長岡弘樹のレビュー一覧
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『傍聞き』と『教場』を合わせたような連作短編集。『声色』『符丁』『伏線』『同房』『投薬』『予兆』『残心(前編・後編)』の8編を収録。
余り多くのことは描かず、読者が自らの想像力でその隙間を埋めるといった趣きの連作短編集である。一つひとつの短編も見事なミステリーの仕掛けと意外な犯人の正体に唸らされた。そして、最終話で気付く全編に亘って仕組まれた壮大なミステリーに驚愕した。
警察学校時代から警察官になっても競い続ける戸柏耕史と陶山史香の二人を主人公に描かれ身近な事件とミステリー。全ての短編がひとつの物語として繋がっており、全編を通した時間経過にも驚かされる。 -
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『傍聞き』で短編としての完成度に惚れ、デビュー作へ。
やはり心地よい。
ひとつ50ページほど。登場人物が失敗し、隠そうとし、逃げようとする。そんな人間の弱さが物語を動かし、その先に「まさか」を用意する。起承転結をきっちり収める構成が巧い。
けれど、読み終えて残ったのは仕掛けの鮮やかさだけではなかった。
真相そのものにはそれほど驚かなかった「重い扉が」でも、最後に残った父子の絆がよかった。表題作でも、嘘から始まった話の最後に感じたのは人の優しさだった。
『傍聞き』では仕事と人間ドラマが強く印象に残ったが、本作では親子や家族の関係がより強く残る。
人間の弱さをミステリの仕掛けにしながら、それだけでは終わらせない。 50ページほどの中できれいに閉じる、その読後感が好きなんだと思う。 -
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分厚い。ページ数ではなく、中身が。
救急隊員、刑事、消防士、更生保護施設長。人の命や人生の再生に携わるプロフェッショナルたちの葛藤と、極限状態で交錯する人間模様を描いた4編の短編集。圧倒的な緊迫感のなか、伏線が鮮やかに解き明かされた瞬間に景色が一変し、胸に深い余韻が残る。
「迷走」
一刻を争うはずの救急車が、患者を乗せたまま病院へ直行せず、ぐるぐると迷走し続ける。ハラハラする焦燥感が半端ないが、種明かしがされた瞬間「そういうことか!」と胸がすくような納得感が広がる。プロとしての信念と覚悟が最高にカッコイイ一編。
「傍聞き」
「かたえ聞き=人の会話を聞くともなしに聞くこと」。娘の不可解な行動に悩む女性刑事。直接対峙するのではなく、間接的に聞こえてくる言葉(=傍聞き)だからこそ届いた我が子の真意と切ない親心に、深く心を揺さぶられる。
「899」
「899」とは緊急救護者を意味する消防用語。煙と炎に包まれた火災現場の凄まじい緊張感のなか、ある人物のとった意外な行動。その裏にある切実な背景と、作中に登場する「甘口のカレー」に込められた想いに泣けた。
「迷い箱」
「捨てるか迷うものを一時保管する箱」という言葉の通り、拭いきれない過去や葛藤を抱える元受刑者と、彼らを見守る施設長のドラマ。人生の迷いと再生への道筋が静かに胸に迫る。
短いページ数の中に濃密な人生が凝縮されていて、長編を一冊読み切ったかのような手応えを味わえる傑作。 -
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「君には、警察学校をやめてもらう。」
裏切りの連続に胸が切なくなる読後感。
警察学校が担う役割とはなんだろうか。ふるいにかけられた友もまた、警察官を育成するために必要な犠牲だったのだろうか。
過酷な指導と連帯責任。一見理不尽な20枚の反省文も、調書作成の耐久力や心理戦といったプロの泥臭い実技演習なのか。
集まった学生たちの嫌な部分は、権力への憧れや保身など、誰もが持つ人間の泥臭いエゴそのもの。
風間教官の圧倒的な観察眼に暴かれ、仲間を、そして自分を裏切りながら必死にもがく生徒たちの葛藤と変化こそが、この物語の真骨頂と言える。
読んでいるうちにチラチラ浮かび上がるのは、今までにないクールさを纏った木村拓哉の影。
つくづく「当たり役を引き受けたな」と思わされる見事なハマり役に感心しながら、
冷徹な「人間性スクリーニング」のシステムと作品の完成度に唸らされる傑作だった。 -
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ネタバレ最近読書欲が落ちているので、ミステリーを読みたくて手に取りました。
「スプリット」という話しだけはスポーツ系の感動もの、という印象。他はミステリーだけど、色んな個性があって面白かったですね。
「どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう」はミステリーの内容はまずまず予想できましたが、タイトル回収と、キャラの個性が出てて面白かったです。読んだことはないと思うのですが、噂通りの東川篤哉作品!って感じでした。
「笑う君影草」は途中ホラー系!?って思ってしまったけど、ちゃんと読めば予想できた事で(笑)でも、私の好きなちょっと人怖系の落ちだったので良かったです。
「名探偵名前が適当」はタイトルからはオチが予想できませんでしたが、物凄く納得出来たし、着眼点が面白くて、最後は似鳥鶏先生らしさもあって好きでした。
「夏を刈る」 : 太田愛さんの作品は人気もあって、本を持ってはいますが積読したまま、まだ読めておらず。ただ期待して読みました。ちょっと切なげな、王道のミステリーとゆう印象でした。でも、良く出来ているなぁ、と正直思いました。
「最後のひと仕事」これもまたタイトル回収が秀逸でした。しかも最後の1文に一番痺れました!
短編集はだいたい好きな物が何個かあるっとゆう印象で、やはり好みでないものもあったりする中、今回全部好きでした! -
Posted by ブクログ
警察学校という、必要な人材を育てる前に不要な人材をふるい落とす場所で、風間教官に鍛えられる新たな初任科生たちの6つの物語でした。
医師上がりや広告塔候補など、今回もクセの強い面々がそろい、それぞれの弱さや嘘が暴かれていく過程はやっぱりゾクゾクします。
トリックや伏線の回収も相変わらず見事で、「敬慕」「奉職」は胸に刺さりました。
ただ、前作から読んでいると構図が少し見えてしまい、オチにやりすぎ感を覚える章もありました。
それでも、追い込まれてなお立ち上がろうとする若い警察官たちの姿に感化され、現実の警察官へのリスペクトが少し増えました。
覆面パトカーや一時停止で待ち構えている警官は、今でもあまり好きではありませんが。