宇佐美まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★4.5
戦後の連続殺人鬼を追うフリーライター。過去の事件を掘り起こすことで今まで見えなかった部分も明らかになっていく。
5人の男たちを殺害した女性殺人鬼 北川フサ。
これは圧巻の犯罪小説!
なんと言っても、昭和20年の東京大空襲で家族を亡くした孤児たちがどうやって生きてきたか。
壮絶な生き様と人間の根源でもある「憎しみ」「哀しみ」を深く描いている。人の感情の奥底に潜む感情にライターも惹きつけられる。
タイトルの「月白」は冷たく淡い青みがかった白色。
その色が当時の情景をよく表していると思う。
衝撃的ではあったけど、深く考えさせられた作品だった。
さすが宇佐美さん!
良いもの読ませ -
Posted by ブクログ
連続殺人鬼と呼ばれた、北川フサと一緒に
いた、靖男の回想で描かれる戦後の様子。
劣悪な環境に身を置くことでしか生きられ
なかった戦争孤児たちの過酷な状況、
生きるために身を売る選択をするしか
なかった女性たち。戦後の悲惨な状況が
詳細に描かれ、「13月のカレンダー」を
読んだ時も思ったが、この作者の描写は
本当に手加減がない。
「憎しみだけを支えに生きてきたんだ」
本の帯に書かれた言葉、
怒りと憎しみの感情が生きる原動力となって
いた、北川フサと靖男。
取材をするうちに海老原は、自分が抱えている
憎しみを、彼らの憎しみと重ね合うようになって
いく。海老原の憎しみと彼らの憎しみはかなり
違うよ -
Posted by ブクログ
大戦前のイギリス。
最高の職人の手により、最高の素材を使用してつくられた一台のピアノ。
現代、大戦前、戦後、ピアノはイギリスから日本へ、そして所有者を変える。
それぞれの時代、それぞれの登場人物たちとピアノとの関わりを描いた物語です。
大戦前や戦後は時代的に女性が不遇すぎて、人権が低すぎるなかで不幸な出来事がおこり、読んでいて悲しさと憤りを感じました。
現代ではピアニストの方の奏法や苦悩が描かれているのですが、
ピアノを弾く方ならきっともっと共感が深いかなと思います。
報われようもない恋とか、せつない部分も多かったのですが、
読後感は良かったです。 -
Posted by ブクログ
俳句仲間であり、二十数年来友であるアイと富士子と益恵。86歳の益恵は満州からの引き揚げ者で、満州で家族を失った孤児であった。その益恵が認知症になり、頻繁に言葉にする「カヨちゃん」と、しまいこんだ記憶を辿る旅に3人で行くことになる。それぞれ80歳と77歳であり、体の調子もいいとは言えないが、滋賀県大津市、愛媛県松山市、長崎県國先島へと益恵を連れて行く。過酷な満州での出来事、佳代との出会い、そして戦争ゆえに狂わされた人生の数々を、アイと富士子は知ることとなる。
敗戦後の満州の悲惨な様子の記述は、本当に辛かった。心がザワザワして読み進むのに苦労した。その過酷な状況を乗り越えてきた益恵と佳代の強い絆が -
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友澤伸多は若くしてピアニストとして成功、ルックス先行との評判を跳ね返し音を評価され始めた時、とある病が彼を襲う。伸多はあるコンサートの調律で年配の児玉とであい、その技に感銘を受けるも、彼は既に一線を退き一般家庭のピアノの調律を生業としていた。その児玉の師である市原喜三郎(キサ)は14の時に奉公先の平松伯爵が駐英大使となった1923年に手先の器用さを買われ英国随伴の誉に預かったのだった。伯爵は才のあるものを見抜き教育を与える目と志があり、娘の随子(よりこ)が熱心にピアノを弾く姿に異様なほど夢中になる喜三郎を見て、一流のピアノの作成を日本人で初めて習得させようと援助しウィリアムズの下で修行をさせる
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プロローグ
テーブルの中央に琥珀色をした球体がコロンっと
転がっている
カンロ飴
そう、昭和を代表する飴
思わず手に取って頬張った
“口福、口福”
それは、幸福な味がした
本章
『逆転のバラッド』★4.5
ブク友の皆さま高評価の一作
昭和気質のオッサン4人が立ち上がる
邦彦が営む銭湯の融資が受けられないことと
その融資担当者が亡くなったことで巻き起こる
ドタバタミステリー
オッサンの一人である、ヤクザあがりの吾郎のハスラー度合いと新聞記者、弘之の兄秀一の無垢さが胸に滲みる
熱き家族と友情を絡めた極上のミステリーが堪能できる
不器用なオッサンたちが、不正融資や医療ミスなどを -
Posted by ブクログ
宇佐美まことさん、何冊目だっけ?
これまで読んできてずっと思っていたことがあります。それは宇佐美先生って植物大好きだよね✿.*・ってこと。物語の情景描写では必ず植物が出てきますよね。玄関先や庭に植えられた植物、季節を表す植物、森の中の細かな描写…。
そして本作✿.*・
「フラワーショップ橘」が各章で絡んでくる短編ミステリー✿.*・
【ガーベラの死】
フラワーショップ橘の店主・志奈子は、友人の菜摘から彼女の叔母が亡くなったと連絡をうける。菜摘の叔母・房枝は 志奈子の生ける花が好きで フラワーショップ橘を懇意にしているお客様であり、友人のような存在だった。房枝のそばには倒れた花瓶と散らばる花 -
Posted by ブクログ
昭和初期にロンドンの職人によって作られた至高のグランドピアノを巡る物語。時代を超えて描かれるそれぞれの人物の物語が繋がっていく、重厚な読み心地の作品です。
どの時代の物語においても多くの悲劇が起こりますが、もちろんそれはピアノのせいではありません。ピアノがあったからこそ起こったのだといえないこともないけれど、そのピアノがなければあの人もあの人もさらに不幸だったろうと思いました。多くの人の希望と絶望に関わり、ある時には「呪いのピアノ」などと呼ばれながらも、その気高さを失わないニーマイヤーのピアノがまさしく物語の主役。人々の思いを繋いだピアノがラストでどのような音を奏でるのか、読む手が止まりません -