あらすじ
かつて神の存在証明を果たそうとした自然科学は、その発展とともに神の不在を導き出した……というのは、本当だろうか? 現代物理学の描く世界からは、宇宙に最初の一撃を与え、サイコロ遊びに興じる至高の存在はいまだ消え去っていないのではないか? 古代ギリシアから近代科学の黎明、そして量子力学まで、「神という難問」に対峙し翻弄される科学の歴史を、名手が軽妙かつ深く語り切る。唯一無二のサイエンス・ヒストリー!
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Posted by ブクログ
ひとつの学問が興り現代まで磨き上げられていく歴史の中で、神の概念がどう生まれどう捉えられどう利用されてきたか、という本。
あとがきの狙い通り、物理学は門外漢の自分にもとっつきやすい話の流れになっていて興味深く読めた。
特に6章の「人間原理の宇宙論」のあたりは、NHK子ども科学電話相談・長田美絵先生の名回答「ひとは星のかけらでできている(要約)」にロマンを感じたタイプにはとても面白かった。
Posted by ブクログ
物理学が神との闘いであったことを、無神論者であると自称する著者がここまで熱心に主張することに非常に興味を感じた。アインシュタインが定常宇宙を主張した誤りが宇宙の永遠性を主張することから来たと言いながら、ホイルが揶揄するために使った用語である「ビッグバン」の理論が逆に聖書の記載通りであることを証明してしまったということは、無神論者でも興味深かったのだと思う。最初にトマス・アクィナスが聖書を字句通りに解釈することから解き放つことにより、アリストテレスの天動説から教会を自由にしたにもかかわらず、ガリレイ時代の教会はそれを忘れていた!という皮肉も面白い。そして教会の中から神に一番近いコペルニクスが地動説を唱えた。それは神が造った宇宙は複雑であるはずがないとの信念から導きだされたそうだ。無限の恒星が輝いているはずの夜がなぜ暗いのかという謎の解明までが登場し、非常に楽しい読み物でもあった。