宇佐美まことのレビュー一覧

  • 白と黒のソナタ

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    新進気鋭のピアニストのために製作されたピアノ「Niemeyer」に関わった人達の人生の悲劇と感動・再生の大傑作大河小説。もっとコンパクトにすればもっと面白い小説になるのにと思う作品が多い中、本作は2倍の文量でも読みたくなるような、ピアノの調べのように流麗な文章に綴られ、時間を忘れるほどの美しさ。行きつ戻りつの展開も絶妙。最近の宇佐美作品は上質で安定しており、何れも傑作揃い。もうマエストロの域で、もっと広く読まれることを望む。

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    2026年04月29日
  • 羊は安らかに草を食み

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     読み終わって、タイトルの「羊は安らかに草を食み」という曲を聴いてみた。これっ!良くSpotifyが私用に選曲してくれるやつやん^ ^最近作曲されたヒーリングミュージックかと思っていたらバッハと知って驚いていた。バッハといえば荘厳な教会音楽、数学的に神という高みに上っていくイメージをもっていたが、それはイメージの話。バッハって実はすごく優しいんだ。教会の門にたどり着くことも出来ない者の側にも神はいる、戦場で今日を必死に生き延びる者の側にも神はいるっていう優しい(バッハはドイツ人でルター派なのですね)とっても人間的な気持ちに溢れている。
     益恵という86歳の女性がいる。認知症を患い、まもなく施設

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    2026年04月26日
  • 月白

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    主人公の現在の苦しみ、葛藤と主人公が書こうとしている過去の事件と戦後まもない時代の背景とが交互に描かれてて、最後まで飽きることなく読み進めれた。 

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    2026年04月22日
  • 月白

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    ネタバレ

    靖男の言葉が
    「みんな、川に還るんだ」
    「子どもは守ってやらねばならん。一番近くにいる大人がな」
    絶望の中でも
    助けあって生きてきた人生の重みが

    夏樹が自分の子供か?と信じられず苦しんできた誠を
    それは大したことでも無いと
    気づかせた

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    2026年04月18日
  • 月白

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    戦後の混乱期に5人の男性を殺害し、死刑となった北川フサ。その生涯を、現代のフリーライター・海老原が追っていく。過去と現在が何度も行き来する構成ながら読みづらさはなく、自然と物語の中に引き込まれた。戦争や戦災孤児、連続殺人といった重いテーマが重なり、気軽に読める作品ではないが、その分読み応えは十分。タイトルの「月白」は「つきしろ」と読む秋の季語で美しい響きを持つが、本作では「げっぱく」という色として描かれ、冷たく悲しい白一色の世界を思わせる。とても悲しいタイトルだと感じた。

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    2026年04月13日
  • 月白

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    月白という冷たい印象の白。それが表す贖罪の色。
    戦後の浮浪者と虐げられた女性たちが生きていくために確信的にして来た事、無策の政府高官たちの犠牲になった悲劇。妻を亡くしたフリーライターが殺人鬼とされるフサの生涯を掘り起こす事で立ち現れる真実。重い物語ですが、息子の夏樹少年の存在に救われます。

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    2026年04月08日
  • 謎は花に埋もれて

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    素晴らしい。
    どの物語も人間の哀しみ、やるせなさ、優しさを描いていて、胸にすっと染み込んでくる。
    特に最後の『家族写真』は良すぎて泣いたし震えた。

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    2026年04月05日
  • 月白

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    ライターの海老原誠は妻の沙織を交通事故で亡くし10歳の夏樹という男の子を一人で育てています。

    誠は『月刊クリスタルライフ』から北川フサという大正7年山形県北村山郡生まれで、29歳の戦後間もない時期に連続殺人で五人の殺人の罪で死刑の判決をうけた人物について書くようにいわれます。

    北川フサは戦後間もない東京で5歳の息子を亡くし、その後四人の男を刃物でメッタ刺しにして殺し、五人目の男、牟田仙太郎だけは棒状のもので殴打して殺していました。五人目だけ殺害方法が違うのはなぜか…?

    誠は調べていくうちに北川フサが戦後間もない東京で、連れ歩いていたという12、3歳の少年ではないかと思われる大垣靖男という

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    2026年04月04日
  • 月白

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    殺人鬼なのに、どうしてこんなにも人を惹きつけてしまうのだろう。
    フサに関わった人と同じく、私も彼女のことをただの残忍な殺人鬼とは思えなくて、本当の心の内を知りたくなった。
    戦後の混乱期、何が正しくて何が間違っているのか、もはやわからない。フサの憎しみはある意味、正しさなのかもしれないなと思った。
    ルポの書き方の正解はよくわからないけど、海老原みたいに読者に考えさせるスタイルもありだなと思う。この小説でそれをちょっと体験させてもらった気分。

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    2026年04月02日
  • 月白

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    戦後の女性殺人鬼として死刑となった北川フサ。
    2年にわたる凶行で5人の男を殺めたフサだが、彼女と行動を共にしていた少年がいたという。

    妻を交通事故で亡くしたライターの海老原誠は、この事件の裏に何があったのか、もう一度掘り起こすべく取材を始める。一方で、父子家庭となった誠自身にも妻の死後、気がかりなことがあり・・・

