宇佐美まことのレビュー一覧

  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

    題名からは全く想像がつかない内容だった。広島に原爆が落ちたあの日、街の人たちがどんな目にあったのか、そんな本を沢山読んできた。
    ここに出てくる人々は、みんな優しくまともな人過ぎる。そんなわけあるかい!と思いながらも、心地よかった。

    0
    2025年12月06日
  • 超怖い物件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    物件を起点にするホラーは、幽霊ものと同じく特定の場所(人物)が要因なため、読んでいる限りは真実「対岸の火事」で楽しめる…からこそ、絡め手も被るよね、などと。
    アンソロジーだけに合う合わないを感じるが、比較的前者が多くてよきかな。

    『旧居の記憶』福澤徹三
    『笛を吹く家』澤村伊智
    『終の棲家』芦花公園

    0
    2025年11月28日
  • 謎は花に埋もれて

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    花をテーマにしたミステリー短編集。すべての物語に共通して登場するのは、小さな花屋。花言葉や剪定、花粉など、花に関する豆知識が織り込まれていて読んでいて楽しい。登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれていて、作者の表現力の高さを感じた。とくに印象に残った物語は「家族写真(ファミリー・ポートレイト)」で、心にずしりと響く内容だった。「弦楽死重奏」のトリックも巧み。花屋の猫・ムサシにも意外な物語があったのが良かった。

    0
    2025年11月13日
  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

     皆さんが読んでいたこの作品、やっとレビュー投稿できます。一言で言うのであれば、読んでよかった!です。読むべき作品でした。

     主人公は勤めていたバイオ企業を辞職した侑平、父方の祖父母が亡くなりその実家を売却すると父からの連絡を受けて、愛媛県松山市にある空き家を訪れていた。そこで見つけた13月まであるカレンダー、祖父が祖母の病状を綴ったノートには、祖母の寿賀子が「13月はあったのよ」と遺していた…。生前の祖母のことを関係者に訪ね歩く内に、祖母の兄は原爆の犠牲になっていたことを知り…。

     1945年8月6日広島に原子爆弾が投下され、多くの方が犠牲になりました。生き残った方も被爆者であることで偏

    0
    2025年11月11日
  • 子供は怖い夢を見る

    Posted by ブクログ

    家族関係、宗教、感染病、SFと幅広い分野を纏めあげている。
    壮大な物語へ広がっていくのと同時に、街行く第三者は彼らに関心を示さない。他人への無関心を感じさせられた。だからこそ、主人公が葛藤する血の繋がりが一層際立つのかも?

    0
    2025年11月09日
  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

    研究者としての道でなにかあって仕事をやめたらしい侑平は両親の離婚で疎遠になったが大好きだった祖父母の家に行くことになった。祖父母は他界しており、自分の仕事での過ちと、祖父母への疎遠になってしまったことへの後悔が混ざるように祖父母のルーツを探していく。そして知る、個人として見た、被曝した経験の悲惨さ。人生への影響。祖父母と関わりのある人たちの話を聞いた侑平は、自らの悔恨を見つめ直す。そして、奇蹟が起こる。
    丹念に綴られる戦争の悲惨さが共感を持って感じられ、また、被害者であるのに、悪者のような扱いを受けるという継続的な二次被害の辛さも伝わってきた。タイトルにもなっている13月に起こった奇蹟がいまい

    0
    2025年10月21日
  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

    戦争を経験した祖母の悲しい記憶を辿る中で、最終的には祖母がタイムリープした結果、別の少年の命を助けていたという奇跡を主人公が知る。
    悲しい話の中に救いがある。ファンタジー要素も少し。
    戦争当時の状況も知る事ができた。

    0
    2025年10月20日
  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

    両親が離婚後、疎遠になった父から他界した祖父母の実家を譲ることを告げられ、久しぶりに松山市を訪れた元研究職の侑平が、祖父の書き残したメモなどを手掛かりに原爆にあった人、その家族の思いに触れながら自分を取り戻していくお話。原爆投下後の広島の描写はこれまで他の多くの書籍で何度も読んでいるが、やはり辛い。そして辛い目にあったにもかかわらず差別や偏見で隠さざるを得なかった人は物凄くたくさんいらっしゃるだろう。小説の中で語り継いで同じ過ちを繰り返さないようにしたい。

    0
    2025年10月15日
  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

    視点が変わり当事者だけでなく世代や場所を超えて様々な立場の人の角度から原爆を語っていくため、原爆の影響力を改めて感じる話だった。

    0
    2025年10月15日
  • 誰かがジョーカーをひく

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    夫との諍いで家を飛び出した主婦『沙代子』は男たちに追われる女と接触事故を起こしてしまったことから、謎の凶悪な犯罪集団と女子高生の誘拐を巡るいざこざに巻き込まれていく。

    親からの愛情をあまり受けられず、結婚後も夫とその連れ子たちや姑たちから家政婦のような扱いを受けしいたげられ来た『沙代子』。自分でも能力のない人間だと思い込み、自主性をなくしてしまっている主婦。自由奔放な楽観(過ぎ)主義のキャバ嬢『紫苑』に半ば脅され3千万の着服付き合わされる羽目に。お金を隠した2人は紫苑が入れあげているホストの『竣』が留守番をしている豪邸に転がり込むが、何故かそこに誘拐された『陽向』が逃げ込んできて、騒がしい共

