宇佐美まことのレビュー一覧

  • 13月のカレンダー

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    宇佐美まことさんは、本当に素晴らしいストーリーテラーだな、とつくづく思います。映画を一本観終わったようなそんな感覚にさせてくれます。
    両親の離婚後、会わなくなった祖父母。仕事がうまくいかず退職したばかりの29歳の侑平は、今は亡き祖父母の家を処分する前に見ておこうと松山へ赴く。
    その家で見たのは、祖父が祖母を看病していた時の日記と13月まであるカレンダー。自分のルーツを探っていくうちに、広島の原爆投下の日に導かれていく侑平。
    8月6日にどんなことがあったのか、目を背けたくなるような描写が続きます。そして、それから何年も経っても被爆者は差別の目で見られていたこと。同じ日本人でありながら。家族であっ

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    2025年11月03日
  • 13月のカレンダー

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    侑平は15年ぶりに訪れた愛媛県松山市の祖父母の家で、祖母の闘病生活を綴ったノートと13月まであるカレンダーを見つけた。祖母が広島出身であったことを知り自分のルーツを辿っていく。

    原爆を投下された時の広島とそこにいた人々がものすごくリアルに描かれていて読んでいて辛くなった。原爆の後遺症だけでなく、世代を超えて偏見と差別に苦しめられるていることにも。

    祖父の祖母を想う気持ちと寿賀子の兄の優しさが13月のカレンダーという奇跡を生んだ。
    「13月はあったのよ」
    「きっと奇跡が起こるよ」
    侑平の再生の物語でもあったと思う。

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    2025年10月30日
  • 13月のカレンダー

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    当たり前の日々を突然壊す戦争。不条理な差別と次世代にも渡る偏見と苦悩。閉ざすのではなく、対話をしなければ、前には進めない。

    文体なのか流れなのか、この著者の作品は本当に読みやすい。簡単という意味ではなく、抵抗なく風のように頭に入ってくる感じ。心地よい読書時間になった。

    ただ、不完全燃焼な箇所があってモヤモヤ。あの口癖はなんだったのか。それも含めてのキセキ?
    カレンダー…経緯は分かる。キセキとしてあの日を示すには長い気もする。私の解釈がまだまだ未熟なのだろう。また読みたい。

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    2025年10月19日
  • 13月のカレンダー

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    /_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 
    『13月のカレンダー』を読み終えて、本当に素敵な終わり方だと感じました。
    途中までは「このまま悲しいお話で終わってしまうのかな」と思っていたのですが、最後がとても穏やかで、希望のある締めくくりだったので、読後はあたたかい気持ちになりました。

    中盤からは被爆の体験が非常にリアルに描かれていて、読んでいて胸が詰まるようでした。

    今の時代は、当時の写真や記録をすぐに見ることができるので、それらを確認しながら読み、物語の重さがより深く感じられました。

    コロナ禍のときにも、人を避けるような空気があったと思います。「自分さえ良ければ」という

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    2025年10月18日
  • 13月のカレンダー

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    私は広島在住なので原爆は学校などで学習し、知っているつもりだったが。
    現代に生きる侑平と、祖母。祖母の友達の喜代。主にこの3人の過去と現在が交互に語られる。その中には日本人の差別意識も盛り込んでいる。今が本当に平和な世の中と言えるのか、この先10年がどうなるのか、とも考えさせられた。

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    2025年10月16日
  • 羊は安らかに草を食み

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    ネタバレ

    まぁさんと佳代ちゃんの壮絶な引き揚げ体験は、読んでいて胸が苦しくなった。自分の身内から聞いていた体験と重なり、それは引き揚げというより命がけの脱出であり、奇跡的な生還だったと思う。
    年老いて認知症を患っているまぁさんが、心のつかえを取り除いてあげたいという夫の願いにより友人ふたりと過去をたどる旅に出る。大津、松山、佐世保から國先島へ…

    まぁさんもアイちゃんも富士子さんもそれぞれ人生の終わりに安寧の境地にたどり着いたのかな。
    結果オーライとはなったけど島谷には改心させてほしかったような気もする。
    「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」

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    2025年09月21日
  • 羊は安らかに草を食み

