宇佐美まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
仕事にも家庭にも恵まれ、勝者として人生を謳歌する主人公。しかしふとしたことからその幸せが崩れ始め、どんどん奈落の底へと突き落とされるような事態が起きていきます。これはかつて彼が犯し、いまだ暴かれていない罪の因果が巡ってきたものなのか。緻密な構成と息詰まる展開から目を離せないミステリ。
世間を騒がせる「肌身フェチの殺人者」と二十年以上前に起こっていたかもしれない事件との繋がりがメインの謎かと思いきや。それ以外にも次々と繰り出される新たな事件と謎に翻弄され、しかもそれがラストであまりに見事に繋がってしまったことに驚愕させられました。最初から最後まで、すべて集約されたひとつの物語。まさしく因果という -
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ネタバレこれはやられた! って感じでした(^ ^;
物語の序盤は、伝奇ホラー風。
ダムに沈んだ村、キリシタンの呪い、
謎の「事故死」を遂げた伯父...などなど、
おどろおどろしいモチーフが続けて出てくる。
それが、とあるきっかけで「謎解き成分」が増える。
主人公の過去を探ろうとする同郷の三流ライター。
この辺からさらに「バイオレンス成分」まで出てくる(^ ^;
さらに終盤には「え、そういうことだったの!?」
という驚きの展開になり、その後まだ二転三転(^ ^;
も、何を信じたら良いのやら状態(^ ^;
読み進めつつ「え、ちょっと待って」となって、
ページを遡って読み返すこと数回(^ ^;
一冊 -
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ネタバレ「愚者の毒」と同じ作者だったので。
怖かった。
どこにも書いていなかったが、
人ならずものが好むのは人の心の闇だと思い、
それぞれ闇を抱える登場人物の誰が餌食になってしまうのだろうかと、
怖かった。
ホラーは好きではない。
カバーによるとダークファンタジーというらしいが、
昔の人殺しの話とつながる気味の悪い粘菌の話だとわかっていたら読まなかったと思う。
しかし、面白かった。
次々とピースがはまっていくジグソーパズルのように、
様々な話がつながっていく。
ただし、そのピースは普通のジグソーパズルとは違って、
大きさも形も一定ではない。
大きくて何が描かれているのかが判るピースは当然真ん中に -
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ネタバレタイトル・表紙・あらすじに惹かれて購入したものの、本棚で「積読」になっていたのを思い出し読み始める。
舞台は自然に囲まれた集落の寄り集まった村。
そんな環境に馴染めずにいる思春期の少女・自分に自身の持てない青年・理想を追い求めて移住してきた壮年の3人が主軸になって話が進んでいく。
他の登場人物にもちゃんと役割が振られており、それぞれが過不足無く動いていく。
一見どのような役割を持っているのか分からない登場人物も、以外な関わりを持っている(いささかご都合主義のような気もするが)。
事件の「犯人」は早い段階で見当がつくが、それがどのような形で関わっていくのかが面白い。
ラストシーンは「きっと、こう -
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これは、スゴイ(^ ^;
オカルトであり、ホラーであり、伝奇物であり、
基本的には「絵空事」なのは100%承知しておりますが。
それでも、「絵空事部分」以外の描写がリアルで、
もしやあり得るかも、と思わされてしまう(^ ^;
登場人物が、みな良い(^ ^
会社勤めに嫌気がさして、田舎暮らしを始めた男やら、
大きな挫折を抱えて仕方なく中学教師をやってる男やら、
親との確執から祖母と暮らす金髪の女子中学生やら。
田舎の人も、中学生から偏屈な爺さんまで、
皆それぞれに「実にいそうな」キャラクターで(^ ^
性格も人間関係・力関係も実にありそうで、
これがまた物語にリアリティを与えている。
主 -
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「憎しみだけを支えに生きてきたんだ」
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交通事故で 妻を亡くし、息子の夏樹を一人で育てるフリーライターの海老原。
以前勤めていた新聞社の出版局から、 ある事件のルポの連載を依頼される。
それは戦後すぐに起きた連続殺人事件で、北川フサという女性が、戦後の混乱期に五人もの男を次々と殺し 後に逮捕され死刑判決が下されたものであった。
「殺したいから 殺した」
裁判でも明確な動悸は明かされず、死刑は異例の速さで執行された。
フサを「戦後最恐の殺人鬼」と煽る記事も多かった事件に 海老原は乗り気ではなかったが、
当時、フサの事件を冷静な目で誠実に追った道上というライターの存 -
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両親の離婚により、疎遠になっていた父方の祖父母の家に訪れた主人公の侑平は、その場所で、13月まであるカレンダーを見つける。それは祖父が祖母のために、知り合いに作ってもらった特別なカレンダーだった。
