宇佐美まことのレビュー一覧

  • 羊は安らかに草を食み

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    戦争についても、認知症についても大変勉強になり本当に読んで良かったです。


    夢に見るほど残酷な戦時のお話が描かれていました。
    このような体験をされた人がたくさんいて、それでも生きて日本に帰ってきたと知り、自分の日常がなんて幸せなんだろうと思いました。
    戦争は人を変えてしまう。
    どんな残酷な時代だったか、向き合うことをしてこなかった私には衝撃でした。

    生きていればどんな形でもいい、そう思えるほどの経験を生き抜いた2人の絆に心打たれました。


    ラストはなんだか急展開で肩透かしのように思えましたが、いい気味だと感じてしまいます。

    3人の友情が素敵で、こんな友人に恵まれた益恵は少なくとも今は幸

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    2025年03月05日
  • その時鐘は鳴り響く

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    ネタバレ

    30年前に愛媛でマンドリンクラブの合宿中に起きた転落事故と東京で起きた不動産を営む男性の殺人。マンドリンクラブ廃部により備品等の整理のため30年ぶりに会うかつての仲間たち。そこで事故により亡くなった瞳とその死に自分を責めて姿を消した高木に想いをよせる。やりきれない事故と殺人捜査が交互に描かれていてどう繋がるのかと思っていたら、何とも切ない殺人者の姿が出てきた。30年も経っているのに、でもそれほどふたりの繋がりは特別なものだったのだろうと思うとより悲しい。

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    2025年02月01日
  • 羊は安らかに草を食み

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    これはすごい。読んで良かった。星10(娘からのプレゼント)

    子供の頃に、中国残留邦人が肉親探しのために来日するというニュースを何度も見た記憶がある。また、軍医だった祖父が中国から引き揚げてきた時の話もよく聞いたし、関東軍が民間人を置いて真っ先に退却したということも知っていた。

    だが、一般人の引き揚げがこれほどまでに凄惨を極めたとは。

    やはり歴史は学ばないといけないことを痛感

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    2025年01月18日
  • その時鐘は鳴り響く

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    すごい本だった。赤羽で発生した殺人事件と、三十年前にマンドリンサークルの合宿で起こった死亡事故と失踪。全く別物のような二つの出来事が鮮やかにつながった。鍵となったのはクロモジという植物から作られたコロンの匂い。匂いは何よりも強く記憶を呼び起こすというし、悲しい話なのだけどドラマチックだった。1点、血だまりの中につけられたマンドリンピックの跡がその後何時間も残るものかというのは引っ掛かった。

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    2025年01月14日
  • その時鐘は鳴り響く

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    ネタバレ

    ぐんぐん話に引き込まれて一気に読むことができた。
    2つの事件が繋がっていく過程のどきどきわくわく。犯人のやりきれなさと絶望、そして決意。
    救われることを願わずにはいられない。

    途中から結末がなんとなく読めても怖いもの見たさにどうしても先に進んでしまうし、読後のスッキリ感がすごかった!

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    2025年01月13日
  • 入らずの森

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    怖いのかなぁと、ずっと本棚に置いていた本。
    読んでみたらそれほど怖くなかった。

    山の奥深くにいる粘菌が、嫉妬や憎悪など負のエネルギーに感応し、その人にとりつき惨忍な事件を起こさせる話。

    校長先生の、生徒や教師に向き合い方がいい!
    余計なことは言わずに導く人。

    金髪の転校生に、染める理由を聞く
    うまく説明できないなら、文章にして提出しなさい、妥当なら認めると。
    少女は「目印」だと。「金色は私を守ってくれる色、その必要が無くなったら自分で元の色に戻す」と。
    校長はその理由でOKを出した。
    このくだりはあまり重要とは思っていなかったが、後半、大きな意味を持つ。

    人との交流が苦手で山奥の学校の

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    2024年12月18日
  • その時鐘は鳴り響く

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    並行するストーリの人間描写・周辺描写の上手さと、そのストーリがひとつに収斂していく鮮やかさはもう名人芸を見ているよう。マンドリンのストーリがメインではあるが、事件を追う刑事のサイドストーリもサイドにするには勿体ないぐらい上手い。別々の曲を1曲にしたら名曲になったような作品。なんか大きな賞を取らせて、もっと宇佐美作品が多くの人の読まれることを切に願う。

