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Posted by ブクログ
明治生まれの物理学者による随筆集。科学者の目で自然や社会現象を見ている姿は面白い。金平糖ってなんで角を出して生長するんだろう。蓑虫はどんな心持ちで生きているんだろう。そんなふうに、ほんの小さな事象に目を留めて、立ち止まって考える。実験もする。するとそこから、自然の神秘が感じられる。もっと身近なことに目と心を開いていたいな、と思えた。
「たとえ一本の草、一塊の石でも細かに観察し研究すれば、数限りもない知識の泉になるというのです。」p25
こわいものがあることの幸福や、頭が悪いことの必要など、自分の価値観が揺さぶられる言葉もあって、読んでよかったと思った。
「宇宙は永久に怪異に充ちている。あらゆる科学の書物は百鬼夜行絵巻物である。それをひもといて、その怪異に戦慄する心持ちがなくなれば、もう科学は死んでしまうのである。」p129
「自然は書卓の前で手を束ねて空中に画を描いている人からは逃げ出して、自然のまんなかへ赤裸で飛びこんでくる人にのみ、その神秘の扉を開いて見せるからである。」p201
Posted by ブクログ
中谷宇吉郎の『雪は天からの手紙』を読んだので積読していたこちらも。
明治生まれの物理学者・寺田寅彦による随筆を、天文学者の池内了が編集したもの。
茶わんの湯気や昆虫の思考、金平糖のトゲトゲから植物の不思議な構造、満員電車、妖怪、災害…などなど、身近にわんさか転がってる科学のタネがどんどん出てきます。
自分、こんなに観察しがいのある物に囲まれていたんだなと再認識。
夏目漱石との関わりも深く、漱石作品の登場人物のモデルにもなっているそう。
中でも「線香花火」は好きなエピソード。火をつけてからどんどん姿を変える線香花火は魅力的だし身近だし、研究するのにお金もかからない。寺田寅彦はいろんな人に「線香花火の研究やりなよ!」とオススメするのですが誰もやらない…ちょっとなんでなん!的な、若干スネている文面にニヤニヤ。
ここで『雪は天からの手紙』を思い出し「線香花火」を読んでみると(誰も研究をやらないので)「自分のところでやらねばならぬと寺田先生が癇癪を起こされた」とあって笑ってしまいました。
Posted by ブクログ
大好きな本です。岩波少年文庫の一冊ですが、私の愛読書のひとつです。科学が身近なもので、科学的なものの見方を易しく語るように紡ぐ、寺田寅彦氏の文章は俊逸です。
目の前の湯呑茶碗から上がる湯気の話が、気候や自然現象へと導く『茶碗の湯』。「天災は忘れたころにやってくる」は寺田氏の言葉だといわれているらしいが、その由来とも思われる『津波と人間』は、災害国家・日本に忘れてはならない警鐘の一文です。
特に大好きなのは、『夏目漱石先生の追憶』です。漱石がまだ教師だったころの生徒として出会った寺田氏が、漱石との思い出を綴ります。
夏目漱石という人の人柄が偲ばれる作品ですが、なにより文人・夏目漱石と科学者・寺田寅彦の教師と生徒の関係が生涯に及び、そこにあるほのぼのとした関係に、毎度、目尻に涙が浮かびちょっと優しい気持ちにさせてくれます。
そして、この本を読むたびにこんな随筆が書けたら・・と思うのです。
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