宇佐美まことのレビュー一覧
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とても面白かったです。
1番の感想は人は環境も大事だけれども、自分がどうしたいのかで行動出来るか出来ないかで未来は変えられるって事です。
主人公は4人?になるのかな。
皆、自分が悪いわけではないのにどうにも出来ない状況に苦しみますがその先は自分で決めた道を進んでいる。
繰り返し傷つけられてもまたそこからその先をどうするのか考えて自分の決めた道を進んでいく。
こういうお話を読むと同じ状況でもその状況を不満に思い立ち止まっている人もいて、結局は自分次第なのかなと。
内容は重たいですが、明日を、この先を決めるのは自分と思える気持ちが明るくなる作品でした。 -
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修学旅行で広島に行き、リニューアル前の原爆資料館を訪れて、しばらく怖くて寝付けない夜が続いたことを思い出した。
戦争や原爆についてはなんとなく知っていたけど、それが現実に自分の国で起こったことなんだと実感してのは、多分あれが初めてのことだったはず。
語り部の方のお話を今でもしっかりと覚えている。
主人公の侑平は祖父の家じまいを託されたことをきっかけに、祖母が広島出身であることを知る。自分のルーツを遡っていく中で、リアルな戦争体験を知ることに。
これからどんどん難しくなっていくだろうけど、体験談を聞くことは大切なことだとつくづく思う。
日本被団協団体理事の松浦さんの言葉「被爆者の語り部活動に匹 -
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宇佐美まことさんは、本当に素晴らしいストーリーテラーだな、とつくづく思います。映画を一本観終わったようなそんな感覚にさせてくれます。
両親の離婚後、会わなくなった祖父母。仕事がうまくいかず退職したばかりの29歳の侑平は、今は亡き祖父母の家を処分する前に見ておこうと松山へ赴く。
その家で見たのは、祖父が祖母を看病していた時の日記と13月まであるカレンダー。自分のルーツを探っていくうちに、広島の原爆投下の日に導かれていく侑平。
8月6日にどんなことがあったのか、目を背けたくなるような描写が続きます。そして、それから何年も経っても被爆者は差別の目で見られていたこと。同じ日本人でありながら。家族であっ -
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/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/
『13月のカレンダー』を読み終えて、本当に素敵な終わり方だと感じました。
途中までは「このまま悲しいお話で終わってしまうのかな」と思っていたのですが、最後がとても穏やかで、希望のある締めくくりだったので、読後はあたたかい気持ちになりました。
中盤からは被爆の体験が非常にリアルに描かれていて、読んでいて胸が詰まるようでした。
今の時代は、当時の写真や記録をすぐに見ることができるので、それらを確認しながら読み、物語の重さがより深く感じられました。
コロナ禍のときにも、人を避けるような空気があったと思います。「自分さえ良ければ」という -
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心に深い傷を抱えている侑平は、両親の離婚後に疎遠になっていた父親から松山にある父方の空き家になっている実家を譲ると言われる。失業中で身軽だった侑平は、父親の実家へ行き、亡くなった祖父の机から13月があるカレンダーを見つける。なぜ13月があるのか、気になった侑平は亡くなった祖父母の軌跡を辿っていく。
8月6日生まれの私は、幼い頃から同居していた祖父母に誕生日の度に、広島の原爆について、戦争の実体験について聞かされてきた。でも、生まれも育ちも関東圏。原爆についての恐ろしさは戦争体験者の祖父母でさえもあまりよくわかっていないようだった。
なんの罪もない、ただ平穏な暮らしをしていただけの人々が一瞬 -
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ネタバレまぁさんと佳代ちゃんの壮絶な引き揚げ体験は、読んでいて胸が苦しくなった。自分の身内から聞いていた体験と重なり、それは引き揚げというより命がけの脱出であり、奇跡的な生還だったと思う。
年老いて認知症を患っているまぁさんが、心のつかえを取り除いてあげたいという夫の願いにより友人ふたりと過去をたどる旅に出る。大津、松山、佐世保から國先島へ…
まぁさんもアイちゃんも富士子さんもそれぞれ人生の終わりに安寧の境地にたどり着いたのかな。
結果オーライとはなったけど島谷には改心させてほしかったような気もする。
「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」 -
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ネタバレこれ、八月に読むべきお話だった。
伝えていかなくてはいけないこと。
戦後80年目に当たる今年、特集番組が組まれ、太平洋戦争や原爆がテーマのドラマやアニメも新旧合わせて放送されたた。
そういう番組は何度も放送してほしいし、小説という、感情移入しやすい形で、誰もがいつでも手に取ることのできるこの本は、みんなに読んでほしいと思う。
上野侑平(うえの ゆうへい)は、疎遠になっていた父から突然の電話を受ける。
松山にある、今は住む人のない自分の実家を侑平にやる、と言うのだ。いらないと突っぱねると、では取り壊すと言う。
中三の時に両親が離婚して、侑平は母と二人で暮らすことになった。
父の実家の松山の家 -
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ネタバレ本屋さんでタイトルに惹かれて、今年の夏だからこそ読んでおかないといけないような気がして買った2冊のうちのもう一冊がこの本。終戦80年。恥ずかしながら原爆についてのメディアは小学生の頃に観た「はだしのゲン」くらいです。つまり文字で原爆についての描写を読んだのは初めてでした。同じ原爆投下後のシーンのはずなのに、服部義夫のセクションよりも、喜代のセクションの描写の方がより生々しくよりキツく感じました。実際のところより生々しくキツい描写に手法的にしていたのか、それとも対象が7才の女の子だからよりキツく感じてしまったのかわからないが、おそらく後者だと思う。とにかく読み進めるのが辛くなるくらい生々しく可哀
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「戦争も原爆もいずれ遠くなっていって、やがて消えてしまうのを、じっと身を縮めて待っているんだ」
宇佐美まことさんは凄惨すぎる原爆投下直後の広島の描写と奇跡のような物語によって、上のような姿勢に強烈に否を表明していると感じました
その想いが、この一冊に濃縮されていました
濃縮果汁100%です松山だけに(今そういうのいらんねん)
目を背けずに語り継ぐこと、それこそが世界に二度と原爆の被害を起こさせないことに繋がっているのではないでしょうか
だって忘れてしまったら、なかったことにしてしまったら、きっとまた人類は平気で同じことを繰り返すと思えるから
本当は忘れてしまいたいこと、思い出したくな