宇佐美まことのレビュー一覧
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宇佐美まことさんは、本当に素晴らしいストーリーテラーだな、とつくづく思います。映画を一本観終わったようなそんな感覚にさせてくれます。
両親の離婚後、会わなくなった祖父母。仕事がうまくいかず退職したばかりの29歳の侑平は、今は亡き祖父母の家を処分する前に見ておこうと松山へ赴く。
その家で見たのは、祖父が祖母を看病していた時の日記と13月まであるカレンダー。自分のルーツを探っていくうちに、広島の原爆投下の日に導かれていく侑平。
8月6日にどんなことがあったのか、目を背けたくなるような描写が続きます。そして、それから何年も経っても被爆者は差別の目で見られていたこと。同じ日本人でありながら。家族であっ -
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『13月のカレンダー』を読み終えて、本当に素敵な終わり方だと感じました。
途中までは「このまま悲しいお話で終わってしまうのかな」と思っていたのですが、最後がとても穏やかで、希望のある締めくくりだったので、読後はあたたかい気持ちになりました。
中盤からは被爆の体験が非常にリアルに描かれていて、読んでいて胸が詰まるようでした。
今の時代は、当時の写真や記録をすぐに見ることができるので、それらを確認しながら読み、物語の重さがより深く感じられました。
コロナ禍のときにも、人を避けるような空気があったと思います。「自分さえ良ければ」という -
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ネタバレまぁさんと佳代ちゃんの壮絶な引き揚げ体験は、読んでいて胸が苦しくなった。自分の身内から聞いていた体験と重なり、それは引き揚げというより命がけの脱出であり、奇跡的な生還だったと思う。
年老いて認知症を患っているまぁさんが、心のつかえを取り除いてあげたいという夫の願いにより友人ふたりと過去をたどる旅に出る。大津、松山、佐世保から國先島へ…
まぁさんもアイちゃんも富士子さんもそれぞれ人生の終わりに安寧の境地にたどり着いたのかな。
結果オーライとはなったけど島谷には改心させてほしかったような気もする。
「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」 -
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祖父が、祖母の寿命を少しでも伸ばしてあげたいという思いから作ってもらった、13月のカレンダー。それを見つけた孫の侑平は、長年不義理をしていた祖父母の過去を知ろうとします。事情を抱えた彼が、祖父母への思いと過去の自分に突き動かされて、行動します。
病床の祖母が会えて嬉しかったという二人の人物も体験した、8月6日。広島の原爆の瞬間とその後の有り様が詳しく書かれていました。その惨状は想像を絶するものでした。7歳と14歳の子どもが経験したことだと思うと、いたたまれませんでした。そして、ちょっとしたことが生死をわけたことに、怖さを感じました。
「ヒバクシャ」と言われ偏見を受けることに、隠れるのではな -
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本当に出会えてよかった小説でした。
内容が濃くて、読みごたえがありました。
認知症の妻(益恵)が住んだ土地を巡ってほしいと頼まれた、益恵の親友のアイと富士子。三人は滋賀県大津市、愛媛県松山市、長崎県國先島を訪れます。益恵が11歳の時、満州から引き揚げるときの出来事と交互に語られていました。
満州から引き揚げるまでのことは、本当にこんなことが起きていたのかというくらいのひどさでした。戦争が終わった後に、こんなにも過酷で残酷なことがあったことを、そしてそれを乗り越えて日本に戻ってきた11歳の女の子のことを読んで、簡単に言葉にすることはできないなと思いました。
読めば読むほど引き込まれました。 -
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読書備忘録935号。
★★★★★。
なるほど。
タイトルの暗喩はラストで着地するんだ。
アイと富士子が羊飼いという訳ね。
そして、カヨちゃんと益恵が羊か・・・。
サスペンスであり、見方を変えればホラーです。
読後ずいぶん経ってしまったので忘却の上での備忘録となってしまった。( ノД`)シクシク…
後期高齢者の仲良し3人娘、持田アイちゃん、須田富士子ちゃん、都築益恵ちゃん。
益恵ちゃんが認知症に。
益恵の夫、三千男は自分の状態も考え、益恵を施設に預ける決意をする。
ただ、益恵が心に旧満州引き上げからの「つかえ」を抱えていると。認知症が進むと共につかえの断片が言葉の断片に表れるようになってき -
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児童向けホラーアンソロジー。しかし執筆陣を見てわかるように、子供向けだと侮れはしません。
一番怖かったのは澤村伊智「靴と自転車」。ちょっと心温まる系……かと思いきや、とんでもなかったです。それでも起こってしまう悲劇は予想されたものの、まさかこんな結末だとは。
表題作の斜線堂有紀「部分地獄」、これは子供の頃だったら一番読みたくなかった作品です。たぶん一番怖く感じたかもしれないし。ある意味「部分」の方が凄惨かも。
井上雅彦「きれいずかん」、芦沢央「ログインボーナス」、宮部みゆき「よあるきのうた」もお気に入りです。怖さもあるけれど、そればっかりではない。どれも素敵です。 -
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面白かった。
帯に"花屋さん"、"花が埋もれた真実や死の真相を教えてくれる"、というようなワードが書かれてたので、殺人事件は絡むけど優しくて明るい感じなのかな?と思い読み始めたけど、違った。
短編集で各話の事件の背景が結構重たくて、暗い気持ちになってしまった。どの話もやるせないんだよな…。もちろん悪人が逮捕される話は、被害者の無念が晴れてスッキリする。後味は少し悪いけど。
加害者にならざるえなかった話は、なんとも悲しい。そういう感じで全体的に暗い気持ちになるのだけど、最後は不思議と前向きになれる。これから良いことが起きるような感じで。なぜだろう?と考えてみた。なんとなくだけど、何