宇佐美まことのレビュー一覧

  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    角川ホラー文庫ベストセレクション第二弾。全部読んだことがあるので再読かな。しかし何度読もうと、どれもこれも文句なしの名作です。
    何度読んでも恐ろしいのは坂東眞砂子「正月女」です。どこからどこまで全部怖い。柱時計の音が怖い。登場する人たちもみんな怖い。可哀想に思えるヒロインのキャラも、実はなかなかの恐ろしさなんですよね……。
    久しぶりに読んだ服部まゆみ「雛」も、再読でさらに恐ろしくなったかも。そしてラスト、小林泰三「人獣細工」で締めるとは!

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    2021年10月16日
  • 羊は安らかに草を食み

    「羊は安らかに草を食み」は
    バッハ作曲の
    統治者が優れている地では
    安息と平和が訪れる
    という歌だと知った

    そのタイトルが意味するところを
    読了後に実感する

    宇佐美まことさんは初読みの作家さんでした。なのに没頭して読み、感極まって泣きました。
    宇佐美さんの作品をもっと読みたい、
    出会えて良かったと思える作家さんに
    なりそうです。

    私の母も88歳
    満州引き上げ者です
    当時5歳で弟2人と赤ちゃんだった妹
    両親共に
    生きて日本へ帰れました
    だから今私がここにいられるのです

    益絵とカヨのような壮絶な体験ではなく、恵まれてた方だと思いますが
    終戦当時同じ奉天やハルピンにいたと聞いています

    混乱の最中
    「日本人は日本へ帰らなくちゃいけない
    生きて帰るためには何でもやらなくちゃ
    頭を使って生き抜くための術を考える
    日本まで生きて帰るために」
    という益絵とカヨの強い意志と
    知恵に圧倒されるばかりでした。

    日本への船がでる港までの
    汽車にどうしても乗りたいと
    群がる人々の描写が
    政権崩壊で飛行機に群がる
    アフガニスタンの人々と重なりました。
    現代でも戦争は起こっているのだ

    あちこちに死体が散乱するのも
    見慣れ、死体から衣服や食料を奪うのが日常になり
    自分の身を守るので精一杯で
    他人を見捨てることに
    何とも感じなくなる戦争

    そんな日々を過ごした11歳の益絵とカヨは
    「この戦争は誰が始めたものなのだろう
    こうやって失われていく一つ一つの命があることを
    その人たちは考えたことがあるのだろうか 」と疑問を持つ

    今まさにコロナで自宅で消えていく
    一つ一つの命とそれに対する無策な国政とも重なり、タイトルの意味をかみしめた。


    #切ない #感動する #泣ける

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    2021年08月22日
  • 黒鳥の湖

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    圧巻、言葉がない。何というか、もの凄い作品を読んだというより「読まされた」ことに圧倒されている。
    行間はぎちぎちのミステリで充たされているのに、すべてを見渡し終えると、入念かつ綿密に構成=計画され、あらゆるジャンルを跨いで描かれた作品であることに度肝を抜かれた。
    読み進めながら、ずいぶん大風呂敷を広げているなと感じていたが、全ての伏線が一本の糸を撚り合げるように回収され、作者の胆力と力量に驚愕する。
    必読の書!

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    2021年07月24日
  • 黒鳥の湖

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    因果応報、しかも自分がやったことの報いが、自分に直接ではなく愛するものに災いが降りかかるという形でやって来たらーー。てんでばらばらだと思ったものが見事に繋がっていって、最後まで一気に読んだ。面白かった。
    今度WOWOWでドラマ化するというので楽しみ。

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    2021年06月27日
  • 羊は安らかに草を食み

    購入済み

    過酷な歴史を忘れるべからず

    タイトルからは想像もできない内容であった。
    近世、中世以前の戦争であればともかく、近代、現代に起こった戦争は、いまだに私達の心にその影を落としているのではないかと、この物語を通して現実に思いを巡らせてしまう。

