宇佐美まことのレビュー一覧

  • 13月のカレンダー

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    原爆被害の記憶和田しっかり今に位置づけるとともに骨太の再生の物語に仕上げた作品だ。読後感も素晴らしい。しっかりと自分と家族と戦争に向き合った主人公の格闘に○。

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    2025年11月29日
  • 羊は安らかに草を食み

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    俳句仲間の益恵、アイ、富士子が、認知症になり記憶をなくしていく益恵の生涯をたどる旅に出る
    益恵の旧友たちの語り
    満州からの引き揚げという壮絶な経験を表す益恵の俳句
    読むのが辛くなるくらい悲惨なのに、読み進める手が止まらない
    教科書を読むより、余程平和や戦争への意識が変わると思う
    ラストの「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」が読み終えた読者の心に突き刺さる
    何度でも読み返したくなる本でした

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    2025年11月28日
  • 13月のカレンダー

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    妄想の中でも「人の生き死にに関わることは」
    変えられなかったのに…

    生きていれば奇跡は起こるのかもしれない!
    今、生きている
    それは、奇跡の繋がりだった

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    2025年11月23日
  • 月の光の届く距離

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    とても面白かったです。
    1番の感想は人は環境も大事だけれども、自分がどうしたいのかで行動出来るか出来ないかで未来は変えられるって事です。
    主人公は4人?になるのかな。
    皆、自分が悪いわけではないのにどうにも出来ない状況に苦しみますがその先は自分で決めた道を進んでいる。
    繰り返し傷つけられてもまたそこからその先をどうするのか考えて自分の決めた道を進んでいく。
    こういうお話を読むと同じ状況でもその状況を不満に思い立ち止まっている人もいて、結局は自分次第なのかなと。
    内容は重たいですが、明日を、この先を決めるのは自分と思える気持ちが明るくなる作品でした。

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    2025年11月12日
  • 13月のカレンダー

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    修学旅行で広島に行き、リニューアル前の原爆資料館を訪れて、しばらく怖くて寝付けない夜が続いたことを思い出した。
    戦争や原爆についてはなんとなく知っていたけど、それが現実に自分の国で起こったことなんだと実感してのは、多分あれが初めてのことだったはず。
    語り部の方のお話を今でもしっかりと覚えている。

    主人公の侑平は祖父の家じまいを託されたことをきっかけに、祖母が広島出身であることを知る。自分のルーツを遡っていく中で、リアルな戦争体験を知ることに。
    これからどんどん難しくなっていくだろうけど、体験談を聞くことは大切なことだとつくづく思う。
    日本被団協団体理事の松浦さんの言葉「被爆者の語り部活動に匹

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    2025年11月04日
  • 13月のカレンダー

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    宇佐美まことさんは、本当に素晴らしいストーリーテラーだな、とつくづく思います。映画を一本観終わったようなそんな感覚にさせてくれます。
    両親の離婚後、会わなくなった祖父母。仕事がうまくいかず退職したばかりの29歳の侑平は、今は亡き祖父母の家を処分する前に見ておこうと松山へ赴く。
    その家で見たのは、祖父が祖母を看病していた時の日記と13月まであるカレンダー。自分のルーツを探っていくうちに、広島の原爆投下の日に導かれていく侑平。
    8月6日にどんなことがあったのか、目を背けたくなるような描写が続きます。そして、それから何年も経っても被爆者は差別の目で見られていたこと。同じ日本人でありながら。家族であっ

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    2025年11月03日
  • 13月のカレンダー

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    侑平は15年ぶりに訪れた愛媛県松山市の祖父母の家で、祖母の闘病生活を綴ったノートと13月まであるカレンダーを見つけた。祖母が広島出身であったことを知り自分のルーツを辿っていく。

    原爆を投下された時の広島とそこにいた人々がものすごくリアルに描かれていて読んでいて辛くなった。原爆の後遺症だけでなく、世代を超えて偏見と差別に苦しめられるていることにも。

    祖父の祖母を想う気持ちと寿賀子の兄の優しさが13月のカレンダーという奇跡を生んだ。
    「13月はあったのよ」
    「きっと奇跡が起こるよ」
    侑平の再生の物語でもあったと思う。

