宇佐美まことのレビュー一覧
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戦後まもなく、五人の男を惨殺したとして死刑になった北川フサ。妻を亡くし息子と二人暮らしになったライターの海老原は、北川フサについてのルポを書くことになった。あまり有名な事件でもなく資料が少ない中、彼は何かに導かれるようにして得難い情報を集めていく。そして彼自身も、北川フサに対して並々ならぬ思いを強めていく。
ルポの進め方だけではなく、私生活に関してもとある悩みを抱える海老原。厳しい戦後の世の中を生き抜いてきた大垣。彼らの視点から北川フサの人物像に迫っていくのですが、しかし北川フサ本人の目線から語られるものはほぼなく、彼女の姿は客観的なものとしてしか見えません。彼女はなぜそのような犯行に走ったの -
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「人を生きながらえさせる一番の感情は憎しみだ」
凄まじいほどの憎しみを抱え孤独に生きていた北川フサ。その憎しみを殺人という形で放出する姿に心酔し行動を共にした少年・靖男。そして事件について調べるうちに、取り込まれるようにフサに惹かれていく誠。
三人が持つ憎しみという感情が共鳴していく姿を描いた物語。
たった70年ほど前にあったこれほどの地獄を私たちは忘れてはいけないと思う。戦争の悲惨さはいうまでもなく、そういう極限状態に置かれた人間の弱さや醜さの行き着く先も。
地獄を味わい、いまだに自分を罰するように生き、多くを語らず亡くなっていく靖男のような老人が、せめて長生きして良かったと思える世の -
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妻を事故で亡くし、子どもと2人の生活になった海老原は、新聞社を辞めフリーターになった。
新聞社の出版局から依頼されたルポが、戦後混乱期に男だけを執拗に殺め続けた北川フサだった。
女性の連続殺人犯は珍しいことだったが、5人の男を次々と殺害するという…これは無差別殺人だったのか。
死刑判決を受けて一年も経たないうちに刑が執行されたことで、わからない部分が多かった。
海老原は、この古い事件を詳しく調べるうちに北川フサに…取り込まれていく。
戦後の過酷な様子を知るたびに如何にして生き延びようとしていたのがわかり、読み進めるのも苦しくなる。
男をここまで憎んでいたという、激しい怒りが伝わってくると同時 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ認知症になった高齢女性の読んだ俳句を元に、彼女の人生が語られていく読み応えのある作品だった。
おばぁちゃま達の友情が素敵だなぁという気持ちと、戦後の満州での壮絶な体験にぞっとするのとで気持ちが忙しかった。
たくましく生きる少女ふたりの体験にはらはらした。
終盤に娘のクソ旦那を殺してやろうみたいな展開がいきなり火曜サスペンスっぽいチープさがでて、あまり好きじゃなかった。
しかも益恵さんが手を下すならまだしも、なんでお友達の2人が???という気持ち。
あれだけ大変な日々を共に生き抜いた2人が、人生の終わりにようやく再開して寄りそう。そういうシンプルな終わり方が素敵だったなぁ…
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俳句仲間である友人の富士子とアイが
認知症が進む益江のために
益江の人生を辿る旅に出かけるロードノベル
人生を深掘りするだけのよくある物語かと思ったら
とんでもなかった!
悲惨な戦争体験が絡んだ重たい重たいお話でした
11歳の益江が家族と満洲から引き上げる際
逃げ惑い自分と妹以外は集団自決で亡くなる
赤ん坊の妹は連れては行けず置き去りに
その後同じ境遇の佳代と知り合い
二人の少女だけで満洲から日本への引き上げを果たすがその体験が壮絶だった
本当に辛い思い出は心の奥深いところに沈んでいて
認知が進んで剥ぎ取られていくように
直近の思い出が薄らぎ
奥底の封じ込めていた思いが
露わになっていくよ