池内了のレビュー一覧

  • 科学の限界

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    科学者は追試実験を好まない。先を越された実験を繰り返すよりその結果を受け入れて次のステップに進むほうが効率的だから
    科学の商業化の風潮が強まるにつれて科学者が社会に迎合する方向になびいている
    商業化という社会の制限が入ると費用対効果を指標にしてある一つの方式に固定されてしまう。科学の多様性が取捨されてしまう
    科学に内在する法則によって物質の質量や密度は限られた範囲しか存在できない。下は不確定性原理、上はブラックホール条件
    事前確率は模擬実験にすぎず信頼できるかどうか不明
    事後確率は原因の分析がなくそのまま未来まで適用できるか不明

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    2016年07月24日
  • 科学者と戦争

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    日本の大学でも軍学共同が進んでいるという。
    ここ数年の内閣の政策もあって、大学の研究費は減るばかり。特に基礎研究は言わずもがなで、潤沢な資金を持つ軍(防衛省等)からすれば、研究者を引き込むのは容易いことらしい。
    危ないよなぁ。
    研究者の倫理観が問われるわけだけど、研究成果が何をもたらすかを想像し、そこまで責任があるとするのは厳しすぎる。やっぱり使う側にもっと自覚が必要なんじゃないかな。

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    2016年07月21日
  • 科学者と戦争

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    文科省ではなく、防衛省が大学の研究費の多くを占める日が来るのだろうか? そういうことが起こり得るということを、軍事研究に反対という立場から丁寧に解説されている。大変面白かった。筆者によると、研究というものは、そもそも研究者自身の興味関心で行われるべきものであり、上からあれをやれこれをやれと言われたところで、研究者は虚しくなるのではないかという指摘を行う。国家による科学への介入は、科学そのものを破壊していくことになるだろう。研究費がないから軍事研究に手を出す、という研究者自身の信念の一貫性のなさが、自分自身の首を絞めることになる。

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    2016年07月16日
  • 疑似科学入門

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    「血液型は何型?へえ、B型なんだ。でもそうだと思った、だって変わってるもんね」ありふれた会話だけれど、血液型と性格の関係は科学的に証明されたものではない。そして、このような疑似科学は世の中に多くはびこっている。個人レベルでの娯楽としてなら特に問題はないかも知れないけれど、疑似科学には明白な危険もある。でもなぜ巷には疑似科学があふれているのだろう。そして、疑似科学にはまらないためにはどうしたらよいのか。本書は、天文学の専門家である著者がこれらの点について解説した本だ。

    疑似科学や似非科学についての警鐘を鳴らしている本としてはカール・セーガンによる『悪霊にさいなまれる世界』が有名だろう(そう言え

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    2016年06月23日
  • 疑似科学入門

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    疑似科学を題材に、何かにすがりたい人間の性質や、考える力の大事さに気づかせてくれる。手っ取り早く解決したことにせず、正しく疑い、考えるのを放棄しないのが大事。

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    2016年04月16日
  • 科学と科学者のはなし 寺田寅彦エッセイ集

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    保坂和志さんの本に紹介されていて読んだ。物理学者寺田寅彦の随筆。夏目漱石との出会い。「吾輩は猫である」に登場する水島寒月君は寅彦をモデルとしているそうだ。
    「落ちざまに虻を伏せたる椿かな」(漱石の句)
    身近なことから何故を考える。その中に優しさを感じる。「解かれた象」が印象的だった。

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    2016年01月24日
  • 疑似科学入門

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    考えずに、盲信する怖さ。
    手軽に分かった気になる怖さ。
    人間の本質的な弱さをついてくる疑似科学。

    8年近く前に出た本ではあるが、この本で、我々読者に向けて発せられていることと言うのは、科学に限らず、あらゆる事象について盲信、無思考無批判での受け入れをしがちな人間に対する警告であり、(そういうところが人間の本質的な要素でもあるのだが)今読んでも、ためになる話は多い。

    取り返しのつかないことになる前に、正しく疑う心・視点を持つことが重要であろうと、今一度リマインドさせてくれる、科学論と言うよりは、科学のアプローチからの現代人論である一冊であった。

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    2016年01月13日
  • 雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集

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    どこまでもおだやかな物理おじさんのエッセイ。すとんと腹に落ち、さり気なく興味をもたされます。立春に卵が立つ話なんか、読んだらやらずにはいられない。
    似非科学が簡単に蔓延してしまうことへの苦言なんかも、本心はどうあれ、文章に書くならこの穏やかさを持ちたいものです。

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    2015年12月21日
  • 宇宙入門 138億年を読む

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    1997年に大修館書店から出版された「宇宙は卵から生まれた」の内容を改定し追記された一冊。タイトルから宇宙について解説しているのかと思われるが宇宙をはじめ身近な自然現象を解説した本だった。難しい専門用語は含まれず楽しめる本だと思う。

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    2015年04月21日
  • 疑似科学入門

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    2008年に書かれた本だが、「例えば、原発の敷地が安全な地盤であると判断しても、隠れている活断層があったり、想定以上の地震による揺れが起こったりすると、リスク評価の結果は破綻する。-中略ーリスク評価が破綻したときに使われる常套句は『想定外』である」(p169)というくだりを読んで「池内さんは予言者ですか」と思った私は疑似科学脳かも。

    疑似科学の手法の解説は、割と基本的で目新しいことはあまりない。が、「人任せにして責任転嫁してきた結果、劇場型民主主義に陥っている」「何事も鵜呑みにせず、自分でよく情報収集して考える」「予防措置的に考える」などの提言は、心に留め置いていきたいと思う。

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    2014年07月04日
  • 科学の限界

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    科学に関する考察が素晴らしい.原子力ムラの問題点を的確に洗い出しているが、出てきた問題点を解決するための方策についてはまだ不十分な感じだ.だた最後の章での「文化としての科学」や「等身大の科学」は共感できる部分が多く、著者の科学に対する深い理解力の一端を垣間見た感じだ.

