宇佐美まことのレビュー一覧

  • 展望塔のラプンツェル

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     ラプンツェルと云ったらディズニーですよね。でも、元々はグリム童話! 知りませんでした‥。
     本書は、ディズニーとは似ても似つかず、余りにも悲惨で虐げられた人たちの物語で、終盤まで続く救いの無さに、切なく辛い内容でした。

     舞台となる多摩川市は、開発の進む北部地域と荒んだ臨海部の南部地域に分かれ、この南部を地元の成金が建てた展望塔が見下ろしているのでした。
     育児放棄された5歳男児、性的虐待を受ける17歳少女、その少女を救う少年、取り憑かれたように不妊治療をする夫婦の危機、業務に忙殺され疲弊状態の児童相談所職員‥。これらの人々の人生が交差し重なっていきます。

     「ラプンツェルが、塔の上から

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    2023年08月22日
  • 超怖い物件

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    家にまつわる、呪い・人の怖さが盛りだくさん。
    どれも怖い話だけれど、群を抜いて、ゾワゾワしたのは澤村伊智の『笛を吹く家』・芦花公園の『終の棲家』。
    自分自身の「先入観」も怖いと感じた。

    人の家の怖さは、医療職で訪問をしていた時によく味わったので、その時の怖い経験も思い出して、余計怖かった。
    開かずの部屋のある家、どこからか監視されているような家、どうしても気分が悪くなる家、、、いろいろあったなぁ。

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    2023年08月17日
  • 鳥啼き魚の目は泪

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    昭和初期、華族である吉田家の庭にある池から白骨死体が見つかった。過去の令嬢の醜聞に関わる噂が飛び交う中、池は埋められ壮大な枯山水の庭が作られることになる。作庭師の溝延兵衛が手がけるその庭の工程が進む中、庭づくりに魅入られた吉田家の当主夫妻は徐々に変化を見せていく。ミステリ的な部分もあるけれど、それだけではない魅力に満ちた作品です。
    池から見つかった白骨死体に関わる謎がメインのミステリかと思っていましたが。主役は庭と作庭師ですね。もちろんミステリとしての部分にもきっちりと驚かされ、納得させられましたが。庭に魅せられ魅入られる人たちの物語を読むうちに、こちらも引き込まれていきました。そしてこの時代

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    2023年08月12日
  • 超怖い物件

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    11人の作家さんによる短編集

    心霊系から人怖まで様々な怖い話が盛り沢山の超お得な本

    糸柳さんのは簡単な日記で怪談社で活動する日常が面白かった

    澤村さんのは捻りが効いていて最後辛くなる話

    芦花さんのはやっぱり狂気を感じる話

    私が1番絶対嫌な家は平山さんの話の家です

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    2023年08月01日
  • 超怖い物件

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    家にまつわるホラー短編集。
    様々なホラー作家の作品が読めるのもいい。
    物件も町おこしのための古い家や事故物件、マンションなど様々。
    一つ一つが短いためサラリと読めるが、短い中に怖さは凝縮されていてとても良かった。

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    2023年07月30日
  • 逆転のバラッド

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     スカッとする一冊。人生の下り坂にいるオヤジたちが一念発起!ただの逆転劇じゃなく、しっかりとミステリー要素もあり、どんでん返しも用意されていて、読み応え十分でした。

     冒頭である銀行員が殺されます。その銀行員の恋人という女性がオヤジたちの集まるみなと湯にやってきて、彼は殺されたのだと言い、気の良いオヤジたちは、彼女のため、事の真相を探ろうと動き出します。

     その真相は、巨大な悪が潜んでいて、それが発覚した頃には彼女がいなくなり、殺された銀行員の恋人ではなかったことがわかり・・・。

     色んな謎が絡んでいて最初から最後まで楽しく読めました。世の中の中年オヤジたちにエールと檄を飛ばしてくれる一

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    2023年07月28日
  • 愚者の毒

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    ネタバレ

    っちゅうわけで、みんみん&おびーの腐女子え女子?コンビおすすめの『愚者の毒』です(また余計なこと言う)

