宇佐美まことのレビュー一覧

  • 月白

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    戦後の闇市、浮浪児、パンパン‥‥
    猥雑な東京の町で生き抜く女性達、そして子ども達。
    戦争のために家や家族を失い、生きていくためにはどんなことでもやらなければ、今日食べるものさえ手に入れられない。
    そんな中で男達を次々に殺して殺人鬼と呼ばれ、死刑となった北川フサ。彼女のことをもう一度掘り下げて記事にすることになったフリーライターの海老原。
    海老原の視点と、当時北川フサと行動を共にしていたとされる靖男の視点で物語は進む。
    フサはなぜ男達を殺したのか、様々な人が想像して話すけれど、結局本人の口からは何も語られないところがいいですよね。語られないのに、フサを知ろうとした者達は、沼に嵌るようにフサから抜

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    2026年05月29日
  • 白と黒のソナタ

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    ネタバレ

    好きな著者だったので。

    ピアノを巡るお話。
    大正時代の駐英大使となった伯爵一家、
    一家の娘たちにピアノを教えるオーストリア人のピアニスト、
    ピアノ工房に送り込まれた一家の使用人、
    戦後の愛媛県で林業を営む一家、
    婿を迎えた長女をはじめとした三姉妹、
    そして現代のピアニスト。

    それらが、「呪いのピアノ」とも呼ばれた珠玉のピアノと
    美しく苦しく絡み合って物語は進んでいく。

    予定調和的というと否定的にとられるかもしれないが、
    淀みなく自然に時が流れていく感じだと思ってほしい。
    美しい一冊だ。

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    2026年05月19日
  • 逆転のバラッド

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    ネタバレ

    これは読んで良かった!
    まさに社会派ミステリー。

    本の紹介でオジ様たちのことを描いているとか書かれていたので、まあ軽い気持ちで、銭湯に集まるオジ様たちね・・・

    と思っていたら、そのうちの1人のアラ還の新聞記者が、事件を追ううちにどんどん闇が広がっていく。


    自分の覚え書きのためにももっと感想書きたいけれど、明日早朝から横浜に向けて旅に出るのでもう寝ます。
    皆さんが話題にされてる宇佐美さん、とんでもなく凄い!

    とにかくこれはお薦めですね。
    どんでん返しありで、度肝を抜かれます!

    では続きを。
    主人公の新聞記者の思いが事件を追ううちに変化していく。

    知的障害の兄を持ち、記者としても上を

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    2026年05月22日
  • 白と黒のソナタ

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     大正から現代に及ぶ百年の時の流れを、ピアノと音楽を軸にして描いた壮大な人間ドラマです。様々な感情を呼び起こす上質の音楽を聴き終えたような余韻を生みます。

     物言わぬ一台のグランドピアノが全てを知っている。愛と憎悪、生と死、光と影…、ピアノの白と黒の鍵盤が紡ぐ音楽のように、時代のうねりの中で人生の喪失と再生をつないでいくストーリー構成が、実に巧いなと感じました。

     運命に翻弄される華族の女性、ピアニスト、そして見届ける調律師。人物造形も秀逸ですが、歴史的な背景と繊細な心理や葛藤の描写、さらに数奇な運命を見届けるグランドピアノの存在が重なり合い、切なさを助長します。

     人は、絶望の中に見つ

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    2026年05月18日
  • 13月のカレンダー

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    主人公の祖母は幼少期に広島から松山行きの船に乗る際、靴を船の下に落としてしまったため、兄が取りに行くが、それにより船は満員となってしまい、兄だけ翌日の船に乗ることになる。しかし、その日に広島に原爆が投下されることにより、兄だけ命を落としてしまう。

    現在に戻り、その祖母が余命は翌年の始めまでしかないという時期に、夫からその年の13月までが載ったカレンダーをプレゼントされる。
    実際には翌年の1月、カレンダー上では13月に祖母が見たもう一つの世界とは。。。

    その世界と主人公にまつわる奇跡に関してはややできすぎな感じもしてしまったが、主人公は被爆について語りたがらない自分の父親(=先述の祖母の息子

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    2026年05月15日
  • 月白

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    宇佐美まことさんの作品は、重いものから比較的軽いものまで結構振り幅があると思うが、今作は個人的に当たりの重め作品だった。

