宇佐美まことのレビュー一覧
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友澤伸多は若くしてピアニストとして成功、ルックス先行との評判を跳ね返し音を評価され始めた時、とある病が彼を襲う。伸多はあるコンサートの調律で年配の児玉とであい、その技に感銘を受けるも、彼は既に一線を退き一般家庭のピアノの調律を生業としていた。その児玉の師である市原喜三郎(キサ)は14の時に奉公先の平松伯爵が駐英大使となった1923年に手先の器用さを買われ英国随伴の誉に預かったのだった。伯爵は才のあるものを見抜き教育を与える目と志があり、娘の随子(よりこ)が熱心にピアノを弾く姿に異様なほど夢中になる喜三郎を見て、一流のピアノの作成を日本人で初めて習得させようと援助しウィリアムズの下で修行をさせる。ウィリアムズが伯爵の命を受け、当時の新進気鋭のピアニストのために作ったのがニューマイヤーと銘打たれた2つとない音を出すピアノであった。
弾けなくなった伸多と英国で作られた唯一無二のピアノ、そしてそのピアノに関わる人々の運命が交錯する様が書かれた物語です。ピアノが好きな人なら更に面白く読める本だと思います。
評価も高いし、娘も面白かったと言ったので期待して読んだのですが、私は伸多の最初の性格がダメだったのと、やっぱり全体幸せになる話が好きなので★5とはいかず…。呪われたピアノと呼ばれたニューマイヤーはやはり、悲しみをたくさん飲み込んでいるのです。とはいえ、この幾多の人の歴史をしっかりと積み重ねた物語は磐石で、大変読みごたえもあります。ドラマチックなものが好きな人にはオススメです。
男の性が憂さ晴らし的にほとばしるシーンなどがあり、中学校以上。
そうそう、読書感想文課題図書にリヒトという本あって、本文中の楽譜名と重なっていて、こういう同じ時期に出るものの偶然ってあるよね、と思いました。 -
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プロローグ
テーブルの中央に琥珀色をした球体がコロンっと
転がっている
カンロ飴
そう、昭和を代表する飴
思わず手に取って頬張った
“口福、口福”
それは、幸福な味がした
本章
『逆転のバラッド』★4.5
ブク友の皆さま高評価の一作
昭和気質のオッサン4人が立ち上がる
邦彦が営む銭湯の融資が受けられないことと
その融資担当者が亡くなったことで巻き起こる
ドタバタミステリー
オッサンの一人である、ヤクザあがりの吾郎のハスラー度合いと新聞記者、弘之の兄秀一の無垢さが胸に滲みる
熱き家族と友情を絡めた極上のミステリーが堪能できる
不器用なオッサンたちが、不正融資や医療ミスなどを暴いていくさまは、痛快以外何ものでもない
スカッと胸のすくようなラストも良い後読感を生んでいる
エピローグ
さて、バラッド
日本では、音楽のバラードと同源で物語性や叙情性が強い作品を指す場合にそう表記されるようなのだが…
題名である“逆転のバラッド”
言わんとしてることは分からなくもないが
甘い、甘いカンロ飴が、喉に絡んで咳き込んだ
少しだけ、そう感じた(¯―¯٥)8v♪
完 -
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宇佐美まことさん、何冊目だっけ?
これまで読んできてずっと思っていたことがあります。それは宇佐美先生って植物大好きだよね✿.*・ってこと。物語の情景描写では必ず植物が出てきますよね。玄関先や庭に植えられた植物、季節を表す植物、森の中の細かな描写…。
そして本作✿.*・
「フラワーショップ橘」が各章で絡んでくる短編ミステリー✿.*・
【ガーベラの死】
フラワーショップ橘の店主・志奈子は、友人の菜摘から彼女の叔母が亡くなったと連絡をうける。菜摘の叔母・房枝は 志奈子の生ける花が好きで フラワーショップ橘を懇意にしているお客様であり、友人のような存在だった。房枝のそばには倒れた花瓶と散らばる花。検死の結果は心不全。だが、志奈子はある事が引っかかっり 警察官である夫に相談する。 萎れたガーベラと 月桂樹の花言葉が真実へと導く✿.*・
【馬酔木の家】
志奈子の夫・昇司は、七十三歳の奥村久雄が自宅で息子をゴルフクラブで殴打し殺害したという事件の現場に向かう。すさんだ生活、そして家庭内暴力を振るうようになった息子を殺害…。立派な家の玄関先には馬酔木の小さな白い花が咲き誇る。昇司は志奈子との会話から、事件後に 植木屋が奥村家の庭の手入れに入ったと知り…✿.*・
【クレイジーキルト】
クレイジーキルトとは、色・形・大きさがバラバラな布の切れ端を不規則につなぎ合わせ、その継ぎ目に華やかな刺繍を施すパッチワーク。
これは!私の好きなやーつ!