    毎回言ってますが、相変わらず驚愕の抽斗の多さですね
    しかも開け方が的確
    今野敏さんなんかもめちゃくちゃ抽斗多いですけど「そこ開けなくていいのに」(また余計なこと言う)

    よっけいな〜ものなど〜なっいっよね〜♪
    (遂に余計こと歌い出す)

    えー、どうしよ
    方言について語るかタイトル『愚者の毒』について語るか
    うーん、ここは飛鳥に敬意を表して愚者の方で!(はい余計)

    いろんな説明すっ飛ばして先生が達也に言ったセリフね
    「『命を奪う毒と命を救う薬との違いはほんのわずかである』ってね。人

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    2023年07月27日
  • 逆転のバラッド

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    愛媛を舞台にある銀行員の死から大きな不正を暴いていく親父たちの物語。コンゲームっぽい流れのある話かと思いきや社会派ミステリーの様相。宇佐美さんは流石に巧みなので地に足のついた物語が展開されていく。地元の新聞社に異動してきた主人公の1人、弘之の造形が良い。仕事一筋で家庭を顧みなかったために妻と別れ一人暮らしをしている。施設に入れてしまった知的障害者の兄のことが気になりながらもどうにも会いに行けない。その不器用さに年配者のあるあるをみるのだ。ラストでの2人の邂逅は読みどころで素晴らしかった。

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    2023年07月12日
  • 逆転のバラッド

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     熟年を迎え、人生に疲れを感じ始めた男たちが義憤に駆られて、不正を働く町の権利者たちに立ち向かうサスペンスミステリー。
              ◇
     宮武弘之。東洋新報松山支局記者。
     東京本局での出世争いに敗れ、故郷の松山でルーティンワークをこなしながら定年退職を待つのみ。息子は独立して家を出て行き、妻からは熟年離婚を申し渡され、孤独な生活を送っている。

     戸田邦明。町で唯一営業を続けている銭湯みなと湯の主人。
    66歳になり、みなと湯の古い薪釜同様くたびれてきた。老妻と2人、できるところまでがんばろうとは思うが、風呂釜の交換時期に来ており、その費用に頭を悩ませる毎日だ。

     小松富夫。邦

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    2023年07月12日
  • 角の生えた帽子

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    面白かった。ひとつひとつの短編が、読んだあとしばらく余韻に浸りたくなるようなお話だった。設定はありきたりでも演出が良かったと思う。
    特に「みどりの吐息」「湿原の女神」が好きでした

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    2023年07月04日
  • 展望塔のラプンツェル

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    ネタバレ

    初めての作家さん。
    読みたかった本やっと見つけた。
    児童虐待や不妊の話で読んでて苦しかった。
    子供がいて幸せに暮らせていること。
    今の生活がすごくかけがえのないものだと改めて思った。
    怒鳴りまくって。。。なんか私も虐待だよね。頑張ろ。。。

    異なる時間軸の話が並行していたことが分かって最後は一気読み。
    救われた人、救われなかった人、それぞれだけど読んだあとは幸せな気持ちになれた。

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    2023年06月28日
  • 逆転のバラッド

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    4.5点くらい。

    他の本を借りたついでに借りた本だったが、面白かったー。

    不正融資に気がついた銀行員がヤクザといざこざのなかで誤って橋から転落し、溺死してしまうところから始まる。

    その不正融資疑惑から病院、政治家、ヤクザ、金融ブローカー絡みの金と利権が入り交じる、大きな展開に。

    出世抗争で踏み外し、愛媛に戻ってきた記者の弘之。弘之と同年代の2人と吾郎との銭湯での仲間感もよかった。

    銀行員の恋人で無念を晴らしたいと相談してきた女は、恋人ではなかった 果たして誰なのか? 徐々に真実が明らかになっていく描写もテンポよく、飽きなかった。

    最後の方に実直な吾郎が詐欺集団から搾取した1億900

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    2023年06月22日
  • 逆転のバラッド

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    途中から次はどうなるのかワクワクしながら読み進めることが出来ました。最後の意外な展開にビックリしました。
    医療訴訟の難しさ、政治・権力の嫌らしさなど共感できる部分がありました。実際の世の中でもあるだろうなと…

