宇佐美まことのレビュー一覧

  • 超怖い物件

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    ネタバレ

    家についての怖い話短編集。わりと家より人間メインみたいな話も多かったけど面白かったです。
    個人的には「笛を吹く家」、「トガハラミ」、「ろろるいの家」が個人的に性癖に刺さります。
    ろろるいの家とトガハラミは結構ファンタジー味が強いかも

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    2024年09月26日
  • ボニン浄土

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    ネタバレ

    宇佐美まこと氏といえば、土着的なホラーのイメージが個人的に強かったが、それを見事に覆す、まるで壮大な時代小説が始まるかのような導入。
    そして、さらにその予想を裏切り、ページ僅かしか進まぬうちに舞台は時空を飛んで現代へ。
    実に巧い。
    卓越した手腕は全編を通して発揮され、途中までは"余白、遊びの部分が結構多い作品だな"などと思っていたが、あれよあれよという間にそれらすべてのパーツがするすると破綻なく連綿と繋がり、数々のエピソードが集積した一個の大きな物語として閉じるパッケージには、様式美という言葉がふさわしいとすら感じる。
    一方で、その超絶技巧を活かすことを第一義として緻密に組み上げられた構成…という印象を持ったことも事実で、ではそれを以てこの作品は読者に何を伝えたいのか、という根幹を成す"背骨"については、そこまで強烈な感銘を受けなかった…充分面白いのだけれど。

    見せ場となる重要な場面は多いが、特に私の心に残ったのは、賢人が鯨の歌に呼応しチェロの音色を取り戻すシーン。
    まさしく1つのクライマックスであった。
    賢人が島を去る前に皆の前で演奏するシーンも然り、音の出ない紙媒体の小説でありながら、音楽の持つ力を感じた。
    また、恒一郎が長い時を経た後に生まれた島へ帰郷するくだりには、ケンシロウが修羅の国に戻った時のそれに通じるものがあるではないか。
    いくら言葉に尽くせぬ恨みつらみがあろうとも、母が何にも代え難き幼い我が子を残して逝くだろうか…? という疑問は決して拭いきれないが。

    蛇足ながら、もう10年前になるが小笠原に旅行した際、真っ青な海でイルカと泳いだことやダイヴィング中にユウゼンを見たこと、ウミガメの煮込みを食べたこと、そして兄島瀬戸の珊瑚礁でスノーケリングしたこと等を懐かしく思い出した。

    「出ていく者を見送り、来る者を受け入れた。それは島そのもののあり方だった。」

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    2024年09月10日
  • 超怖い物件

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    結構好きだった。有名な事故物件サイトの方も実話系の方も小説家の方もふんだんに入ってて、お話の並びもリレー小説かのように必然性のある並びをしていて良い。平山夢明さんのトリの小説が本当に怖かった。花房観音さんのも情念って感じで良い。文章が好きだった。

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    2024年08月31日
  • 愚者の毒

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    老人ホームに入った裕福なお婆ちゃんの回顧録 と思って読み進めたら、想像以上の人生だった…。

    明らかな悪人はいるのだけど、あの二人はどうなの?悪人…か?でも、遺された側からすると…やはり悪人か。。
    些細なボタンの掛け違いで起こってしまった気もする。
    けど、当事者によって捉え方は違うから、ラストのああいう行動をしたのも仕方ない気もするし。

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    2024年08月25日
  • ボニン浄土

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    ネタバレ

    読み始めと終わりの気持ちの温度差に驚いた。
    鎖国真っ只中の江戸時代、日本の端の島「ボニン・アイランド」での遭難者の男と異国の女の出会いから始まる、めくるめく人の運命の変遷と血脈の妙にここまで胸が高鳴るとは!
    全く関係ないように見える複数のパートと過去が集約され、気持ちいいほどパタパタとピースが嵌まっていく宇佐美さんお得意の最終章はますます圧巻の境地。
    海を渡り歩くカナカの女たちのたくましさと情の深さ、マリアの情熱、幸乃の悲愴な覚悟…小笠原の島を愛する魂の想いが結実し受け継がれていく命と縁の神秘は計り知れない。

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    2024年07月26日
  • 愚者の毒

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    初読みの作者さん。フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってみた。

    1985年、たまたま上野の職安で出会った葉子と希美。希美の紹介で葉子が深大寺の旧家で住み込みの家政婦として働くことになったのをきっかけに二人が関係を深めていく様が描かれる。
    閑静な武蔵野での出来事の間に挟まれる、2015年、伊豆の高級老人ホームで暮らす女性の述懐の中でさらりと語られる単語に物語の不穏さが増し、何は起きたのかを知りたくて頁を繰る手が進んでいく。
    中盤以降で明かされる真相は、最後の最後まで予断を許さない、小道具の使い方まで含めて手が込んだ作りで、とても良く出来ていると思った。
    ただ、第二章で、昭和の高度成長時代と対比して描かれる、1965年~66年にかけての筑豊の悲惨な生活の描写の濃さが強烈で、ミステリーとしての面白さが霞んでしまった印象も受けたのでした。

