池内了のレビュー一覧
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明治-昭和初期を生きた物理学者であり随筆家でもある寺田寅彦のエッセイ集。
日常を科学の視点で掬い上げ、文学の温度で伝える。そんな印象の本で、大変感銘を受けた。江戸時代と隣接した時代を生きていたことが、描写の随所で感じとれるが、その内容は不思議と現代に向けた啓蒙のように思える。
夏目漱石とのエピソード、科学と化け物の関係、蓑虫、蜻蛉、蜂などの身近な昆虫の考察、線香花火、湯気、金平糖に関する思索など、どれも繰り返し読みたいと思える内容だった。
天才数学者の岡潔は、数学者には情緒が重要と説いていた。おそらく、科学者にも同様のことが言えるのだろう。 -
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軍事研究と科学者・技術者がどのように関わっていくべきかについて、軍事研究は絶対的にしてはならないとする立場から述べられた本。
研究者・技術者は基本的に人を傷つける研究・技術開発は望んでいないにも関わらずなぜ軍事研究をするのか、その分析や是非について述べられていたり、近年日本において防衛予算を資金源にした研究がいかに増えてきているかを指摘している。特に安全保障研究推進制度やAOARDという制度については今まで知らなかったため、いかにして軍事関係者が科学者を軍事研究に巻き込もうとしているか、その現状を思い知らされた。「研究者版経済的徴兵令」という考えは、個人的に非常に重く受け止められる。
本書が出 -
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日経ビジネス人文庫の歴史シリーズです。
今回は、発明をキーワードにした日本史であり、世界史に引き続き手に取ることにしました。世界史と比較すると、発明品の幅広さが理解できます。縄文土器から始まるため、本当に日本史全体を見ることができると同時に、漆器・納豆・日本酒・着物・歌舞伎など、現在の典型的な日本文化が、どのように生まれ、浸透していったかがよく分かる一冊です。
▼世界に類例がないとして誇れる産物の二種類
①「伝統的未来技術」
日本の長い伝統のなかで培われ、今後も長く生き残ると思われる文物
日本人独特のきめ細かさ、手先の器用さ、自然と密着した国民性が活かされた発明品
②「近代科学の盲点技術 -
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現代日本における「軍学協同」を徹底批判する立場で論陣を張ってきた著者による警世の書。
「デュアルユース」「ミックスユース」を隠れ蓑としながら、防衛予算を使った研究を是認しようとする風潮に対して厳しい問題提起を行っている。とくに第一次・第二次世界大戦における科学者の戦争協力の経緯と、国際社会における戦争違法化に向けた動向とが背馳してきたという指摘は決定的に重要。著者の見立てに従えば、科学者たちは一貫して、国際紛争の解決手段として「戦争」を認めない、という理念を裏切る方向で行為してきたことになる。
また、2015年に導入された防衛装備庁による「安全保障技術推進制度」にもとづく研究の問題点が -
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理工系の学生・研究員・大学教員はぜひとも読んだ方がいい。
研究倫理というと、研究不正に関するものが多いが、本書はタイトルの通り軍事研究に注目したもの。大学院の授業でもこういった話をされることはなかったが、知っておいた方がいい内容が多かった。
偉大な成果を残したハーバーが、率先して毒ガス研究を行っていた話が特に衝撃的だった。
科学者が戦争に協力してきた歴史、軍事研究に携わった科学者が言い逃れする常套句からはじまり、世界的な軍縮の流れ、軍拡路線に走る日本、そして「科学者は軍事研究研究に手を染めるべきではない」という結論に繋がっていく。
終章を読み終え、暗澹たる気持ちになった。
「武力による他 -
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ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる -
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一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対 -
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読書会課題
皆さんは文語体の細かい文字の全集を探したようです
私は岩波少年文庫でラッキー(^_^;)
寺田寅彦に関しては中谷宇吉郎の随筆文で(「茶碗の湯」のことなど)で知りました
入試問題になったり有名らしいですね
夏目漱石関連にも登場して師弟関係がいいですね
最近だと「ミチクサ先生」伊集院静
すてきだなって思います
日常生活のことがらー科学の視点で見直すー原理や法則を導き出すー研究の出発点になる
●身近な科学が親しみやすい●
学校で学ぶ時はたいがい教科書とか実験で入るけど
出かけた先でその事柄を見ながら身近な人が教えてくれたらきっと自分のものになるだろうな
電車の混雑とかこれからだっ -
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購入済み
文系人間にも必要な科学的視点
2021年中学・高校入試での頻出本。私たちの生活は多くの科学技術に囲まれながらも、科学に対してあまりにも無頓着であることに気付かされる。筆者は「お任せ民主主義」と呼び警鐘を鳴らす。難しいことは専門家に任せ、素直に従っていれば間違いないだろうと、自分で考えることをしなくなっている。一人一人が見識や判断力を養い、私情を挟まず議論や分析を行うことこそ、科学的であるという。原子炉やGPS、インターネット、ドローンなど科学技術の多くが軍事兵器開発からの転用というのは残念だが、どう使うかは我々人間にかかっているのだ。