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    ネタバレ

    年齢は離れているが、俳句教室をきっかけに仲良くなった益恵と富士子とアイ。認知症が進行している益恵が施設に入る前に、これまで人生を巡る旅に出ることになる。最初は緩やかな流れだと思っていたら、10歳の益恵が体験した満州での出来事の重みに圧倒された。家族全員を目の前で失い、それでも祖国に帰るために大陸でひたむきに過ごした益恵。旅では多くの人との出会いから益恵の強さが伝わり、アイも富士子も自分の人生とも向き合うきっかけをもらう。最後は驚いたが、老婆の力強さを感じつつ、益恵の辛い過去から解放された気がした。

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    2025年09月05日
  • 13月のカレンダー

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    祖父が、祖母の寿命を少しでも伸ばしてあげたいという思いから作ってもらった、13月のカレンダー。それを見つけた孫の侑平は、長年不義理をしていた祖父母の過去を知ろうとします。事情を抱えた彼が、祖父母への思いと過去の自分に突き動かされて、行動します。

    病床の祖母が会えて嬉しかったという二人の人物も体験した、8月6日。広島の原爆の瞬間とその後の有り様が詳しく書かれていました。その惨状は想像を絶するものでした。7歳と14歳の子どもが経験したことだと思うと、いたたまれませんでした。そして、ちょっとしたことが生死をわけたことに、怖さを感じました。

    「ヒバクシャ」と言われ偏見を受けることに、隠れるのではな

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    2025年09月05日
  • 羊は安らかに草を食み

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    本当に出会えてよかった小説でした。
    内容が濃くて、読みごたえがありました。

    認知症の妻(益恵)が住んだ土地を巡ってほしいと頼まれた、益恵の親友のアイと富士子。三人は滋賀県大津市、愛媛県松山市、長崎県國先島を訪れます。益恵が11歳の時、満州から引き揚げるときの出来事と交互に語られていました。

    満州から引き揚げるまでのことは、本当にこんなことが起きていたのかというくらいのひどさでした。戦争が終わった後に、こんなにも過酷で残酷なことがあったことを、そしてそれを乗り越えて日本に戻ってきた11歳の女の子のことを読んで、簡単に言葉にすることはできないなと思いました。

    読めば読むほど引き込まれました。

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    2025年09月01日
  • 羊は安らかに草を食み

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    とても良かったです。
    「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」
    辛い戦争体験には言葉がみつからないけれど
    最後の、この言葉で救われた気がします。
    そして、とてもいい言葉です。

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    2025年08月24日
  • 羊は安らかに草を食み

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    この三人の女性にとても近い年齢なので…
    そして、戦争は終わってから80年…近いです。
    すべてが想像できるので、辛く読み進めるのにも気がせきました。
    何とも言えない終末ですが、でも私も、
    それに近いことをしたかな・・‥と思います。
    読後はちっとも重い気持ちにはなりません‥‥でした。

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    2025年08月23日
  • 羊は安らかに草を食み

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    久しぶりに心に迫る本に出会えた気がします。

    戦中、戦後を逞しく生き延びた少女たちに涙が止まりませんでした。
    たった80年ほど前にこんな過酷な現実があったなんて…。
    戦争の話は子供の頃から繰り返し、学んできたつもりでしたが、こうして物語形式で読むとリアリティをとても感じました。

    そして主人公を支える友人たちも本当に心優しく寄り添ってくれて、心強い存在でした。
    最後の展開は少し驚きでしたが…。

    誰しもにとって、良い方向に導かれる最後で安心した終わり方でした。

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    2025年08月22日
  • 謎は花に埋もれて

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    花屋の志奈子と刑事の庄司は50歳を過ぎて結婚し、寄り添いあうような雰囲気のなかにさまざまな事件が織り込まれていて、作中の雰囲気が良き

    お花も好きなので
    お花屋さんの雰囲気にひたらせてもらって、しあわせでした

    一番お気に入りの短編は
    『家族写真』

    宇佐美まことさんの作品って
    さまざまな思いと人と人が織りかさなっていく描写が秀逸で人間ドラマが好きな方には、おすすめな作家さんです

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    2025年08月20日
  • 羊は安らかに草を食み

