宇佐美まことのレビュー一覧
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両親の離婚により、疎遠になっていた父方の祖父母の家に訪れた主人公の侑平は、その場所で、13月まであるカレンダーを見つける。それは祖父が祖母のために、知り合いに作ってもらった特別なカレンダーだった。
祖母の寿賀子の出身が広島で、原爆で亡くなった兄がいた事を知り、祖母と交流のあった友人に会うために広島を訪れる侑平。そこで二人の老人から原爆投下直後の広島の惨状を聞くこととなる。壮絶な体験の描写がとてもリアルで、広島平和記念資料館で展示されていた被爆者の遺品や写真、資料を思い出した。どれだけ多くの人が、たった一発の爆弾のために運命を狂わされたのだろうか。被爆後の差別や偏見、理不尽な扱いを受けながらも -
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妻を事故で失い、小学生の息子を育てるために新聞社を辞めフリーライターとなった海老原誠の元に舞い込んだ、月刊誌での特集記事の執筆依頼。
終戦後の混乱期に連続殺人で死刑となった女性北川フサについてのレポだった。
当時の関係者を辿る中で出会ったのは、フサについて当時独自の視点で記事を書いた道上栄介という記者と、フサと行動を共にした戦争孤児の大垣靖男の存在だ。
誠を舞台回しに使いつつ、大半は靖男の戦争孤児としての過酷な体験が描かれる。
東京大空襲と非道な犯罪に家族全員を失った靖男が抱える憤り。
憤りを売春という形に転化した「ラクチョウのお清」。
憤りを直接相手の体に匕首という形でぶつけたフサ。
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ネタバレ好きな著者だったので。
妻を亡くし、シングルファーザーとして一人息子を育てているフリーライターのお話。
依頼されて、戦後すぐの連続殺人犯のことを記事にすることになるが、
犯人は女性であるうえにメッタ刺し。
快楽殺人ではないかという編集者の見立てだったが、
過去に同じ殺人犯について文献を書いた雑誌記者が残した資料を読み、
そうではないと思うに至る。
女と行動を共にしていた少年がいたことが判るが、
その名前には聞き覚えがあった…。
連続殺人のうち1件はその少年の犯行であったこと、
フリーライターが内に抱える憎悪が亡き妻の不貞であったことは、
予想通り過ぎて少々胸焼けがするぐらいだった。
後に塗 -
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タイトルに惹かれて読み進める
十三月の奇跡が起こって良かった!
侑平が、仕事を辞めたこと
父がお祖父ちゃんの家を売却して、そのお金をやると言われる…そこは両親が離婚するまで長期的に滞在していた夏休みの場所
今まで足が遠のいていた後ろめたさが込み上げながら訪れる
祖母の闘病生活、十三月カレンダー、そして自分が書いた年賀状を見つける
ルーツを辿ることで父の思い、自分がなにをしたかったか改めて知る機会を得る
被爆者の思いは、とても言葉ではいい尽くせない辛さがありました…そして、2世やその親族の思いは計り知れないもの
サバイバーズギルド 生き残った者の罪悪感
そして、語り部となって原爆の悲惨さを若い世 -
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戦後まもなく、五人の男を惨殺したとして死刑になった北川フサ。妻を亡くし息子と二人暮らしになったライターの海老原は、北川フサについてのルポを書くことになった。あまり有名な事件でもなく資料が少ない中、彼は何かに導かれるようにして得難い情報を集めていく。そして彼自身も、北川フサに対して並々ならぬ思いを強めていく。
ルポの進め方だけではなく、私生活に関してもとある悩みを抱える海老原。厳しい戦後の世の中を生き抜いてきた大垣。彼らの視点から北川フサの人物像に迫っていくのですが、しかし北川フサ本人の目線から語られるものはほぼなく、彼女の姿は客観的なものとしてしか見えません。彼女はなぜそのような犯行に走ったの -
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ネタバレ認知症になった高齢女性の読んだ俳句を元に、彼女の人生が語られていく読み応えのある作品だった。
おばぁちゃま達の友情が素敵だなぁという気持ちと、戦後の満州での壮絶な体験にぞっとするのとで気持ちが忙しかった。
たくましく生きる少女ふたりの体験にはらはらした。
終盤に娘のクソ旦那を殺してやろうみたいな展開がいきなり火曜サスペンスっぽいチープさがでて、あまり好きじゃなかった。
しかも益恵さんが手を下すならまだしも、なんでお友達の2人が???という気持ち。
あれだけ大変な日々を共に生き抜いた2人が、人生の終わりにようやく再開して寄りそう。そういうシンプルな終わり方が素敵だったなぁ…
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俳句仲間である友人の富士子とアイが
認知症が進む益江のために
益江の人生を辿る旅に出かけるロードノベル
人生を深掘りするだけのよくある物語かと思ったら
とんでもなかった!
悲惨な戦争体験が絡んだ重たい重たいお話でした
11歳の益江が家族と満洲から引き上げる際
逃げ惑い自分と妹以外は集団自決で亡くなる
赤ん坊の妹は連れては行けず置き去りに
その後同じ境遇の佳代と知り合い
二人の少女だけで満洲から日本への引き上げを果たすがその体験が壮絶だった
本当に辛い思い出は心の奥深いところに沈んでいて
認知が進んで剥ぎ取られていくように
直近の思い出が薄らぎ
奥底の封じ込めていた思いが
露わになっていくよ