宇佐美まことのレビュー一覧
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漢の時代の中国から時代を越えて引き継がれる因果の物語。凶悪な禍、不老不死の力を得た男、そして禍を察知し食い止めることができる一組の男女。何度も生れ変わり運命に翻弄される男女はいずれ、巡り合うことができるのか。そして禍に立ち向かうことができるのか。壮大なスケールのファンタジーです。
五つの時代の五つの章で描かれた物語ですが。どの章一つ分でもひとつの物語として読みごたえがたっぷり。その中で生まれ変わった彼もしくは彼女と、彼らを抹殺しようとする不死の男の不穏な対立が実にスリリング。ただし生まれ変わった彼らは一連の事態を把握できていないので、圧倒的に不利なんですよね。実際第四章まではずっと敗北……だけれどそうでないと物語は進まないので仕方がないのです(苦笑)。
そして最終章で舞台は現代日本へ。ここで初めて明らかになる「竜舌」という禍の正体。そうか、そうきたか! ここまですべてファンタジックな要素が多かったのだけれど、一気に現実に即した恐怖が顕現します。そしてすべての章での伏線が回収され、物語は大団円へと向かうのか。クライマックスは一気読みでした。 -
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悲しい話
登場人物が少なく、場所、場面も限られている。ただ、時代が昔の話と現在の話がいったりきたりするので、頭をしっかりしないと、わからなくなる。私は2度読んで、成る程と面白いと思った。登場人物の話は一人を除き、とても温かいのだけど、色んな偶然が重なり、思わぬ方向へ、転換していく。どんでん、どんでん返しみたいな。少し過去の話がうざいところもあるが、一読の価値あり。是非。
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「愚者の毒」が面白かった&WOWOWドラマの「黒鳥の湖」のストーリーが良かったのを受けて宇佐美昨年2冊目。
面白かったです。
久しぶりに終盤まで犯人が誰だか絞りきれませんでした。負け惜しみを言うなら、候補の中にはいましたが。
愚者の毒とはまた全く違った文体、世界観ながらも引き込まれました。
登場人物の数名は、ちょっと現実離れしすぎている設定ではありますが、そこを差し引いても満足度は高め。
この方は親子関係を根底のテーマとされているのでしょうか。
親に愛されずに育った子どもは、作品の中ではやはり幸福とは言えない人生を歩むことになりますが、そうであっても、作中の罪のない子どもに関しては、わずかながらもこの先に光が見えるのではないかと(現実的な範囲で)思える終わり方も良いと思います。
愚者~に比べると少しコミカルな雰囲気もあり、そこは私好みではない点と、犯行を描写したシーンの人称の使い方があと一歩だったよで、その分マイナス☆1つ。
とは言え、楽しめるミステリー作家なので他の作品も期待して読んでみたいです。
2021年22冊目。 -
Posted by ブクログ
2022.08.27
「愚者の毒」に続き、一気読みしてしまった。愚者の毒も本当に暗い話だったけど、こちらも暗い…とにかく水の底のように登場人物の誰も彼もが境遇が暗くて重い。もうやめて!と叫びたくなるくらい暗い。イケメン御曹司である陽一郎でさえも…。陽一郎って、ガラスの仮面の速水真澄みたいで、唯一の救済者と思ったけど、恋人の殺人を知ってそれでも結婚する陽一郎も相当ヤバイ。
結婚後、母か彩香を殺してほしいと思ってるのかもしれないなと勘繰ってしまうイヤーな終わり方。
こういうのもイヤミスっていうのかしら?
この小説の中に一貫して流れているものは「狂気」だと思う。登場人物全員が心の中に暗くて醜い狂気を持っていて、それがまた面白くもありページをめくる手が止まらないんだけど、読み進めるごとにこちらの気分も沈んでくる。
もう誰も信用できなくなってきて、春日コーポーレーションの恩人ユリさんでさえ何か腹黒いものがあるんじゃないかと信用できなくなる始末(結果そこまで酷い展開じゃなくてホッとした)。
この作者さんの作品はどれもこんな感じで暗いのかな。好きだけど、覚悟して読まないと落ち込むなと思った。 -
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この作品は四章から成り、章ごとに有名なピアノ曲にちなんだタイトルがつけられています。
第一章「沈める寺」ドビッシー、第二章「水の戯れ」ラヴェル、第三章「雨だれ」ショパン第四章「オンディーヌ」ラヴェル。
そしてこの本のタイトルである『死はすぐそこの影の中』はフランスのピアニスト、アルフレッド・コルトーに命名された「雨だれ」のもうひとつのタイトルです。
そして主人公である一藤麻衣子はピアノの調律師です。
麻衣子は東京の生まれですが5歳で父を亡くし愛媛県の七富利村の村長だった父の兄である伯父の家に母と身を寄せます。
麻衣子は転校生ですが困った時に麻衣子を助けてくれるミツルや司という友だちができます。
一方、麻衣子は5歳まで習っていたピアノに想いを募らせます。
麻衣子が中学生の時に子どものできない伯母のかわりに母と関係を持つようになっていた伯父は家の風呂に溺れるという不審死を遂げ、隠れキリシタンの呪いという噂がたちます。
そして、村にいられなくなり麻衣子と母、伯母の幸枝は東京へと移り住みます。
麻衣子は病院の精神科で治療を受けのちに調律師になります。
人気ピアニストの兄で実業家の橘陽一郎との噂がきっかけで、麻衣子の過去を知る人物に出会い、伯父の怪死事件の謎と麻衣子の過去が明らかになっていきます。
しかし、麻衣子の過去を知る人物は大怪我をします。
最後まで一番怖い人物は誰なのかわかりませんでした。
村の旧家で起こった数々の事件。
罪を犯した人物には一体、どういう制裁が下るのか。
かなり怖い終わり方です。ホラーだと思いました。 -
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なんともざわざわする読後感。今ちょうど、WOWOWで放送されているドラマの原作。読んでみようと思ったのは、ドラマの中で主人公たる男があまりにも簡単に社長を務める会社を乗っ取られそうになってたから。余程のぼんくらでなければあり得ない設定で、原作でもそんな杜撰な設定なのかを知りたかった。だって、株式会社を乗っ取るなら充分な比率の持ち株が必要で、単に取締役会の多数決で決まるはずはないからだ。しかも社長は創業者であり充分な資本金もあったはずの設定なので、持ち株比率が低いはずがない。そうでないとしたら、余程のぼんくらでというわけだ。作品はミステリーであって経済小説ではないとしても、あまりにも杜撰でご都合主義的ではいただけない。原作では一応株保有率への言及はあったが、おざなりで、納得できるものではなかった。ミステリー部分はなかなか斬新な仕立てであるだけに残念な感じ。