宇佐美まことのレビュー一覧

  • 月白

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    戦後まもなく、五人の男を惨殺したとして死刑になった北川フサ。妻を亡くし息子と二人暮らしになったライターの海老原は、北川フサについてのルポを書くことになった。あまり有名な事件でもなく資料が少ない中、彼は何かに導かれるようにして得難い情報を集めていく。そして彼自身も、北川フサに対して並々ならぬ思いを強めていく。
    ルポの進め方だけではなく、私生活に関してもとある悩みを抱える海老原。厳しい戦後の世の中を生き抜いてきた大垣。彼らの視点から北川フサの人物像に迫っていくのですが、しかし北川フサ本人の目線から語られるものはほぼなく、彼女の姿は客観的なものとしてしか見えません。彼女はなぜそのような犯行に走ったの

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    2026年02月19日
  • 愚者の毒

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    時系列別に展開されていくが、どの時点でも暗くて重い。この雰囲気を表現できる筆力がすごい、とても読み応えのある一冊でした。

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    2026年02月18日
  • 恋狂ひ

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    単行本「いきぢごく」改題
    旅行代理店の重役で独身の鞠子は、義兄との昔の情事を思いながら、11歳年下の社員と逢瀬を重ねる
    そんなとき、妻帯者の恋人を殺してしまい、四国遍路の旅に出た戦前の女性の手記を見つけ、のめり込んでいく
    鞠子と女遍路の人生がうまく絡むように展開して女性の情欲の業を描き、その先の復讐劇で見事な伏線回収
    結果的に事件にまで発展した鞠子の欲を理解できるような、理解したくないような…そんな物語でした

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    2026年02月16日
  • 月白

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    「人を生きながらえさせる一番の感情は憎しみだ」

    凄まじいほどの憎しみを抱え孤独に生きていた北川フサ。その憎しみを殺人という形で放出する姿に心酔し行動を共にした少年・靖男。そして事件について調べるうちに、取り込まれるようにフサに惹かれていく誠。
    三人が持つ憎しみという感情が共鳴していく姿を描いた物語。

    たった70年ほど前にあったこれほどの地獄を私たちは忘れてはいけないと思う。戦争の悲惨さはいうまでもなく、そういう極限状態に置かれた人間の弱さや醜さの行き着く先も。

    地獄を味わい、いまだに自分を罰するように生き、多くを語らず亡くなっていく靖男のような老人が、せめて長生きして良かったと思える世の

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    2026年02月14日
  • 月の光の届く距離

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    ネタバレ

    高校生の美優は妊娠し、彼氏からも両親からも見放される。家を出てもうまくいかず手を差し伸べてくれた大人に頼り出産に望む。明良と華南子が血縁なので夫婦でなく兄弟でゲストハウスをしながら養子を育てる、そんな大きな家族の中で出産まで暮らせた美優は本当に良かったな。だからこそ頑なな感情のままシングルマザーになるわけではなく特別養子縁組をして自分は大学で勉強したい気持ちになったのだろう。夢物語だと思ったりもするけど、困って福祉の手が届かない人が少しでも減ることを願う。

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    2026年02月13日
  • 13月のカレンダー

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    サバイバーズギルトは初めて知った言葉だけれども、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際を奇跡的にくぐり抜けた自分がいて、くぐり抜けられなかった大切な人がいて。しかも他者の無念が自分への温情に起因していたのなら、いくら責任を問われなくても、いいようのない罪悪感に苛まれるでしょうよ。原爆の悲劇、なによりも心に投下された悲哀を限りなく現実的に描く。はてしない絶望感と喪失感。なんとかそれを癒そうという愛情から作られた13月のカレンダー。その架空の時間が生んだ過去への回帰とは儚い幻想だった。それで終わればよかったのになぜ…。

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    2026年02月10日
  • 月白

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    妻を事故で亡くし、子どもと2人の生活になった海老原は、新聞社を辞めフリーターになった。
    新聞社の出版局から依頼されたルポが、戦後混乱期に男だけを執拗に殺め続けた北川フサだった。
    女性の連続殺人犯は珍しいことだったが、5人の男を次々と殺害するという…これは無差別殺人だったのか。
    死刑判決を受けて一年も経たないうちに刑が執行されたことで、わからない部分が多かった。
    海老原は、この古い事件を詳しく調べるうちに北川フサに…取り込まれていく。

    戦後の過酷な様子を知るたびに如何にして生き延びようとしていたのがわかり、読み進めるのも苦しくなる。
    男をここまで憎んでいたという、激しい怒りが伝わってくると同時

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    2026年02月03日
  • 超怖い物件

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    12人の作家さんによる物件怪談小説集でハズレが少ない。特に最初のオチにゾッとさせられた、宇佐美まこと先生の「氷室」がベストでした!

