分は子どもの罪深い部分一部だけを地獄に落とすのを仕事にしている男と、公園で会う。たとえば、罪深い嘘をついた子ども。ほとんど溺れているけど口だけ息ができるとか。蹴った子ども、足だけすりつぶされるとか。
    「おやすみ、ママ」宇佐美まこと
    期間限定できたサーカス。鏡の迷路で僕は変なものをみた。偽物を追い出すためにはどうする?ちゃんと、追い出せた。
    「靴と自転車」澤村伊智
    正樹は転校し、三田と仲良くなったが、三田は自転車を停めるとき、幼稚園くらいの子どもの靴を、向きを必ず同じにして置く。霊能者の人に教えてもらったそうだ。
    「ログインボーナス」芦沢央
    ログインボーナスみたいに考えて、百日間通い続けると願いが叶う神社があるって、お姉ちゃんが聞いてきた。離婚していなくなったお父さんに会いたい。お姉ちゃんは何を願っているのかな?
    「宮部みゆき」よあるきのうた
    私の両親は夜勤のある工場で働いていて、私はしょっちゅう夜に一人になる。でも、リサイクルショップでかってもらった大きなテディベア「ダンク」がいるから大丈夫。あと、部屋を掃除するのも好き。お金をもらって、必要な洗剤をスーパーに買いに行ったとき、変な抑揚でしゃべる女の子と友達になった。

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    2025年09月17日
  • 骨を弔う

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    30年前、本当は何を埋めたのか。
    5人の同級生視点でお話が進んでいく。

    とても不気味で面白かったぁぁぁ…!!!
    大人になった5人それぞれの視点が
    何よりリアルで、
    いま現在の生活環境も全く違う5人のお話が
    とてもテンポよく読めました!

    話が進む中でわからなかったことが
    明らかになる瞬間…とても堪らなかった。

    解説にも書いてあるように、
    私もこの作品で宇佐美さんの作品を知ったので
    「愚者の毒」「展望塔のラプンツェル」を
    読んでみようと思いました!

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    2025年09月16日