宇佐美まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和初期にロンドンの職人によって作られた至高のグランドピアノを巡る物語。時代を超えて描かれるそれぞれの人物の物語が繋がっていく、重厚な読み心地の作品です。
どの時代の物語においても多くの悲劇が起こりますが、もちろんそれはピアノのせいではありません。ピアノがあったからこそ起こったのだといえないこともないけれど、そのピアノがなければあの人もあの人もさらに不幸だったろうと思いました。多くの人の希望と絶望に関わり、ある時には「呪いのピアノ」などと呼ばれながらも、その気高さを失わないニーマイヤーのピアノがまさしく物語の主役。人々の思いを繋いだピアノがラストでどのような音を奏でるのか、読む手が止まりません -
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Posted by ブクログ
ピアニスト、調律師、そしてピアノ。
すべてのつながりを感じた作品でした。
才能のある2人のピアニスト、ピアノを愛する調律師達、そしてピアノの数奇な運命をたどる物語は、時代を越えた壮大な物語でした。
時代の流れにそらずに紡がれた物語は、現在と過去の違いをより際立たせていたと思います。特に女性のおかれた立場が、過去と現在ではすっかり変わっているので、過去の不幸にいたたまれなさを感じました。
一台のピアノが知っているすべてを感じることができ、次へと繋いでいくことに光を感じることが出来る作品でした。
読者の私は、多くのクラシック曲のタイトルが出てくるので、聴いてみたくなりました。
〈目次〉 -
Posted by ブクログ
お椀を伏せた山を中央にもち
そこに築城400年の平山城と四方の堀
そんな城山町で 複雑に絡む連作短編集
「はじまりのおわり」
この町の有り様
「宵闇・毘沙門坂」
この連作の中心となる 二人の女子と
たびたび登場してくる賃貸アパート
毘沙門坂の 夫を愛人に取られた女と 男に捨てられた女
「猫を抱く女」
蒲生家の修復を依頼された絵画
修復する絵の下には 彼女に関係した人々
そして 不思議な動物
彼女の人生を暗転させた人物ばかり
絵は見る人の心を映す鏡
「繭の中」
城山の麓で 継承される妻への暴力
その元凶の男の後悔
「ぼくの友だち」
児童養護施設「わかあゆ園」
特別支援学級に通う心 -
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戦後、親も兄弟も家も何もかも無くした人たち。絶望の中でそれでも生きなければならない。
そんな中で、まっとうに生きるとは、いったいどう生きることなのだろう。まっとうに生きるとは、人間としての最低限の環境があってこそのことではなかっただろうか。
残虐な殺人を繰り返した連続殺人犯の女。その事件を追い続けたルポライターがその犯人に魅力を感じ始めるという内容を見て、魅力??っと疑問に思って読みはじめた。
この時代、この状況下で、憎しみだけを支えに生きてきた人。憎しみを心の中に抑え込み、生きるために毎日を戦ってきた人。なんと酷い時代だったことだろう。
重く辛い内容ではあったが、現実に起こった、この日本での -
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宇佐美まことさん初めましてでした。
戦中戦後のリアルが読んでて辛かったです。
フサの芯の強さがすごかったです。
こんな人がいたら惹かれてしまいますね。
私も、きっと惹かれていたと思います。
殺人鬼だけれども、たくさんの苦悩と憎しみを抱えていたこと。
その中で人間らしい、大切なものを守るという気持ちもあったのがわかってきます。
前半と後半では、フサへの思いが違ってきました。
『誰の子かということがそれほど重要かね?』『子どもは守ってやらねばならん。一番近くにいる大人がな』
この言葉がとても沁みました。
養子でも、里親でも、知らない子でも大切にしていきたいですね。
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Posted by ブクログ
宇佐美まことさん初読みです。
終戦後の混乱期に5人もの人間を殺して死刑になった殺人犯フサ。彼女についてのルポタージュを書くことになったライターの主人公が、彼女がなぜそんな犯罪に手を染めることになったのかを探っていく話です。そんな中で、フサと行動を共にしていた戦災孤児の靖男という少年がいたことが分かります。靖男はなぜ殺人者と行動を共にしていたのか…
国の都合で一方的に利用されたり社会から爪弾きにされた戦争の犠牲者たちについて描かれていました。
戦争を扱った小説というと、戦争の終結=苦しみの終わりという話が多く、終戦後の人々の苦労について書かれた小説は意外とない気がします。
戦争で家族も家も失 -
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角川ホラー文庫の宇佐美まこと作品。
最近読んだホラー文庫の中では、一段抜けた完成度を感じます。
恐怖を前面に出す作品ではないため、純然たるホラーを期待される方には向かないかもしれません。
ハートフルホラーミステリーファンタジー
とでも 表現させていただきたいような
あらゆる要素を収めるとことに治め、
そこに齟齬を生じさせません。
家族の在り方、血縁という呪縛、時間を超えた友情 そうした主題をメインとしながら
そこに社会派まで匂わす高度なストーリー展開。
ジャンルを横断しながら 最終的には一つの物語として無理なく収斂していく。
もっと 話題となっても良い作品だったのにと思いました。