    章の構成と語り手の入れ替わりが上手いし、大垣氏がほとんど口を開かないのもいい。

    上野駅の銀座線への連絡通路や階段はよく通っていたけど、あそこはなんとなく空気が重いと感じていたことを思い出した。

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    2026年05月14日
  • 月白

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    ネタバレ

    憎しみという感情を共にするフサと靖男。
    北川フサによる終戦直後の連続殺人の深層に迫るフリーライターの海老原誠が主人公だが、物語は途中から、当時戦災孤児だった大垣靖男の回想を中心に進んでいく。
    「焼夷弾の落ちた場所が少し違った」ことが運命を分け、路上に放り出された戦災孤児たちの描写がまさに壮絶で言葉を失う。フサの残虐極まる殺人に憧れを見出す靖男。そして靖男も憎しみを爆発させる。社会から存在を否定され、最愛の姉や親友など仲間の孤児たちが次々と(社会から)殺されていく中で、靖男の心も憎しみによって殺されかかっていたのか。とても自分に置き換えて推し量ることができない。
    しかし、その靖男の記憶は誠には決

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    2026年05月10日
  • 逆転のバラッド

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    ネタバレ

    還暦を過ぎた うだつの上がらない男たち。
    自分はこのまま 鄙びた港町でただただ無駄に歳を重ねていくだけだ…と寂しい背中のおじさん達(哀)

    しかし、一人の銀行員の死をきっかけに オジ達は立ち上がる!戦いを挑むのは 町を蝕む巨悪な存在!!

    「一念通天」
    ここで終わってたまるか!
    痛快リベンジミステリー

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    愛媛県の港町。地元の銭湯「みなと湯」を憩いの場として集まるオジ四人集。

    老朽化した「みなと湯」の風呂釜修繕に頭を悩ませる主人の邦明

    暴力団を破門になり、みなと湯の釜焚きとして雇われる独り身の吾郎

    実父の儲からない骨董屋を継がされ、家庭でも肩身の狭い思いをしている

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    2026年05月09日
  • 月白

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     スゴい本と出会ってしまった。ページを捲る手が止まらないとはこういうことを言うんだろう。本当に久しぶりに物語に没頭して読んだ。

     戦後の混乱期に男だけを狙った連続殺人が起こる。犯人は子連れの女、北川フサ。

     現代。妻を事故で亡くしたライターの誠は、その事件を請け負うことに。やがてフサが連れて歩いたと思われる人物と出会う。

     戦後と現在。フサと大垣と誠。やがて物語は時代と3人が交差していく。

     フサはなぜ何人もの男性を殺したのか。そして、なぜ大垣はフサに付いて行ったのか。もちろん読者である私たちはその全貌を知ることになるが、誠が全てを把握することはなく、なんともヤキモキした気持ちになって

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    2026年05月07日
  • 月白

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    派手な展開はないのに途中から止められずに一気読み

    戦争孤児の辛く厳しい日々
    フサの憎しみ
    戦争や貧困によって人生を翻弄されてしまったことを考え理解できる事をありがたく思う
    今でもいつどうなるかわからない世の中で
    今の平和を噛み締めている

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    2026年05月06日
  • 羊は安らかに草を食み

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     読み終わって、タイトルの「羊は安らかに草を食み」という曲を聴いてみた。これっ!良くSpotifyが私用に選曲してくれるやつやん^ ^最近作曲されたヒーリングミュージックかと思っていたらバッハと知って驚いていた。バッハといえば荘厳な教会音楽、数学的に神という高みに上っていくイメージをもっていたが、それはイメージの話。バッハって実はすごく優しいんだ。教会の門にたどり着くことも出来ない者の側にも神はいる、戦場で今日を必死に生き延びる者の側にも神はいるっていう優しい(バッハはドイツ人でルター派なのですね)とっても人間的な気持ちに溢れている。
     益恵という86歳の女性がいる。認知症を患い、まもなく施設

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    2026年04月26日
  • 謎は花に埋もれて

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    素晴らしい。
    どの物語も人間の哀しみ、やるせなさ、優しさを描いていて、胸にすっと染み込んでくる。
    特に最後の『家族写真』は良すぎて泣いたし震えた。

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    2026年04月05日
  • 13月のカレンダー

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    ネタバレ

    仕事を辞めた侑平は、父の実家の処分の話を聞かされた。幼い頃、長い休みを過ごす事もあった父の実家。亡くなった祖父母とは疎遠になっていたが、侑平はその場所を尋ねることにした。

