宇佐美まことのレビュー一覧

  • 13月のカレンダー

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    主人公の祖母は幼少期に広島から松山行きの船に乗る際、靴を船の下に落としてしまったため、兄が取りに行くが、それにより船は満員となってしまい、兄だけ翌日の船に乗ることになる。しかし、その日に広島に原爆が投下されることにより、兄だけ命を落としてしまう。

    現在に戻り、その祖母が余命は翌年の始めまでしかないという時期に、夫からその年の13月までが載ったカレンダーをプレゼントされる。
    実際には翌年の1月、カレンダー上では13月に祖母が見たもう一つの世界とは。。。

    その世界と主人公にまつわる奇跡に関してはややできすぎな感じもしてしまったが、主人公は被爆について語りたがらない自分の父親(=先述の祖母の息子

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    2026年05月15日
  • 月白

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    宇佐美まことさんの作品は、重いものから比較的軽いものまで結構振り幅があると思うが、今作は個人的に当たりの重め作品だった。

    章の構成と語り手の入れ替わりが上手いし、大垣氏がほとんど口を開かないのもいい。

    上野駅の銀座線への連絡通路や階段はよく通っていたけど、あそこはなんとなく空気が重いと感じていたことを思い出した。

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    2026年05月14日
  • 月白

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    ネタバレ

    憎しみという感情を共にするフサと靖男。
    北川フサによる終戦直後の連続殺人の深層に迫るフリーライターの海老原誠が主人公だが、物語は途中から、当時戦災孤児だった大垣靖男の回想を中心に進んでいく。
    「焼夷弾の落ちた場所が少し違った」ことが運命を分け、路上に放り出された戦災孤児たちの描写がまさに壮絶で言葉を失う。フサの残虐極まる殺人に憧れを見出す靖男。そして靖男も憎しみを爆発させる。社会から存在を否定され、最愛の姉や親友など仲間の孤児たちが次々と(社会から)殺されていく中で、靖男の心も憎しみによって殺されかかっていたのか。とても自分に置き換えて推し量ることができない。
    しかし、その靖男の記憶は誠には決

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    2026年05月10日
  • 逆転のバラッド

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    ネタバレ

    還暦を過ぎた うだつの上がらない男たち。
    自分はこのまま 鄙びた港町でただただ無駄に歳を重ねていくだけだ…と寂しい背中のおじさん達(哀)

    しかし、一人の銀行員の死をきっかけに オジ達は立ち上がる!戦いを挑むのは 町を蝕む巨悪な存在!!

    「一念通天」
    ここで終わってたまるか!
    痛快リベンジミステリー

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    愛媛県の港町。地元の銭湯「みなと湯」を憩いの場として集まるオジ四人集。

    老朽化した「みなと湯」の風呂釜修繕に頭を悩ませる主人の邦明

    暴力団を破門になり、みなと湯の釜焚きとして雇われる独り身の吾郎

    実父の儲からない骨董屋を継がされ、家庭でも肩身の狭い思いをしている

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    2026年05月09日
  • 月白

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     スゴい本と出会ってしまった。ページを捲る手が止まらないとはこういうことを言うんだろう。本当に久しぶりに物語に没頭して読んだ。

     戦後の混乱期に男だけを狙った連続殺人が起こる。犯人は子連れの女、北川フサ。

     現代。妻を事故で亡くしたライターの誠は、その事件を請け負うことに。やがてフサが連れて歩いたと思われる人物と出会う。

     戦後と現在。フサと大垣と誠。やがて物語は時代と3人が交差していく。

     フサはなぜ何人もの男性を殺したのか。そして、なぜ大垣はフサに付いて行ったのか。もちろん読者である私たちはその全貌を知ることになるが、誠が全てを把握することはなく、なんともヤキモキした気持ちになって

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    2026年05月07日
  • 月白

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    派手な展開はないのに途中から止められずに一気読み

    戦争孤児の辛く厳しい日々
    フサの憎しみ
    戦争や貧困によって人生を翻弄されてしまったことを考え理解できる事をありがたく思う
    今でもいつどうなるかわからない世の中で
    今の平和を噛み締めている

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    2026年05月06日
  • 白と黒のソナタ

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    かなり王道ではあるが、とっても読みやすかったので、読んで良かったなぁという気持ちがちゃんと残るストーリーだった。

    「つながっているー何もかも必然だったのだ。」最後のこの言葉に出会うために私はこの本を読んだんだろうな。
    なぜなら私も、人生で起る全ての出来事はみんなつながっていて何もかもが必然であると感じているから。

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    2026年05月04日
  • 白と黒のソナタ

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    新進気鋭のピアニストのために製作されたピアノ「Niemeyer」に関わった人達の人生の悲劇と感動・再生の大傑作大河小説。もっとコンパクトにすればもっと面白い小説になるのにと思う作品が多い中、本作は2倍の文量でも読みたくなるような、ピアノの調べのように流麗な文章に綴られ、時間を忘れるほどの美しさ。行きつ戻りつの展開も絶妙。最近の宇佐美作品は上質で安定しており、何れも傑作揃い。もうマエストロの域で、もっと広く読まれることを望む。

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    2026年04月29日
  • 羊は安らかに草を食み

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     読み終わって、タイトルの「羊は安らかに草を食み」という曲を聴いてみた。これっ!良くSpotifyが私用に選曲してくれるやつやん^ ^最近作曲されたヒーリングミュージックかと思っていたらバッハと知って驚いていた。バッハといえば荘厳な教会音楽、数学的に神という高みに上っていくイメージをもっていたが、それはイメージの話。バッハって実はすごく優しいんだ。教会の門にたどり着くことも出来ない者の側にも神はいる、戦場で今日を必死に生き延びる者の側にも神はいるっていう優しい(バッハはドイツ人でルター派なのですね)とっても人間的な気持ちに溢れている。
     益恵という86歳の女性がいる。認知症を患い、まもなく施設