「突拍子もないつながりってあるわよね。どうしてそれがそこにあったか。そこで起こったか。世界は偶然の寄り集まりだって、思うことはない?」
キルト展を訪れた女性。
両親を早くに亡くし祖母に育てられた兄妹。
母親の形見の指輪を婚約者へ贈りたいと、リフォームを依頼されたジュエリーショップ店員。
喫茶店の店主。
老人ホームで孤独な老女の記憶にある、パソコン教室の先生。
なんの関係もないような人々が、フラワーショップ橘の白いバラの花束によって 一つの出来事へと繋がっていく✿.*・
端切れのひとつひとつは 悲しい色をしているのに、一枚の作品になった時には優しい気持ちになれる絵に見える。そんなお話だった!
【ミカン山の冒険】は、ある殺人事件の犯人と思われる男には 完璧なアリバイがあって、解決の鍵を握るのは「ミカン山の蜂蜜」✿.*・
【弦楽死重奏】は、フラワーショップ橘で働くベトナム人・ライちゃんのお話。ライの幼なじみでバイオリニストのリエンが音楽を辞める理由には悲しい過去とある秘密が…✿.*・
【家族写真】
プロのカメラマンとして人物写真に定評のあった要一は、高齢であることを理由に引退を決意。そんな要一のもとに一人の中年男性が訪ねてくる。水野と名乗る男性は言う。「私は、あなたの『家族写真(ファミリー・ポートレイト)』という作品の中に写っている一人です」と…。『家族写真』は有名な賞を受賞し、要一のカメラマン人生を変えた一枚であった。満開の桜の下、幸せそうな親子三人と それを見つめる両親らしき初老の夫婦の一瞬をとらえたもの。しかし、水野から「私たちは《あの時》、全くの赤の他人同士でした」と告げられる。そして、「今は本当に家族になった」と…。
これも素敵な話だったよぉ( •̥-•̥ )✿.*・
各章の話は 全く繋がりはなくて 連作短編とは言えないのに、読み終えたあとは一冊を通して良い本だったなと思えました。
お互い50代で結婚した志奈子と昇司夫婦がなんかいいのよなー。
ライちゃんも良い子だし。
ひとつひとつの物語も「人が人を思いやる心」が描かれてて良かったなー。
近所のお花屋さん のぞいてこようかしら✿.*・
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Posted by ブクログ
お椀を伏せた山を中央にもち
そこに築城400年の平山城と四方の堀
そんな城山町で 複雑に絡む連作短編集
「はじまりのおわり」
この町の有り様
「宵闇・毘沙門坂」
この連作の中心となる 二人の女子と
たびたび登場してくる賃貸アパート
毘沙門坂の 夫を愛人に取られた女と 男に捨てられた女
「猫を抱く女」
蒲生家の修復を依頼された絵画
修復する絵の下には 彼女に関係した人々
そして 不思議な動物
彼女の人生を暗転させた人物ばかり
絵は見る人の心を映す鏡
「繭の中」
城山の麓で 継承される妻への暴力
その元凶の男の後悔
「ぼくの友だち」
児童養護施設「わかあゆ園」
特別支援学級に通う心優しき少年たち
顕という少年は 陶芸でぼくの友だちを作る
友だちは正義の味方なのかもしれない
「711号室」
これが一番好きかもしれない
不倫相手と結婚したい夫。
離婚は認めない妻。静かな抵抗。
「酔芙蓉」
酔芙蓉が咲く庭の持ち主の夫婦。
夫は中学教師、妻はあの猫の飼い主。
他の短編では 端役だった女が 主人公になっていく快感。
酔芙蓉の花の下には、何がある。
「白い花が散る」
頭は悪いけど 人が良い男が
実家に帰る決心をする。
白い花が散るような蛾の大群の羽ばたきを見る
「夜のトロイ」
蒲生家の麻耶ちゃん。
両親は事故で亡くなってしまったけど
祖母とお屋敷で暮らし。
彼女を守ったのも トロイ。
「おわりのはじまり」
何人もの登場人物が絡みあった連作短編集でした。
ようやく 「おわりのはじまり」で 各章で幾つかの不明瞭だったところも朧げながら見えてきます
読ませていただくのは もちろん楽しいのですが
これだけ 絡ませるストーリーを考えるのも楽しかったのではないでしょうか。
なんのレビューかわからんですけど
ネタバレなしということでー
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角川ホラー文庫の宇佐美まこと作品。
最近読んだホラー文庫の中では、一段抜けた完成度を感じます。
恐怖を前面に出す作品ではないため、純然たるホラーを期待される方には向かないかもしれません。
ハートフルホラーミステリーファンタジー
とでも 表現させていただきたいような
あらゆる要素を収めるとことに治め、
そこに齟齬を生じさせません。
家族の在り方、血縁という呪縛、時間を超えた友情 そうした主題をメインとしながら
そこに社会派まで匂わす高度なストーリー展開。
ジャンルを横断しながら 最終的には一つの物語として無理なく収斂していく。
もっと 話題となっても良い作品だったのにと思いました。
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私たちは、認知症を患った友人を連れ、彼女の人生を辿る旅に出る。彼女の心の奥底にある「つかえ」を取り除くために-。
