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占い、超能力、怪しい健康食品など、社会にまかり通る疑似科学。そのワナにはまらないためにどうしたらよいか。また地球温暖化問題など、「科学が苦手とする問題」で疑似科学に陥らないためにはどうしたらよいか。さまざまな手口と社会的背景を解き明かし、一人ひとりが自ら考えることの大切さを説く。
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Posted by ブクログ
科学の装いをした何か。それは私たちの心の拠り所であると同時に危険性を孕んでいる。それらを「疑似科学」と名付け、それについてどのようなものがあるのか、なぜ信じてしまうのか、どのような態度で対応するべきなのかを記している。 中々に興味深く面白い点がいくつもあった。 世の中が便利になり、考えることなく...続きを読むさまざまなサービスを受けられる時代になった。それは「お任せ」の精神を育んでいると筆者は言う。信用して「お任せ」すれば、細かなことには煩わされずに済むのが普通になっている。便利な世の中しか知らない、Z世代やα世代は考えることが少なくなっているのは事実そうだと感じる。分からないことがあればすぐ調べ、それは多くの場合信用できるが、信用してよいものかを考えることはどの程度行なっているのか。そして、考えることをしなくなるところに疑似科学が入り込んでくる。 信じる行為のみを行うひとは面倒な考えることを放棄している。知識を詰め込む現代の教育は疑う余地はどの程度あるのか。子どもの頃から考えることを無視されているのかもしれない。「疑う」という行為がいかに大切か、子どもの頃からその機会が与えられていなければならない。 人間は合理性を自然のうちに学ぶのだが、非合理性は矛盾と向き合うことによってのみ会得できるからだ。178 また本書の結びに 「疑似科学と断じる私の方が疑似科学だと言われかねないと覚悟している。」200 とある。疑似科学を論じるからこそ、この言葉がなければ本書は読む価値がある。
科学でない事物をまるで科学であるかのように見せる、いわゆる「疑似科学」を概説した新書。 多岐に渡る得体の知れない疑似科学をざっと分類・体系化し、分かりやすくまとめている。大きくは下記の3種。 第一種 科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの。 占い系、超能力・超科学系、疑似宗教系など...続きを読む。 第二種 科学的装いをしているが実体がないもの。 永久機関、ゲーム脳・スマホ脳、マイナスイオン、健康食品、クラスター水、波動など。 第三種 科学的証明が困難な複雑系で、疑似科学と真正科学のグレーゾーンに位置するもの。 地球温暖化への温室効果ガスの寄与、電磁波公害など。 感想として、情報が氾濫する現代において、人は「科学っぽいもの」を熟慮・検証なしに信じてしまうリスクが高いことを再認識しました。 情報提供側の責任も当然ありますが、とくに環境、健康、美容関係において、一部の企業や専門家から出される情報に、安易な専門用語が濫用され、何となくで鵜呑みにしていることが多いのだと思います。 また、筆者(池内)は、専門家・評論家の意見について、部分的には正しくとも、専門外の範囲が含まれる問題では曖昧になってしまうことを述べています。「評論家の言うことは信用すべきではないと、評論家の池内が言った」という締めの言葉には皮肉も含めたユーモアセンスを感じました。 教育の現場で問題になった「水からの伝言」、そもそも科学用語でもない「マイナスイオン」など、世の中に多くのニセモノが氾濫していることを前提に、見極める目を持ちたいものです。 ただ、一方で現実的な話としては、たとえ効果との因果関係が不明であっても相関関係さえ明確であれば、世の中では受け入れられるという面もあります。 ちなみに、過去、「特許出願済み」が謳われた某商品で、公報を調べると、中身はお粗末でとても特許審査に適う科学技術ではなかったということがありました。今は何でも簡単に調べがつくので、消費者も賢くなって騙されにくいはずと信じたいです。
2008年4月に発行された本です。私が手にしたのは2018年に印刷された第17刷でした。 筆者は疑似科学を3つに分類しています。 第一種疑似科学は、人の欲望や悩みにつけ込み、科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの。 第二種疑似科学は、科学を援用・乱用・誤用・悪用したもので、科学的装いをし...続きを読むていながらその実体がないもの。 第三種疑似科学は、「複雑系」であるがゆえに科学的に証明しづらい問題について、真の原因の所在を曖昧にする言説で、疑似科学と真正科学のグレーゾーンに属するもの。 何事も自分でしっかりと考えて、人の話を鵜呑みにしないことが大切だと思いました。 カール・ポパーは、科学が有するべき要件として「反証可能である」ことが第一、「こうやれば仮説や法則が成立していないと証明できる」方法の提案が必要だ、と主張しているそうです。 まさしく、このことがとても大切だと思いました。
