池内了のレビュー一覧
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学問の自由は私たちの生活とも関係している。学問をすることが自由なのもあるが、学問はそれ自体国の権力から自由で独立したものでなくては、また再び、戦争に使われる可能性がある。過去の過ちを繰り返さないという学者の決意から生まれた学術会議の経緯を知っていれば、今回の件は学者集団にとって、赤信号であるとともに、私たちの身にも危険が近づいていることを示している。
さまざまな学会から声明が出され、報道を賑わせたが、最近また忘れられそうになっている気がしてならない。しかし、このことは決して忘れてはならない。
個人的には内田樹さんの部分が、自分が薄々感じていたことをはっきりと明文化して提示されたようで戦慄が走っ -
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大好きな本です。岩波少年文庫の一冊ですが、私の愛読書のひとつです。科学が身近なもので、科学的なものの見方を易しく語るように紡ぐ、寺田寅彦氏の文章は俊逸です。
目の前の湯呑茶碗から上がる湯気の話が、気候や自然現象へと導く『茶碗の湯』。「天災は忘れたころにやってくる」は寺田氏の言葉だといわれているらしいが、その由来とも思われる『津波と人間』は、災害国家・日本に忘れてはならない警鐘の一文です。
特に大好きなのは、『夏目漱石先生の追憶』です。漱石がまだ教師だったころの生徒として出会った寺田氏が、漱石との思い出を綴ります。
夏目漱石という人の人柄が偲ばれる作品ですが、なにより文人・夏目漱石と科学者・寺田 -
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ネタバレ虐待する母親の例
虐待する母親の実数の3分の2は実母で、継母は1しかいなかった。→実母のほうが危険
と書いた新聞記者がいた。※児相の数の比を参考
しかし、虐待してない母親の数を比べると圧倒的に実母のほうが多い。すると割合から言えば継母の方が虐待確率は高い。実数と割合を区別せず、事実を逆様に報道した。
こういった数字のマジックにひっかかってることは多々あるな、と反省させられた。
ひとつひとつの項目で具体例をだしてくれているのでとても納得しながら読み進められた。
正論につぐ正論が清々しいくらいだった。
科学という厳しい世界に身をおかれる筆者だからこその説得力である。 -
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ネタバレ「疑似科学の社会学」としたかったとあるが、可笑しい。
博士が更新がなく、社会的地位が低く,報酬が少ないことが、
似非科学にかならずといっていいほど博士の裏書きがあることを説明すれば、社会学を名乗ってもいいかもしれない。
経済的な効果と頭の中の論理だけで成り立っているようなので、
社会学はない。
お金の話なら、似非科学の経済学が妥当かも。
「疑似科学入門」は、疑似科学を操れるようになる人を増やしそうで心配。
多くの疑似科学信奉者は、この本に書いてあるような分類は気にしていない。
気にするようになれば、ますます増長しないだろうか。
人の言ったことを信用するかどうかという水準で議論していると -
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読んでいたら「自由学園」のことが出てきてびっくり!
同窓の友人M君から自由学園学術叢書第一を贈られたのでさっそく読んでみた。この小冊子には霜柱の研究と布の保温の研究とが収められていて、研究者は自然科学グループという名前であったが、内容を見ると5、6人の学園のお嬢さんの共同研究であることが分かった。
初めの霜柱の研究というのをなにげなく4、5ページ読んでいくうちに、私はこれはひょっとしたら大変なものかも知れないという気がしたのでゆっくり注意しながら先へ読み進んでいった。(略)これはまことに(略)、広く天下に紹介すべき貴重な文献であるということが、読み終わって確信されたのである。
この研究を読ん -
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いや~、面白かった!!! 一読後の KiKi の最初の想いは「しまった~! どうしてこの本を子供のうちに読んでおかなかったんだろう!!!」というものでした。
電車の混雑には法則があるのか? 虫たちはいったい何を考えているのか? 日常生活の身近なことがらを細やかに観察しながら、科学的に考えることのおもしろさを書きつづった、明治うまれの物理学者による随筆。 (中学以上)
これ(↑)が背表紙に記載されている岩波書店さんのいわゆるこの本の紹介文なんですけど、中学時代の KiKi は「岩波少年文庫は小学生が読むもの」と勝手に決めてかかっていたようなところがあって、かといって随筆とかエッセイ -
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軍事研究と科学者・技術者がどのように関わっていくべきかについて、軍事研究は絶対的にしてはならないとする立場から述べられた本。
研究者・技術者は基本的に人を傷つける研究・技術開発は望んでいないにも関わらずなぜ軍事研究をするのか、その分析や是非について述べられていたり、近年日本において防衛予算を資金源にした研究がいかに増えてきているかを指摘している。特に安全保障研究推進制度やAOARDという制度については今まで知らなかったため、いかにして軍事関係者が科学者を軍事研究に巻き込もうとしているか、その現状を思い知らされた。「研究者版経済的徴兵令」という考えは、個人的に非常に重く受け止められる。
本書が出