長岡弘樹のレビュー一覧
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長岡弘樹『119』文春文庫。
消防署を舞台にした9編収録の短編集。相変わらずの読者を少し突き放すかのような伏線とミステリーの謎解きという長岡弘樹らしい短編が並ぶ。いつものように納得出来る短編もあれば、納得し難い短編もある。人により受け取り方は様々だろう。
『反省室』『救済の枷風』『フェイス・コントロール』の3編が良かった。
『石を拾う女』。消防署員の今垣睦生は増水した川で入水自殺しようとしていた高槻三咲季という女性を助ける。鬱病を苦にした自殺で妻を亡くした今垣と付き合うことになった三咲季だったが、何故か再び自殺を図る。今垣が理由を知った上で、三咲季に生への希望を与える。★★★★
『白雲 -
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猫に深く関わっている物語もあれば、ほんの一部分にかませて描かれているものもありますが、どれも面白かった。
「世界を取り戻す」
最近猫を亡くした身としては、共感できる部分が多々ありました。日常生活の中で描かれる猫と登場人物の絡みが泣ける。。第1弾もあるのかな?ぜひ読んでみたい
「50万の猫と7センチ」
作者の実家でかっているリアル猫のお話。家族として迎え入れるまでの経緯やとある事件にハラハラドキドキしつつ、最後はハッピーエンドというオチがお気に入り。
「双胎の爪」
猫からこんな風に話が転がるものなんだな、と驚きました。悲しい話の中で追い打ちをかけるストーリーが逸脱。
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猫小説アンソロジー。猫好き必読。もうどれを読んでも可愛い! 全部可愛い!
ミステリ好きとしては有栖川有栖「女か猫か」、長岡弘樹「双胎の爪」がお気に入りです。だいたいほんわかとした幸せなムードの物語が多い中、ざっくりと残酷さを突き付けられる「双胎の爪」はインパクトがありました。
描かれた猫の魅力に一番のめりこんでしまったのは阿部智里「50万の猫と7センチ」。はらはらどきどき、笑いあり涙ありの一作。だけどそのようにさまざまな感情に振り回される人間たちをよそ目に、猫ときたらもう……! このオチには脱力せざるを得ませんでした。だけど猫ってこういうものだよね。猫の魅力ってこういうところなんだよね……と猫 -
購入済み
リアル
警察学校の厳しさと研修生たちの葛藤をリアルに描いた作品だと思った、とても考えさせられる作品でまた読みたいと思う。
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第一声
「風間教官!何か丸なったんちゃう???」
構成が、1、2とは違うな。
前は、一人一人の生徒を短編でやってたけど、今回はそんな感じにはなってない。長編です!
校長先生は、いけずな奴…全員卒業させよ!あかん場合は、風間教官も辞めよ!と。
そんなん引き受けんでも良いのに…
毎年、何人も辞めてんのに…
この学校が向き不向きを判断する最後の場所やのに…
不向きな人が警察官やると死に直結するのに…
縦社会の警察組織がそうさせるのか、風間教官が、丸くなったのか…一応、校長先生の意向を呑んだ感じなんかな?
ゼロミッションが、成功しようとしまいと、あまり賛同はせんな。
とは言え、生徒、教官の深い -
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長岡弘樹『夏の終わりの時間割』講談社文庫。
6編収録のミステリー短編集。『救済 SAVE』の改題作というだけに、困難に直面した様々な境遇の人びとへの“救い”をテーマにした短編が並ぶ。
長岡弘樹の短編ミステリーは余り多く詳細を描かない割りには、状況が急展開するケースが多い。そのため、読者にしてみれば置いてけ堀を食った感じになり、もう一度前半を読み返して、初めて納得する場合が多くなる。本作の場合は、割りとしっかりした伏線があり、理解出来ないのはそれを見逃した読者側に否があるということになるだろう。そう言う自分も、何度も伏線を見逃して、読み返しているので余り大きなことは言えない。
『三色の貌』