    広島の原爆の描写、戦後も長く続いた被爆者の差別や苦しみも描かれ、私にとっては学びの多い読書になった。
    侑平が抱えていた問題がSTAP細胞の一件を彷彿させ、あれは一体何だったのだろうと少し懐かしい気持ちにもなった。
    父の心が頑なで、そこに解決がなかったことはリアル。
    物語が意外な方向へ広がり、最終的には侑平の問題に帰着する。お見事。

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    2026年03月31日
  • 羊は安らかに草を食み

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    最近曽祖父や祖父の人生について知ったこともあり、戦後あたりの歴史に興味を持っていた。満州から日本に帰るまでの回想シーンが衝撃的な内容で、それでいて俳句に想いや情景が込められていて詩的で、非常に面白くすぐに読み終わってしまった。終盤だけ少し入っていけなかった所はあったけど、全体的にはとても素晴らしいと思った。他の作品も読んでみたい。

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    2026年03月26日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    子ども向けの児童文学とは侮れぬほど、ガチで怖い作品ばかり!!

    子どもだけじゃなく、かつて「夜の子どもたち」だった大人にも読んでほしい作品

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    2026年03月20日
  • 13月のカレンダー

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      あの日人類史上最悪の爆弾が降ってきた…


    もし、過去に戻れたら――。
    決して起こるはずのない幻想を搔き消し、再出発の一歩を踏み出した侑平。
    そして、愚かな戦争の記憶と奇跡の物語は、新たな世代へと受け継がれてゆく。

    宇佐美さんの思いがたくさん詰まった一冊だった。

    原爆の悲惨さ、当時の情景、生き延びた人への差別
    主人公がたどる祖母の辛い過去を知る事が、自分の犯した罪に向き合い再生の道になる。

    13月のカレンダーが起こした奇跡に涙(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    久しぶりの宇佐美まこと作品は満足の一冊でした♡




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    2026年03月13日
  • 13月のカレンダー

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    小生、広島在住だが松山には親戚もありつい最近まで春秋には墓参りに行っていたので、本書の記述が非常に楽しめた.複雑な家庭環境下で育った上野侑平が祖父の松山の家を訪ね、祖母を介護した祖父の遺品の中から表題にもある「13月のカレンダー」を見つける.これをベースに様々な人との接触が物語を発展させる.山根研究室での侑平の行動は、論文執筆活動をしていた小生にも感じる所が多かった.「閃光」での被爆状況の描写は克明で読みながら涙が出てきた.祖父の住所録から服部義夫さんに会うことができたのも、人のつながりが結びつけたものと思っている.石丸奈穂美と山根先生を尋ねる場面は、先生の包容力を感じさせる素晴らしいものだっ

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    2026年03月13日
  • 月白

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    ワタシの初 宇佐美まこと は「羊は安らかに草を食み」で、それはそれは衝撃を受けたのですが、この「月白」も羊と同じ系統です。羊ファンならおススメです。

    「戦後の混乱期に5人の男を殺した殺人鬼 北川フサ」について書くフリーライターの話ですが、この物語の主人公は、東京大空襲で親を亡くした13歳の男の子 靖男 です。戦争孤児というのかな、親を亡くした子供が生きていく環境が悲惨すぎる。
    読み終えて、表紙を見ると青白い景色の中、ベンチに座る男性一人。

    しかし、お姉さんの千代ちゃんや洋パンの清子たちの話もすごい。ワタシは自分が女なのでよく分からないけれど、男っていうのは食うや食わず生きるか死ぬかの状況で

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    2026年03月10日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    学級日誌よりこっちの方が面白いというか意味が分かる話だった。教訓も含めた怖さなので子ども向け。そして作家は活躍されている方ばかりなので本好きにはたまらない一冊。

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    2026年02月22日
  • 逆転のバラッド

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    宇佐美まことさんの作品。

    紹介文で勝手に中高年のおっさん達が活躍する以前読んだ本を思い浮かべてしまっていた。
    たしかにこの作品の主要キャラもおっさん達だ。しかも、ずいぶんとしょぼくれている。
    もう潰れそうな風呂屋の親父、父親から譲り受けた開店休業の骨董屋の親父、地元に帰ってきた全国紙の新聞記者。
    彼らの元に「銀行員が橋から転落死した事故を調べてほしい」と相談が。

    ちょっと調べたらどんどんと出てくる闇の世界だった。
    政治家、病院理事長、詐欺集団、マネーロンダリングなどなど。
    田舎に似つかわしくない深い闇に、おっさん達は立ち向かえるのか!



    大きなテーマと、ラストにほんわかできるエピソード

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    2026年02月19日