長岡弘樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ風間と十崎の最初の出会いが書かれている。十崎との因縁はここから始まったのか…と思うも、風間の片目喪失事件について最早読んだのがだいぶ前のため、忘れている。教場シリーズも随分出たことだし、いつかまとめて一気に再読したい。
若かりし日の風間、やっぱり優秀だった。人の傷跡や服装など些細なことでも決して見逃さず、捜査の取っ掛かりとなる情報をどんどん掴んでいく。
コンビをくんだ石貫、偉い。風間と組んだ時点で、普通の人間だったら劣等感に押しつぶされるだろう。
十崎がとんでもなく頭の良い人間で、体術にも優れていると知ったとき、これはもう対峙できるのは風間しかいないだろうと思った(実際そうなった)。
複数の殺人事件については、いずれも殺人の動機が弱いのではないか?そんなんで殺すか?と正直思ってしまったが、普通の感覚で考えてはいけないということか。
十崎は間違いなく常人ではない。1回殺ったらもう1回…とノリで殺ってしまったという暴論もまあ、納得...はできないが。
とにかく、義妹と自分の障害になる者はなんとしてでも殺る!というものすごい執念を感じた。
こういう犯人がいると思うと、刑事って逆恨みされるし、危ない職業だなとつくづく思う。 -
Posted by ブクログ
十崎が逮捕された?義眼のパワハラ講師。教壇に立つに至るキッカケになった犯行はドラマで何度も拝見した。その犯人が逮捕に至った経緯を期待した。
会意文字、知らなかった。日本で誕生した漢字。情景を表す文字の組み合わせは意味を知っている文字同士であれば自然と意味が通じる。名前でも会意を意図する親御さんも多いことであろう。
警察学校とはいえ男女が同じ敷地内の施設で過ごせば互いを深く知りたい欲が芽生えるのは自然なことだ。相手を欲する気持ちが幾重にも重なるのも不思議ではない。行く末に嫉妬が生じるのも必然かもしれない。だが、一線を超える決断は隻眼の奥から見透かされてしまう。
深い思慮が作り出す展開に興味を持って読み続けているシリーズ。少々ドラマありきの構成になってきた気がする。しかし指導者と生徒の関係性と隙がない緊張感は文字からも伝わってくるのが長岡さんの成せる技だ。
巻末の対談は読み応えがある内容で興味深かった。ルパンの消息やクライマーズ・ハイを産んだ横山さんと傍聞きや本作を描いた長岡さんが交わす話題はテクニカルな内容も含まれていて互いの巧みさを共有できている。読んでいる素人でも「ですよね」と生意気な言葉を吐いてしまう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまたまた届けられた長岡弘樹さんの『教場』シリーズの続編。久々の長編で描かれるのは、刑事になったばかりの若き日の風間公親である。
講師として警察学校に来ていた富葉署のベテラン刑事の石貫は、担当中だった傷害事件について話した。講演後、当時初任科生だった風間は言い放つ。曰く、講演満足度は75%だと。おいおい、そりゃ石貫でなくてもむっとするだろう…。
自分は『教場』シリーズの一ファンのつもりだが、風間のスーパーマンぶりが鼻につくこともなくはない。如何にしてこのような男が形成されたのかと思っていたが、警察学校にいたときからスーパーマンだったとは。当然、出世も早いわけで。
それから5年後、富葉署管内で発生した殺人事件。捜査本部に乗り込んできた県警本部捜査1課の面々に、風間がいた。上からの信頼も厚い風間に、嫉妬の感情を隠せない石貫だが、思うところがあり風間とコンビを組むことを申し出る。
『教場』シリーズをずっと追っているファンならば、その名前にはピンと来るだろうし、本作が長く続くシリーズの発端を描いていることがわかるだろう。ある意味、風間にとってはとばっちりと言える。この事件を担当していなければ…。
