長岡弘樹のレビュー一覧
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長岡弘樹『教場X 刑事指導官・風間公親』小学館文庫。
シリーズ第5作。6話を収録。
新人刑事の中から経験3ヶ月程度の者を1名選び、風間公親が3ヶ月間みっちり指導する風間道場で新人刑事が捜査した事件の顛末を描く。いずれの短編も犯人は始めから明らかにされているのだが、まるで風間が最初から犯行の全貌を知っていたかのようなストーリー展開が続く。
そして、全編に漂う千枚通しを凶器にした通り魔の影。かつて、風間の右目を奪った通り魔は未だ犯行を続けているのだ。果たして……
風間公親を描いたと思われる表紙イラストはドラマで主役を務める木村拓哉に似ているのは、コマーシャリズムの1つということか。
『第 -
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尾木敦也45歳は明浄会Y病院に勤める脳外科医です。
同じ病院で妹の菜々穂も看護師として働いています。
菜々穂は理学療法士の村主叡輔と交際中です。
尾木兄妹は六年前に両親を窃盗に家に入った定永宗吾により殺されたとされています。
その定永が敦也の元にくも膜下出血で隣りの刑務所から運ばれてきます。
敦也は手術台の前では親を殺された男としてではなく一人の脳外科医としてオペを成功させます。
しかし定永はリハビリをしなければ右手を動かすことができない状態でした。
定永はリハビリを拒みます。
死刑囚は体調が万全でなければ処刑されることはないのです。
敦也はなんとか、定永にリハビリをさせようとして定永の -
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ネタバレ短編ミステリの雄、長岡弘樹さんの長編第2作だろうか。『風間教場』と同様、250p程度で長編としては短めだが、内容は極めて濃密だ。
優秀な脳外科医である主人公の尾木敦也は、6年前に両親が強盗に襲われて亡くなって以来、スランプに陥っていた。そんな中、敦也は刑務所から緊急搬送されてきた囚人の手術を命じられる。手術後、彼が知った囚人の正体とは。
その囚人とは、敦也の両親を殺害した罪で死刑が確定した、定永宗吾であった。設定だけでも凄い。定永は、死刑確定後も一貫して殺害を否認していた。敦也と妹の看護師長・菜々穂は、リハビリを通して過去に、定永に向き合うことになる。
死刑囚のリハビリという特異