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    2025年10月30日
  • 13月のカレンダー

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    当たり前の日々を突然壊す戦争。不条理な差別と次世代にも渡る偏見と苦悩。閉ざすのではなく、対話をしなければ、前には進めない。

    文体なのか流れなのか、この著者の作品は本当に読みやすい。簡単という意味ではなく、抵抗なく風のように頭に入ってくる感じ。心地よい読書時間になった。

    ただ、不完全燃焼な箇所があってモヤモヤ。あの口癖はなんだったのか。それも含めてのキセキ?
    カレンダー…経緯は分かる。キセキとしてあの日を示すには長い気もする。私の解釈がまだまだ未熟なのだろう。また読みたい。

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    2025年10月19日
  • 13月のカレンダー

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    /_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 
    『13月のカレンダー』を読み終えて、本当に素敵な終わり方だと感じました。
    途中までは「このまま悲しいお話で終わってしまうのかな」と思っていたのですが、最後がとても穏やかで、希望のある締めくくりだったので、読後はあたたかい気持ちになりました。

    中盤からは被爆の体験が非常にリアルに描かれていて、読んでいて胸が詰まるようでした。

    今の時代は、当時の写真や記録をすぐに見ることができるので、それらを確認しながら読み、物語の重さがより深く感じられました。

    コロナ禍のときにも、人を避けるような空気があったと思います。「自分さえ良ければ」という

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    2025年10月18日
  • 13月のカレンダー

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    私は広島在住なので原爆は学校などで学習し、知っているつもりだったが。
    現代に生きる侑平と、祖母。祖母の友達の喜代。主にこの3人の過去と現在が交互に語られる。その中には日本人の差別意識も盛り込んでいる。今が本当に平和な世の中と言えるのか、この先10年がどうなるのか、とも考えさせられた。

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    2025年10月16日
  • 13月のカレンダー

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    心に深い傷を抱えている侑平は、両親の離婚後に疎遠になっていた父親から松山にある父方の空き家になっている実家を譲ると言われる。失業中で身軽だった侑平は、父親の実家へ行き、亡くなった祖父の机から13月があるカレンダーを見つける。なぜ13月があるのか、気になった侑平は亡くなった祖父母の軌跡を辿っていく。

    8月6日生まれの私は、幼い頃から同居していた祖父母に誕生日の度に、広島の原爆について、戦争の実体験について聞かされてきた。でも、生まれも育ちも関東圏。原爆についての恐ろしさは戦争体験者の祖父母でさえもあまりよくわかっていないようだった。

    なんの罪もない、ただ平穏な暮らしをしていただけの人々が一瞬

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    2025年10月10日
  • 13月のカレンダー

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    戦争の語り部のような良書。寿賀子と通孝の宇品港での別れ、差別や偏見で苦しみ続けた喜代…まるで戦時中にタイムスリップしたかのような、繊細でリアルな描写に悶え、落涙。戦争に対する怒りも沸き上がってくる。平和の尊さ、重さを感じられる貴重な一冊。

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    2025年09月28日
  • 13月のカレンダー

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    多くの方に読んでほしい作品です。
    いまだに被爆認定されず苦しい思いをされている方もいます。80歳を優に超えてからやっと国が認定した方もいます。体の不調や周りからの差別で、どんなに辛い思いで生きてこられたか。

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    2025年09月27日
  • 13月のカレンダー

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    大学で研究に励んでいた侑平は一瞬、魔が差したことがきっかけで研究室を去ることになり、その後に勤めたバイオ企業も辞職した。両親の離婚後、父とは疎遠になっていたが広島にある祖父母の家を売ることになったと連絡あり幼い頃に何度か訪れたことのある家に行ってみたことから自分のルーツを知ることになる。時代は第二次世界大戦、原子爆弾が広島に投下された頃。その残酷な描写は肌で感じれるほどだった。ラストに残されていた奇跡に感動!これからの侑平の生き方に期待している。

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    2025年09月22日
  • 羊は安らかに草を食み