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    2024年07月22日
  • 超怖い物件

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    家系ホラーが好きなので読んでみた。
    あんま怖くないなーって読み進めてたけど、最後2篇が怖くてびっくり。

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    2024年07月19日
  • 角の生えた帽子

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    ホラーというよりは、純文学的な空気感を感じた。ホラー的な展開ではあるが、市井の人々の暮らしと悲しみを描きつつエンタメとして昇華させている。
    著者の文体によるものなのだろうか、静謐な印象を受けた。

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    2024年07月16日
  • 少女たちは夜歩く

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    それぞれの話の主人公の心情が細かく描かれているからか、悪が裁かれる形が多く理不尽さが少なかったからか、ホラーと言っても読み進めていくと怖さより面白さが勝った。ページが進むにつれ色んな人の繋がりが見えてきて関係性が整理されていき、すっきりとした読後感だった。

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    2024年06月12日
  • 超怖い物件

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    普段から心霊系の動画をよく鑑賞しているので、興味があり読んでみた。
    うん、物件にまつわる怖い話がギュッと詰まっていました。
    「終の住処」「ろろるいの家」等、海外でのホラー作品にはない日本ならではの、背筋の凍る感じの怖さがありました。
    また、「笛を吹く家」や「トガハラミ」は、”ホラー“を意外なところで感じさせてくれて、オリジナリティがあって新鮮でした。
    面白い話しかなかったように感じます。

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    2024年05月25日
  • 骨を弔う

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    増水で土が抉られた堤防の土中から、謎の骨格標本が発見されたというニュースを見た豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。だが、それは記事の発掘場所とは異なっていた。
    あれは本当に骨格標本だったのか。そんな思いを抱いた豊は、今は都内で勤務する哲平に会いに行くことに。
    あの日、俺たちは本当は何を埋めたんだろう。


    横暴な教師へのいたずらのため、骨格標本を隠して埋めた小学生時代の思い出。それから数十年後、目にしたニュースをきっかけにその日の真実を明かそうとするミステリー小説です。
    小学生って、大人からみると本当に子どもに見えるけど、時々大人もハッとするようなことを理解していたりしますよね。

    ミステリーとしての大まかな展開だけを考えると、結末は予想できなくもないのですが、ヒューマンドラマ的な側面が非常に強く、それぞれ夫婦関係、親子関係の悩みや東日本大震災での被災など、停滞し、囚われている不幸で不自由な現実から、事件の調査をきっかけに途絶えていた縁が復活し、苦難を克服して少しずつ前向きに歩きだしていく。事件の根幹や事情は重く、ですがそんな暗い中にも、読後感悪すぎず明るい希望が見えるようなお話でした。

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    2024年04月21日
  • 愚者の毒

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     タイトルの意味、構成内容がとても深く、心をえぐられる日本推理作家協会賞受賞作品でした。
     貧困と犯罪、社会の二極化を扱い、現在パートと過去パートを交互に描く作品は他にもあった気がします。けれども本作は、社会時事を取り込みながら、犯罪ミステリー・社会派寄りのヒューマンドラマとして、絶妙のバランス加減だと感じました。

     「私」という一人称展開で、「私」が誰なのかミスリードに混乱するなど、多くの伏線の張り巡らせ方と回収法も見事ですし、重いけれども先の見えない展開にも引き込まれました。
     3部構成で時代・場所が変遷し、各章題『武蔵野陰影』『筑豊挽歌』『伊豆溟海』も秀逸です。

     宇佐美さんは、貧困と飢餓、そしてそれ以上の絶望を読み手に突き付けます。社会への怒りさえ感じます。人の心に潜む暗い情念、負の側面、心の暗部を巧みに浮き彫りにしながら、読み手を激しく動揺させ、物語へ感情移入させてくれました。

     タイトルでもあり、終末の「愚者の毒」の解釈は人それぞれでしょうが、著者は哀しく弱い立場の者、他から愚かに見える(そうならざるを得なかった)人たちへ救済の光を当てたのだと思います。「愚者の毒」をもってして、"裁き"ではなく"安寧"を与えたのでしょう。

     愚者も毒も二面性があり、賢者と愚者、薬と毒の境界は曖昧です。でも、個人的に愚直な人や行為は好きです。そうなれない自分をさて置き、応援したくなりますもん‥。

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    2024年03月28日
  • 逆転のバラッド

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    新聞記者、風呂屋、骨董屋、元ヤクザ、くたびれたオヤジたちが面白い。

    事件を追いながら、段々と変わっていく新聞記者の弘之、家族の中で何も言えない毎日の中、一発逆転に立ち上がる骨董屋の富夫、読みながら応援したくなる。

    後半は、ドキドキして、途中でやめられませんでした。
    絵手紙もとても良かったし、重さと明るさのバランスが微妙で、読み終えた時は、気持ち良かった!
    満足の一冊です。