未読の方に支障がない程度に書くと、容疑者にたどり着くまでは早い。しかし、逮捕は容易ではない。最初は高を括っていた容疑者の男も、風間が只者ではないことを短時間の対面で見抜いた。その後の行動は、すべて計算ずくだったわけである。
スーパーマン風間の形成過程も興味深いが、この男の形成過程も実に興味深い。頭脳は風間に匹敵するくらい切れるが、一体いつどこでそのような技を習得したのか? 独学なのか、師匠がいるのか? 2人とも謎が尽きない。
シリーズ第1作『教場』で、警察学校の教官として初登場した風間公親。ネタならいくらでもありそうだが、シリーズはまだまだ続くのか。 -
Posted by ブクログ
定年後の非常勤交番相談員として勤務する百目鬼巴さん。
名前はいかついけど、穏やかな普通のおばさんに見える。
でも、事件の話を聞いただけで真相を導き出す凄い人。
そんな短編集
以前、警察小説アンソロジーで『噛みついた沼』を読み、すっかり百目鬼さんに魅せられてしまった。
この本は、百目鬼さんに焦点をあてたのではなく、百目鬼さんを通して非違事案を起こしてしまった警察官を語っている。
個人的には、監察官じゃないんだから普通の事件解決も見たかったなと。
ちょっとお腹いっぱい…。
そもそも、百目鬼さん視点の描写が皆無なので、彼女が心の内で何を考え感じているのか全く分からず不気味。
とても面白い本ではあったので、シリーズ化するなら普通の事件解決と百目鬼さんの過去を見たいな。 -
Posted by ブクログ
教場シリーズは、一旦ここで終了だということが読んでみてわかりました。だから、次の巻以降が全てこれより前の事になっているのだと納得しました。時系列に合わせて読んできたので、この本が最後の方になってしまい、そういうことだったのかと、やっと映画のラストシーンがつながりました。それにしても、原作自体が風間公親の警察学校教官から始まり、その前の刑事指導官時代へと、行ったり来たりしているので、義眼になった経緯を中心に映像にまとめて、映画にまでよく昇華していったなあと感心しています。このシリーズを全部一つの流れとして脚本にしていくのは、ドラマ・映画独自の展開にならざるを得ないと実感しています。しかし、原作の持ち味をうまく活かしての映像化に満足しているところです。また、ドラマ・映画の感想になってしまいましたが、現在読書中の「新・教場2」と、文庫になっていない最新刊の「教場Ω(オメガ) 刑事・風間公親」を読んで終わりにできるのかなあと思います。肝心の事件が最後に描かれるなんて、凄いシリーズですね。
-
Posted by ブクログ
のどかな駐在所を舞台にした「日常の謎」を期待してページをめくったが、良い意味で裏切られた。長岡弘樹が描く世界は、単なる穏やかな人情話では終わらない。
元警察事務職員で、今は交番の「相談員」を務める主人公百目鬼巴のキャラクターがいい。彼女の武器は、長年の経験に裏打ちされた「違和感を見逃さない目」と、おばちゃんらしい(?)お節介さと鋭さのバランスだ。
さらにこの作品集の醍醐味は、いわゆる倒叙(とうじょ)ミステリーの形式をとっている点だ。犯人が最初から登場している、あるいは…である。主人公は、犯人のちょっとした「言い間違い」や「矛盾」を、雑談の中から鮮やかに拾い上げていく。このプロセスが非常にスピーディーなので、「なるほど、そこを見抜くか」という爽快な気分になり、一話読み終えるたびに、濁った水が澄んでいくような納得感がある。
著者の長岡弘樹さんといえば、あの厳しい警察学校を描いた『教場』が有名だが、本作はその「厳格さ」をエッセンスとして残しつつも、よりマイルドで人情味のある作風になっていて、じっくりと知的な刺激と、型にはまらない「正義」の清々しさを味合える一冊である。 -
Posted by ブクログ