    満州引き上げ時の過酷な描写に、とてもリアリティーがある。

    こんな時代を経て、今の社会があるのだ。
    今、何か不足なものがあるだろうか。
    今を幸せに感じないなんておかしくないだろうか。
    そんなことを考えさせられた。

    #怖い #切ない #深い

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    2021年05月19日
  • 聖者が街にやってきた

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    神奈川県多摩川市湧新地区で立て続けに一人暮らしの女性の殺人事件が起こります。
    女性が殺された後には必ず、一輪の花、パンジー、マリーゴールド、デンファレ、クレマチス、プリムラ(ダリア)が残されていました。

    そしてもう一つの物語は湧新地区で育った歓楽街の花屋の一人娘、菫子(とうこ)。菫子は母一人子一人の高校生ですが、地域でやるミュージカル『聖者が街にやって来る』のオーディションに見事合格し、ヒロインの座を射止めます。
    しかし、菫子は親しくなった名門進学校に通うIQ150の二宮晃(ひかる)と付き合い出し、別れますが、その後ストリートギャングの集団に二度襲われます。
    一度目は菫子の店の常連客でおかまのホステスのレイカが怪力で助けてくれますが、二度目は近所の親に見放された中学生の一樹がまきこまれ大変なことになります。
    これ以上書くと全部ネタバレなので、やめておきますが、一樹とレイカの心の交流には泣かされます。

    そして、この物語にはピアニストの与謝野直美とその息子のミュージカルの音楽監督、与謝野充。そして二宮晃もピアノをやっていました。
    そして、菫子の母親の元同級生の刑事、乗松純も絡んできます。
    与謝野直美が海外で書いた食に関するエッセイが、各章の殺人の前に添えられているのがキーポイントです。とても洒落ていて美味しそうなエッセイですが、殺人の前菜と考えると怖いです。

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    2021年04月02日
  • 夜の声を聴く

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    中学二年の時からIQが高すぎ、母親も亡くしている隆太は家の窓から飛び降りたことがあります。
    そして引きこもりになります。
    18歳の時公園でいきなり手首を切った23歳の女性百合子にとてつもなく魅かれ百合子と逢うために百合子の通っている県立春延高校定時制課程に入学します。

    そこで、その後の隆太の人生をすべて変えることになる重松大吾と出逢います。
    そこで起こった1年間のできごとは多くの人物の人生を変えるものでした。
    家族のいない16歳の大吾は勤め先のリサイクルショップ『月世界』の二階に住んで、そこを営む70代の社長の野口タカエと二人で暮らしています。

    『月世界』は便利屋もやっていて、そこにいろいろなことを頼みにくる客の問題を僕は持ち前の頭の良さで解決していきます。
    そして、客の問題から大吾の抱えているとても大きな問題が発覚します。

    以下ネタバレしているのでお気をつけください。


    大吾は11年前に起きた有名な一家惨殺事件でたった一人生き残った男の子で、野口タカエは自殺した事件の容疑者の母親だったのです。
    ハル高で出逢ったちゃらけた同級生、重松大吾。彼が真の姿を隠していたことに僕はおののきます。
    僕は客の家族で大学教授の廣紀さんとともにその事件をも解決しようとします。そして、今までの事件の線とすべてがきれいに繋がって、事件は解決するのです。

    ミステリーの部分もありますが、この物語は主人公の僕の成長を書いた青春小説です。
    ハル高の卒業生たちが18年後に再会する賑やかな場面は大吾だけは姿をみせませんが、とてもよかったです。

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    2021年02月16日
  • 夜の声を聴く

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    宇佐美さんの作品2つ目。素直に面白かった。これ、いつか、ドラマになるのでは? 冒頭は、この系のお話?と思いきや、連作推理ドラマとなり、最後に全部繋がって、再生。良くあるパターンかもしれませんが、私の大好きなパターンです。 これから読まれる方へ。読んでてちょっとだけ違和感を感じる部分、そこ大事ですよぉ。