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    2024年03月16日
  • 超怖い物件

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    来月公開の映画『変な家』の予告編を劇場で観るたび、怖い、観たい、怖いという思いの繰り返し。原作には手を出せなかったけど、これなら読めそうな気がして。

    書き手はとても魅力的な11人。曰く付きの家だったり部屋だったりが登場します。内藤了の“よろず建物”シリーズ中にあった座敷牢の話が凄く怖くて、以来、座敷牢をイメージさせる物語にビビりまくり。ここにもひとつありました。

    全話読んで思うのは、「出られない家」は恐ろしいということ。当たり前か(笑)。怖くて飲酒しつつテレビで『アメトーク』をつけたまま読んだ最終話は読み直さなければ。(^^;

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    2024年02月02日
  • 展望塔のラプンツェル

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    「ここで生まれ育ったら将来はヤクザになるか職人になるか」とされる地域で虐待され続ける幼い子や、ヤクザの世界に踏み込んでいく少年が、救われる道が見えず暗澹たる気持ちになる。性暴力シーンなど辛くて読むのをやめようかと思ったけど、最後まで読んでよかった。
    でも、結局救えなかった存在が引っかかって切ない。それが現実でもあるということか。

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    2024年01月21日
  • 展望塔のラプンツェル

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    ネタバレ

    親ガチャの一言で片付けられない根深い問題、子どもたちを取り巻く地域ガチャや環境ガチャの負の連鎖に絶句。那希沙たちが置かれた過酷な境遇は読めば読むほど辛い。
    でも、ハレと海と那希沙、子どもたちの問題に取り組む児相の職員の悠一、不妊に悩む落合夫婦、別々に進行するそれぞれの物語はいったいどこで交わるのだろう?という期待に宇佐美さんは今回も見事に応えてくださった。
    「自分の人生を他人にまかせるな」の海の言葉と、新しい明日を生きることを教えてくれるこの作品が現実に苦しむ誰かの“ラプンツェルの髪”になればいいなと願う。

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    2024年01月07日
  • るんびにの子供

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    るんびにの子供

    宇佐美まことさんのデビュー作ということで期待して読んでみたけど期待を裏切らない。
    人間の闇と怪異がうまいこと混ざって醸し出る仄暗い雰囲気
    決して煽らず大袈裟でもなく、静かに淡々と暗いものが周りを包んでいくような感覚でした。大満足の読後感。

    「とびだす絵本」は小さい頃自分が夢見ていたものがそのまま物語になっているようでびっくり。この本の中ではこれだけ異質でホラーよりもファンタジー寄りな気もしましたが私は好きでした。

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    2024年01月22日
  • 骨を弔う

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    骨格標本の頭蓋骨を埋めるという、小学校時代の出来事を大人になってから追います。
    あれは本当に骨格標本だったのか、それとも…

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    2023年10月07日
  • 鳥啼き魚の目は泪

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    滅びゆく者をテーマにした本は何故かそそられる。背景に流れている雰囲気が好きで冒頭から引き込まれた。昭和初期、限られた時代を生きたある華族の哀しみと、異能の作庭師の熱情が静かに呼応する「美しい庭」の物語だった。
    当主である房興は家というものに取り込まれ、個を埋没させている。経済的には恵まれてはいたが、自分らしい豊かな人生を生きてきたわけではなかった。才能ある純朴な新進気鋭の庭師・溝延兵衛に庭園を造ってもらうことになり、彼の生き様や、彼の作品である庭に寄せる思いを聞き、房興と彼の妻・韶子は自分自身を見つめ直す。

    作庭師が雇い主の吉田房興に話す
    「決められた道を行くことは簡単でございます。既にある道を外れることも容易(たやすい)ことでございましよう。難しいのは新しい道を作ることでございます」
    一介の庭師の言葉が侯爵家の房興と彼の妻・韶子の心を揺さぶった!

    タイトルは「行く春や鳥啼き魚の目は泪」という松尾芭蕉の句から採ってあるが、ミステリー要素も散りばめられていて十二分に楽しめた。
    初読みの宇佐美まことさんだったが、他の作品も更に読みたくなった。

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    2023年10月04日
  • 逆転のバラッド

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    最近の宇佐美まことの作品、ニコが読んでいる限りではあるんですが、
    温かいものに変わってきたように思います。
    マジ、いい話。
    本作も数年前に喧伝されてた事件を連想させつつ、地方のドンともいえる
    ワルいヤツをみんなで懲らしめよう的なお話。
    ウン、楽しく読めましたが好みではなかったです。

    でも、以前の作品が好きすぎて、宇佐美まこと、新刊でれば読むだろうなぁ。
    買うことはないけど。

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    2023年09月13日