792 今なお存在しているのが「相対性理論は間違っている」とする人 たちである。研究会を組織し(会誌まで発行されている)、アインシュ タインの特殊相対性理論を否定し続ける人たちの集団だ。おそらく 世界中で1000人はいると思われるが、自分たち自身が問違って いる(論理の誤解、計算間違い、思い違いな...続きを読むど)にもかかわらず、飽きず に主張し続けている。 実際には、各社ともマイナスイ オン効果を厳密に実証しておらず、根拠は至って薄弱であった。 イナスイオンという言葉が客の気を惹きつけられることに目を付け て、こぞって売り出したのが真相だろう。事実、マイナスイオン効 果はあっても微々たるものでしかなく、本質的に意味がないことが 判明している"。そのことが科学者によって明らかにされるにつれ マイナスイオンを謳った商品は減少してきたようだ。 例えば、最近宝くじの一億円以上の当選者が五〇〇〇人を突破し たという宣伝があった。ちょっと聞くと、実に多くの人が幸運に恵 まれたと錯覚するから、自分も宝くじを買おうという気になってし まう。しかし、これは戦後六〇年の間の全ての宝くじの当選者数を 足したもので、数だけ聞かされると大きいが、長い期間の積分なの である。その間に恐らく何十億という人が宝くじを買ったであろう ことは省かれている。あるいはまた、人生を一〇〇年と言うか、 万六五〇〇日と言うか、三一億五〇〇〇万秒と言うか、さてどれが 一番短く感じられるだろうか。 実数を比較するだけでは間違うことになる。同じような例で、子ど もを虐待する母親の実数の三分の二は実母で、継母は三分の一しか いなかったというデータを発表し、「実母の方が危険」と書いた新 聞記者がいた。児童相談所に届けのあった数の比がそうであったた めだ。しかし、虐待をしていない母親の数を比べると圧倒的に実母 の方が多い。すると、割合から言えば継母の方が虐待確率は高いの である。実数と割合を区別せず、事実を逆様に報道したのだ。 日本の一年間の自殺者が三万人を越えていて、実に深刻な事態に なっている。しかし、せっぱ詰まった感じを与えないのはなぜなの だろうか。これを、小さな都市の全人口が消えてしまうとか、東大 の全学生がいなくなるとか、東京ドームの観客がすべて死んだとい うふうに表現すれば、その深刻さが少しは実感できるかもしれな い 情報を得るにしても「お任せ」の態度ではないだろうか。テレビや新聞、そして今や インターネットから情報を得ることが多くなっている。しかし、果たしてその情報が正 しいと言えるのだろうか。むろん、私たちは独力ですべての情報を収集して真偽を確か めることができないから、それらのメディアに頼らざるを得ない。であるからこそ、 いっそうメディアの言うことは眉に唾をつけて受け取らねばならないのだ。複数のメ ディアを比較したり、メディアでは報じられない事実を探ったりする努力が必要なので ある。 最近、親の小中学校への見方も変わりつつあると言われる。家庭ですべき躾や日常 生活で獲得すべき知恵も、全て学校で教えることを要求する親が増えているようなの だ。教育の「お任せ」化である。果ては、親の勝手な都合を先生に押し付けて平然とし ているらしい。それでは先生の身体がいくつあっても足りないだろう。事実、家庭から の無理難題に耐えられず心身のバランスを崩す先生が続出している。普通、学校と地域 と家庭が力を合わせて子どもを見守らないと教育効果が上がらないと言われる。しか し、地域は都会化の進行で分断されて機能しなくなり、今や家庭も学校に「お任せ」し てしまう体質になって、学校だけが教育の場になってしまった。それでは学校も悲鳴を あげるしかない。 科学の修練には積み上げが必要であり、それには長い訓練の時間を要する。基礎的な 学習から自立まで、数年間の訓練を経なければならないからだ。ところが、インター ネットによって「瞬間」で世界とつながることに馴れると、時間を使う営みが時代遅れ に見えてしまう。疑いを持ち、考え得るすべての可能性を検討する時間を無駄とみな し、直ちにシロ・クロの決着を明確につける方を高く評価する。そうでなければチャッ トができないこともある。それは疑似科学との相性が良いことを意味している。インタ ーネットが現代科学の粋でありながら、科学の否定ともつながっているのは皮肉なこと である。
胡散臭い、という言葉がそのまま ぴつたり当てはまる 「血液型性格診断」 「水からの伝言」 本当のところは、どうなんだろう 「オゾン層の減少」 「地球温暖化」 いったいどうしていくことが 「地震の予知」 「遺伝子組み換え作物」 あれやこれやを 科学的な見地から きちんと検証し、考証していく 一冊 で...続きを読むも、最後には じゃあ、どう考えるかはあなたが 決断すること 当たり前のことですが 自分の足で歩き 自分の目で見て 自分の耳で聞いて 自分の頭で考える そのことの 大切さを 改めて再認識させてもらえました