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    2021年02月04日
  • 夜の声を聴く

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    発売当初から気にはなっていたんだけど、年末のランキング発表の中でもいろいろ目にして、やっぱり入手することに。読み始めの印象のみ、表紙のごとくホラー風味も感じられるんだけど、基本的には普通のミステリ。これはもちろん、出来が普通、という意味ではない。最初のうち、日常の謎系の部分には正直あまり惹かれなかったんだけど、それは後半の本当の謎に至るまでの前フリ。核心に迫る展開はさすがのクォリティで、順次明かされていく各キャラの真相に、いちいち感銘を受けました。

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    2020年12月23日
  • 夜の声を聴く

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    手首を切った女性の出会いから始まり、それに導かれるように定時制の高校へ。そこで大吾と出会い、彼がアルバイトする何でも屋「月世界」と出会う。最初はとりとめなく、どこか中二病的に展開する感じが馴染めなかったけれど、大吾が一家殺人事件の生き残りであり、月世界の主人が被害者と疑われ自殺した男の母であることがわかってからは、すべてのエピソードが一気に絡み合い、ひとつひとつ腑に落ちていく凄まじい展開。面白かったです!

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    2020年12月13日
  • 黒鳥の湖

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    仕事にも家庭にも恵まれ、勝者として人生を謳歌する主人公。しかしふとしたことからその幸せが崩れ始め、どんどん奈落の底へと突き落とされるような事態が起きていきます。これはかつて彼が犯し、いまだ暴かれていない罪の因果が巡ってきたものなのか。緻密な構成と息詰まる展開から目を離せないミステリ。
    世間を騒がせる「肌身フェチの殺人者」と二十年以上前に起こっていたかもしれない事件との繋がりがメインの謎かと思いきや。それ以外にも次々と繰り出される新たな事件と謎に翻弄され、しかもそれがラストであまりに見事に繋がってしまったことに驚愕させられました。最初から最後まで、すべて集約されたひとつの物語。まさしく因果というものを感じさせられます。
    一応最終的には後味の悪い物語ではないのだけれど。途中はとにかくつらい。主人公がかつて卑劣な罪を犯したとはいえ、現在はそれなりに好感を持てる人物になっているだけに、もうこれ以上可哀そうな目に遭わせないでやって、という気になりました。もう誰を信じていいのだか。真相って、知らないままのほうが幸せなのかもなあ。

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    2020年01月13日
  • 死はすぐそこの影の中

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    ネタバレ

    これはやられた! って感じでした(^ ^;

    物語の序盤は、伝奇ホラー風。
    ダムに沈んだ村、キリシタンの呪い、
    謎の「事故死」を遂げた伯父...などなど、
    おどろおどろしいモチーフが続けて出てくる。

    それが、とあるきっかけで「謎解き成分」が増える。
    主人公の過去を探ろうとする同郷の三流ライター。
    この辺からさらに「バイオレンス成分」まで出てくる(^ ^;

    さらに終盤には「え、そういうことだったの!?」
    という驚きの展開になり、その後まだ二転三転(^ ^;
    も、何を信じたら良いのやら状態(^ ^;

    読み進めつつ「え、ちょっと待って」となって、
    ページを遡って読み返すこと数回(^ ^;
    一冊で5度も6度も楽しめる(^ ^

    エンディングも、一応はハッピーエンドながら、
    この先まだ波乱を予見させるモヤモヤは残り(^ ^;
    巻末の解説を読むと、気づいてなかった
    「さらなる仕掛け」が隠されていたりして...
    本当にどこまで掘り下げて構成してるんだ作者は(^ ^;

    いや〜、いろんな意味でやられましたわぁ...(^ ^;

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    2018年12月07日
  • 入らずの森

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    ネタバレ

    「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    怖かった。
    どこにも書いていなかったが、
    人ならずものが好むのは人の心の闇だと思い、
    それぞれ闇を抱える登場人物の誰が餌食になってしまうのだろうかと、
    怖かった。

    ホラーは好きではない。
    カバーによるとダークファンタジーというらしいが、
    昔の人殺しの話とつながる気味の悪い粘菌の話だとわかっていたら読まなかったと思う。