祖母の寿賀子の出身が広島で、原爆で亡くなった兄がいた事を知り、祖母と交流のあった友人に会うために広島を訪れる侑平。そこで二人の老人から原爆投下直後の広島の惨状を聞くこととなる。壮絶な体験の描写がとてもリアルで、広島平和記念資料館で展示されていた被爆者の遺品や写真、資料を思い出した。どれだけ多くの人が、たった一発の爆弾のために運命を狂わされたのだろうか。被爆後の差別や偏見、理不尽な扱いを受けながらも -
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妻を事故で失い、小学生の息子を育てるために新聞社を辞めフリーライターとなった海老原誠の元に舞い込んだ、月刊誌での特集記事の執筆依頼。
終戦後の混乱期に連続殺人で死刑となった女性北川フサについてのレポだった。
当時の関係者を辿る中で出会ったのは、フサについて当時独自の視点で記事を書いた道上栄介という記者と、フサと行動を共にした戦争孤児の大垣靖男の存在だ。
誠を舞台回しに使いつつ、大半は靖男の戦争孤児としての過酷な体験が描かれる。
東京大空襲と非道な犯罪に家族全員を失った靖男が抱える憤り。
憤りを売春という形に転化した「ラクチョウのお清」。
憤りを直接相手の体に匕首という形でぶつけたフサ。
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ネタバレ好きな著者だったので。
妻を亡くし、シングルファーザーとして一人息子を育てているフリーライターのお話。
依頼されて、戦後すぐの連続殺人犯のことを記事にすることになるが、
犯人は女性であるうえにメッタ刺し。
快楽殺人ではないかという編集者の見立てだったが、
過去に同じ殺人犯について文献を書いた雑誌記者が残した資料を読み、
そうではないと思うに至る。
女と行動を共にしていた少年がいたことが判るが、
その名前には聞き覚えがあった…。
連続殺人のうち1件はその少年の犯行であったこと、
フリーライターが内に抱える憎悪が亡き妻の不貞であったことは、
予想通り過ぎて少々胸焼けがするぐらいだった。
後に塗 -
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タイトルに惹かれて読み進める
十三月の奇跡が起こって良かった!
侑平が、仕事を辞めたこと
父がお祖父ちゃんの家を売却して、そのお金をやると言われる…そこは両親が離婚するまで長期的に滞在していた夏休みの場所
今まで足が遠のいていた後ろめたさが込み上げながら訪れる
祖母の闘病生活、十三月カレンダー、そして自分が書いた年賀状を見つける
ルーツを辿ることで父の思い、自分がなにをしたかったか改めて知る機会を得る
被爆者の思いは、とても言葉ではいい尽くせない辛さがありました…そして、2世やその親族の思いは計り知れないもの
サバイバーズギルド 生き残った者の罪悪感
そして、語り部となって原爆の悲惨さを若い世 -
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戦後まもなく、五人の男を惨殺したとして死刑になった北川フサ。妻を亡くし息子と二人暮らしになったライターの海老原は、北川フサについてのルポを書くことになった。あまり有名な事件でもなく資料が少ない中、彼は何かに導かれるようにして得難い情報を集めていく。そして彼自身も、北川フサに対して並々ならぬ思いを強めていく。
ルポの進め方だけではなく、私生活に関してもとある悩みを抱える海老原。厳しい戦後の世の中を生き抜いてきた大垣。彼らの視点から北川フサの人物像に迫っていくのですが、しかし北川フサ本人の目線から語られるものはほぼなく、彼女の姿は客観的なものとしてしか見えません。彼女はなぜそのような犯行に走ったの -
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「人を生きながらえさせる一番の感情は憎しみだ」
凄まじいほどの憎しみを抱え孤独に生きていた北川フサ。その憎しみを殺人という形で放出する姿に心酔し行動を共にした少年・靖男。そして事件について調べるうちに、取り込まれるようにフサに惹かれていく誠。
三人が持つ憎しみという感情が共鳴していく姿を描いた物語。
たった70年ほど前にあったこれほどの地獄を私たちは忘れてはいけないと思う。戦争の悲惨さはいうまでもなく、そういう極限状態に置かれた人間の弱さや醜さの行き着く先も。
地獄を味わい、いまだに自分を罰するように生き、多くを語らず亡くなっていく靖男のような老人が、せめて長生きして良かったと思える世の -
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妻を事故で亡くし、子どもと2人の生活になった海老原は、新聞社を辞めフリーターになった。
新聞社の出版局から依頼されたルポが、戦後混乱期に男だけを執拗に殺め続けた北川フサだった。
女性の連続殺人犯は珍しいことだったが、5人の男を次々と殺害するという…これは無差別殺人だったのか。
死刑判決を受けて一年も経たないうちに刑が執行されたことで、わからない部分が多かった。
海老原は、この古い事件を詳しく調べるうちに北川フサに…取り込まれていく。
戦後の過酷な様子を知るたびに如何にして生き延びようとしていたのがわかり、読み進めるのも苦しくなる。
男をここまで憎んでいたという、激しい怒りが伝わってくると同時 -