宇佐美まことのレビュー一覧
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ネタバレ定時制の生徒の話から、そこでの友達が働いている「月世界」というリサイクルショップの話になる。便利屋業もやっていて、そこに持ち込まれた、カブトムシの幼虫が全滅した話、たぬきに化けた息子 お母さんと妹がなかなか会ってくれないといった相談事を受け、解決する。
カブトムシ全滅は、起きていない火事を偽装して、高い階から飛び降りさせ自殺にみせるという殺人で、火事に見せるためにドライアイスを使い、その処理でカブトムシが死んだというように完全にミステリ。青春ものと思って読み始めたのでびっくり。それでその事件は解決したのに、章立てや連続短編集との扱いもなくてそのまま話がすすんでいく。最後は、大吾の家族は強盗から殺されており、その犯人と目された男の母親がリサイクルショップのオーナーであることがわかる。犯人と目された男は自殺しており真犯人かどうかは分からずじまい。それについては低周波の影響と、東野圭吾みたいになってきた。そして別に真犯人がいたことで、ちょっと『砂の器』のような大きい展開となる。最後は青春ものとしてハッピーエンドとなる。ちょっと毛色のかわったミステリだ。
本の雑誌2020年度エンタテインメント(北上次郎)ベスト10 1位
(1) 宇佐美まこと『夜の声を聴く』(朝日文庫)は、つらく悲しいドラマの先に素晴らしい読後感が待っている魔法のような小説だ!【おすすめ本/北上ラジオ#23】 -
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ネタバレ伏線回収をきちんと行っているミステリー。もっとホラーやイヤミスと思ったら、怖い方には振れず青春小説系に振れているのが意外だった。
ミステリーと青春小説は相性が良いがこの作品もその相性を上手く使っている…というかその特性を生かしている。
キャラクターの中に少々ザツな個性の人(結局、リスカの女性は主人公の定時制高校入学のきっかけになっただけ?とか、堅物執事とか)もいて、物語上大きな瑕疵ではないけど、もうちょっとエエとこに当てはめてあげたら生き生きしそうやのになぁ、
など少々の難癖はつけれないこともないが、些末なこと。きちんとまとまった良い青春ミステリーだと思う。 -
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タワーマンションや昔ながらの街並みなど新旧乱れる架空の都市・多摩川市。さらに発展しようと市民参加のミュージカルを立ち上げることに。その準主役として選ばれた桜子の娘・菫子。有名な演出家に怒られながらも、懸命に頑張っている一方で、恋の発展も・・・。
時を同じくして、その地域では奇妙な死亡事件が続発している。2つの話は、平行しているかと思いきや、いつの間にか繋がっていることに。そして驚きの展開へと進んでいきます。
「聖者が街にやって来た」ということで、明るいイメージを想像していましたが、殺人や貧困、ドラッグといった闇の部分が多く、「悪魔が街にやって来た」と思えるほどでした。
しかし、読みやすい文章やミュージカルに頑張る菫子の奮闘で、どんよりとした重い気持ちにはならず、さらりとした気分で読めました。
各章ごとに犯人の視点が登場するので、殺人事件をメインにしているのかなと思いましたが、桜子と菫子の親子の話を中心としたストーリーになっていました。
その辺のバランスが曖昧かなと思いましたが、総合してみると登場人物が発する「愛」が交錯したヒューマンミステリーとして形が完成されているのでは?とも解釈できました。
この作品は、様々な親子愛が紹介されています。その人を
守りたいという気持ちや捨てたい気持ち、歪んだ気持ちなど異なる親子のそれぞれの形が、物語を引き立てています。
何故犯行に及んだのか?その背景も物語に奥行き感を出してくれるので面白かったです。
ただ、それぞれの登場人物の心理描写を深く掘るわけではないので、じっくりと味わうという意味では楽しめないかなと思いました。
でも、ミステリーとしての面白さはありました。後半になると、衝撃の展開、衝撃の犯人でしたので最後まで楽しめました。逆境に立ち向かいながらも、菫子が奮闘する姿には応援したくなりました。 -
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学校に馴染めず中2で引きこもりとなった隆太は、公園で目の前で手首を切った女性に引き寄せられるように、彼女が通う定時制高校に入学した。隆太が所属する「浅見クラス」にいたのは、様々な事情を抱えた同級生たちだった。やがて、同級生の大吾が住み込みで働くリサイクルショップ兼便利屋「月世界」を手伝うことになった隆太は、店に持ち込まれる厄介な相談事を解決していく。
些細な不思議と疑問に端を発して、いつしか11年前に起こった一家殺人事件へと踏み込んでいく。それは、隆太の人生をも変える道だった・・・・・・。
「月世界」に持ち込まれる奇妙な相談事を生き物の習性に着目して解決する前半は、さながら「探偵ガリレオ」のようで、これならなにも長編じゃなくても連作短編の方がすっきりするのになぁ~などと思いながら読み進める。
だけど、謎が次の謎に連なり、隆太が、大吾が、ショップの社長・タカエが抱える闇が明らかになるにつれ、長編でしか語れない壮大な物語が見えてくる。
全ての要素が収まる所に収まり、殺人事件の真相も明らかになり、隆太と大吾をはじめとする浅見クラスの生徒たちの今が描かれるラストは、爽やかでじんわりと涙も・・・。
ミステリでもあり、少年たちの成長物語でもあり、社会派の要素もありとさすが宇佐美さんといえる充実の物語でした。
文庫本書き下ろしっていうから、失礼ながら期待してなかったのですが、読んでよかった!
でもなんで、いきなり文庫本なのかな~モッタイナイ -
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怖いですよねぇ、この帯。「お母さんにも見えるんですね、あの子が」って。読みはじめて、表紙の女の子が何者かわかったときにも、ひ〜っ。
ホラーは苦手なはずが最近は好んで手を出しているから、もはや怖がりですなどと言うと「どの口が言う」と言われそう(笑)。
短いものは5頁、あとは30〜40頁程度の怪談は、どれもすぐに読めてわかりやすくて居心地が悪い。怪異そのものよりも、その現象を呼び込んだ人の心の裡に身震いします。
それより怖いのは、そんな主人公たちの心を「ちょっぴりわかるなぁ」と思ってしまう自分。自身が怪異を操れると知ったとき、その力を使いたくなるほどムカつく相手って、きっと人生で何人かは出会う。思うだけで実際には使ったりしないと思うけど、思いたいけど。ぞわぞわします。 -
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「愚者の毒」と同じ作者だったので。
綱渡りというほどではないが、
両脇が崖の細い道を歩いているぐらいの危うさはある。
誰かに感情移入しないように。
描かれている人物像を信じないように。
ひたひたと迫ってくる災いから目を背けないように。
読み方にコツがあると言っては大げさだろうか。
大逆転、というような転回点は無いのに、
少しづつ少しづつ変わっていく人生が、
堕ちている気がしないのは、
主人公が自分の大切にしている者を見失っていないからか。
結局、自分も感情移入してしまっている
その娘が自分を取り戻している結末が良かった。
いくら有能なサポートと相続した財産があったといっても、
たいして経験もないのに会社経営に成功するのはちょっと無理がある気もするが、
家政婦のその後に途中で気がつかせてくれた作者の手腕は素晴らしい。
ダークファンタジーも面白いけど、純粋なミステリーも面白い。