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    2024年12月12日
  • 月の光の届く距離

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    血の繋がりだけが家族じゃない。
    家族ってなんだろう。
    私は元里子。3歳の時に里親さんに育てられて今も一緒に暮らしてるけど恥ずかしながらこの本でこの歳になって気付かされる事が多かった。
    頑なに実の親の気持ちに寄り添わなかった事を後悔している訳では無いけど、実親との繋がりを私はこれからはちゃんと整理したいと思いました。
    私が小さい頃にこの本に出会いたかった。
    そしてこのテーマを生々しく書き上げてくれた著者の方に深く感謝したい。届いて欲しい人に届くといい本。
    これはフィクションだけどノンフィクションです。

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    2024年12月11日
  • その時鐘は鳴り響く

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    ネタバレ

    好きな著者だったので。

    早々に殺人事件が起こって安心した、という感想はおかしい。
    だが、この著者の他の作品を読んだことがある人なら共感してもらえると思う。
    今回の作品はホラーではなく、ミステリーだったかと。
    それもちゃんとした殺人事件だと安心する気持ちを。

    赤羽で起きた殺人事件、被害者の男性は不動産会社の社長だった。
    もの取りではなく怨恨と思われたが、
    男性の周辺には犯人と思われる人物が浮かび上がってこない。
    赤羽署の女性刑事、黒光亜樹は、
    監察に呼ばれたが処罰されることなく帰ってきた本庁の刑事と組まされ、
    繁華街の聞き込みにあたる。

    事件の捜査と並行して語られるのが、
    松山大学のマンド

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    2024年12月13日
  • その時鐘は鳴り響く

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    いい時のまことさん!

    はい、ぜんぜん関係ないと思われていたふたつの事件が繋がります
    ネタバレごめん!ていや繋がるでしょそりゃ!( ゚д゚ )クワッ!!
    ぜんぜん関係ないと思われていたふたつの事件が関係ないまま終わる小説見たことないわ
    ただの二本立てだわ!

    なので問題は繋がり方なわけよ

    鮮やかだったな〜
    それになんかこう宇佐美まことさん特有の人の哀しみみたいな
    うまく表現できないけど誰もが持ってる感情が込められてる気がしたんよな

    そしてまぁしかし宇佐美まことさんの引き出しの多さよな〜
    ほんとなんでも出来る
    宮部みゆきさんに通じるところあるね
    名前漢字+ひらがなだし

    よし向日葵めろんに改

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    2024年12月05日
  • 鳥啼き魚の目は泪

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    昭和初期のある華族と作庭師の生き様に、それこそ取り憑かれたようにひたすら読み続けた時間が濃密で至福だった。時代背景や内容全てがとても好み。奥様付きの女中トミが語る華やかで幸せいっぱいの吉田家に次々に降りかかる災難と苦悩。池から出た白骨に慄き真相には驚きと悲劇しかない。だけどなのかだからなのか1人の作庭師の与える影響がとてつもなく大きく深く、夫婦を変えていくのが素晴らしくも恐ろしくもある。タイトルの芭蕉の句と庭の見せる図があまりに切なく読み終えた時には心に穴が開いたよう。もっとこの美しい世界が続いたなら。

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    2024年10月29日
  • 超怖い物件

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    ネタバレ

    寝る前に読むんじゃなかったと後悔しながらこの感想を書いています。
    物件怪談アンソロジーということで、色んな怖さを楽しめる贅沢な1冊でした。
    勿論怪異の存在はあるのですが、所謂ヒトコワでしたり伝染系に近いお話もあって驚きました。
    個人的に終の棲家、ろろるいの家はちょっと怖すぎて数回本を閉じそうになりましたね。続きを読みたいけど、これ以上読んではいけないような、好奇心と恐怖心の狭間ってここかぁと思いながらも結局全部楽しく読んでしまいました。
    郷内心瞳先生のトガハラミはあまりにも文体が艶やかで感動しました。果物を食べる様子をあんなにもセクシーに書くことができるなんて…。郷内心瞳先生は今回はじめまして

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    2024年10月28日
  • 子供は怖い夢を見る

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    あーもうめちゃくちゃ面白かった!
    やっぱ宇佐美まこと最高だわ。全然期待してなかったしうちの店でも配本1冊だったレベルなのにめちゃくちゃ面白かったよー。
    そして毎回書いてるけどハッピーエンドで終わるんですよ宇佐美さんの作品は。今回もハッピーエンドでホント良かった!