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    2026年04月26日
  • 月白

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    主人公の現在の苦しみ、葛藤と主人公が書こうとしている過去の事件と戦後まもない時代の背景とが交互に描かれてて、最後まで飽きることなく読み進めれた。 

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    2026年04月22日
  • 月白

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    ネタバレ

    靖男の言葉が
    「みんな、川に還るんだ」
    「子どもは守ってやらねばならん。一番近くにいる大人がな」
    絶望の中でも
    助けあって生きてきた人生の重みが

    夏樹が自分の子供か?と信じられず苦しんできた誠を
    それは大したことでも無いと
    気づかせた

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    2026年04月18日
  • 月白

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    戦後の混乱期に5人の男性を殺害し、死刑となった北川フサ。その生涯を、現代のフリーライター・海老原が追っていく。過去と現在が何度も行き来する構成ながら読みづらさはなく、自然と物語の中に引き込まれた。戦争や戦災孤児、連続殺人といった重いテーマが重なり、気軽に読める作品ではないが、その分読み応えは十分。タイトルの「月白」は「つきしろ」と読む秋の季語で美しい響きを持つが、本作では「げっぱく」という色として描かれ、冷たく悲しい白一色の世界を思わせる。とても悲しいタイトルだと感じた。

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    2026年04月13日
  • 謎は花に埋もれて

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    素晴らしい。
    どの物語も人間の哀しみ、やるせなさ、優しさを描いていて、胸にすっと染み込んでくる。
    特に最後の『家族写真』は良すぎて泣いたし震えた。

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    2026年04月05日
  • 13月のカレンダー

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    ネタバレ

    仕事を辞めた侑平は、父の実家の処分の話を聞かされた。幼い頃、長い休みを過ごす事もあった父の実家。亡くなった祖父母とは疎遠になっていたが、侑平はその場所を尋ねることにした。

    広島の原爆の描写、戦後も長く続いた被爆者の差別や苦しみも描かれ、私にとっては学びの多い読書になった。
    侑平が抱えていた問題がSTAP細胞の一件を彷彿させ、あれは一体何だったのだろうと少し懐かしい気持ちにもなった。
    父の心が頑なで、そこに解決がなかったことはリアル。
    物語が意外な方向へ広がり、最終的には侑平の問題に帰着する。お見事。

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    2026年03月31日
  • 羊は安らかに草を食み

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    最近曽祖父や祖父の人生について知ったこともあり、戦後あたりの歴史に興味を持っていた。満州から日本に帰るまでの回想シーンが衝撃的な内容で、それでいて俳句に想いや情景が込められていて詩的で、非常に面白くすぐに読み終わってしまった。終盤だけ少し入っていけなかった所はあったけど、全体的にはとても素晴らしいと思った。他の作品も読んでみたい。

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    2026年03月26日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    子ども向けの児童文学とは侮れぬほど、ガチで怖い作品ばかり!!

    子どもだけじゃなく、かつて「夜の子どもたち」だった大人にも読んでほしい作品

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    2026年03月20日
  • 13月のカレンダー

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      あの日人類史上最悪の爆弾が降ってきた…


    もし、過去に戻れたら――。
    決して起こるはずのない幻想を搔き消し、再出発の一歩を踏み出した侑平。
    そして、愚かな戦争の記憶と奇跡の物語は、新たな世代へと受け継がれてゆく。

    宇佐美さんの思いがたくさん詰まった一冊だった。

    原爆の悲惨さ、当時の情景、生き延びた人への差別
    主人公がたどる祖母の辛い過去を知る事が、自分の犯した罪に向き合い再生の道になる。

    13月のカレンダーが起こした奇跡に涙(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    久しぶりの宇佐美まこと作品は満足の一冊でした♡




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    2026年03月13日
  • 13月のカレンダー

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    小生、広島在住だが松山には親戚もありつい最近まで春秋には墓参りに行っていたので、本書の記述が非常に楽しめた.複雑な家庭環境下で育った上野侑平が祖父の松山の家を訪ね、祖母を介護した祖父の遺品の中から表題にもある「13月のカレンダー」を見つける.これをベースに様々な人との接触が物語を発展させる.山根研究室での侑平の行動は、論文執筆活動をしていた小生にも感じる所が多かった.「閃光」での被爆状況の描写は克明で読みながら涙が出てきた.祖父の住所録から服部義夫さんに会うことができたのも、人のつながりが結びつけたものと思っている.石丸奈穂美と山根先生を尋ねる場面は、先生の包容力を感じさせる素晴らしいものだっ

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    2026年03月13日
  • 月白

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    ワタシの初 宇佐美まこと は「羊は安らかに草を食み」で、それはそれは衝撃を受けたのですが、この「月白」も羊と同じ系統です。羊ファンならおススメです。

    「戦後の混乱期に5人の男を殺した殺人鬼 北川フサ」について書くフリーライターの話ですが、この物語の主人公は、東京大空襲で親を亡くした13歳の男の子 靖男 です。戦争孤児というのかな、親を亡くした子供が生きていく環境が悲惨すぎる。
    読み終えて、表紙を見ると青白い景色の中、ベンチに座る男性一人。

    しかし、お姉さんの千代ちゃんや洋パンの清子たちの話もすごい。ワタシは自分が女なのでよく分からないけれど、男っていうのは食うや食わず生きるか死ぬかの状況で

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    2026年03月10日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    学級日誌よりこっちの方が面白いというか意味が分かる話だった。教訓も含めた怖さなので子ども向け。そして作家は活躍されている方ばかりなので本好きにはたまらない一冊。

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    2026年02月22日