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労働者相手の娯楽の街・多摩川市。この地の児童相談所に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問している。一方、フィリピン人の母親を持つ海は、崩壊した家庭から逃げ出してきた那希沙とともに、倉庫街で座り込んでいた幼児を拾い、面倒をみることにするが……。荒んだ街の子供たちに救いはあるのか?
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Posted by ブクログ
最初から辛い部分が多く、ゆっくり休み休み読んだ。ぼんやりと、スマホのある時代と、ない時代の話が描かれているのかな?と思いながら。 後半になると、なるほどこんな風に繋がるのかと驚き、ドンドン引き込まれて、もう休んだりできず読み終えた。 たくさん心に残る箇所がありました。 一番グッときたのは、 児相に...続きを読むある高校生が自分から保護を願い出てきた。父親からの暴力から。しかし、保護所の居心地が悪く出たいと騒いでいた。松本悠一は言う「君はまだ甘い。ここで扱う虐待はそんなもんじゃない」「まだ足りない。君がやったことといえば、ここに逃げ込むことだけだ」「戦える者は戦わなければならない。他人任せにせず、自分の人生をもぎ取るんだ」と。 彼がハレとわかってから読み直して、感涙した。 負の連鎖もあるが、その反対の正の循環もある。 希望のある終盤で、読後感はとても良かったです。
児童虐待がテーマになっているので、胸が痛んで読み進めることが辛くなるようなシーンもありましたが、最後は切なさの中にも希望を感じられる暖かな作品でした。 映像化は難しいであろう、小説ならではの " 面白さ " がある作品です。
宇佐美さんの本、毎回、気持ちが沈んでしまうような設定で、でも、ラストが明るいのでまた読みたくなります。 今回のこの本は今までの中で一番、気持ち悪く、ところどころの描写、読めなかったです。 最後また救いがあるので良かったのですがね。
「ここで生まれ育ったら将来はヤクザになるか職人になるか」とされる地域で虐待され続ける幼い子や、ヤクザの世界に踏み込んでいく少年が、救われる道が見えず暗澹たる気持ちになる。性暴力シーンなど辛くて読むのをやめようかと思ったけど、最後まで読んでよかった。 でも、結局救えなかった存在が引っかかって切ない。そ...続きを読むれが現実でもあるということか。
ラプンツェルと云ったらディズニーですよね。でも、元々はグリム童話! 知りませんでした‥。 本書は、ディズニーとは似ても似つかず、余りにも悲惨で虐げられた人たちの物語で、終盤まで続く救いの無さに、切なく辛い内容でした。 舞台となる多摩川市は、開発の進む北部地域と荒んだ臨海部の南部地域に分かれ、...続きを読むこの南部を地元の成金が建てた展望塔が見下ろしているのでした。 育児放棄された5歳男児、性的虐待を受ける17歳少女、その少女を救う少年、取り憑かれたように不妊治療をする夫婦の危機、業務に忙殺され疲弊状態の児童相談所職員‥。これらの人々の人生が交差し重なっていきます。 「ラプンツェルが、塔の上から金色の髪を垂らして地獄から救ってくれる」‥これが少女の心の支えであり、他の恵まれない子への励ましに繋がっていて、とても切ないです。 それでも、展望塔の下から逃れられない、ではなく、そんな中で模索する憧れや勇気が、きっと道を切り拓いていく道筋を示してくれた気がします。 声なき声に気付く人、ちょっとしたきっかけや手助けをする人は誰なんでしょう? 赤の他人でもいいような気がします。誰かが気付き誰かに繋げば、子どもは荒波を渡って行ける術を身に付けられるのではないでしょうか? ほんの少しでもと救いを与え、決して生きることを諦めてはいけない、という筆者の願いが伝わる物語でした。
読みながら昨今耳にするようになった「親ガチャ」という言葉が思い浮かんだ。 児童虐待・ネグレクト・貧困を扱った作品。そして不妊治療をする夫婦についても描かれています。 子ども・児童相談所職員・近隣住民と視点を変えながらの展開で、苦しい場面がたくさんたくさんありました。 読みながら、肉親や近しい人に心...続きを読む身ともに傷つけられ家に居場所のない子どもたちに、人でも場所でもいい、心の拠り所がありますようにと切に願った。 大人の理不尽に振り回される子ども。負の連鎖。 同じ親として信じがたい悲惨なニュースを見るたびに心が痛む。 作品に登場する子どもたちの境遇を思うと本当にやりきれない。 どんなに酷いことをされても親の愛情を求め続け、公的機関や大人に頼ることを諦めてしまっている子ども。 何て悲しい現実なんだろう…。 作品では那希沙が海に出会えて良かった。 晴が那希沙と海に出会えて良かった。 気分がふさいでしまうような展開だけど、どんな結末かと先が気になって仕方がない。 子どもたちが心配で心配で…。 後半の展開は、最初ちょっと理解が追いつかなくて「えっ!?」となりました。 大人になった子どもたちを知って、「あぁ、そうだったのか」。 救いがたい現実もあるけど希望を感じられて良かった。 『追い込まれた子どもたちの世界は狭い。ちょっとしたきっかけや手助けで随分違う人生の道を歩めるようになる』 『お日様も生まれ変わる。あたしたちも生まれ変わる』
貧困、虐待、人種差別など苦しい場面が多々あった。 それでも展望塔を眺めていつか幸せになれることを願っている。 どんなに辛いことをされても、それでも家族だからと守る。 構成がすごくて最後の展開に驚いた。 【心に残ったフレーズ】 「今日のあたしたちは明日はもういないんだもの。」
つらくて何度も閉じようと思った。こんな本、なんで読んでるんだろーって。 でも、ハレに会えて良かった。 こんなに心に残る本ないし、ずっと考えさせられるんだろうな。
親ガチャの一言で片付けられない根深い問題、子どもたちを取り巻く地域ガチャや環境ガチャの負の連鎖に絶句。那希沙たちが置かれた過酷な境遇は読めば読むほど辛い。 でも、ハレと海と那希沙、子どもたちの問題に取り組む児相の職員の悠一、不妊に悩む落合夫婦、別々に進行するそれぞれの物語はいったいどこで交わるのだろ...続きを読むう?という期待に宇佐美さんは今回も見事に応えてくださった。 「自分の人生を他人にまかせるな」の海の言葉と、新しい明日を生きることを教えてくれるこの作品が現実に苦しむ誰かの“ラプンツェルの髪”になればいいなと願う。
初めての作家さん。 読みたかった本やっと見つけた。 児童虐待や不妊の話で読んでて苦しかった。 子供がいて幸せに暮らせていること。 今の生活がすごくかけがえのないものだと改めて思った。 怒鳴りまくって。。。なんか私も虐待だよね。頑張ろ。。。 異なる時間軸の話が並行していたことが分かって最後は一気読...続きを読むみ。 救われた人、救われなかった人、それぞれだけど読んだあとは幸せな気持ちになれた。
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展望塔のラプンツェル
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