長岡弘樹のレビュー一覧
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アクターズスクールの生徒たちに起こる事件やトラブルを講師である現役プロ俳優・南雲草介が独特の手法で解決していく連作集。
南雲の言動は一見奇異に思えるが、実は鋭く核心をついている。しかも生徒に寄り添う気持ちも込められている。
南雲に「教場」の風間教官と重なるものを感じたが、あちらは厳しい規律で統一行動を目指す警察学校が舞台で、こちらは個性で競争するアクターたちの世界となっている。一方は、警察官を目指す者にしか体験できない閉鎖的空間、他方は俳優を目指す者に必要な資質、発声練習、それに業界用語など裏舞台が描かれ、一般人がなかなか知り得ない世界が垣間見られる点で共通したものがある。
しかし、主人公の言 -
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これまで警察官、消防士、救急救命士、弁護士、医師などを題材に、仕事の矜持と現場ならではの臨場感をミステリ仕立てで描いてきた作者が、「芸能」の現場で起きる事件やトラブルを描いた作品。
俳優志望者が売れっ子俳優になることの難しさ、大物と言われる人の凄さ、裏方の苦労など日頃知ることのない世界は興味深いが、主人公のベテラン俳優・南雲草介が探偵よろしく謎を解いていくミステリとしてはちょっと弱い。
ひき逃げ、引ったくり、暴行、シャブ中と限られた人間関係の中でこれだけの犯罪が起こるのもリアリティにかけるし、何より解いた謎がショボい。
やっぱり、個人的な趣味かもしれないけど、いつものように警察官や消防官の -
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プロ俳優・南雲が講師として勤めるアクターズスクール。その卒業生達それぞれに襲いかかる事件やトラブル。役者である前に一人の人間として、目の前に直面する出来事にどう対応していくのか。南雲の推理が冴え渡る。
「教場」で有名な長岡さんの作品ですが、大きく括ってみると、「教場」の役者版のような雰囲気がある印象を受けました。
・影の主役がいる。
・教え子が主人公となって事件に関わる。
・短編ミステリー
といった共通点はあるのですが、異なっている点も多くあります。「教場」では警察学校の内部を舞台にしていますが、この作品は主にアクターズスクールを卒業した教え子たちがそれぞれの現場を舞台にしています。
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ちょっといまいち
読後感がよくない(笑)、設定に納得いかない(笑)
家族をテーマに、7つの物語からなる短編集。
■文字盤
コンビニ強盗が店員にナイフを突きつけていた時に、電話が鳴り、店長が「でていいか」と書いたメモを見せながらも、強盗が答えない。
その理由は?
そして、その犯人は?
という展開。
しかし、動機がちょっと納得いかない。
■苦いカクテル
老父の介護に疲れた主人公の女性と妹の物語
父の死の犯人として、法廷で裁かれる姉。その弁護を務める妹。
そして法廷で明らかになる真実
これはよかった
■オンブタイ
酒を飲んだ後の自動車事故で同乗者を死亡させ、視力を失った男の物語。
男の末路はと -
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長岡弘樹『にらみ』光文社文庫。
『傍聞き』系の短編7編を収録したミステリー短編集。
いずれの短編もミステリーの土台となるシチュエーションとトリックにかなり無理があるためか、じっくり読まないと意味が伝わって来ないし、面白さが感じられない。唯一評価に値するのは『遺品の迷い』だろうか。
『餞別』。暴力団の下端が身代りで警察に出頭する前に兄貴分がくれた餞別。じっくり読むと意味が見えて来る。意味が解るとまあまあ面白いが、何で最初にビルに『クスリ』があったのか。偶然なのか……
『遺品の迷い』。ラストに震えた。乳児の頃に遺品整理業者の父親に拾われ、育てられた息子は家業を手伝いながら、自分を捨てた親の -
購入済み
展開が早い!
教場シリーズが好きで、初めて作者の他のを読んでみましたが、つらつらと読んでしまうと、交番勤務だったのにいつの間にか刑事になっていて、その次には警察学校の教官になっていて。。何度もページを戻って確認しました。とにかく展開が早すぎる印象でした。ラストもこれまでの展開のスピードに脳が追い付かずあまり驚きませんでした。。上下巻にしてもいいからもっとゆっくり物語が進む方がよかったかなと思いました。