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    2023年06月16日
  • 展望塔のラプンツェル

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    ネタバレ

    油断した。最初に読んだのがダークファンタジーみたいな割と非現実な話で面白かったので読んでみたら、吐きそうなほどにダークな現実の話だった。今の私とは全く関わりないし、ありふれたとは言い難いことだけど、きっと同じような思いをしてる人はいるんだろうなとしんどくなる。あーこの書き方多分時間の軸が違うな、とか、この子とこの子は別人だなとかすぐ考えちゃうのは本読みの悲しい性かな。

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    2023年06月12日
  • 逆転のバラッド

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    色々人物が出てくるが、主人公の視点で語られるのは二人ほど。
    帯の推薦文ほど熱い話ではないと思うが、良い話かと。
    新聞記者宮武の、心情が変わっていく様が良かったと思います。
    ラストの情景も個人的に好み。

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    2023年06月11日
  • 骨を弔う

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    小学5年生の時、学校の骨格標本を山中に埋めた幼馴染みの5人。40歳となった彼らは、あの時の骨に疑問を持ち始める。開発行為で子供の頃生活した土地は無くなり、ばらばらになった友人を訪ねながら、当時の記憶をたどりながら、骨の真実に辿り着く。
    古い友人達は、それぞれの場所で、結婚生活に悩んだり、東北の震災で家族を亡くしたり、人生の岐路で立ち止まっていた。この30年前の骨を弔う事で、過去の遺恨を取り除き、現状の克服に向かう。サスペンス風ヒューマンでした。
    それにしても、宇佐美さんの自分をイジる悪戯心が、思いの外で、印象的でした。

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    2023年05月20日
  • 逆転のバラッド

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    前半は事件と登場人物同士の繫がりがよくつかめず、自分には合わないかもと思いながら読みすすめた。
    が、事件の真相が見え始めておじさん達が活躍し出した中盤から、急に面白さが加速。
    そこからは一気に読んだ。
    何が正義なのかよくわからないけど、こんな人の繫がり方もいいなと思った。

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    2023年05月18日
  • 愚者の毒

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    あっぱれです。
    現代と過去ともっと過去を行き来する物語だが、伏線の回収、微妙な差異、流される違和感、それらがうまく繋がっている。
    切なくもあり、怖くもある。
    どこで誰が道を間違ったのか、これも全部運命なのか。
    非常に良くできたストーリーでした。
    是非とも実写化してほしい。
    ただ、炭鉱のところの方言が読みにくかったです。
    それ以外は読みやすく、登場人物の微妙な感情など、とてもうまく綺麗に表現されていました。
    本当にあっぱれ。

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    2023年05月11日
  • 熟れた月

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    最近ハマっている作家さん。
    今作は中旬まで,登場人物の全員が不幸になっていくストーリーでしんどくなっていきます。が、中盤を抜けると,それぞれの登場人物同士の繋がりが出てきて,続きが気になり,一気に読んでしまいました。
    派手な動きはないですが,昔の出来事を思い出しなが,昔の謎を解いていく作品です。
    最後は,ファンタジックなハッピーエンドほっこりしました。こういう作品もいいなーとホッとしました。

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    2023年05月07日
  • 展望塔のラプンツェル

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    読みながら昨今耳にするようになった「親ガチャ」という言葉が思い浮かんだ。
    児童虐待・ネグレクト・貧困を扱った作品。そして不妊治療をする夫婦についても描かれています。
    子ども・児童相談所職員・近隣住民と視点を変えながらの展開で、苦しい場面がたくさんたくさんありました。

    読みながら、肉親や近しい人に心身ともに傷つけられ家に居場所のない子どもたちに、人でも場所でもいい、心の拠り所がありますようにと切に願った。
    大人の理不尽に振り回される子ども。負の連鎖。
    同じ親として信じがたい悲惨なニュースを見るたびに心が痛む。

    作品に登場する子どもたちの境遇を思うと本当にやりきれない。
    どんなに酷いことをされ

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    2023年05月03日