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    ネタバレ

    まぁさんと佳代ちゃんの壮絶な引き揚げ体験は、読んでいて胸が苦しくなった。自分の身内から聞いていた体験と重なり、それは引き揚げというより命がけの脱出であり、奇跡的な生還だったと思う。
    年老いて認知症を患っているまぁさんが、心のつかえを取り除いてあげたいという夫の願いにより友人ふたりと過去をたどる旅に出る。大津、松山、佐世保から國先島へ…

    まぁさんもアイちゃんも富士子さんもそれぞれ人生の終わりに安寧の境地にたどり着いたのかな。
    結果オーライとはなったけど島谷には改心させてほしかったような気もする。
    「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」

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    2025年09月21日
  • 13月のカレンダー

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    ネタバレ

    これ、八月に読むべきお話だった。
    伝えていかなくてはいけないこと。

    戦後80年目に当たる今年、特集番組が組まれ、太平洋戦争や原爆がテーマのドラマやアニメも新旧合わせて放送されたた。
    そういう番組は何度も放送してほしいし、小説という、感情移入しやすい形で、誰もがいつでも手に取ることのできるこの本は、みんなに読んでほしいと思う。

    上野侑平(うえの ゆうへい)は、疎遠になっていた父から突然の電話を受ける。
    松山にある、今は住む人のない自分の実家を侑平にやる、と言うのだ。いらないと突っぱねると、では取り壊すと言う。
    中三の時に両親が離婚して、侑平は母と二人で暮らすことになった。
    父の実家の松山の家

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    2025年09月18日
  • 13月のカレンダー

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    ネタバレ

    本屋さんでタイトルに惹かれて、今年の夏だからこそ読んでおかないといけないような気がして買った2冊のうちのもう一冊がこの本。終戦80年。恥ずかしながら原爆についてのメディアは小学生の頃に観た「はだしのゲン」くらいです。つまり文字で原爆についての描写を読んだのは初めてでした。同じ原爆投下後のシーンのはずなのに、服部義夫のセクションよりも、喜代のセクションの描写の方がより生々しくよりキツく感じました。実際のところより生々しくキツい描写に手法的にしていたのか、それとも対象が7才の女の子だからよりキツく感じてしまったのかわからないが、おそらく後者だと思う。とにかく読み進めるのが辛くなるくらい生々しく可哀

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    2025年09月09日
  • 13月のカレンダー

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    「戦争も原爆もいずれ遠くなっていって、やがて消えてしまうのを、じっと身を縮めて待っているんだ」

    宇佐美まことさんは凄惨すぎる原爆投下直後の広島の描写と奇跡のような物語によって、上のような姿勢に強烈に否を表明していると感じました

    その想いが、この一冊に濃縮されていました
    濃縮果汁100%です松山だけに(今そういうのいらんねん)

    目を背けずに語り継ぐこと、それこそが世界に二度と原爆の被害を起こさせないことに繋がっているのではないでしょうか

    だって忘れてしまったら、なかったことにしてしまったら、きっとまた人類は平気で同じことを繰り返すと思えるから

    本当は忘れてしまいたいこと、思い出したくな

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    2025年09月07日
  • 13月のカレンダー

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    ネタバレ

    原爆投下直後の広島の描写があまりにリアルで胸に迫った。わずかな違いが生死を分ける残酷さや、助かったのにデマで差別され続ける被爆者の苦しみには心が痛む。重いテーマなのに文章はすっと読めて、最後は強く心を動かされた。侑平が祖母の「抱えてきた物語」をしっかり受け取れたことも良かった。戦後80年の今年、この本に出会えてよかった。

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    2025年09月07日
  • 羊は安らかに草を食み

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    ネタバレ

    年齢は離れているが、俳句教室をきっかけに仲良くなった益恵と富士子とアイ。認知症が進行している益恵が施設に入る前に、これまで人生を巡る旅に出ることになる。最初は緩やかな流れだと思っていたら、10歳の益恵が体験した満州での出来事の重みに圧倒された。家族全員を目の前で失い、それでも祖国に帰るために大陸でひたむきに過ごした益恵。旅では多くの人との出会いから益恵の強さが伝わり、アイも富士子も自分の人生とも向き合うきっかけをもらう。最後は驚いたが、老婆の力強さを感じつつ、益恵の辛い過去から解放された気がした。

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    2025年09月05日