娘の高校入学前の課題図書 せっかくなんで、読んでみた。 娘は何を信じればよいか、疑い深くなったとの感想。 p67 ホーソン実験の延長で、社長の命令で成績アップみたいなのも、命令すれば成功するみたいに、ワンマン社長に起こりやすいとあり、あらま、それはそうかもと。社長に限らず、オーダーしてお仕舞い、...続きを読むという勘違いは、根強く蔓延るのだなあと。
「血液型は何型?へえ、B型なんだ。でもそうだと思った、だって変わってるもんね」ありふれた会話だけれど、血液型と性格の関係は科学的に証明されたものではない。そして、このような疑似科学は世の中に多くはびこっている。個人レベルでの娯楽としてなら特に問題はないかも知れないけれど、疑似科学には明白な危険もある...続きを読む。でもなぜ巷には疑似科学があふれているのだろう。そして、疑似科学にはまらないためにはどうしたらよいのか。本書は、天文学の専門家である著者がこれらの点について解説した本だ。 疑似科学や似非科学についての警鐘を鳴らしている本としてはカール・セーガンによる『悪霊にさいなまれる世界』が有名だろう(そう言えばセーガンも天文学が専門だ)。本書もその類書なのだが、疑似科学の中に「現在の科学では明白な結論を打ち出せない問題についての議論」を含めている点に特徴がある。例えば、地震予知や地球温暖化にかんする因果関係を明らかにすることは現在の科学ではとても難しい。それは地震や地球環境が複雑系と言われる系に属しているからだ。このような問題に対して、異なる立場から都合の良い主張を繰り返すことを著者は「第三種疑似科学」と呼んでいる。 著者は疑似科学を三つに分類している。「第一種疑似科学」は占いや超能力などの「科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの」である(v頁)。「第二種疑似科学」はゲーム脳や健康食品などの「科学的装いをしていながらその実態がないもの」を指す(v頁)。 これらの疑似科学には大きな特徴がある。それは、広く言えば、社会に悪影響を与えているということである。世の中に疑似科学があふれることで、科学と疑似科学の区別が付かなくなって人々が社会の諸々の問題に正しい判断を下せなくなってしまうかもしれない、と著者は懸念する(22頁)。 人々が広く疑似科学(特に第一種と第二種)を受け入れてしまう要因の一つとして著者は、世の中がどんどん便利になる中で、人々が物事をなんでも「お任せ」で済ませようとする風潮を挙げている。自分の頭で考えずに、テレビで言っていたから、という理由でなんの批判もなく話を受け入れてしまう。思い当たる節があるのではないだろうか。疑似科学が世の中からなくなることは無いだろうと悲観的に予測しながらも、疑似科学の蔓延を防ぐために小さい頃から懐疑精神を育てることが大事であると著者は主張する(178頁)。 本書は疑似科学を論じているが、一人ひとりが自分の頭で考えることがいかに大切なのかについて、本書を読むと改めて気づかされる。その意味で、疑似科学に特に興味を持っていない人にも読んでもらいたい良書である。疑似科学の内容については、第三種疑似科学が本当に疑似科学と言えるのかどうか、少ししっくりこないところもある(著者自身もあとがきで述べているけれど)。しかし、その点も含めて自分の頭でよく考えてみるべきということなのだろう。
疑似科学を題材に、何かにすがりたい人間の性質や、考える力の大事さに気づかせてくれる。手っ取り早く解決したことにせず、正しく疑い、考えるのを放棄しないのが大事。
考えずに、盲信する怖さ。 手軽に分かった気になる怖さ。 人間の本質的な弱さをついてくる疑似科学。 8年近く前に出た本ではあるが、この本で、我々読者に向けて発せられていることと言うのは、科学に限らず、あらゆる事象について盲信、無思考無批判での受け入れをしがちな人間に対する警告であり、(そういうところ...続きを読むが人間の本質的な要素でもあるのだが)今読んでも、ためになる話は多い。 取り返しのつかないことになる前に、正しく疑う心・視点を持つことが重要であろうと、今一度リマインドさせてくれる、科学論と言うよりは、科学のアプローチからの現代人論である一冊であった。
2008年に書かれた本だが、「例えば、原発の敷地が安全な地盤であると判断しても、隠れている活断層があったり、想定以上の地震による揺れが起こったりすると、リスク評価の結果は破綻する。-中略ーリスク評価が破綻したときに使われる常套句は『想定外』である」(p169)というくだりを読んで「池内さんは予言者で...続きを読むすか」と思った私は疑似科学脳かも。 疑似科学の手法の解説は、割と基本的で目新しいことはあまりない。が、「人任せにして責任転嫁してきた結果、劇場型民主主義に陥っている」「何事も鵜呑みにせず、自分でよく情報収集して考える」「予防措置的に考える」などの提言は、心に留め置いていきたいと思う。
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