池内了のレビュー一覧
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科学という言葉は一種の仮定である。だから「科学的」と誰かが言ったところでそれが何を意味するのかということは本当のところわからない。
この本で疑似科学と分類されている物は、宗教や占いといったもの、あるいは化学物質の名前が出てきてその効用がうたわれてる、しかしその科学的根拠があいまいなもの。あるいは極端な曲解を起こす様に科学的説明を用いている物である。
そういうのは世の中に溢れかえっている。特に商品やサービスを売る「広告」というものにはその広告の規模を問わず疑似科学的なものがまじっている割合は結構高い。
もちろん科学そのものが万能ではない。しかし騙されて後悔しないためには一定の科学的見方とい -
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ネタバレ<目次>
タイトルの30は、縄文土器・漆器・納豆・日本酒・城・かな文字・畳・和紙・着物・扇・日本刀・醤油・忍者・茶道・歌舞伎・浮世絵・握り寿司・ソメイヨシノ・俳句・乾電池・養殖真珠・八木アンテナ・胃カメラ・インスタントラーメン・新幹線・クオーツ時計・光ファイバー・自動改札機・カラオケ・青色発光ダイオード
<内容>
雑多な日本初の発明を、歴史的に追っていく。縄文土器や歌舞伎、浮世絵などのように完全に歴史的なものから、胃カメラ・光ファイバーのように、技術史的なものまで、一つ8~12ページほどでコンパクトにまとめてくれてある。日本史の授業の、文化や経済の所で、簡単に説明するのに役立つ。 -
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疑似科学を3種類に分けて、それにまつわる問題について考察している本です。
「第一種疑似科学」とは、人間の心理や欲望につけ込むもので、占い系、超能力やスピリチュアル、疑似宗教などが含まれます。「第二種疑似科学」は、科学を乱用・誤用・悪用したもので、「ゲーム脳」やマイナス・イオン、さらに統計の処理に誤りのあるものなどを指します。著者は、これらの疑似科学を信じてしまう心理などを明らかにしています。
これに加えて本書では、地球環境問題や地震予知など、まだ理論や手法が確立しておらずデータの集積も十分でない分野で一面的な断定を下すような言説を、「第三種疑似科学」としています。その上で、こうした問題への -
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ネタバレ現代は疑似科学のまさに百花繚乱の時代であり、知らないうちに私たちの生活に浸透してきている。その罠にはまらないためにできることはないか。どうすべきか。を論じています。
疑似科学というと、ゲーム脳や水伝(水からの伝言)などを連想するのですが、端から見ていると「こんなの引っかからねーよ」とは思うものの、いざ自分がこれまでにはないタイプのものに直面したとき、正常な判断を下せるか、というのがとても不安ではありました。常々思ってるのですが、テレビの情報やネットの情報はそのまま信用せず、まずは疑うことである、と再認識しました。
ただ、「おみくじや占いなど罪がないもの」とはしているものの、程度は同あれ、こ -
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2014/11/01
神話的宇宙像から物理学的宇宙像へと、我々は2000年もの間、宇宙の認識論を展開してきた。本書は物理学者の立場から、その認識論の歴史を辿るエッセイ的内容である。
短い新書の中で、多数の内容を盛り込んでくれている。一つ一つを、とても理解することはできないが、タイトルにあるように、神は何処に居るのか、神は何を為すのかを軸として時空を越えた神探しの旅を追体験できるというのが、本書の魅力だろう。
以下、部分的抜粋を載せる
ニュートンの重力理論では、近代科学の方法は、現象の記述を完成させることを目的としており、現象の原因を明らかにすることではない、という記述が出てきた。
またブル -
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この本は2年前に出たのですが、現代の科学に共通する問題を多く説明しています。STAP細胞以前の出版ですが、章ごとにその問題について考えさせられました。科学の中身については私は素人でわかりません。STAP細胞にしても、原子力についても、人文系の人間は、胡散臭さを感じても、中身を踏まえた批判ができません。
いや、この著者がSTAP細胞についてどう考えているかなと思ったら、今日、みすず書房のPublisher's Review28が届き、巻頭のコラムに著者の批評がありました。本体『科学・技術と現代社会』、おもしろそうな本だけど、かなり値段が高い。 -
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人間がいかに宇宙を認識してきたか、神の居場所に絡めての宇宙認識の歴史。はじめは神話の世界からはじまり古代、中世を経て近代・現代の宇宙論までがコンパクトにまとめられている。望遠鏡が使われるようになってからの記述が多くなるが、科学的発見が多くなり、どんどん宇宙の見方が変わっていくのがおもしろい。もっともビッグバン以降はとても常識を越えているので理解度は相変わらずだが、平易に書かれていてわかりやすい。
池内先生の後書きがまるで遺言のように感じるのは私だけだろうか。中日新聞で夕刊コラムも書かれているが、写真を見るとかなりお年に見えるのでちょっと寂しい気がした。 -
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古代の東西の宇宙観から最先端の宇宙論の歴史を振り返りながら、絶対神に肉薄してきたと思われながら、神が地上の神から、無窮の宇宙の神として遠ざかるように見えて大きな存在になっていくことを感じさせる。意外にも神話の宇宙観に今先祖がえりしているかも知れないと著者は主張しているようだ。ベルギーの司祭・物理学者ルメートルが1927年にビッグバンをなぞる宇宙卵説を唱えた!驚きであり、キリスト教会の開放性を感じる喜ばしい話。著者は神を信じていない?と思われるが、謙遜な思いで神の存在を容認している?のだろうか。神を追い詰めているように見えて、神の掌から逃げられないことを科学者は知っており、一番神を意識しているか
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3.11福島原発事故を受けて、科学をどうとらえるか。科学者のあるべき姿とは。そして市民は科学とどのように向き合うべきか。さまざまな限界を超え未来に希望の持てる「等身大の科学」を筆者は主張する。
「科学」と真正面から向き合い、真剣に「科学」のあり方を考える時間をつくることができた。科学至上主義に対する批判や「地上資源文明」への志向など、共感できる点も多かった。
文系の自分にとっては、自然科学の原理原則についての記述も、新しいことばかりで知的刺激を受けた。
原発事故を受けて、私たちがエネルギー転換の分岐点に立たされていることは明白だ。利益優先や倫理観無視の「成長」ではなく、人間が自然とどう向き