長岡弘樹のレビュー一覧
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警察官という職業を選ぶ人に対して、人間的にある種の理想みたいなものがあると思う。正義感が強くて、優しくて、きっと良い人に違いないという理想。
ところがこの本に出てくる警察学校の教官や生徒ときたら。
これが物語ということはわかっているけれど、警察学校の中ってこんなに体罰とか犯罪が横行してるの?リアリィ?
普通の会社で普通に会社員をやっていると、なんとかハラスメントにならないよう皆んなが気をつけている昨今、あまりにも世界が違うことに驚く。命が掛かってるから体罰ありなの?わからないでもないけど、すごく嫌だ。違反をしてまで何かを調達するとか、相手を傷つけるとか、ほぼ刑務所だな。
一方で、話は面白かった。多分続きも読んじゃう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレついに友人に借りた教場シリーズ7冊読み終えた!
…と、感動していたらまだ続きがあるそうですね(苦笑)
でもこのシリーズは面白いので大歓迎です!
友人も
「文庫になるのを待ってるの」
と言っていたのでこの続きを読めるのは数年後なのだぞ!と、自分に言い聞かせております。笑
この巻で最も恐ろしいと思ったのは
『不作為の鏡』
でした。
当人の患っている病気に気づかせないようにする…。
そんなひとが身近にいたら…と考えると怖いです。
映画はついに観ることができそうにないのですが、小説と違うのだろうなと思われるのでそちらも配信されるのご待ち遠しいです。 -
Posted by ブクログ
最近、山火事や民家が焼ける火災など火事の事件が多いなと感じているが、そんな火事やレスキュー、救助に活躍する消防署員をフィーチャーした作品が本作です。
この小説は全9編の短編から成っていますが、消防士や救急隊員の活躍や苦悩、そこにある人間ドラマが描かれている数少ない消防ミステリーのひとつだと思います。警察小説は有名な作品が多いのに消防をテーマにした作品が少ないのは扱う現場の違いに拠るものなのかもしれません。警察は起きた事件を捜査するが、消防の現場仕事は火災であれ、急病人であれ現在進行形の事案が多いと解説でも説かれています。
それは火災の凄惨な現場から鎮火作業は元より巻き込まれた要救助者を救うことや急病人を救助することが当たり前の使命であり、それがもし自分のミスで失敗したりするとトラウマになりあげく消防士の精神を傷つけることになるという。
本作はそうした命を救う職業の最前線にいる消防士の活躍や苦悩や葛藤を描いた素晴らしい作品で、細かく仕組まれた伏線やその回収に消防ミステリーとしての面白さを感じる短編集でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ■第一話 職質
宮坂定(みやさかさだむ)
平田和道(ひらたかずみち)
「いつ辞めるんだって訊いてんだよ。明日か、今日か。いまでもいいぞ。お前には無理だから。警察官なんて絶対に無理。これからすぐに退校の手続きをとってやる。どうだ。ん?」(P.11・植松教官)
成績の悪い平田と、平田を庇うように成績の悪いふりをする宮坂。過去平田の父親に命を助けられた宮坂は、平田のことが放っておけなかった。しかし平田は宮坂がわざと成績の悪いふりをしていることに気づいていた。見下されていると感じた平田は、入浴剤とトイレの洗剤で宮坂を巻き込み自殺を試みる。
■第二話 牢問
楠本しのぶ(くすもとしのぶ)女子の中で最も小柄
岸川沙織(きしかわさおり)女子の中で最も大柄
楠本しのぶは元インテリアコーディネーター。仲の良い岸川に、最近脅迫状に悩まされていると打ち明けられる。
ある日楠本は学校内の立体駐車場で誰かに突き落とされ、動くパレットに足を挟まれ、そのまま意識を失う。
意識を取り戻し、風間に渡されていた携帯電話で教官室に電話をかける。風間に繋がり助けを求める。
宮坂が助けに来る。しかし、リフトの操作をしてくれない。
怒り、パニックになりながら助けを乞うが、風間と宮坂が助けてくれる気配はなく、岸川との間に何があったのか、脅迫状を出した理由を問う。楠本は、婚約者を車で轢き殺した犯人が岸川だったと語る。
■第三話 蟻穴
鳥羽暢照(とばのぶてる)
稲辺隆(いなべたかし)
鳥羽は白バイ隊員を目指していて、非常に耳がいいのが自慢。鳥羽と稲辺は親友。
ある日稲辺が無断外出の疑いをかけられる。呼び出された鳥羽は教官に「外出した疑いのある夜、稲辺は自習室で鳥羽を見たと言っているが本当か」と聞かれ、「いいえ」と嘘をつく。自分の日記に、自室で事故の音を聞いたと嘘を書いてしまった手前、自習室にいたことを認めることができなかったのだ。
裏切られた稲辺は、射撃訓練場に鳥羽を呼び出し、不意打ちで接着剤のついたイヤープロテクターをつけさせる。プロテクターの中には蟻が潜んでいた。鼓膜を食い破る蟻が。
■第四話 調達
日下部准(くさかべじゅん)
樫村巧実(かしむらたくみ)
日下部は級長で、クラスダントツの最年長で、元ボクサー。樫村は陰で「調達屋」と呼ばれている。樫村の調達に気づいた日下部は、教官に報告すると伝える。すると樫村は、学科の点数をあげるから見逃してくれ、と「交換」を持ち掛けてきた。
樫村の言う通りにした日下部は、授業で教官から投げかけられた難問に難なく答える。褒められると思ったのも束の間、先日起きた小火騒ぎの犯人ではないかと疑われることとなる。
数日後、また警備勤務の当番がやってきた。先日と同じ、樫村とのペア。耐え難いものを感じながら練習交番に向かうと、樫村と風間の姿が。風間は特別授業と称し、樫村が尾崎の犯罪に加担したことを言い当てる。
■第五話 異物
由良求久(ゆらもとひさ)
安岡学(やすおかまなぶ)
由良は車が好きで、以前行われた希望部署の調査票には自動車警ら隊と書いた。運転技術講習会の際、風間に指名され、走行の手本を見せていたとき、車内にスズメバチが現れる。何よりもスズメバチが苦手な由良は、パニックでアクセルとブレーキを踏み間違え、そのまま生徒の列に突っ込む。逃げ遅れた安岡が轢かれそうになる直前、飛び出してきた風間が安岡を突き飛ばす。そのまま由良は風間を撥ねた。
由良は、車内にスズメバチを放ったのは安岡だと信じて疑わず、嫌がらせをしていた。そんな中、風間に呼び出された由良は、スズメバチの巣の駆除を命じられる。そこで、安岡が犯人ではないことを知る。
■第六話 背水
都築耀太(つづきようた)
日下部にハメられ卒業文集編さん委員をやらされることとなった都築。総代の座を狙っているが、卒業が近づくにつれ、不安やプレッシャーに押し潰され、体調を崩してしまう。風間に見抜かれ、退校を言い渡される。
「いつにする?明日か、明後日か。何ならいますぐにでもかまわんが」(P.272)
自分を追い込むために都築は、卒業文集に未来の出来事を記す。
吾能弭謗矣(われよく謗りを弭めたり)−−わたしは国民の非難を防ぎ止めることができた