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Posted by ブクログ 2023年08月05日
「行く春や鳥啼き魚の目は泪」芭蕉
「奥の細道」へと旅立つときに詠んだ句。
昭和八年から九年にかけて華族の吉田家で起こった事件です。
女中のトミが血で汚れたコテを弟分の惣六に「それを誰にも見つからないところに隠すんだよ」と渡す切迫した場面から始まります。
血で汚れたコテは何かの事件の凶器かと思わ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年10月04日
滅びゆく者をテーマにした本は何故かそそられる。背景に流れている雰囲気が好きで冒頭から引き込まれた。昭和初期、限られた時代を生きたある華族の哀しみと、異能の作庭師の熱情が静かに呼応する「美しい庭」の物語だった。
当主である房興は家というものに取り込まれ、個を埋没させている。経済的には恵まれてはいたが、...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年09月09日
『清閒庭(せいけんてい)』は昭和初期に天才庭師・溝延兵衛(みぞのべ ひょうえ)が、時の公爵・吉田房興(よしだ ふさおき)の依頼を受け、池を埋め立てて作り上げた広大な枯山水である。
浜辺に打ち寄せる波の音が聞こえてくる心地がする。
この庭に魅せられたのは現代の建築設計士・高桑透(たかくわ とおる)。
...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月12日
昭和初期、華族である吉田家の庭にある池から白骨死体が見つかった。過去の令嬢の醜聞に関わる噂が飛び交う中、池は埋められ壮大な枯山水の庭が作られることになる。作庭師の溝延兵衛が手がけるその庭の工程が進む中、庭づくりに魅入られた吉田家の当主夫妻は徐々に変化を見せていく。ミステリ的な部分もあるけれど、それだ...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月06日
昭和初期の華族が住む屋敷に日本庭園を作るお話。
ん? 宇佐美さんだよな、と読み始めてから、表紙を確認してしまった。まあ、この作家は文体もテーマも自在に書き分ける方なので、こういう作品があっても不思議はないのだが……。正直驚いた。
冒頭に置かれた短いエピソードからなにかしら怖ろしい事件が起きることはわ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月01日
昭和初期の華族のお屋敷での物語。
華族の暮らしぶりが細やかに描かれており、イメージが膨らんだ。100年やそこらで、時代は完全に様変わりしたのだとつくづく思う。
名家での庭造り、池に絡んだ事件などを軸に展開していくのだけど、ゆるゆるとしたテンポ感がイマイチ合わないのか、途中中だるみしてしまった。
後半...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年11月23日
芭蕉の句のタイトルが目に留まり読んでみました。
戦前の特権階級だった華族の優雅な暮らしぶりとか、淡々とした品のある女中の一人語りが続く。遠い世界の事のようで、あちらこちらと話も的を得ずとめどもない噂話に、寝落ちしてしまい夢見心地でした。100人も女中を抱えていたとか、ただ車のドアを開け閉めするためだ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年10月01日
昭和初期に吉田房興侯爵が、作庭師・溝延兵衛に池を埋めて枯山水を造る依頼をする。
大きな池から白骨が見つかり…
華族のさまざまな事情を知ることとなる。
異能の作庭師の溝延兵衛、彼の造り上げた彼の知る企みと言うべき、空から庭を俯瞰したら土地全体が魚に象られてる…魚は泣いてる。という気づきになんともいえ...続きを読む
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