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    2014年04月20日
  • 宇宙論と神

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    古代から現代に至るまでの宇宙像の解明の歴史を物語風に著す。未だ解明されない宇宙像に神の存在を重ね合わせるロマンに満ちた書。

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    2014年03月09日
  • 疑似科学入門

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    池内 了(いけうち さとる)2008年の書。
    ありふれる疑似科学について、三種に分類して、科学とそうでないものにについて分かりやすく解説。
    第一種類疑似科学:占い、超能力・超科学、疑似宗教など、科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの。
    第二種類疑似科学:科学を援用・乱用・誤用・悪用したもので科学的装いをしていながらその実態がないもの。「ゲーム脳」「マイナスイオン」や迷信の類い。
    第三種類疑似科学:「複雑系」であるがゆえに、科学的にはっきりと結論の下せない問題について結論が在るかのように思わせるもの。環境問題など。

    まtあ、こういった疑似科学に惑わされないようにどういった心構えで科学

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    2014年02月20日
  • 疑似科学入門

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    世にオカルト批判の書物は多いけれど、本書のように疑似科学の範疇として「複雑系」の問題を取り上げたものはあまりないのではないか?本書では「不都合な真実」も「環境問題はウソである」も公平に取り上げている印象を受ける。一つ一つの事柄は正しい・正しくないと判断できるのであって、どちらか一方の意見を妄信して他を無条件に退ける態度こそ「疑似科学」である、というわけで、視聴者の心に忍び込んでくるスピリチュアリストも、何でもかんでも温暖化のせいにする古舘伊知郎も等しく疑似科学である、という認識はきわめてまっとうだと思う。

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    2013年12月23日
  • 疑似科学入門

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    疑似科学を通して科学的方法について論じるような内容になっている。「入門」が付いているのは、全体を概観したものだからのようだ。

    第1章では、第一種疑似科学として占い、超能力、疑似宗教を取り上げる。これらの背景にある人間の認知に関するエラーやバイアスを説明している部分はわかりやすく整理されている。その上で、「疑似科学は関連性の錯誤を期待して網を張っていると言える」とまとめているのは腑に落ちる。

    第2章では、第二種疑似科学として科学の悪用・乱用を取り上げ、アルカリイオン水などの水ビジネス、磁気ネックレスなどの磁力、ゲルマニウム、ホメオパシー、マイナスイオン、アガリスクなどをやり玉にあげている。手

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    2018年10月31日
  • 科学の限界

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    専門的な箇所は飛ばし読みだったんですが^^;
    非常に興味深く読めました、特に第3章の社会が生み出す科学の限界。
    日本とドイツの電子顕微鏡の件なんてまさに日本メーカーのドツボにも思えてくるし・・・。
    原子力ムラの問題も。

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    2012年12月07日
  • 知識ゼロからの科学史入門

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    科学と一口に言っても幅広いので、苦手分野も含め概観出来て良い構成。
    それにしても、黎明期の偉人達は守備範囲が広い。現代はより細分化されているが、ITの発達が異なる分野間の相互作用を補えば、科学にはまだまだ発展の余地があるのだと思いたい。

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    2012年11月04日
  • 科学と人間の不協和音

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    科学と現代社会の危うい関係について、「産業」「軍事」「宗教」などの観点から考察している本。著者自身も一流の物理学者であり、一種の自己批判として書かれているだけに迫力がある。また、疑似科学(エセ科学)と長年戦ってきている人だけに、「科学が世間からどのように見られているか」についての嗅覚は非常に鋭いと感じる。
    まあ、私はすでに産業界に取り込まれた側の人間なので(笑)、半分は他人事といった感じで読んだのであるが、科学技術史を丹念に紐解きながら論を進める姿勢には好感をもった。あと、私が昔から抱いていた「科学者や技術者の最大のメリットは徴兵免除である」という直観は、歴史的にも完璧に正しかったことが分かっ

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    2012年10月28日
  • 雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集

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    中谷宇吉郎・雪の科学館に行って来ました。
    この本が面白かったので
    ぜひ行ってみたかったのです。

    本の中では、
    実験室の様子や茶碗の湯の話が
    今でも印象深いです。

    ここに来て,スライドショーで、
    映像と一緒に中谷先生の事を学びましたが、
    本の中の先生のほうが生き生きしていた様な感じがします。

    しかし、百聞は一見に如かず
    雪のことを学ぶには、
    展示や実験が、ばっちりでした。

    喫茶室で
    湖を眺めながら、人口の霧を眺めながら
    頂くコーヒーは、素晴らしいだろうなー。

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    2012年08月31日
  • 科学と人間の不協和音

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    科学と人間との関わりについて、
    震災による原発事故をきっかけとして、科学と人間との不協和音が最高潮に達した、という切り口で、西洋文明史おける科学者論、日本の科学技術論、人間の欲望と科学の共犯関係、科学の神格化、産学官共同体、等を論じている。
    科学者は為政者達に利用されてきた被害者ではなく、業績のためにそれを利用してきたとして、マンハッタン計画への関与を批判。万世一系の神の国の詭弁、そして原発安全神話の崩壊。
    研究費獲得に奔走せざるを得ない現代の科学者への同情を禁じ得ないものの、産官への無節操な迎合は厳に慎むべきものだろう。

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    2012年05月02日