宇佐美まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みながら昨今耳にするようになった「親ガチャ」という言葉が思い浮かんだ。
児童虐待・ネグレクト・貧困を扱った作品。そして不妊治療をする夫婦についても描かれています。
子ども・児童相談所職員・近隣住民と視点を変えながらの展開で、苦しい場面がたくさんたくさんありました。
読みながら、肉親や近しい人に心身ともに傷つけられ家に居場所のない子どもたちに、人でも場所でもいい、心の拠り所がありますようにと切に願った。
大人の理不尽に振り回される子ども。負の連鎖。
同じ親として信じがたい悲惨なニュースを見るたびに心が痛む。
作品に登場する子どもたちの境遇を思うと本当にやりきれない。
どんなに酷いことをされても親の愛情を求め続け、公的機関や大人に頼ることを諦めてしまっている子ども。
何て悲しい現実なんだろう…。
作品では那希沙が海に出会えて良かった。
晴が那希沙と海に出会えて良かった。
気分がふさいでしまうような展開だけど、どんな結末かと先が気になって仕方がない。
子どもたちが心配で心配で…。
後半の展開は、最初ちょっと理解が追いつかなくて「えっ!?」となりました。
大人になった子どもたちを知って、「あぁ、そうだったのか」。
救いがたい現実もあるけど希望を感じられて良かった。
『追い込まれた子どもたちの世界は狭い。ちょっとしたきっかけや手助けで随分違う人生の道を歩めるようになる』
『お日様も生まれ変わる。あたしたちも生まれ変わる』 -
Posted by ブクログ
2015年夏、一人の女性が介護付老人ホームを終の住処と選び、そこで過去と向かい合う。彼女が向かい合う過去と現在を交錯させながら、犯してきた罪が語られていく。
一章では、語り部を前触れなく変えてくるので、女性が誰であるのか、混乱して作者の思惑にはまる。
貧困から逃げる為、罪を犯す。罪を隠すために嘘を重ねる。嘘を貫く為に、再び罪を犯す。彼女はただ一人の友人であるはずの女性さえ、嘘の道具としてしまった。
1960年代の廃坑集落の社会問題を底に扱い社会派小説として、罪を重ねる犯罪小説として、ヒューマンドラマとして楽しめる作品でした。
養子に出した、幼児期精神的ストレスから失語症となっていた少年・達也が、成長して生物研究者となり名前を変えて、女性の前に現れる。彼が、自分の犯した罪を「愚者の毒」と表現する。作者が、タイトルにもしたこの意味合いをかなり考えたのだけど、決定打を思いつかなかった。
「愚者の毒」はヒ素の異名らしい。ヒ素を使うとすぐにバレてしまうから。達也がカラスを可愛がっていた事があるところから、トリックに使って身元をわからせる様にかなあー?単純に、少年期に蓄積された毒の放出の比喩かなー?毒の中でも筑豊の鉱山がらみで、ヒ素の表現と愚者を兼ねて?面白かったからまあいいか。 -
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ネタバレ出だしこそ衝撃的だけど、人との関係に意味を見いだせず、家に引きこもっていた隆太が、定時制高校に通い、人は見た目ではわからない部分があり、本で見て知っていると思ったことも実際には違って見えたりと経験を重ねて成長していく話。
多分ウリのポイントはミステリの方なのだろうけど、この作品はミステリとしての完成度よりも成長譚としての方が良いと思う。
定時制高校で知り合った大吾は、リサイクルショップ兼何でも屋で住み込みで働いている。
少しずつ明かされた大吾の過去。
それは幼少期に家族全員を惨殺された、たった一人の生き残りだというものだった。
それに比べれば母に愛されなかった自分など…。
何でも屋に持ち込まれる小さな仕事に伴う小さな謎。
それを解決していくことで繋がっていく一つの大きな謎。
これが、割とわかってしまうのだ。
ああ、音響で11年で…って。
もちろんそれは単純な繫がりではないけれど、「ここ大事」ってフラグが立ってしまっている。
だから私は、ミステリと言うより成長譚として読みました。
登場人物たちそれぞれの止まっていた時間が動き出した、という意味では、大人も救われているわけだし、読後感も悪くない。
ただ、大吾にとって世間はいったい何だったのか?
その後の彼は、過去を思い出して懐かしむことはなかったのだろうか。
それから、最初のリストカットの後、主人公が小学生の時に後者の3階から飛び降りたこと、リストカットした百合子の叔父の飛び降り自殺、依頼人の血のつながらない息子が屋根から落ちたことなど、やけに落下事件・事故が多いので、何かの布石かと思ったけど違ったね。 -
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ネタバレ読み応えのあるホラーオムニバス
好きだった話抜粋
「氷室」
途中でオチは読めたけど更なるオチがついてるとは…読んでくとひんやり感が伝わってくる
「旧居の記憶」
昔住んでたとこ変なこと多くて〜心霊現象多かったンスよ〜で済んでいいのか分からない作者の体験記
かつてのノスタルジックな情景を思い描きながら読んでくとオチに突き落とされる
「やなぎっ記」
怖くて((((('Д')))))泣いちゃう(ToT)/~~~
「笛を吹く家」
3歳の息子と散歩した時に思いついた創作って始まるのが怖い
「終の住処」
この作者結構な確率で読者巻き込む
「ろろるいの家」
文章の密度が凄い。他の作品と比べると凄いみつしりしている。"ろろるい"の意味が分かった時の「ああ…」な終わった感。この短編が1番好きかも
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Posted by ブクログ
ネタバレ好きな著者だったので。
「ドラゴンズ・タン」、竜の舌を巡る輪廻転生のお話。
中国の漢の時代からはじまったお話は、
大陸から現代の日本へと転がり込む。
といっても、「ドラゴンズ・タン」が何なのか、
何を意味をするのかは最後まで分からない。
ただの(というと語弊があるが)ファンタジーかと思っていたら、
最後に思いがけない現実的な展開になり、
何もかにもがうまくはまっていくのは驚きだった。
(伏線回収という言葉がどうも気に入らないのは私だけだろうか)
個人的には、
いろいろな時代に登場する、
様々な人物たちが彩る物語が楽しかったので、
そのままファンタジー的な展開も読んでみたかった気がする。
自由に飛び回っていた空から地上に降り立つのではなく、
そのまま飛び去ってしまうような。 -
Posted by ブクログ
漢の時代の中国から時代を越えて引き継がれる因果の物語。凶悪な禍、不老不死の力を得た男、そして禍を察知し食い止めることができる一組の男女。何度も生れ変わり運命に翻弄される男女はいずれ、巡り合うことができるのか。そして禍に立ち向かうことができるのか。壮大なスケールのファンタジーです。
五つの時代の五つの章で描かれた物語ですが。どの章一つ分でもひとつの物語として読みごたえがたっぷり。その中で生まれ変わった彼もしくは彼女と、彼らを抹殺しようとする不死の男の不穏な対立が実にスリリング。ただし生まれ変わった彼らは一連の事態を把握できていないので、圧倒的に不利なんですよね。実際第四章まではずっと敗北……だけれどそうでないと物語は進まないので仕方がないのです(苦笑)。
そして最終章で舞台は現代日本へ。ここで初めて明らかになる「竜舌」という禍の正体。そうか、そうきたか! ここまですべてファンタジックな要素が多かったのだけれど、一気に現実に即した恐怖が顕現します。そしてすべての章での伏線が回収され、物語は大団円へと向かうのか。クライマックスは一気読みでした。