池内了のレビュー一覧
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ネタバレ疑似科学、すなわちエセ科学。
著者は大きく3種類に分類している。
・占いなど、思い込みなどなどでどうにも変ってしまうもの
・健康食品など「いかにも」な感じを出しているもの
・正直よくわからないんだけど「○○現象だ」と言われて納得してしまっているもの
共通して述べられているのが、なんとなく納得した気になって深く追及することを避けてしまう風潮への警告。
自分自身がそのような傾向があるだけに、ぎくっとした。
自分一人に害がなければよいと思ってしまうところもあるけど、とくに環境問題などでは各人が「まあいっか」と思っていることが世の中の動きになってしまうことだってある。
対策としては、うのみにしな -
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ネタバレ原発事故に代表される、科学万能信仰の危うさはなぜ生まれるのか。
科学者も普通の人間であるはずなのに、なぜ科学は暴走するのか。
それが知りたくて手に取った。
現代の科学が置かれている状況は理想郷ではない。
「科学者が頭の中に常に思い描いていることは、いかに世界最初の発見をするかであり、もう一つは研究費をいかに調達するかである。」
という一文が示しているのがすべてだろう。
そのプレッシャーの中で科学は人間と乖離していくのだ。
大学さえもが収支を勘定に入れることを要求されている現在、そこにモラルが入り込む余地はあまり用意されていないと考えられる。
日本の科学者の数は80万人とも言われ、小学校 -
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科学の限界。科学が科学に内在する自律した論理だけでなく、科学以外の論理や条件によって制限を受けることとして、この言葉が使われている。科学以外の論理や条件とは何か。代表的なのが、大学経営に経済論理が持ち込まれたことが挙げられる。法人化による予算の減少から、必然的に競争的資金という概念が生まれ、科学は近視眼的な実用の分野にしか重きをおかれなくなってしまった。このことに対して著者は強く競輪をならしている。「世界初」の発見、潤沢な研究費をいかに調達するか。科学者はいつもこのことから頭から離れない。加えて、スポンサーとなっている国や企業に対して、消極的な行動は取りにくくなってしまうという現状。科学と人間
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東日本大震災とそれに伴う原発問題を経て、科学と人間(社会)が今後改めてどのように向き合っていくべきかを考えた本書。読み進めていくと、何とか主義 (例えば懐古主義)とか、何とか論(例えば生物機械論)とか何とかかんとか(例えばポストモダニズム、サイエンス・ウォーズ)といった専門用語が少し度を越して見受けられるため、またそうしたものに対して十分とも言える説明がないと感じる部分も多々あるため、文章に少し浮ついた印象を受ける。
全編を通して一貫しているのは、「科学と社会はお互いもっとしっかりと向き合って対話をしていかなければならない」という論調である。そのあたりの対話が欠けているからこそのあの原発事故で -
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この本の大元のエッセイを書かれた中谷宇吉郎博士って、以前 KiKi が同じく岩波少年文庫で読んで「しまったぁ~!! この本はもっと早く読んでおきたかったぁ!!!!」と後悔(?)した「科学と科学者のはなし」の寺田寅彦さんのお弟子さんだったんですねぇ。 最初に「あとがき」から読んで、その一事をもってして俄然この本に興味を持った KiKi。 ついでに言うと、この本の後には「千夜千冊」の「雪」が待ち構えているわけですから、かなりの期待感で胸を膨らませながら、読み進めていきました。
が・・・・・・・・
正直なところ、中谷宇吉郎さんの文章には寺田寅彦さんの文章ほどには興味も感銘も受けなかったこと