    しかし、面白かった。
    次々とピースがはまっていくジグソーパズルのように、
    様々な話がつながっていく。
    ただし、そのピースは普通のジグソーパズルとは違って、
    大きさも形も一定ではない。
    大きくて何が描かれているのかが判るピースは当然真ん中に置くとして、
    描かれていることはわかるけど、
    全体の絵の中のどこに入るのかさっぱりわからないピースもある。
    脇にまとめて置いておく。

    そして、ピースとは思わず見過ごしてしまう小さいピースもある。
    しかも、小さいピースが後で重大なかけらとなる。
    最後のピースをはめたときに見えるのは、
    ただの謎解きではなく、人の心の美しさであり、醜さであり、強さであり、弱さ。

    この作品はミステリー、美しいミステリーだと思う。

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    2018年06月24日
  • 入らずの森

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    ネタバレ

    タイトル・表紙・あらすじに惹かれて購入したものの、本棚で「積読」になっていたのを思い出し読み始める。
    舞台は自然に囲まれた集落の寄り集まった村。
    そんな環境に馴染めずにいる思春期の少女・自分に自身の持てない青年・理想を追い求めて移住してきた壮年の3人が主軸になって話が進んでいく。
    他の登場人物にもちゃんと役割が振られており、それぞれが過不足無く動いていく。
    一見どのような役割を持っているのか分からない登場人物も、以外な関わりを持っている(いささかご都合主義のような気もするが)。
    事件の「犯人」は早い段階で見当がつくが、それがどのような形で関わっていくのかが面白い。
    ラストシーンは「きっと、こうなるんだろう」と予想していた通りだったが、それも含めて満足の1冊だった。
    少女が語る「これは私の目印だから」の言葉が印象深い。

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    2018年04月02日
  • 入らずの森

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    これは、スゴイ(^ ^;

    オカルトであり、ホラーであり、伝奇物であり、
    基本的には「絵空事」なのは100%承知しておりますが。
    それでも、「絵空事部分」以外の描写がリアルで、
    もしやあり得るかも、と思わされてしまう(^ ^;

    登場人物が、みな良い(^ ^
    会社勤めに嫌気がさして、田舎暮らしを始めた男やら、
    大きな挫折を抱えて仕方なく中学教師をやってる男やら、
    親との確執から祖母と暮らす金髪の女子中学生やら。

    田舎の人も、中学生から偏屈な爺さんまで、
    皆それぞれに「実にいそうな」キャラクターで(^ ^
    性格も人間関係・力関係も実にありそうで、
    これがまた物語にリアリティを与えている。

    主要な登場人物それぞれの視点で話が進み、
    中盤に差し掛かるとストーリーが絡み始め、
    終盤次々にパズルのピースがはまるように
    全ての伏線がカチッと収まって一本の線になる様は、
    もはや小気味よいほど(^ ^

    ともすれば「ご都合主義」と取られかねないような、
    え、そう来たか的な展開もあるのですが、
    そこに至るまでの丁寧でリアルな描写と、
    事前に釘を刺すような「全てに意味がある」的な台詞で、
    偶然が必然に転換されてしまう。
    むしろ「なるほど、だからこそ、か」と思う展開(^ ^

    例によって細かいことを書くわけにはいきませんが...
    本当に最初から最後まで「隙がない」印象(^ ^

    不気味なシーンでは鳥肌が立ち、
    時にホロリとさせられるシーンもあり、
    一冊で二度も三度もおいしい佳作(^ ^
    映像化したらとても魅力的になりそうな作品です(^ ^

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    2017年10月16日
  • 白と黒のソナタ

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    1台のピアノにまつわる物語。
    現代の新進気鋭の若手ピアニストの話、明治時代に大使としてイギリス赴任することになった貴族の娘とその子にピアノを教えていたピアニストの話、貴族宅の下働きの小僧がピアノ職人の弟子になり、また弟子を取り…の話、ピアノが流れに流れて辿り着く話などがうまくからみあっていた。

