宇佐美まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
皆さんが読んでいたこの作品、やっとレビュー投稿できます。一言で言うのであれば、読んでよかった!です。読むべき作品でした。
主人公は勤めていたバイオ企業を辞職した侑平、父方の祖父母が亡くなりその実家を売却すると父からの連絡を受けて、愛媛県松山市にある空き家を訪れていた。そこで見つけた13月まであるカレンダー、祖父が祖母の病状を綴ったノートには、祖母の寿賀子が「13月はあったのよ」と遺していた…。生前の祖母のことを関係者に訪ね歩く内に、祖母の兄は原爆の犠牲になっていたことを知り…。
1945年8月6日広島に原子爆弾が投下され、多くの方が犠牲になりました。生き残った方も被爆者であることで偏 -
Posted by ブクログ
研究者としての道でなにかあって仕事をやめたらしい侑平は両親の離婚で疎遠になったが大好きだった祖父母の家に行くことになった。祖父母は他界しており、自分の仕事での過ちと、祖父母への疎遠になってしまったことへの後悔が混ざるように祖父母のルーツを探していく。そして知る、個人として見た、被曝した経験の悲惨さ。人生への影響。祖父母と関わりのある人たちの話を聞いた侑平は、自らの悔恨を見つめ直す。そして、奇蹟が起こる。
丹念に綴られる戦争の悲惨さが共感を持って感じられ、また、被害者であるのに、悪者のような扱いを受けるという継続的な二次被害の辛さも伝わってきた。タイトルにもなっている13月に起こった奇蹟がいまい -
Posted by ブクログ
ネタバレ夫との諍いで家を飛び出した主婦『沙代子』は男たちに追われる女と接触事故を起こしてしまったことから、謎の凶悪な犯罪集団と女子高生の誘拐を巡るいざこざに巻き込まれていく。
親からの愛情をあまり受けられず、結婚後も夫とその連れ子たちや姑たちから家政婦のような扱いを受けしいたげられ来た『沙代子』。自分でも能力のない人間だと思い込み、自主性をなくしてしまっている主婦。自由奔放な楽観(過ぎ)主義のキャバ嬢『紫苑』に半ば脅され3千万の着服付き合わされる羽目に。お金を隠した2人は紫苑が入れあげているホストの『竣』が留守番をしている豪邸に転がり込むが、何故かそこに誘拐された『陽向』が逃げ込んできて、騒がしい共 -
Posted by ブクログ
著名作家による小学生向けホラーンソロジーシリーズ。
学級日誌版より、こっちの方が読み応えあって、面白かったです。
サブタイトルになっている作品の著者が斜線堂有紀だったので、それもちょっとうれしかったかも。このメンバーだと、宮部みゆきか?って思ったのですけどね。
ルビは中学年程度です。文字も大きめで、一話に一つ挿絵があります。
「えんまさん」黒史郎
嘘をつくのが大好きで、それもとても上手に嘘をつくハルト。家族に怒られてもけろっとしています。おばあちゃんはえんまさんのことで諭します。おばあちゃんが話すえんまさんはちょっと具体的で...。
「おはよう、アンちゃん」太田忠司
絶対に空き地がなかった場所 -
Posted by ブクログ
師匠が先日宇佐美さんを読んでおられ、積んであった中から宇佐美さんを選びました。
職安で葉子と希美が出会うところから物語の幕が開く。
2人とも過去に何があることが匂わされるのだが、真実はジワジワと開示されていく。この辺りを読んでいる時は、遠田潤子先生のような感じの本かな?と感じていた。
第一章は葉子目線で、葉子の過去が明らかに。
第二章から舞台が一気に変わり、希美目線で、壮絶な希美の過去が少しずつ明らかになっていく。
宇佐美さんはこういう古い時代の描写がお得意なのかしら?まだ数冊しか読んでいないのでわかりませんが、昭和の時代の重たい描写が非常に巧みで、巧み過ぎて感情移入型の私は苦しく