長岡弘樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
長岡弘樹作品は、数年前に「教場」を読んで以来の2作品目。
木村拓哉主演のドラマに感化され本作品を購入。
「教場」は既に手元になく、ほぼ記憶にない。
警察学校の元刑事の鬼教官風間が、警察に不適合と判断した生徒や、
意識が低い生徒に喝を入れるために退校届を渡すのが
本作品のフォーマットになっている。
本書は6話構成で、前後に多少のつながりはあるが1話で完結していくので、
長編を読むのが苦手な方も大丈夫。
さて木村拓哉主演のドラマがどうだったか。
ドラマは原作を忠実に再現しているわけではなく、
小説の要所要所を巧く織り込み、見事に長時間ドラマへと昇華していた。
ドラマの風間のほうが無口で厳しく -
Posted by ブクログ
長岡弘樹『血縁』集英社文庫。
家族という特殊な社会の中で起きる犯罪をテーマにした7編から成るミステリー短編集。
『文字盤』『苦いカクテル』『オンブタイ』『血縁』『ラストストロー』『32-2』『黄色い風船』を収録。
苦しい設定や無理な展開の短編もあるが、最後まで読ませる短編が並ぶ。しかし、気になるのはこの著者の文章からは犯罪は悪だというメッセージが1つも伝わってこないことだ。著者が余りにもミステリーとして犯罪を描こうと躍起になる余り、人間が本来持つべき犯罪に対する嫌悪感や憎悪が文章から欠如してしまっているように感じる。そのためか、ミステリーとしては面白いが、読後に嫌な感覚だけが強く残る短編