    戦後の混乱期、時代の流れに翻弄された戦争孤児。
    「憎しみ」のみが生きる糧となった、壮絶で過酷な人生に読んでいて何度も胸が張り裂けそうになった。

    『月白』というタイトルが意味するものとは・・・
    表紙のベンチに座る人物こそが、本作の主人公。
    誰にも言えない贖罪の思いを胸に秘めたまま

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    2026年04月01日
  • 13月のカレンダー

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    ネタバレ

    仕事を辞めた侑平は、父の実家の処分の話を聞かされた。幼い頃、長い休みを過ごす事もあった父の実家。亡くなった祖父母とは疎遠になっていたが、侑平はその場所を尋ねることにした。

    広島の原爆の描写、戦後も長く続いた被爆者の差別や苦しみも描かれ、私にとっては学びの多い読書になった。
    侑平が抱えていた問題がSTAP細胞の一件を彷彿させ、あれは一体何だったのだろうと少し懐かしい気持ちにもなった。
    父の心が頑なで、そこに解決がなかったことはリアル。
    物語が意外な方向へ広がり、最終的には侑平の問題に帰着する。お見事。

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    2026年03月31日
  • 月白

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    戦後の混乱期を如実に描写。何度も涙が込み上げた。弟想いの千代、面倒見のよい箕部、いつも靖男を勇気づけてくれた親友シンジ…『月白』の意味も腹に落ちた。

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    2026年03月27日
  • 羊は安らかに草を食み

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    最近曽祖父や祖父の人生について知ったこともあり、戦後あたりの歴史に興味を持っていた。満州から日本に帰るまでの回想シーンが衝撃的な内容で、それでいて俳句に想いや情景が込められていて詩的で、非常に面白くすぐに読み終わってしまった。終盤だけ少し入っていけなかった所はあったけど、全体的にはとても素晴らしいと思った。他の作品も読んでみたい。

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    2026年03月26日
  • 月白

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    連続殺人鬼フサ、この人間に感情をゆさぶられた。
    憎しみ、それだけで今まで生きてきて、本能の赴くまま感情を出し突っ走るフサ。でも寄り添いたくなる自分がいる。

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    2026年03月23日
  • 月白

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    戦争が起きると、命の価値が軽くなる。
    特に子供の命が。
    戦争を肯定している人、国に、改めて読んでもらいたい内容。
    実際の戦争はもっともっと悲惨なものだろうけれど。
    「子供は近くにいる大人が守らなければならない」との言葉が、重かった。

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    2026年03月21日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    子ども向けの児童文学とは侮れぬほど、ガチで怖い作品ばかり!!

    子どもだけじゃなく、かつて「夜の子どもたち」だった大人にも読んでほしい作品

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    2026年03月20日
  • 月白

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    読み応えのある素晴らしい一冊でした。昔と言ってもそんなに昔ではないと思います。今後、上野に行くと思い出す一冊になったと思います。いろいろと考えさせられましたが、とても必要なことだと思いました。

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    2026年03月15日
  • 13月のカレンダー

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      あの日人類史上最悪の爆弾が降ってきた…


    もし、過去に戻れたら――。
    決して起こるはずのない幻想を搔き消し、再出発の一歩を踏み出した侑平。
    そして、愚かな戦争の記憶と奇跡の物語は、新たな世代へと受け継がれてゆく。

    宇佐美さんの思いがたくさん詰まった一冊だった。

    原爆の悲惨さ、当時の情景、生き延びた人への差別
    主人公がたどる祖母の辛い過去を知る事が、自分の犯した罪に向き合い再生の道になる。

    13月のカレンダーが起こした奇跡に涙(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    久しぶりの宇佐美まこと作品は満足の一冊でした♡




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    2026年03月13日
  • 13月のカレンダー

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    小生、広島在住だが松山には親戚もありつい最近まで春秋には墓参りに行っていたので、本書の記述が非常に楽しめた.複雑な家庭環境下で育った上野侑平が祖父の松山の家を訪ね、祖母を介護した祖父の遺品の中から表題にもある「13月のカレンダー」を見つける.これをベースに様々な人との接触が物語を発展させる.山根研究室での侑平の行動は、論文執筆活動をしていた小生にも感じる所が多かった.「閃光」での被爆状況の描写は克明で読みながら涙が出てきた.祖父の住所録から服部義夫さんに会うことができたのも、人のつながりが結びつけたものと思っている.石丸奈穂美と山根先生を尋ねる場面は、先生の包容力を感じさせる素晴らしいものだっ

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    2026年03月13日
  • 月白

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    ワタシの初 宇佐美まこと は「羊は安らかに草を食み」で、それはそれは衝撃を受けたのですが、この「月白」も羊と同じ系統です。羊ファンならおススメです。

    「戦後の混乱期に5人の男を殺した殺人鬼 北川フサ」について書くフリーライターの話ですが、この物語の主人公は、東京大空襲で親を亡くした13歳の男の子 靖男 です。戦争孤児というのかな、親を亡くした子供が生きていく環境が悲惨すぎる。
    読み終えて、表紙を見ると青白い景色の中、ベンチに座る男性一人。

    しかし、お姉さんの千代ちゃんや洋パンの清子たちの話もすごい。ワタシは自分が女なのでよく分からないけれど、男っていうのは食うや食わず生きるか死ぬかの状況で

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    2026年03月10日