日常生活の中で、心の弱い部分に触れる短編ミステリー。
人間の弱さ、ぬくもり、保身、欲望、誰も身に覚えのある心情をたくみに描き出した5編となっています。
■陽だまりの偽り
物忘れが多くなってきた老人が、嫁から預かったお金を紛失。どこで紛失したのか?
保身のために彼が付いた嘘
そして明らかになる真実
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といったところで、結果嫁さんの温かい気持ちが最後浮き彫りになり、ほっこりします。
■淡い青のなかに
自宅前でおこしてしまった人身事故。不良のレッテルを貼られている息子は母親の事故の身代わりを画策。
会社の出世が絡む母親は保身を図りたいが、息子の提案を受け入れるのか?
どう隠すのか?口裏合わすのか?といったところで、母親と息子のとった行動は?
■プレイヤー
市役所が管理する駐車場から人が転落死。
管理責任者の責任が問われます。
本当に駐車場の管理不十分が原因なのか?それとも自殺か?
役所の人事が決まるその中、管理不十分であれば、責任を問われ出世ラインから外されます。
その死の真実は?
そのカギを握る役所の人物の目撃証言!
これは、ちょっとうならされました。
想像の右斜め上を言った感じ(笑)
■写心
幼い子供を誘拐した犯人が母親に身代金を要求。
しかし母親は身代金の受け渡しを拒否。
目論見が外れた犯人がとった行動は?
母親が子供に身代金を支払わないその理由は?
誘拐犯がとった行動が気持ちをほっこりさせます。
けど、こんなこと本当にあり得るか?
■重い扉が
息子との関係に悩む父親。
そんな息子が友達と商店街で不良に絡まれ、友達は瀕死の重傷を負います。
息子の証言で犯人が絞られますが、最後の最後で息子は証言を拒みます。
その理由とは?
これも最後は温かい気持ちになる終わり方。
ということで、殺人とか非日常の物語ではなく、日常ありがちな場面でおこる心の弱い動き、気持ちに対して、紆余曲折ありながらも最後は心温まる終わり方となっています。
お勧め。