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俳句教室で知り合い二十数年の友情を紡いできた益恵、アイ、富士子の老婦人。
ある日、アイと富士子は 益恵の夫から、認知症が進行した益恵を連れて、「彼女の過去を探す旅に出て欲しい」とお願いされる。
認知症となる前は自身の過去を多く語ることのなかった益恵。アイと富士子は、益恵の住んでいた町や、かつての知り合いを訪ねる旅で、益恵が送ってきた壮絶な過去を知ることになる。
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物語は、益恵の詠んだ句集と共に 現在の旅の章と、益恵の生きた過去の章が描かれます。
明らかになるのは益恵が11歳で孤児となり、旧満州で過酷な状況下を生き延びて日本へ引き揚げてきたという衝撃的な事実です。
私、「月白」と立て続けにこの「羊は安らかに」を読んだんです。どちらも共通しているのは「戦争孤児」。
描かれる惨状は あまりに酷く、筆舌に尽くし難いとはこのことかと…。それを こんなに幼い子どもが…。
これを読んでいる時に 頭にふと浮かんできた歌があります。「にんげんっていいな」です。
『おいしいおやつに ホカホカごはん
こどもの帰りを待ってるだろな』
今 大抵の子どもたちには「衣食住」と「守ってくれる大人」がいる。それがあたりまえ。とてもとても平和な歌。
子どもの益恵が過ごした日々には そんなあたりまえが何処にもない絶望。生きる望みなど どこを探したってなくて、それどころか命は狙われ死は常に隣り合わせ。生きていても地獄をみるかもしれない恐怖。
どうして どちらの作品も、戦争を子どもの目を通して描かれるのかと思いましたが、、、
戦後80年。戦争の経験を語ることの出来る方の年齢を考えるとそういう事になってしまうのか…。
益恵が認知症を患ってから、度々 口に出す「カヨちゃん」の存在。 満州での出会いは明らかになるものの、大人になってからの二人の関係は疎遠になっていて、二人の「秘密の絆」もミステリーとなっています。
穏やかで幸せに見えていた益恵の人生は、実は波乱万丈だった。また、アイと富士子も友にはずっと言えずにいることがある…。
それぞれが 自身の問題と向き合い、終焉の時をどう迎えるか見つめ直す旅となります。
そして一層 絆を深める三人。
「別れる辛さを思うより、この世で出会えことを喜びましょう」
なんて素敵な言葉なんだ。
老いた私のそばに こんな素敵な友人がいる人生が待ってるだろうか…。
迎えるラストは、衝撃でした。
こ、こんな展開が待っているとは!!
死を覚悟した人は強い、強すぎます。
びっくりしすぎて星を4にしてしまいました笑
旅の終わり。
彼女たちの辿り着いた場所が
羊たちが安らかに草を食む、そんな場所でありますように。
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両親の離婚により、疎遠になっていた父方の祖父母の家に訪れた主人公の侑平は、その場所で、13月まであるカレンダーを見つける。それは祖父が祖母のために、知り合いに作ってもらった特別なカレンダーだった。
祖母の寿賀子の出身が広島で、原爆で亡くなった兄がいた事を知り、祖母と交流のあった友人に会うために広島を訪れる侑平。そこで二人の老人から原爆投下直後の広島の惨状を聞くこととなる。壮絶な体験の描写がとてもリアルで、広島平和記念資料館で展示されていた被爆者の遺品や写真、資料を思い出した。どれだけ多くの人が、たった一発の爆弾のために運命を狂わされたのだろうか。被爆後の差別や偏見、理不尽な扱いを受けながらも必死で生きてきた喜代の話には胸が締め付けられた。
ただ、物語は戦争の悲惨さだけを描いているのではなく、自分を見失っていた侑平が、自身を取り戻していく過程が丁寧に描かれている。山根教授との再会と謝罪のシーンはとても良かった(山根教授の度量の広さに頭が下がる)
祖母の寿賀子の「きっと奇跡がおこるよ」との言葉
どおりに奇跡は起き、ラストは明るい未来へと繋がれていく。正直、表紙のイラストからは想像もできないほど(失礼!)良い作品だった。
昨年は戦後80年で節目の年でもあり、
昨年出版されたこの小説は、とても意味あるものだったと思う。
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Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読み進める
十三月の奇跡が起こって良かった!
侑平が、仕事を辞めたこと
父がお祖父ちゃんの家を売却して、そのお金をやると言われる…そこは両親が離婚するまで長期的に滞在していた夏休みの場所
今まで足が遠のいていた後ろめたさが込み上げながら訪れる
祖母の闘病生活、十三月カレンダー、そして自分が書いた年賀状を見つける
ルーツを辿ることで父の思い、自分がなにをしたかったか改めて知る機会を得る
被爆者の思いは、とても言葉ではいい尽くせない辛さがありました…そして、2世やその親族の思いは計り知れないもの
サバイバーズギルド 生き残った者の罪悪感
そして、語り部となって原爆の悲惨さを若い世代に伝える
戦争によって、被爆された方や悲惨思いを伝えてくれた貴重な一冊となりました
ありがとうございます