長岡弘樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いいお話だ。楽しみにしていた作者さんの短編集だ。
冒頭の表題作「陽だまりの偽り」は痴呆がはじまりつつある老人と息子嫁が主人公。加えて、警察も色を添える。少し出来すぎる感じもあるけど、きれいなエンディングがいい。嫁の淡々とした感じもいいし、すべてOKの短編。良かった。
「淡い青のなかに」は事故隠蔽と息子の絆。変な話だが、いろんなことが重なって、なかなか奥深さを感じる作品だと思う。評価は微妙だな。
一転「プレイヤー」は人事話。ラストの真実が驚きの結末。ミステリー要素たっぷりの作品だ。
誘拐したが母親が子を捨てるという驚きの展開「写心」も不思議な魅力。しかし、設定が少し暗くて非現実か -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作のほか「淡い青の中に」「プレイヤー」「写心」「思い扉が」の5編からなる、「偽り---嘘」をテーマにした短編集。
傍聞きの時と同様、ミステリータッチに進めながら、ちょっとした見栄や、人生のかかった大事な時に、簡単な嘘を重ねてしまい、誰もが隠したくなるようなことを描き、その偽りから生み出される人の温かさを表現する。
嘘からはじまるストーリーは、悲劇が描かれることが多いが、この作品は最後に人の温かさや前を向いて歩いて行けるようなポジティブさを描いてくれていて、なんとなく清々しい気持ちにさせてくれた。
ただ、結末の弱さや、登場人物への共感、魅力といったものが足りないと感じられた。
とはい