あらすじ
認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆” があった――
過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい――
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅” に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。
大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは?
旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。
八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実。
日本推理作家協会賞 『愚者の毒』 を超える、魂の戦慄!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
俳句仲間の益恵、アイ、富士子が、認知症になり記憶をなくしていく益恵の生涯をたどる旅に出る
益恵の旧友たちの語り
満州からの引き揚げという壮絶な経験を表す益恵の俳句
読むのが辛くなるくらい悲惨なのに、読み進める手が止まらない
教科書を読むより、余程平和や戦争への意識が変わると思う
ラストの「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」が読み終えた読者の心に突き刺さる
何度でも読み返したくなる本でした
Posted by ブクログ
まぁさんと佳代ちゃんの壮絶な引き揚げ体験は、読んでいて胸が苦しくなった。自分の身内から聞いていた体験と重なり、それは引き揚げというより命がけの脱出であり、奇跡的な生還だったと思う。
年老いて認知症を患っているまぁさんが、心のつかえを取り除いてあげたいという夫の願いにより友人ふたりと過去をたどる旅に出る。大津、松山、佐世保から國先島へ…
まぁさんもアイちゃんも富士子さんもそれぞれ人生の終わりに安寧の境地にたどり着いたのかな。
結果オーライとはなったけど島谷には改心させてほしかったような気もする。
「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」
Posted by ブクログ
年齢は離れているが、俳句教室をきっかけに仲良くなった益恵と富士子とアイ。認知症が進行している益恵が施設に入る前に、これまで人生を巡る旅に出ることになる。最初は緩やかな流れだと思っていたら、10歳の益恵が体験した満州での出来事の重みに圧倒された。家族全員を目の前で失い、それでも祖国に帰るために大陸でひたむきに過ごした益恵。旅では多くの人との出会いから益恵の強さが伝わり、アイも富士子も自分の人生とも向き合うきっかけをもらう。最後は驚いたが、老婆の力強さを感じつつ、益恵の辛い過去から解放された気がした。
Posted by ブクログ
本当に出会えてよかった小説でした。
内容が濃くて、読みごたえがありました。
認知症の妻(益恵)が住んだ土地を巡ってほしいと頼まれた、益恵の親友のアイと富士子。三人は滋賀県大津市、愛媛県松山市、長崎県國先島を訪れます。益恵が11歳の時、満州から引き揚げるときの出来事と交互に語られていました。
満州から引き揚げるまでのことは、本当にこんなことが起きていたのかというくらいのひどさでした。戦争が終わった後に、こんなにも過酷で残酷なことがあったことを、そしてそれを乗り越えて日本に戻ってきた11歳の女の子のことを読んで、簡単に言葉にすることはできないなと思いました。
読めば読むほど引き込まれました。訪れる先々で、益恵の過去がひもとかれました。大人になってからの彼女は、つらいことも何もかもを受け入れ、時には俳句に思いを託し生きてきた素敵な女性でした。
戦争が終わったとしても、その傷跡は消えるわけではなく、その事も含めて人をまるごと受け止める強さに感服しました。
益恵と佳代。
アイと富士子。
4人が教会で聴くパイプオルガンの音色。
バッハの「羊は安らかに草を食み」。
読み終えたとき、穏やかな時間を勝ち取った4人の後ろ姿が見えるようでした。
「別れるつらさを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」
歳を重ねるということは、こういう境地に立てることなのかもしれないと思いました。
〈目次〉
第一章 旅の始まり
第二章 湖のほとりで
第三章 天守閣の下で
第四章 島の教会で
第五章 旅の終わり
Posted by ブクログ
とても良かったです。
「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」
