宇佐美まことのレビュー一覧
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ネタバレ死ぬるも死の、終わりならず、生けるもいのちの、またきならず
別れる強さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう
生き生きて八十路の旅や風光る
最後の1行まで表現が好きな小説だった
認知症患者全員に言えるとは思っていないが、
心のつかえになってるものを取り払う旅をするというのは1つの療法としてあるのかなと思った
1つの俳句に対して、益恵の壮絶な過去が綴られている構成はとてもよかったと思う。
以前国立新美術館で抽象画を見た際に似たような感情を抱いた。その俳句や抽象画に込められた思いは、同じ人生を経たものにしか分からないものなのではないかと思った。
終盤の島谷を巡る怒涛の展開には驚か -
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ネタバレ寝る前に読むんじゃなかったと後悔しながらこの感想を書いています。
物件怪談アンソロジーということで、色んな怖さを楽しめる贅沢な1冊でした。
勿論怪異の存在はあるのですが、所謂ヒトコワでしたり伝染系に近いお話もあって驚きました。
個人的に終の棲家、ろろるいの家はちょっと怖すぎて数回本を閉じそうになりましたね。続きを読みたいけど、これ以上読んではいけないような、好奇心と恐怖心の狭間ってここかぁと思いながらも結局全部楽しく読んでしまいました。
郷内心瞳先生のトガハラミはあまりにも文体が艶やかで感動しました。果物を食べる様子をあんなにもセクシーに書くことができるなんて…。郷内心瞳先生は今回はじめまして -
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「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!
✂-----以下ネタバレです-----✂
はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこ -
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最初から辛い部分が多く、ゆっくり休み休み読んだ。ぼんやりと、スマホのある時代と、ない時代の話が描かれているのかな?と思いながら。
後半になると、なるほどこんな風に繋がるのかと驚き、ドンドン引き込まれて、もう休んだりできず読み終えた。
たくさん心に残る箇所がありました。
一番グッときたのは、
児相にある高校生が自分から保護を願い出てきた。父親からの暴力から。しかし、保護所の居心地が悪く出たいと騒いでいた。松本悠一は言う「君はまだ甘い。ここで扱う虐待はそんなもんじゃない」「まだ足りない。君がやったことといえば、ここに逃げ込むことだけだ」「戦える者は戦わなければならない。他人任せにせず、自分の人生 -
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好きな著者だったので。
ハラハラドキドキ、ではない。
ハラハラハラハラ、ホ~だ。
何せ、普通の専業主婦がスマホも持たずに家を飛び出し、
車を人にぶつけてしまうところから、話が始まる。
ぶつけた相手が車に乗り込んできて、
引きずりまわされ、挙句の果て大金を猫ババすることに。
さらに、誘拐事件に食品会社のお家騒動にも巻き込まれて、
誘拐犯人として指名手配されてしまう。
このままポニー&クライドのように(女性二人だけど)なってしまうのかと思っていたら、
暴力団をも凌駕する犯罪集団「鬼炎」の正体を暴き、
自分の人生を掴むことになるとは。
家族にないがしろにされ、自信を失っていた専業主婦
最後に「 -
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ネタバレ好きな著者だったので。
華族と庭、殺人のお話。
「ボニン浄土」に続いて、おとぎ話のようなお話。
京都のお寺の庭をぼーっと見たりするのは好きだが、
その意味や設計者の意図は考えたことがなかった。
あまり大きな庭は好きじゃないなーとぼんやり思ったりしたことはあったが、
市井の人々と違って、
大名や華族は町や野山をを自由に出歩くことができなかったことを考えると、
大きな庭は自然を楽しめる小さな世界だったのだろう。
あだ花、と言ってはひどいかもしれないが、
「華族」を華やかながらも儚い姿に描いているところが、
おとぎ話に思えるのだろう。
庭の池から死体が発見されたのをきっかけに、
作庭師に庭づ -
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「行く春や鳥啼き魚の目は泪」芭蕉
「奥の細道」へと旅立つときに詠んだ句。
昭和八年から九年にかけて華族の吉田家で起こった事件です。
女中のトミが血で汚れたコテを弟分の惣六に「それを誰にも見つからないところに隠すんだよ」と渡す切迫した場面から始まります。
血で汚れたコテは何かの事件の凶器かと思われますが…。
そのコテの持ち主は庭師の溝延兵衛。
お屋敷の主人は吉田房興。
妻はアキ子(アキの字が変換できません)。一人息子の房通がいます。
房興には妹の準子(のりこ)がいましたが結婚前に誰の子か分からない子を死産して、亡くなっています。
ある時庭の池から白骨死体が浮かび、準子の子どもの父親か -
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作者が、自分の名前と同じ登場人物をストーリーの中に出してくるのは何故?
ミステリーで、時々見かけるけれど、この本では、どんな意図があるのかと、最初不思議だった。
最後で明るみになるが、私はすっかりしっかり騙された!
全くの虚構の作者名なら、読者は、最後までアナグラムと気付かないけれど、作者名だと、あれ?って違和感で気付く人がいるかもな〜っていう、作者の遊び心なのかな?
内容は同級生五人各々の過酷な人生が描かれているが、どこか救いがある話っていうか、読んでいて私自身が癒されていく感じがあった。それは、誰かのせいだとか誰かを恨むとかがなくて、不幸な出来事にあいながらも何とか必死でもがいている様子 -
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何これ!めちゃくちゃ良かった‼︎
風呂屋、骨董屋、元ヤクザ、新聞記者
頼りになりそうなのは新聞記者だけで残り3人は初老?老人?
元ヤクザの釜番のゴローが好きなキャラ♪
事件探っていくうちに1人くらい死ぬなんてよくあるパターンだし…ゴロー死なないでね!とハラハラしながら気が抜けない。゚(゚´Д`゚)゚。
1人の銀行員の転落死から事件が想像以上に広がっていく面白さ!
ラストが痛快で王道のハッピーエンド‼︎
施設にいるお兄ちゃんの絵葉書を章タイトルにしてるのもグッときた\(//∇//)
何かストーリーは全然関係ないけど
雲霧仁左衛門を思い出して読みたくなった笑
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丸岡将磨という銀行員が松山市内の川で溺死体で発見されます。欄干から落ちた事故死とみなされますが、同じ銀行で働いていた恋人だったという友永礼美が、初老の男5人が集まるみなと湯にやってきて「あれは殺人であり、銀行と病院のあいだの不正融資を知って殺されたのだ」とみなと湯に集まっていた初老の男たち、新聞記者の宮武弘之らをたきつけます。
弘之は事件を調べ出し、病院で医療過誤があったことを発見します。また、みなと湯の常連客の小松富夫は元暴力団の巽達郎と組んで氏家という悪徳金融ブローカーからみなと湯に融資されるはずだった一千万円を横取りしようとしますが、果たしてその辺のおじさん達のたくらみが上手くいくもの