迷走→最後まで展開が読めない。人間味のある格好の良さ。実際に倒れた人の居場所をサイレンの波長で探した例があるそう。許したわけではないが、ただただ仕事に誇りを持ってるから、という理由。
傍聞き→母親に苛つく。小学六年生であれだけできる子っていないと思う。多くを求めすぎ。結果それが出来てしまっててすごいと思うが、かわいそう。昔は仲が良かったのに、成長して背負うものが増えて距離ができる。よくある。リアルだな。その切なさと、彼女なりの精一杯の優しさ。直接力説するには遠すぎる。人は傍聞きの方が信じやすい。
899→レンチを無くす石崎、アルミホイルで赤ちゃんが鳴き止むという諸上の蘊蓄、全てが伏線になってる。
迷い箱→☆4の評価はほぼこれでついた。彼の部屋が迷い箱になって、彼がどっちか決めるんだろうなっていうのは分かってたのに、それでも感動した。 -
Posted by ブクログ
著・涌井学、原作・長岡弘樹、脚本・君塚良一『映画「教場 Requiem」ノベライズ』小学館文庫。
木村拓哉主演映画の『教場 Requiem』ノベライズ。『プロローグ』と『第一話 類似シナリオ法』、『第二話 周到な性格』、『第三話 目的』、『エピローグ』から構成される。
原作小説の映画脚本のノベライズだけに原作小説のエピソードが至る所に、散りばめられている。
風間公親が警察学校の生徒を篩に掛けるメインストーリーと並行し、風間の右目を奪った十崎波瑠を逮捕しようとする風間道場の門下生たちと風間教場の卒業生たちの奮闘が描かれる。
長岡弘樹の小説は時に読者を置き去りにする冷たくドライなところがあるのだが、映画のノベライズともなると懇切丁寧な描写が増え、ねっとりとした雰囲気に変わる。
『プロローグ』。前作の『エピローグ』からの続き。遠野刑事を殺害し、風間公親の右目を奪った凶悪犯の十崎波瑠の妹の澄田紗羅が何者かに拉致される。
『第一話 類似シナリオ法』。最近読んだ『新・教場 2』の『第三話 遺恨の経路』に描かれていたエピソードであった。同じ教場の真鍋辰貴と交際している木下百葉は、真鍋が1ヶ月前まで同期の洞口亜早紀と付き合っていたことを知る。そんな百葉は真鍋とクリスマスに会う約束をしていた。しかし、風間は百葉のミスを理由にクリスマスの日に全員の外出を禁止する。
『第二話 周到な性格』。余りにも用意周到であるがために墓穴を掘るというのは、ミステリーの謎解きにはたまに使われる。用意周到が仇となる有名なミステリー小説と言えば、江戸川乱歩の『心理試験』を思い付く。散りばめられた伏線の数々が風間公親の鋭い目により、1つにつながる。陸上競技が得意で妹思いの初沢紬は来たるべき長距離走記録会に向けて、食生活を含め、準備を重ねていた。そんな時、紬は妹の環から相談を持ち掛けられる。
『第三話 目的』。『新・教場』の『第六話 カリギュラの犠牲』に描かれたエピソードなのだが、配役がぐちゃぐちゃに変えられた上に、映画らしい派手な演出が追加される。警察学校の卒業式の日を狙って、十崎波瑠が動くことを予測した風間道場の門下生と風間教場の卒業生が十崎を逮捕するための包囲網を敷く。
『エピローグ』。警察学校の卒業式で起きた大事件の完結編と共に風間教場の卒業生たちの未来が描かれる。
本体価格620円
★★★★ -
Posted by ブクログ
警察官も私達と同じ人間。だから、弱いところも狡いところもある。でも、同じことをしても、警察官だと三割り増しくらいで余計に裏切られた気持ちになってしまう。(ごめんね、警察の皆様)
警察を定年退職し、非常勤の交番相談員になった百目鬼巴(どうめき ともえ)。
見た目は普通のおばさんなのに、するどい観察眼で罪や闇を見抜く。でも、決して暴くという感じではないのですよね。見抜いたぞ、私は知ってるぞ、と相手にそっと伝える感じ。
これは是非ともドラマで見てみたい。私の希望としては深夜枠で30分くらいの1話完結。『笑ゥせぇるすまん』的な雰囲気でやってほしいなぁ。
シリーズ化希望です!