あらすじ
困難の今こそ、「救い」の物語を。
サプライズと人間ドラマが溢れる6編のミステリ
『教場』『傍聞き』の大人気作家の真骨頂!
小学六年生の祥と放火容疑をかけられた知的障害のある信。二人の少年の友情を綴る表題作はじめ、困難に直面した様々な境遇の人々を描く六編。彼らの不自然な行動に隠された「想い」とは? 意外な真相と心に染みる人間模様。短編の名手が贈る、ほろ苦くも優しく温かなミステリ集。〈『救済 SAVE』を改題〉
【読み始めたら止まらない6編の極上ドラマ】
震災失業した男性が再雇用先で奇妙な仕事を任される「三色の貌」
不始末を起こした元ヤクザの命をヒットマンが狙う「最期の晩餐」
元警察官が犯行現場で綿密な証拠隠滅を図る「ガラスの向こう側」
介護福祉士が認知症患者たちを笑顔にしようと奮闘する「空目虫」
空き巣狙いが4年ぶりに同じ家への侵入を試みる「焦げた食パン」
放火容疑のかかった友人に小6男子が迫る「夏の終わりの時間割」
感情タグBEST3
よい作家さん
ミステリを読み慣れてしまうと、本当に驚くことって減ってしまって、楽しめる作品が減ったなぁと寂しく思っていた。
そんなとき、こういうアプローチもあるんだ!と感動した。
いま、この作家さんに出会って良かったと思う。
まだまだ沢山読んでみたい!
Posted by ブクログ
「救い」
それも小さな、でも大切な救い
短いお話が六つ
肩の力を抜いて読んでほしい。
それにしても、カバーの絵が良いなー
これだけで読む前から物語が始まって、最後の「夏の終わりの時間割」まで気持ちが続く。
良かったです。
Posted by ブクログ
できるだけタイトルに合った季節に読みたいと思っているのにまだ春が始まったばかり。しかし6つの短編中、夏の終わりのお話は最終話だけでした。
200頁ちょいの薄さに反して内容は厚い。誰しも行動の裏には理由があるのですね。さらっとうわべを見ているだけではわからないことがある。そこに考えを及ばせたとき、本作で「何かを起こした人」それぞれの気持ちに想いを馳せると切なくなります。
生活の節約術だったり蜂避けのおまじないだったりは初耳で目からウロコ。それがまた切ない要因。
余談ですが、母が危篤状態にあります。死ぬ間際の人は嘘をつかない。もともと嘘はつかない人だけど、病床でいま言うことは本心でしょうね。最期の時間を大事にしたい。
Posted by ブクログ
短編の名手のショートショート作品。
作品は六作。それぞれが趣向を凝らした秀作。
この作家さんは兎に角引き込まれる文章力でぐいぐい読ませてくれる
Posted by ブクログ
長岡弘樹『夏の終わりの時間割』講談社文庫。
6編収録のミステリー短編集。『救済 SAVE』の改題作というだけに、困難に直面した様々な境遇の人びとへの“救い”をテーマにした短編が並ぶ。
長岡弘樹の短編ミステリーは余り多く詳細を描かない割りには、状況が急展開するケースが多い。そのため、読者にしてみれば置いてけ堀を食った感じになり、もう一度前半を読み返して、初めて納得する場合が多くなる。本作の場合は、割りとしっかりした伏線があり、理解出来ないのはそれを見逃した読者側に否があるということになるだろう。そう言う自分も、何度も伏線を見逃して、読み返しているので余り大きなことは言えない。
『三色の貌』。長岡弘樹らしく、少し読者を突き放すような謎に満ちたストーリー。老舗の漬物屋で臨時社員として働いていた22歳の宮津勇司は職場で震災に見舞われ、九死に一生を得る。宮津はその後、うどん屋でバイトをするが突然解雇を言い渡される。宮津には人には言えない問題があったのだ……
『最後の晩餐』。ヤクザから足を洗い、その後に組織の金に手を付けた達川がヒットマンの桑田に命を狙われる。しかし、桑田は何故か達川を逃がし、組織の掟に従い、兄貴分の鏑木に命を狙われることに。まさかそんな理由があったとは。
『ガラスの向こう側』。元警察の鑑識官の伊関が勤め先の社長の殺害現場で綿密な証拠隠滅を行う。余りにもクリーンな犯行現場に違和感を覚えた警察キャリアの竹野は犯人は鑑識をよく知る警察関係者ではないかと疑う。しかし、コンビを組んだ実の父親の遠山は伊関が犯人ではないと断言する。
『空目虫』。ある日介護施設で、高橋脩平は施設長の坂東に認知症の患者を笑わせて欲しいと頼まれる。患者たちを笑顔にしようと奮闘する脩平だったが……まさかそんなことがあるとは……
『焦げたパン』。空き巣狙いのノビ師が4年前に300万円を盗んだ家に再び侵入する。4年前と同じ住人が同じように慎ましく暮らすその家は……
『夏の終わりの時間割』。小学6年生の祥は知的障害のある19歳の信と共に毎日遊んでいたが、信に放火容疑がかけられる。信が作った遊びの時間割と放火容疑。真犯人とその目的は……
定価682円
★★★★
Posted by ブクログ
表題作含む6編収録の短編集。全て関連性のない一話完結の物語。
巧妙なトリックが仕掛けられているといったミステリーではなく、読者の視点を巧みに操っていく作品。真相が分かった上で読み返すと、様々な箇所にミステリーを解くヒントが散りばめられていることに気づく。
短編なので仕掛けも難しくはないが、短編ならではの爽快感がある。
Posted by ブクログ
犯罪はあるがミステリー小説というよりは人間ドラマを描いている。知的障害などハンデを抱えた人たちとその周りの人たちの思い込みの隙や違いをミステリ仕立てで書いた短編集。だがこのテンポの展開、書き方がちょっと私にはダメだったようだ。筋道の歩き方がなんとなく合わず、というのは短編だから?