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    読書備忘録935号。
    ★★★★★。

    なるほど。
    タイトルの暗喩はラストで着地するんだ。
    アイと富士子が羊飼いという訳ね。
    そして、カヨちゃんと益恵が羊か・・・。
    サスペンスであり、見方を変えればホラーです。

    読後ずいぶん経ってしまったので忘却の上での備忘録となってしまった。( ノД`)シクシク…

    後期高齢者の仲良し3人娘、持田アイちゃん、須田富士子ちゃん、都築益恵ちゃん。
    益恵ちゃんが認知症に。
    益恵の夫、三千男は自分の状態も考え、益恵を施設に預ける決意をする。
    ただ、益恵が心に旧満州引き上げからの「つかえ」を抱えていると。認知症が進むと共につかえの断片が言葉の断片に表れるようになってき

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    2025年08月13日
  • 謎は花に埋もれて

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    植物が事件のヒントに導いてくれるまた植物がその事件の真実を知っている
    そんなお話がたくさん出てきてとても面白かった
    今後誰かにお花をもらったら花言葉には注意しようと思ってしまった

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    2025年08月08日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    児童向けホラーアンソロジー。しかし執筆陣を見てわかるように、子供向けだと侮れはしません。
    一番怖かったのは澤村伊智「靴と自転車」。ちょっと心温まる系……かと思いきや、とんでもなかったです。それでも起こってしまう悲劇は予想されたものの、まさかこんな結末だとは。
    表題作の斜線堂有紀「部分地獄」、これは子供の頃だったら一番読みたくなかった作品です。たぶん一番怖く感じたかもしれないし。ある意味「部分」の方が凄惨かも。
    井上雅彦「きれいずかん」、芦沢央「ログインボーナス」、宮部みゆき「よあるきのうた」もお気に入りです。怖さもあるけれど、そればっかりではない。どれも素敵です。

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    2025年08月07日
  • 骨を弔う

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    小学生の時の出来事を大人になって、記憶を探りながらはワクワクドキドキして読んだ!
    疎遠になっていたけど、大人になった皆に会う事はまた新たな繋がりで、それぞれの生活を知ることになるけど、この再会で前に進めたこと、そしてその当時に戻る事も出来る間柄に羨ましく思った。後半にびっくりする展開もあったけど、最後は絆を感じていい感じの締めくくりでした。

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    2025年07月02日
  • 謎は花に埋もれて

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    面白かった。

    帯に"花屋さん"、"花が埋もれた真実や死の真相を教えてくれる"、というようなワードが書かれてたので、殺人事件は絡むけど優しくて明るい感じなのかな?と思い読み始めたけど、違った。

    短編集で各話の事件の背景が結構重たくて、暗い気持ちになってしまった。どの話もやるせないんだよな…。もちろん悪人が逮捕される話は、被害者の無念が晴れてスッキリする。後味は少し悪いけど。
    加害者にならざるえなかった話は、なんとも悲しい。そういう感じで全体的に暗い気持ちになるのだけど、最後は不思議と前向きになれる。これから良いことが起きるような感じで。なぜだろう?と考えてみた。なんとなくだけど、何

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    2025年06月18日
  • 謎は花に埋もれて

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    花を題材にした小説だけでなく人情の機微にも触れる本だった。

    最後の「家族写真」が印象に残る。
    フラワーショップ橘の店主と、刑事をしている連れ合いが物語の中心となるが、もしもあの時…という偶然の積み重ねがもたらした結果に人は自らの責任を重ねていく。
    事件の解決と事件の裏側を描く道筋が、大変興味深く読むことができた。

    怪奇小説ではないのだからこの装丁は如何な物かと思う。花を題材にしているにしても、本書の内容と乖離した装丁ではこの小説の良さを毀損してしまう。

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    2025年06月02日
  • 羊は安らかに草を食み

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    戦争の悲惨さ、人間の愚かさ、運の分かれ道、、、友の存在だけが生きる意味だったのかな

    本当にこんなことが起きてたんだな
    起きてたまるかよ…

    目眩がしそうでした。

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    2025年05月25日