辛い戦争体験には言葉がみつからないけれど
最後の、この言葉で救われた気がします。
そして、とてもいい言葉です。
Posted by ブクログ
この三人の女性にとても近い年齢なので…
そして、戦争は終わってから80年…近いです。
すべてが想像できるので、辛く読み進めるのにも気がせきました。
何とも言えない終末ですが、でも私も、
それに近いことをしたかな・・‥と思います。
読後はちっとも重い気持ちにはなりません‥‥でした。
Posted by ブクログ
久しぶりに心に迫る本に出会えた気がします。
戦中、戦後を逞しく生き延びた少女たちに涙が止まりませんでした。
たった80年ほど前にこんな過酷な現実があったなんて…。
戦争の話は子供の頃から繰り返し、学んできたつもりでしたが、こうして物語形式で読むとリアリティをとても感じました。
そして主人公を支える友人たちも本当に心優しく寄り添ってくれて、心強い存在でした。
最後の展開は少し驚きでしたが…。
誰しもにとって、良い方向に導かれる最後で安心した終わり方でした。
Posted by ブクログ
読書備忘録935号。
★★★★★。
なるほど。
タイトルの暗喩はラストで着地するんだ。
アイと富士子が羊飼いという訳ね。
そして、カヨちゃんと益恵が羊か・・・。
サスペンスであり、見方を変えればホラーです。
読後ずいぶん経ってしまったので忘却の上での備忘録となってしまった。( ノД`)シクシク…
後期高齢者の仲良し3人娘、持田アイちゃん、須田富士子ちゃん、都築益恵ちゃん。
益恵ちゃんが認知症に。
益恵の夫、三千男は自分の状態も考え、益恵を施設に預ける決意をする。
ただ、益恵が心に旧満州引き上げからの「つかえ」を抱えていると。認知症が進むと共につかえの断片が言葉の断片に表れるようになってきた。つかえと取り去らないまでも、その苦しみから解放させてあげたいと願う。
つかえは自分には分からない。
三千男はアイと富士子に3人旅をお願いする。
行先は、益恵が旧満州から引き揚げた後、転々とした場所。
長崎國先島、愛媛松山、滋賀大津。
旅を引き受けた2人は益恵を伴って大津、松山、國先島と時を遡る旅を始める。
物語の構成は旅の合間に、益恵の旧満州からの引き上げの地獄物語が差し挟まれる。
益恵がずっと嗜んできた俳句きっかけで旧満州パートに切り替わる手法は、まるで映像を見るような自然さ。ストレスなく読める。
そして時を遡る旅と、満州引き上げ物語は國先で繋がる・・・。
物語のもう一つの面。
それはカヨと富士子がこの旅を通じてこれからの自分と向き合う姿を描く。
それは家庭のことであり、病のことである。
老い先短いこれからをどう生きるか。
これも同じような年齢の読者には他人事とは思えない。
そして忘れてはならないサスペンス要素!笑
いくら老い先短くて怖いものなくても、所謂「無敵の人」になったか!ばあさん!って感じのラストでした。笑
しかもご都合主義的ハッピーエンド!
これはこれでアリアリだと思う!
良く練られたストーリーで満足でございました。
Posted by ブクログ
戦争の悲惨さ、人間の愚かさ、運の分かれ道、、、友の存在だけが生きる意味だったのかな
本当にこんなことが起きてたんだな
起きてたまるかよ…
目眩がしそうでした。
Posted by ブクログ
宇佐美まことさんの著書を読むのは2冊目だ
益恵さんや佳代さん他にも色々な人が戦争によってトラウマや不幸な目に遭わされた
やはり戦争なんて誰も幸せにならない
途中満州での2人の子ども時代はついウッと目を背けてしまいたくなる描写が多かったが、戦争を経験したことのない私も知っておいた方がよいだろうと思いしっかり心に刻むように読んだ
まだ子どもの2人が常に死と隣り合わせで生きて再開できたところを読んだら涙が溢れて止まらなかった
Posted by ブクログ
描写がとてもリアルで、戦争を体験していなくとも過酷な様子が伝わってきてとにかく苦しかった。
でも読まなくてはならないという気になる。
この本は読み出したら途中で投げ出してはいけないという気になる。
生半可な気持ちで読む物ではない。
いつもは移動時間や隙間時間に本を読むが、この本だけはそれを許されないというか、そんな気持ちで読んではならないと思わされる本だった。
子を持つ親として、子を攫われたり、殺されたり、集団自決したりといった描写は本当に辛いものだった。
子供をぶら下げて刺すなんていう極悪非道でしかない行為が行われていた時代の事を考えると、今の自分はなんて幸せなのだろうと。
終盤の展開に賛否両論あるようだが、自分は良いと思った。
自分の人生において非常に心を揺さぶられた大事な一冊となった。
"別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう"
この言葉が非常に重い。
戦争はどうしていけないの?