    0
    2025年09月28日
  • 謎は花に埋もれて

    Posted by ブクログ

    フラワーショップ橘の店主、志奈子のまわりで起こる、花や樹木にまつわる事件を描いた短編集
    6編で200ページ弱と薄めの本だけど、どの作品も丁寧で読み応えたっぷりでおもしろかった

    0
    2025年09月25日
  • 角の生えた帽子

    Posted by ブクログ

    不穏さと怖さがある。この短編集に収められた12編はいずれも一筋縄ではいかない。
    見えないはずの現世と幽世の境目が見えて、そこから何かがやって来る様には背筋が凍る。単にグロテスクでおぞましいのとは訳が違う。その異変が起こる要因が、あるいはその背景が明らかになった時、恐怖が起こるのだ。
    短い話ばかりなのに一つ一つが印象深いのはどれもバリエーション豊かだからだ。似たり寄ったりの話を量産するタイプの作家ではない。どの話もそれぞれ違い、単純な「怖い」とは一線を画している。味わい深い怖さがここにはある。

    0
    2025年09月21日
  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

    原爆投下とその後一生続く苦悩を文字にすると胸が締め付けられ、苦しくなってきます。でも、目をそむけず語り継がなくてはならないですね。
    そして、今も続いている多くの人を犠牲にしている戦争。一刻も速く終わらせるべきですね!
    いろいろなことを考えさせられました。

    0
    2025年09月19日
  • こわい話の時間です 部分地獄

    Posted by ブクログ

    著名作家による小学生向けホラーンソロジーシリーズ。
    学級日誌版より、こっちの方が読み応えあって、面白かったです。
    サブタイトルになっている作品の著者が斜線堂有紀だったので、それもちょっとうれしかったかも。このメンバーだと、宮部みゆきか?って思ったのですけどね。
    ルビは中学年程度です。文字も大きめで、一話に一つ挿絵があります。
    「えんまさん」黒史郎
    嘘をつくのが大好きで、それもとても上手に嘘をつくハルト。家族に怒られてもけろっとしています。おばあちゃんはえんまさんのことで諭します。おばあちゃんが話すえんまさんはちょっと具体的で...。
    「おはよう、アンちゃん」太田忠司
    絶対に空き地がなかった場所

    0
    2025年09月17日
  • 骨を弔う

    Posted by ブクログ

    30年前、本当は何を埋めたのか。
    5人の同級生視点でお話が進んでいく。

    とても不気味で面白かったぁぁぁ…!!!
    大人になった5人それぞれの視点が
    何よりリアルで、
    いま現在の生活環境も全く違う5人のお話が
    とてもテンポよく読めました!

    話が進む中でわからなかったことが
    明らかになる瞬間…とても堪らなかった。

    解説にも書いてあるように、
    私もこの作品で宇佐美さんの作品を知ったので
    「愚者の毒」「展望塔のラプンツェル」を
    読んでみようと思いました!

    0
    2025年09月16日
  • 13月のカレンダー

    Posted by ブクログ

    私も長崎に住んでいるので小学生から高校までは毎年8月9日に平和教育を受けてきました
    でも、そんな私さえも想像を超える様な体験をしてきた人達がたくさんいるということを今更ながら思い知らされた気がします
    この体験はこれからもたくさんの人に語り継がなくてはなりません人類が同じ間違いを二度と起こさないためにも

    0
    2025年09月14日
  • 黒鳥の湖

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    白鳥ではなく黒鳥というタイトルになるほどなあと思わせるストーリーでした。
    善人が実はというパターン、あるあるといえばあるあるだが、それだけとは思えない。
    1番最後の結末だけはまさかのそこに!という驚きがありましたがただ一言。闇は深い。
    終始少し重めだが、著者の読ませる力が凄くて飽きずに読めた。

    0
    2025年09月14日
  • 愚者の毒

    Posted by ブクログ

    師匠が先日宇佐美さんを読んでおられ、積んであった中から宇佐美さんを選びました。


    職安で葉子と希美が出会うところから物語の幕が開く。
    2人とも過去に何があることが匂わされるのだが、真実はジワジワと開示されていく。この辺りを読んでいる時は、遠田潤子先生のような感じの本かな?と感じていた。

    第一章は葉子目線で、葉子の過去が明らかに。

    第二章から舞台が一気に変わり、希美目線で、壮絶な希美の過去が少しずつ明らかになっていく。


    宇佐美さんはこういう古い時代の描写がお得意なのかしら?まだ数冊しか読んでいないのでわかりませんが、昭和の時代の重たい描写が非常に巧みで、巧み過ぎて感情移入型の私は苦しく

    0
    2025年09月13日
  • 入らずの森

    Posted by ブクログ

    もっとバタバタなホラー物かと思ってたら意外と面白かった。
    四国の田舎に赴任してきた中学教師と転校生、Iターン就農者。
    それぞれ別々の物語が少しずつ重なってきてホラーというよりサスペンスに近い感じでドキドキしながら最後まで読むことができた。
    でも結局最後は人間の醜い心は絶ることはないってことなのかなぁ。

    0
    2025年09月12日
  • 逆転のバラッド

    Posted by ブクログ

    一人の死をきっかけに病院への不正融資や故意による医療ミスが浮き彫りになる。みなと湯に集まるおじさん達の結束と執念により事件の核心に辿り着いていく。登場人物の背景が見えてきて同情する気持ちになる。
    起承転結に忠実な作品でした。面白かったです。

    0
    2025年09月07日