    複雑なのに読みやすく、先も気になり面白かったんだけど、中学受験おすすめに出てたので最初子どもでも読めるかなと思ってたら下ネタ(と本では言わないか?)が出てきてダメだなと思い、もう一度出てきた時にこれいるか?と違和感を持った。
    何となく若い人が書いてるのかなと思ったら70手前の方で、だからかなと。そういうのってもうちょっと古いよね。

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    2026年10月24日
  • 夢伝い

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    ゆーき本さんの本棚から

    「夢伝い」
    夢に入り込まれ、現実の生活にまで影響が及ぶ恐怖。夢と現実の境界が崩れていく怖さがあります。

    「水族」
    気づかないうちに傷つけていた友人の悪意。
    自分では意識していなくても、相手の心には何かが積み重なっていたのでしょうか。
    そして、ラストは思いがけない展開。

    「エアープランツ」
    気づかぬうちに、何かの餌食となり、自分の内側が空洞になっていく感覚。

    「沈下橋渡ろ」
    犯した罪は因となり、やがて自分に返ってくる。その出来事が、過去の罪に対する果であったことに気づく。
    因果応報を、怪異を通して描いた一編。
     
    「愛とは見分けがつかない」
    わざと相手を困らせたり、突き放したりして、自分が愛されているかを確かめようとする「試し行為」。そんな心理にもつながるのかもしれない、愛情と憎情の境界。

    「卵胎生」
    卵を母体内で孵化させ、ある程度成長した子を産む卵胎生の生物たち。そのセグロウミヘビを怪異譚に織り込んだ佳作。

    「湖族」
    少年の頃、祖父から聞かされた湖族の話。彼にとっては、それは伝説ではなく現実だった。

    「送り遍路」
    罪を犯し、終わりのない円環の遍路を歩き続ける。

    「果てなき世界の果て」
    バーチャルゲームをベースに、AIが浸透した世界を描く。そんな世界でも、人と人とのすれ違いは起きる。珍しい設定ではないけれど、あり得そうだと思わせる描き方が上手かった。

    「満月の街」
    妻子ある男との関係。子供の頃の砂の記憶と、男との別れを重ね合わせる。過去の記憶が、今の自分のと響き合うような一編。これが一番好きでした。

    「母の自画像」
    押し絵と旅する男を想い出してみたりしてー
    並行世界の理想郷。

    初出は いずれも小説すばるの短編11編
    宇佐美さんが 怪異を日常に溶け込ませた短編集。

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    2026年10月22日
  • 5分後にお風呂に入りたくなる! 湯けむり文学

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    エッセイ系がどれも好きだったかな。
    あと、寒い日の夜や心細い日の夜に温かいお風呂に入れることってなんてありがたいんだろうって思える作品たちもよかった。

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    2026年10月16日
  • 月白

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    北川フサという女性は5人の男を殺した。戦後の混乱期に起きたこの連続殺人事件をもう一度掘り起こし記事を書くことになったフリーライターの海老原誠は、取材を通してフサと、彼女と行動を共にしていた少年靖男の内にある憎しみと怒りに触れる。
    戦後を生きる子どもたちの描写は、以前読んだ引き上げや原爆とも重なり本当に辛くやりきれない思いがした。
    憎しみが生きる原動力だなんて…悲しすぎる。

    「子どもは子どもだ。誰の子かということがそれほど重要かね?」
    「子どもは守ってやらねばならん。一番近くにいる大人がな」

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    2026年10月14日
  • 愚者の毒

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    ネタバレ

    2章の1965年筑豊での生活、衝撃的。いつの時代?と思うほど。炭鉱での事故が多発、多数の方が亡くなっていた事を知らず、恥ずかしくなった。御巣鷹山は記憶にあるのに。その悲惨な筑豊で幼なじみだったユウと希美。ふたりは殺人を犯し東京に逃げる。過去を捨てても、どこまでも追われる恐怖。ユウはユキオに希美はハコに成り代わり生きていく。火災で親を失った経験から失語症になった達也。あの後養子に行きどのあたりで希美がハコに成りすましてるかわかったのか?難波先生の語りかけが達也のその後の人生によい影響を与えている所が唯一の救いどころか。辛くてなかなか読みすすめられなかった。

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    2026年10月14日