宇佐美まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書備忘録935号。
★★★★★。
なるほど。
タイトルの暗喩はラストで着地するんだ。
アイと富士子が羊飼いという訳ね。
そして、カヨちゃんと益恵が羊か・・・。
サスペンスであり、見方を変えればホラーです。
読後ずいぶん経ってしまったので忘却の上での備忘録となってしまった。( ノД`)シクシク…
後期高齢者の仲良し3人娘、持田アイちゃん、須田富士子ちゃん、都築益恵ちゃん。
益恵ちゃんが認知症に。
益恵の夫、三千男は自分の状態も考え、益恵を施設に預ける決意をする。
ただ、益恵が心に旧満州引き上げからの「つかえ」を抱えていると。認知症が進むと共につかえの断片が言葉の断片に表れるようになってきた。つかえと取り去らないまでも、その苦しみから解放させてあげたいと願う。
つかえは自分には分からない。
三千男はアイと富士子に3人旅をお願いする。
行先は、益恵が旧満州から引き揚げた後、転々とした場所。
長崎國先島、愛媛松山、滋賀大津。
旅を引き受けた2人は益恵を伴って大津、松山、國先島と時を遡る旅を始める。
物語の構成は旅の合間に、益恵の旧満州からの引き上げの地獄物語が差し挟まれる。
益恵がずっと嗜んできた俳句きっかけで旧満州パートに切り替わる手法は、まるで映像を見るような自然さ。ストレスなく読める。
そして時を遡る旅と、満州引き上げ物語は國先で繋がる・・・。
物語のもう一つの面。
それはカヨと富士子がこの旅を通じてこれからの自分と向き合う姿を描く。
それは家庭のことであり、病のことである。
老い先短いこれからをどう生きるか。
これも同じような年齢の読者には他人事とは思えない。
そして忘れてはならないサスペンス要素!笑
いくら老い先短くて怖いものなくても、所謂「無敵の人」になったか!ばあさん!って感じのラストでした。笑
しかもご都合主義的ハッピーエンド!
これはこれでアリアリだと思う!
良く練られたストーリーで満足でございました。 -
Posted by ブクログ
児童向けホラーアンソロジー。しかし執筆陣を見てわかるように、子供向けだと侮れはしません。
一番怖かったのは澤村伊智「靴と自転車」。ちょっと心温まる系……かと思いきや、とんでもなかったです。それでも起こってしまう悲劇は予想されたものの、まさかこんな結末だとは。
表題作の斜線堂有紀「部分地獄」、これは子供の頃だったら一番読みたくなかった作品です。たぶん一番怖く感じたかもしれないし。ある意味「部分」の方が凄惨かも。
井上雅彦「きれいずかん」、芦沢央「ログインボーナス」、宮部みゆき「よあるきのうた」もお気に入りです。怖さもあるけれど、そればっかりではない。どれも素敵です。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
帯に"花屋さん"、"花が埋もれた真実や死の真相を教えてくれる"、というようなワードが書かれてたので、殺人事件は絡むけど優しくて明るい感じなのかな?と思い読み始めたけど、違った。
短編集で各話の事件の背景が結構重たくて、暗い気持ちになってしまった。どの話もやるせないんだよな…。もちろん悪人が逮捕される話は、被害者の無念が晴れてスッキリする。後味は少し悪いけど。
加害者にならざるえなかった話は、なんとも悲しい。そういう感じで全体的に暗い気持ちになるのだけど、最後は不思議と前向きになれる。これから良いことが起きるような感じで。なぜだろう?と考えてみた。なんとなくだけど、何気ない日常の描写で話が終わるからかな?と思いました。
私は"花より団子"の人なので、花は詳しくない。
だから、話の途中で花の豆知識が出てきて、「なるほどな」と少し賢くなった気分になりました。
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Posted by ブクログ
こんなにボリュームたっぷりな小説は久しぶり。
まさに読み応えのある一冊だった。
どこでつながるんかなぁ、あ、やっと同じ線上に…と気づいてからは、先が気になって気になって。
込み入った部分がさっと説明に終わった感じは残念だったけれど、そこまで詳しく書いたら上下巻になりそう。それだけ複数テーマがあり、でもたくさん人間が出てるんだから、それだけの背景はあるよな、一人一人の人生の物語の絡み合いが、人間関係ってものだしな。
たぶん一人一人を大事に描いてくれている、思いを込めているんだろうな。
最後は切なかったけれど、こんな終わりの作風もありかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きな作家だったので。
そう、これです。
このひりっとした感じ。
お花屋さんのお話なのだが、
大学時代の同級生の叔母が亡くなったことが、
するりと殺人事件になっていく。
その同級生は気分屋で軽率で、とざっくり切られる。
でも天真爛漫で裏表がないからつきあってられる、
とお花屋さんの志奈子は思っている。
さらに大学の時、部活の監督と不倫をしていて、
当時その叔母が大学に乗り込んだとか、
大学を去らざるを得なかったその元監督とよりを戻してるとか、
どんどん話はきな臭くなっていく。
志奈子の周囲での事件が語られる短編集なのだが、
その短編の中に人生がぎゅっと詰め込まれていている。
その凝縮ぐあいが素晴らしい。
短編の醍醐味が堪能できる。
その志奈子が五十を過ぎて結婚したという設定も自然な感じだし、
その相手が刑事ということも違和感がない。
当然、花を巡って話は進むのだが、
同じ作者の別の長編作品とは全くちがうし、
どの話もとても良かった。
猫が登場していたが、殺人の手伝いをさせられて、
しかも怪我もさせられたのは納得いかない。 -
Posted by ブクログ
怖いのかなぁと、ずっと本棚に置いていた本。
読んでみたらそれほど怖くなかった。
山の奥深くにいる粘菌が、嫉妬や憎悪など負のエネルギーに感応し、その人にとりつき惨忍な事件を起こさせる話。
校長先生の、生徒や教師に向き合い方がいい!
余計なことは言わずに導く人。
金髪の転校生に、染める理由を聞く
うまく説明できないなら、文章にして提出しなさい、妥当なら認めると。
少女は「目印」だと。「金色は私を守ってくれる色、その必要が無くなったら自分で元の色に戻す」と。
校長はその理由でOKを出した。
このくだりはあまり重要とは思っていなかったが、後半、大きな意味を持つ。
人との交流が苦手で山奥の学校の教師をしている圭介。
陸上選手としてオリンピックを目指していたが事故で怪我をし諦めた過去をもつ。教師として自信がないが、地元の老人達との交流や、廃校になる学校の校歌について生徒と調べるうちに生徒とも信頼関係ができ、邪悪なものにも立ち向かうことができたのは、よかった。
小さな事、ひとつひとつに意味があって、いずれかが欠けていたら粘菌を退治できなかった。
全体的に山間の陰鬱な雰囲気がホラー的な恐怖をかりたてているけれど、読後感に怖さが残らない。面白かったです!