いつかもし子どもに聞かれたら、戦争を体験していない自分の言葉で説明するよりも、この本を読んでみるよう薦めたいと思った。
Posted by ブクログ
2021年読書メーターOF THE YEAR 2位
涙なしに読めない素晴らしい小説だった。
認知症の話ではなく、満州から生き延びて引揚げた益恵の壮絶な体験と彼女が貫いてきたものを描いた、帯のとおりの「圧巻の人間ドラマ」だった。
その体験があるからこその彼女の人となりや、人生の選択が、あまりにも説得力をもっている。
満州に渡った人たちは皆、戦後似たような体験をしてきただろうし、生き延びたことは奇跡なんだと思った。
綺麗事だけじゃ生きれなかった過去、犠牲にしてきたもの、感謝など、内に秘めてきた数々の思いに胸を締め付けられた。
そんな思いを益恵が俳句として吐き出すことができることは良かったなと思う。
章ごとに益恵の俳句が紹介され、その句のエピソードが描かれる。エピソードを読んだ後にまた改めて俳句を読み直すと、色んな感情が胸に迫って苦しくなる。
ラストは急展開に驚き涙も引っ込んだけど、旅を共にする老女2人の抱える背景と思いもいい具合に編み込まれた完成度の高い物語で、ここ最近読んだ中では一番良かった。
Posted by ブクログ
戦争についても、認知症についても大変勉強になり本当に読んで良かったです。
夢に見るほど残酷な戦時のお話が描かれていました。
このような体験をされた人がたくさんいて、それでも生きて日本に帰ってきたと知り、自分の日常がなんて幸せなんだろうと思いました。
戦争は人を変えてしまう。
どんな残酷な時代だったか、向き合うことをしてこなかった私には衝撃でした。
生きていればどんな形でもいい、そう思えるほどの経験を生き抜いた2人の絆に心打たれました。
ラストはなんだか急展開で肩透かしのように思えましたが、いい気味だと感じてしまいます。
3人の友情が素敵で、こんな友人に恵まれた益恵は少なくとも今は幸せだと願いたいです。
We have to know about the age of war.
They are so strong and hard-working because of it.
Posted by ブクログ
戦争の情景が痛々しく読むのが辛いけれど、この本と出会えて良かった。遠い昔の話ではなく、これに似たようなことが今も世界で繰り広げられているのかと思うとぞっとする。自分のこどもがもしこんな目に遭ったら…と思うと気が狂いそう。
日本でぼーっと生きていると忘れてしまう大事なことを思い出させてくれた一冊。
Posted by ブクログ
『戦争がひどくないわけないやろ』って途中にお話があったけど、この老女の経験は凄かった。もし、当時に生まれてたら、とか、現在でも戦争地域に生まれてたらとか、真剣に考える機会を得ました。
でも、賛否の分かれる最後のストーリーは無くて良かったかな〜
Posted by ブクログ
これはすごい。読んで良かった。星10
子供の頃に、中国残留邦人が肉親探しのために来日するというニュースを何度も見た記憶がある。また、軍医だった祖父が中国から引き揚げてきた時の話もよく聞いたし、関東軍が民間人を置いて真っ先に退却したということも知っていた。
だが、一般人の引き揚げがこれほどまでに凄惨を極めたとは。
やはり歴史は学ばないといけないことを痛感
Posted by ブクログ
背を向けるむくろを照らす赫き夕陽に
馬を駆る少年秋の風に溶け
凍て土ゆくわれに友あり白き月
生きて乗る船は祖国へ揚雲雀
うーん、なんで戦争ってなくならないんだろね?
人の生命とか尊厳みたいなんをなんでそんなに軽く扱えるんだろうね?って
例えそれが敵であってもだよ
本読めよ、本
はい、題名がね『羊は安らかに草を食み』なんですよね
これはあのバッハが作曲した讃美歌で、なんかこう穏やかで明るく優しい楽曲なんです
ここにね冒頭で挙げたような俳句ね
これをぶちこんでくる宇佐美まことさんのセンスにまずやられて下さいよ
そして十一歳の孤児の少女二人が満州から引き揚げてくる凄惨なお話が物語の柱の一つなんです
で、できればこの楽曲を聞いてみてほしい
この物語に全くもってそぐわない楽曲なんです
平和そのものの音色なんですよ
なぜこの物語にこの題名を付けたんだろう?