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    2026年02月02日
  • 13月のカレンダー

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    仕事を退職した時に父から連絡があり、もう十数年訪れてなかった父方の祖父母の家に行く事に。
    すでに祖父母は亡くなっており、残されたものから足跡をたどると、祖母は広島出身で、兄を原爆で亡くしてた事を知る。祖母の知り合いを辿るうちに、被爆者差別や祖母の後悔、父の恐怖を知る事となり、自分自身の生き方とも向き合っていく。
    原爆が落ちた時の描写が生々しく怖かった。また、被爆者達のその後の苦悩もよくわかるように描かれていて、良かった。

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    2026年01月31日
  • 愚者の毒

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    ネタバレ

    ひょんな事から知り合いになる葉子と希美。
    それぞれくらい過去を持つがお互いに心を交わすようになる。それがちょっとした行き違いで運命が狂ってしまう。
    しかし、1965年頃の筑豊の廃坑集落の生活は想像以上の貧しさで驚いてしまう。
    暗い本だった。

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    2026年01月28日
  • 羊は安らかに草を食み

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    ネタバレ

    認知症になった高齢女性の読んだ俳句を元に、彼女の人生が語られていく読み応えのある作品だった。
    おばぁちゃま達の友情が素敵だなぁという気持ちと、戦後の満州での壮絶な体験にぞっとするのとで気持ちが忙しかった。
    たくましく生きる少女ふたりの体験にはらはらした。
    終盤に娘のクソ旦那を殺してやろうみたいな展開がいきなり火曜サスペンスっぽいチープさがでて、あまり好きじゃなかった。
    しかも益恵さんが手を下すならまだしも、なんでお友達の2人が???という気持ち。
    あれだけ大変な日々を共に生き抜いた2人が、人生の終わりにようやく再開して寄りそう。そういうシンプルな終わり方が素敵だったなぁ…

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    2026年01月18日
  • 謎は花に埋もれて

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    読みやすく、各登場人物の感情が切々と伝わってくる文章で夢中になって読んだ。
    「クレイジーキルト」と「家族写真」が特に良かった。
    全編通して登場する花屋さんと警察官の夫婦がすごく素敵だったので、続編があると嬉しい。

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    2026年01月09日
  • 羊は安らかに草を食み

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    俳句仲間である友人の富士子とアイが
    認知症が進む益江のために
    益江の人生を辿る旅に出かけるロードノベル
    人生を深掘りするだけのよくある物語かと思ったら
    とんでもなかった!
    悲惨な戦争体験が絡んだ重たい重たいお話でした

    11歳の益江が家族と満洲から引き上げる際
    逃げ惑い自分と妹以外は集団自決で亡くなる
    赤ん坊の妹は連れては行けず置き去りに
    その後同じ境遇の佳代と知り合い
    二人の少女だけで満洲から日本への引き上げを果たすがその体験が壮絶だった

    本当に辛い思い出は心の奥深いところに沈んでいて
    認知が進んで剥ぎ取られていくように
    直近の思い出が薄らぎ
    奥底の封じ込めていた思いが
    露わになっていくよ

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    2026年01月03日
  • その時鐘は鳴り響く

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    東京赤羽で起きた殺人事件を捜査する刑事たちと、松山大学マンドリンクラブOBたちの様子が交互に描かれる。まったく接点が浮かばない展開に困惑するものの、どちらもおもしろいのでかまわず読み進める。
    主人公の女刑事が執拗にこだわる2点がキモなんだろうと思い、実際それが事件解決のきっかけになったことにやや強引さは感じたが、全体として見れば無理のないミステリーだった。本筋だけでなく登場人物それぞれが抱える事情を描いたサイドストーリーもよかった。
    せっかくサイン本を購入したのに、1年以上も寝かせてしまった(^_^;)。

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    2026年01月01日
  • 謎は花に埋もれて

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    何気なく手に取ってみたが、思っていた以上に良かった。
    50歳を過ぎて結婚した生花店経営の志奈子と刑事の昇司夫妻。この2人がいろいろ謎解きをしていくのかと思いきや、それは1話と2話だけで後は完全に脇役。全く関わりない登場の仕方が多い。これは中々斬新。

    面白かったのは『クレイジーキルト』と『家族写真』
    袖擦り合うも多少の縁という言葉を思い出させる。

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    2025年12月29日
  • 13月のカレンダー

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    1つ1つ丁寧に読みたい&読ませる文章ですが、原爆投下後など、読んでいて辛い表現も多かったです。
    主人公が祖父母の過去を探りながら自分自身と向き合っていく形をとることで、過去と現在をうまく結びつけ、戦争を過去の出来事として風化させまいとする気持ちを感じました。

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    2025年12月25日
  • 夜の声を聴く

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    とても深い作品です。
    それぞれの登場人物があのような過去を
    持ち、現在を生き抜こうとする姿に感嘆する
    と共に精一杯の応援を送りながら一気読みしました。

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    2025年12月21日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    澤村伊智さんが以前から気になりつつがっつりホラーが苦手なので子供向けなら読めるかも?と思い読んでみました。
    短編集でテイストがそれぞれ違って面白かったです。怖いけれど、ドーン!バーン!みたいな怖さというよりは、ぞわっとする感じでした。想像力逞しい子供の頃だと眠るのが怖くなったりもしただろうなあ、と。
    「ログインボーナス」(芦沢央さん)、「えんまさん」(黒史郎さん)、「靴と自転車」(澤村さん)が特に面白かったです。

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    2025年12月21日
  • 13月のカレンダー

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    ネタバレ

    原爆による被害は世代を越えてくる。
    足が向かなくなっていた祖父母の家で
    戦時下を追体験することになる。
    父親が物静かになったのは主人公の曽祖父が「被爆者手帳」を持っていたことが発覚したため。
    「自身や次の世代まで原爆の被害が及ぶのでは...」
    と不安になったことによる。

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    2025年12月11日
  • 13月のカレンダー

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    題名からは全く想像がつかない内容だった。広島に原爆が落ちたあの日、街の人たちがどんな目にあったのか、そんな本を沢山読んできた。
    ここに出てくる人々は、みんな優しくまともな人過ぎる。そんなわけあるかい!と思いながらも、心地よかった。

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    2025年12月06日