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    2024年10月14日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!

    ✂-----以下ネタバレです-----✂








    はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
    「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
    今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこ

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    2024年06月28日
  • 愚者の毒

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    こちらでの評価が高いのも納得の作品。現代と過去の苦しい貧しい時代が交互に出ており、過去の壮絶で凄惨な時代を生き抜く2人の若者に苦しくなる。最後まで読めば2人は幸せになれるのかと読み続けるが、最後は人生の帳尻合わせが待っている。
    伏線回収もされ、読み応えある作品だった。

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    2024年05月28日
  • 展望塔のラプンツェル

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    最初から辛い部分が多く、ゆっくり休み休み読んだ。ぼんやりと、スマホのある時代と、ない時代の話が描かれているのかな?と思いながら。
    後半になると、なるほどこんな風に繋がるのかと驚き、ドンドン引き込まれて、もう休んだりできず読み終えた。

    たくさん心に残る箇所がありました。
    一番グッときたのは、
    児相にある高校生が自分から保護を願い出てきた。父親からの暴力から。しかし、保護所の居心地が悪く出たいと騒いでいた。松本悠一は言う「君はまだ甘い。ここで扱う虐待はそんなもんじゃない」「まだ足りない。君がやったことといえば、ここに逃げ込むことだけだ」「戦える者は戦わなければならない。他人任せにせず、自分の人生

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    2024年03月30日
  • 超怖い物件

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    嘘か真か
    名手たちの家に纏わるオムニバス

    めっちゃおもしろい!
    体験談や明らかなフィクションなどバリエーションに富んでるから飽きないし、それぞれのクオリティが高くて読んでてワクワクした。

    一番好きなのは「やなぎっ記」
    トガハラミ、笛を吹く家、終の棲家、ろろるいの家が良かった。
    特にろろるいはかなり怖くてゾクゾクした。

    トガハラミから読んだせいでまたカニバリズム関連が目に触れることに…

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    2023年11月04日
  • 鳥啼き魚の目は泪

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    ネタバレ

    好きな著者だったので。

    華族と庭、殺人のお話。
    「ボニン浄土」に続いて、おとぎ話のようなお話。

    京都のお寺の庭をぼーっと見たりするのは好きだが、
    その意味や設計者の意図は考えたことがなかった。
    あまり大きな庭は好きじゃないなーとぼんやり思ったりしたことはあったが、
    市井の人々と違って、
    大名や華族は町や野山をを自由に出歩くことができなかったことを考えると、
    大きな庭は自然を楽しめる小さな世界だったのだろう。

    あだ花、と言ってはひどいかもしれないが、
    「華族」を華やかながらも儚い姿に描いているところが、
    おとぎ話に思えるのだろう。

    庭の池から死体が発見されたのをきっかけに、
    作庭師に庭づ

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    2023年09月03日
  • 鳥啼き魚の目は泪

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    「行く春や鳥啼き魚の目は泪」芭蕉

    「奥の細道」へと旅立つときに詠んだ句。

    昭和八年から九年にかけて華族の吉田家で起こった事件です。

    女中のトミが血で汚れたコテを弟分の惣六に「それを誰にも見つからないところに隠すんだよ」と渡す切迫した場面から始まります。
    血で汚れたコテは何かの事件の凶器かと思われますが…。


    そのコテの持ち主は庭師の溝延兵衛。
    お屋敷の主人は吉田房興。
    妻はアキ子(アキの字が変換できません)。一人息子の房通がいます。
    房興には妹の準子(のりこ)がいましたが結婚前に誰の子か分からない子を死産して、亡くなっています。

    ある時庭の池から白骨死体が浮かび、準子の子どもの父親か

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    2023年08月05日
  • ボニン浄土

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    宇佐美さんは裏切らない、と改めて思いました。
    単なるミステリー作品ではなく,歴史書でもあると感じました。小笠原諸島について、全く知らなかったので、歴史の勉強にもなりました。
    過去と現在が交互に書かれていて,それぞれゆっくりとした進行だし,事件も起きないのですが,筆力がすごいのか,引き込まれてあっという間に読み終わってしまいました。
    最後は宇佐美さんらしい、希望のある最後でスッキリ!
    素晴らしい作品でした。

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    2023年07月23日