これを考えることがとても重要なことだと思えるのです
Posted by ブクログ
満州での話は読んでいてとても辛かった
今この何不自由ない時代に生きて、つまらないことで文句を言い、ストレスをためている自分の小ささが恥ずかしくなった
後半の島でのおばあちゃん達の殺人計画は違う本を読んでいるのかと思うぐらいガラッと印象がかわった
Posted by ブクログ
死ぬるも死の、終わりならず、生けるもいのちの、またきならず
別れる強さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう
生き生きて八十路の旅や風光る
最後の1行まで表現が好きな小説だった
認知症患者全員に言えるとは思っていないが、
心のつかえになってるものを取り払う旅をするというのは1つの療法としてあるのかなと思った
1つの俳句に対して、益恵の壮絶な過去が綴られている構成はとてもよかったと思う。
以前国立新美術館で抽象画を見た際に似たような感情を抱いた。その俳句や抽象画に込められた思いは、同じ人生を経たものにしか分からないものなのではないかと思った。
終盤の島谷を巡る怒涛の展開には驚かされたが、
あっという間に読み切ってしまい、読み足りなさを感じるほど良い作品だった
「羊は安らかに草を食み」は
バッハ作曲の
統治者が優れている地では
安息と平和が訪れる
という歌だと知った
そのタイトルが意味するところを
読了後に実感する
宇佐美まことさんは初読みの作家さんでした。なのに没頭して読み、感極まって泣きました。
宇佐美さんの作品をもっと読みたい、
出会えて良かったと思える作家さんに
なりそうです。
私の母も88歳
満州引き上げ者です
当時5歳で弟2人と赤ちゃんだった妹
両親共に
生きて日本へ帰れました
だから今私がここにいられるのです
益絵とカヨのような壮絶な体験ではなく、恵まれてた方だと思いますが
終戦当時同じ奉天やハルピンにいたと聞いています
混乱の最中
「日本人は日本へ帰らなくちゃいけない
生きて帰るためには何でもやらなくちゃ
頭を使って生き抜くための術を考える
日本まで生きて帰るために」
という益絵とカヨの強い意志と
知恵に圧倒されるばかりでした。
日本への船がでる港までの
汽車にどうしても乗りたいと
群がる人々の描写が
政権崩壊で飛行機に群がる
アフガニスタンの人々と重なりました。
現代でも戦争は起こっているのだ
あちこちに死体が散乱するのも
見慣れ、死体から衣服や食料を奪うのが日常になり
自分の身を守るので精一杯で
他人を見捨てることに
何とも感じなくなる戦争
そんな日々を過ごした11歳の益絵とカヨは
「この戦争は誰が始めたものなのだろう
こうやって失われていく一つ一つの命があることを
その人たちは考えたことがあるのだろうか 」と疑問を持つ
今まさにコロナで自宅で消えていく
一つ一つの命とそれに対する無策な国政とも重なり、タイトルの意味をかみしめた。
過酷な歴史を忘れるべからず
タイトルからは想像もできない内容であった。
近世、中世以前の戦争であればともかく、近代、現代に起こった戦争は、いまだに私達の心にその影を落としているのではないかと、この物語を通して現実に思いを巡らせてしまう。
満州引き上げ時の過酷な描写に、とてもリアリティーがある。
こんな時代を経て、今の社会があるのだ。
今、何か不足なものがあるだろうか。
今を幸せに感じないなんておかしくないだろうか。
そんなことを考えさせられた。
Posted by ブクログ
戦争によって刻まれた心の傷は永遠に残る。
二人の老女は互いに助け合い今日まで生き延びるのだった。ある秘密を共有しそれを守る為に計画を実行する。
感情の起伏があり興味がずっと続きました。
面白かったです。
Posted by ブクログ
はじめての宇佐美まことさん。題名に惹かれて手に取るも、全く想像してなかった内容だった。著書を読んだこともないのに勝手にイメージしていた宇佐美さんと違った。良い方に裏切られた。
別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう
素敵な言葉。
これは本当にかけがえのない相手と出会えた人だけがわかる境地だと思う。
私の場合、相手は猫だけど…
Posted by ブクログ
上手く感想がまとまらない。
頭がヒートした感じ。クールダウンして、客観的にみて、浮かんだ最初の言葉。
何でこれ一冊にまとめたんかな。勿体ないと思うんよなぁ。
満州からの引き揚げという壮絶な過去がある、まあさん。
作中に俳句が詠まれると満州のターンになる構成がお見事で、緊張感が襲ってくる。
その過去を知る為、認知症を患ったまあさんを連れて旅する、アイさんと富士子さん。
ままならない自分の体にムチを打ちながら行動する二人の、まあさんへの想いが温かい。
ところが、後半途中がらりと急展開を見せてくる。
一冊にまとめるのが惜しいと思った理由がこれだった。
読む前に深呼吸が必要なくらい、戦争の悲惨さを訴える力強い描写や、年老いた女性達が、旅先で見つめる人生や終いかたなど、とても丁寧に描かれていると思う。
だけど、どうしても、詰め込んだ感じがしてしまう。
満州の話に私の頭がいっぱいになったのも原因だとは思うけれど、それぞれの視点で分けて、世の中に色んな事を投げかけて欲しかったなぁ。
あーほんとにそれで読みたかった。
Posted by ブクログ
どこにでもいるような、普通のおばあちゃん、
でも、壮絶な戦争を生き抜いたから今があるということに
今更ながら気付かされる。
賛否両論だとはおもうが、私は、最後のはいらなかったかな。
Posted by ブクログ
益恵が満州で過ごした子ども時代や夫のこと。そしてこうした戦争経験が、その時のみならず後の人生にも影響を及ぼしている様子が鮮明に綴られていてショッキングだった。
死が身近にありながらもそちらに傾かず、苦しみの中でも生にしがみつく強い生き様がとても印象的だ。
ストーリーとしては、認知症で記憶がつぎはぎになった益恵の心を救う旅といったものだったが、道中でアイや富士子にも影響をもたらす意味のある旅となっている。どこか終活をしているような様子の彼女らに、読んでいると清々しい感情を覚える。疑問に思ったことも読み進めていくうち次々と明らかになっていき、「──生き生きて八十路の旅や風光る」の一句では、しっかり“おしまいまでやり遂げ”たのだという達成感と爽快感に包まれた。
Posted by ブクログ
私が想像してる以上に、本当に過酷で辛い体験が書いてありました。フィクションではあるけれども、きっとそれは事実で、この本を手に取ってなかったら知ることもなかったことでした。
今の時代、戦争というのは耳にする機会も目にする機会も段々と減ってきている気がします。
でもやっぱり、、、知らないといけない事だと改めて思いました。戦争で失うものは本当に多すぎる。
そしてこの本は戦争だけでなく、まぁちゃんの強さや優しさ、友情の絆、そして女性4人の強さも描かれていると私は思いました。
老いることも悪くないなと。そしてこんな友人を作れる人生にしたいなと思いました。
戦争が描かれている作品は、正直手が伸びにくいと思います。が、この作品はたくさんの人に知ってもらいたいです。
Posted by ブクログ
戦争は悪いこと…
だけで言い表せない事がわかる話
体験した人だけがわかる
そしてあまりにも酷くて話せない…
話したくない
過去が取り戻せないなら、
せめて今起きている戦争辞めて欲しい
きっとこの本に書かれている事に近い事が
今も起きていると思うから
Posted by ブクログ
ネタバレあり
戦争体験の生々しい描写が素晴らしかった。
ラストのなぎさを守るために殺人まで犯そうとする描写が何となく微妙
ネタバレ
月影なぎさは「益恵」の子供。
Posted by ブクログ
認知症を患った友と一緒に
彼女がこれまで暮らした土地を訪れ、
過去を紐解く老女三人の旅。
自分自身も老いを意識し始めているため
この先どう生きて行くか、ということを最近よく考える。
この本を読んで
何か明確な答えが出たわけじゃないけど、
読んで良かったなと思える作品だった。
そして
戦争を扱った作品は出来るだけ避けてきたけれど…
読むのがつらくてもやっぱり
ここで語られたような悲惨な体験を知っておかねばと思った。
知ることで一層、戦争がどれほど無意味で
実質的な痛みと共に、心にも深い傷を負わせる行為であるかを改めて強く思った。
ところでこの本を読むまで
作者の宇佐美まことさんを男性だと思い込んでた。
読みながらなんか違和感。
そして途中で調べてみたら女性だった。
そらそうだ。
この女同士の空気感はやっぱりね。
お互いを思いやり尊敬し合い
最後まで見守り見届けようとする三人。
ある意味家族じゃないからできることなのかも。
友だちっていいな。
Posted by ブクログ
認知症のまあさんと俳句友達がまあさんの所縁の地を旅する話。現在と満州の話が交錯するんやけど、壮絶な満州の体験に自分がいかに緩々とふわっと生かされていたかを思い知る。俳句のたった17文字に込められたまあさんの想いが重くのしかかる。
Posted by ブクログ
3人の老女達の旅の物語程度の予備知識と本の題名の勝手なイメージとで読み始める。
主人公の認知症になった益恵と俳句を通して知り合ったアイと富士子の旅の様子と益恵が子供の頃に体験した話が交互に出てくる。
ほのぼのとした話なのかと思いきや、最初の章でそんな話ではないのだと気付く。
過酷な内容で読んでいて辛くなるほどだった。
まさに壮絶というのはこういうことを言うんだろうなと思った。
戦争が題材の小説とはまた一味違うかたちで考えさせられた作品。
後半で旅の目的をほぼ果たしたのではと思う辺りからの展開は少し不自然かなーとは思ったけれども、最後はうまく収まってくれてよかった。